業務無線の解説!一般の企業や団体が使う無線は「簡易無線」と呼ばれるもので、使用目的は「簡易な無線通信業務」だっ!

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企業などで広く使用される無線局が簡易無線局です。

業務無線とはその名のとおり、企業から個人商店まで幅広く使用している簡易無線の周波数で、近所の酒屋のオヤジの配達や、くみ取りのバキュームカー、一般的なサービス業、金融、工事、石油、出版、観光、不動産などのほか、警備、赤十字、NTT、ライフライン各社が含まれます。

このような一般の企業や団体が使う無線機は「簡易無線」と呼ばれるもので、使用目的は「簡易な無線通信業務」となっています。

周波数帯域は150MHz帯や348MHz帯、351MHz帯、 465MHz帯、 467MHz帯、468MHz帯など幅広く使用されています。簡易無線の周波数は総務省の無線局データベースにて公開されている情報ですので、自分の市町村名や業者や団体の名称を入れて検索してみましょう。

これまでの150MHz帯、467MHz帯はアナログ同様に免許局ですが、新たに平成20年からはデジタル簡易無線351MHz帯の(登録局)が登場し、2022年までに簡易無線は現在のアナログ無線からデジタル無線への完全更新が決定されています。なお、351MHz帯の登録局は業務使用のほか、レジャー利用もできますので、私たち趣味のホビー局も遊びと仕事の両方に使えます。

デジタル簡易無線(登録局)解説!

警備無線(警備業者の無線)

警備員が保安のために店内などで使用したり、また、現金輸送車の警備員と本部が連絡をとる場合に使う無線です。そのほか、巡回先での異常発報を受け、本部から車両で駆けつける機動警備員に指令を出したりします。

この駆け付けるまでの所要時間は25分以内と警備業法で決められており、25分を超えてはいけないとされています。しかし、昨今では警備業界でもモバイル化が進み、無線よりも携帯電話改選を利用したの通信機器を利用することが多くなっています。大手警備会社では、KDDIのモバイルソリューションを導入しています。

警備業者は前述した351MHz帯の登録局を利用する例も増えています。

一般論で言った場合、警備会社の警備員が車で契約先を巡回するのは企業が業務終了し、誰も社内にいなくなる夜間、深夜帯です。

このような機動警備員たちは契約先で何か防犯装置が感知すると、本部からの指令を受け、車で契約先まで向かいます。警備会社の車両に緊急走行できる権限など一切ありませんから安全運転で向かいます。

タクシー無線

モービルで無線を効率的に運用している業種といえば、警察のほかにタクシー業界があります。タクシー無線といえば、配車の指令のためにもっぱら使用される業務無線で周波数は450MHz帯です。

そのほか興味深いシステムとして、事件が発生した場合、タクシーの無線に警察無線が割り込んでくることもあります。いわゆる指名手配犯捜査の協力要請で、株式会社エニーなどが販売する緊急通信システムを使って、警察からの協力要請をタクシー無線に出せます。

無論、犯人が客として乗っていた場合のため「警察」とは名乗らずに「無線センター」などの通常使用しない名称を用い、運転手も指令側も「連絡A」や「連絡B」といった暗語や「忘れ物」「大きな落とし物」などといった暗号でやり取りをするようです。

しかし、最近のタクシー業界までも警備会社と同様、無線ではなくスマホを使用して指令するシステムも普及が進んでいます。

追記

聞く無線がめっきり減ってしまう深夜帯、むしろ深夜になるとタクシー無線には活気が出て、だいぶ救われましたが、気がつけば筆者の地元でもデジタル方式になっており、5社中、一社も聞けなくなっています。何とか隣町の配車無線を聞いていますが、いつまで聞けるやら。あの夜中の賑やかは懐かしい。

このようにタクシー無線受信もデジタル化で過去のものとなりましたが、味わい深さがありました。

マスコミ無線

報道関係機関が使用している無線周波数です。番組中継のための連絡が主で、事件・事故・災害現場上空のヘリと報道各社の本社との交信などが行われ、各社によって使用頻度はばらばらです。

また、ヘリ同士の空中衝突を避けるために連絡を取り合いますが、普通は航空機間の相互連絡周波数を使うほか、相手のヘリの使うカンパニーラジオにブレイクする場合も。

カンパニーラジオの初歩を解説!日本語なので聴きやすい航空無線

これも受信機にあらかじめ各社の周波数を登録して、普段からサーチしていると、どこの社が活発に取材しているかがわかります。マスコミのヘリコプターは機上から本社へ電送しながら帰投するのが一般的のようです。

事件事故の発生とマスコミ無線は密接に関係していますから、普段からワッチをしておきましょう。今でこそ、ヘリからの空撮取材、生中継も当たり前ですが、昭和のころは小学校の校庭に取材ヘリが無断着陸するなど平気で違法行為が横行していました。

日本では民間のヘリコプターは緊急事態や事前に許可を得ない限り、勝手にあちこち着陸することは許されず、例えマスコミのヘリでも禁止されています。そういった理由から、NTTの専用回線を使ったヘリからの伝送が一般化される以前の80年代は、低空でホバリングするヘリから直接取材テープをパラシュートで地上のクルーに引き渡していたそうです。

こちらも現在はデジタル化されており、アナログ受信機では聞けなくなっています。

ライフライン無線

ガス、電力事業者、携帯電話会社などのいわゆるライフライン業者の使用する無線です。特に関東ではデジタル化されており、めっきりアナログが減ったそうです。

余談ですが、皆さんもご存じのとおり、ガス会社や電力会社も緊急車両を運用しています。火災や災害で緊急出動する必要があるためです。

鉄道・バス無線

旅客事業者の使う無線には、鉄道無線やバス無線があります。JRや私鉄などが使用している無線では、事故やダイヤの乱れなど情報収集ができます。

鉄道の運行に関する通信が主です。JR北海道では、事故や走行中にドアが開いたり煙が出ることが多いので、受信していると事故やダイヤの乱れなど情報収集ができて役立ちます。全国でデジタル化がすすんでいますが、今でもアナログ無線が生きています。帯域は400MHz帯です。

番外編 空港業務無線を聞いてみよう

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空港で地上の航空局職員や航空会社スタッフがやり取りをする無線を聞く

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2016年、新千歳空港で女が検査用のゲートを潜り抜けて旅客機に乗り込み大問題になりました。空港や飛行場で地上の航空会社スタッフや航空局職員がやり取りをする無線にも耳を傾けてみましょう。

こちらは300から400MHzのUHF帯域を使っているので空港内やその周辺でしか受信不可能ですが、臨場感のある交信が傍受できます。

周波数は周波数バイブルに各航空会社の「地上業務」という名称で掲載されています。

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航空機を誘導するmarshaller。


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