バナー画像は言及および批評のため【前編】日本の元 警察車両をキャンパーバン改造!?から引用
日本の警視庁から放出された中古の警察車両を購入したあるブロガーの記事が、今年の7月頃から、ある事情によりTwitter上で話題になっています。
当該ブログの記事自体は2019年のものですが、2021年7月1日に同記事へ言及した人のツイートが多くの人に驚きをもって受け入れられているようです。
その理由とは何でしょうか。
MPDの遺体搬送車をNZでキャンピングカーに改造して乗ってる邦人のブログを見つけて笑っています。
謎のステッカーが貼ってあって護送車ということになっていますが、日本の中古車屋が勝手に貼ったのでしょうか?
https://t.co/WyjNPeoS70— Nick (@IKEGO_2) July 1, 2021
どうやら、ニュージーランドでキャンプ生活をしている邦人が、日本の警視庁から払い下げられた警察車両を現地の韓国人中古車業者から購入したようです。
そして、その中古の警察車両とは遺体搬送車ではないか、という指摘がなされています。
遺体搬送車と知っていたのかどうかは不明ですが、本車両をキャンピングカーのベース車として最適だと考え、売ってしまう韓国人業者の商魂たくましさには驚かされます。
しかし、それはともかくとして、車両の運転席付近の画像を見ると、乗務する警察官に向けた「注意喚起のステッカー」と思われるものが確認できます。
覆面パトカーなどの助手席によく貼られているものと似ています。
ステッカーには『被疑者同行時の留意点』と題され、『被疑者は逃げるもの』などの心得の文言が記載されています。
このステッカーが元から貼ってあったのか、それとも業者が後から貼ったのかは判然としません。
しかし、このようなステッカーを見れば、ブロガーがこの車両を護送車と思い込んでしまったとしても無理はないでしょう。
この話題について、少し冷ややかな視線を向けているマニアが多い印象ですが、果たして真相はどうなのでしょうか。
真相
ところが、上記ブログの運営者であり、当該車両を購入したオーナーが投稿した動画を参照すると、オーナーはこの警察車両の「真相」を最初から知っていたようです。
購入当初から後部荷室に設置されていた白いステンレス製の収納箱には、そのものずばりの文言が明記されていました(ただし、この部分はオーナー曰く「自主規制」とのことで伏せられています)。
そして、これを販売店で見たオーナーは「日本で売れず、はるか地球の裏側までやってきて売りに出されている理由が理解できました」と述べています。
さらに、助手席には前述のステッカーが貼られていました。
このステッカーを見て、オーナーは本車の愛称を『護送車』に決定。
つまり、オーナーは「事情を理解した上であえてこの車を購入した」というのが真相のようです。
オーナーによれば、「警察車両としてつらい経験をしてきた分、今後は自分と一緒に旅をして楽しい人生を送らせてあげたい」という願いがあるのだそうです。
あえて『護送車』という愛称をつけたのも、この車がつらい過去の仕事を忘れられるようにという、オーナーの優しさの表れなのでしょう。
実際、ブログを読むと、オーナーがこの車に愛着を持ち、キャンパー仕様へと改修を楽しんでいる様子が伝わってきます。
現在では、この車はすっかり見違え、立派なキャンパーバンへと生まれ変わっています。
ニュージーランド当局によるキャンピングカーとしての公式認定もしっかりと受けたとのことです。
スパルタンで冷たい金属のフロアの上にはフローリング風のクッションフロアが敷かれ、車内は快適かつ穏やかな雰囲気になっています。
後部のフラットなフロア形状がキャンピングカーのベースとして最適なのは、さすが本来の用途ならではでしょう。
そして、このキャンパーバン『護送車』とともに綴られるオーナーと愛犬の『ニュージーランド車中泊日記』には、思わずほっこりさせられます。
当然『護送車』には愛犬のベッドも備わっているとのこと。
クルマへの愛着がひしひしと伝わり、こちらも温かい気持ちになります。
今後もキャンパー仕様に生まれ変わった元警察車両で、オーナーが愛犬とともに『護られて』安全な旅を続けられるよう願うばかりです。
というわけで、『護送車』はオーナーがつけた愛称であり、冷やっとする車中泊どころか、むしろオーナーの人柄によって温かくなってしまうという結末でした。
とはいえ、当サイトとしては、取り上げるべき警察車両と、できるだけ敬遠すべき警察車両の区別を考慮してきたつもりであり、遺体搬送車そのものについてはあまり触れたくなかったのが本音です。
しかし、国内では警察から放出された遺体搬送車が中古車として一般市場に出回る事例は珍しくないようです。
ある中古車業者のサイトでは、遺体搬送車の商品説明に『生鮮食品の運搬にもおすすめです』と記載されており、筆者としては知りたくなかった情報を知ってしまったような気持ちになりました。