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2023年9月25日、総務省ではアマチュア無線従事者資格の国家試験合格や養成課程修了から、アマチュア無線局の開設・運用までの期間が大幅短縮できるように「アマチュア無線従事者免許」と「アマチュア無線局免許」を同時に申請できる手続きを開始しました。この手続きは『同時申請』と呼ばれています。
総合通信局公式サイト https://www.tele.soumu.go.jp/j/others/amateur/dojishinsei/index.htm
これまでは、従事者免許(資格)を取得してから無線機を購入し、開局申請をして無線局免許状(いわゆる局免)の交付を受けてからアマチュア無線を運用するのがポピュラーでした。「国家試験に合格!申請してようやく無線従事者免許証も届いた!さあ、無線機を今すぐ買いに行って帰りに山の上でCQを出すぞ~!」とはならなかったのです。
もちろん、社団局やゲストオペレーター制度を活用し、OMさんの無線機を借りて運用するお手軽な方法の場合は、従事者免許だけで限定的に運用できますが、一般的には従事者免許(資格)を取得後はアマチュア無線局の開局申請を行い、局免を取得するのが流れだったのです。この10年ほどで、アマチュア無線を取り巻く制度改正がいくつかあり、ユーザーにとっては利便性が高くなっていることはとても喜ばしい現状だと思います。
というわけで、従免を取ったら、今度は局免を取得しましょう。え?『申請がめんどくさそうだし、ゲストオペレーター制度でやるから局免はいらない』!?
もちろん、ゲスオペも素晴らしい制度です。でも、ここまで来たならば、ぜひ、無線局免許状も取得してみてください。
アマチュア無線局の開設申請は書類申請と電子申請の2種
さあ、それでは無線局免許状について詳しく解説いたします。日本のアマチュア局の無線局免許には、個人が開設するアマチュア局に与えられる個人局と、団体が開設するアマチュア局に与えられる社団局の二つがあります。アマチュア無線を始める人の多くが「個人局」として自分のコールサインを手に入れたいと思うのではないでしょうか。
さあ、ここからがアマチュア無線局の開局申請の本段階です。アマチュア無線運用許可まで面倒だけどあと少しの道のりです。それでは局免申請と開設までの手続きの流れの解説です。
すでに従免の発行を受けている人ならば、開局申請は筆者も利用したアマチュア無線の申請に特化した「総務省電波利用電子申請・届出システムLite」ならば、あっという間に申し込めて、申請手数料を郵便局などから支払えば、ダンゼン早くてお安く局免が取得できて非常に便利。
なお、この電子申請LiteのIDとパスワード申し込みは無線従事者免許の番号が必須なので、合格後でなければ申し込めないので、合格前にあらかじめ申し込んでおくということはできませんのでご注意を。
まずは『電子申請・届け出システムLite』にユーザー登録しよう!
さて、従免が送られてきた封筒には免許証のほかに、何やらアニメ調のキャラクターが印刷されたパンフレットも同封されていませんでしたか?
これは、アマチュア無線を題材にしたアニメの宣伝ではなく、総合通信局の公式キャラ「電波りようこ(仮称)」なのです。もともとは総合通信局の内部の研修資料に登場するキャラだったそうで、ごく最近になりLiteの公式ページにも登場したそう。そのため正式名称はなく、総務省職員からは「電波りようこ」と俗称で呼ばれているそうです。
彼女はとっても便利な電子申請システムLiteの宣伝をしてくれていますから、パンフをごみ箱に捨てるのは待ってください!
パンフレットを読むと、このLiteという電子申請(インターネットを使った申請)で局免の申請をすれば、書類申請の手数料から30%オフ(4,300円が2,900円)になると書かれているはずです。
したがって、ぜひ電子申請を利用しましょう!
まずは以下の総務省の公式サイトへアクセスしましょう。
電波利用 電子申請・届出システム Lite https://www.denpa.soumu.go.jp/public2/
総務省の電子申請システムLiteの公式ページにアクセスすると、上記の画面が出てくると思いますので、さっそく『新規ユーザー登録』から必要事項を記入し送信、申し込みをしましょう。
するとまず、本人確認の審査が行われ、不備がなければ、郵送にてユーザID通知書が送付されてきます。郵送まで約5日ですが、IDのハガキが届くまでにやっておくことがあります。
そう、お楽しみの無線機の購入です。無線局を開局するのですから、無線機が無ければいけませんよね。手元に実際にない無線機で申請するのは虚偽申請になるのでやめましょう。
また必ず、自分の級に対応した機種を買い、購入した無線機の「技適番号」を記入して電子申請しましょう。
技適番号は日本国内で現在市販されているアマチュア無線機には必ず付いていますから大丈夫。
でも、古かったり自作だったり、海外製のものだったら技適番号は無いので、技適番号のある国内の現行品を買ったほうが良いでしょう。
なお、自作機などの場合、保証機関のTSSに申請すると審査のうえで保証してくれます。TSS発行の保証書の写し(PDFファイル)を電子申請ファイル内に添付し「総務省の電子申請・届出システム」から電子申請の手続きを行います。
技術適合基準に合致した機種を選び、その番号を申請書に書けば、開局まで「アッ」という間です。
5日ほどでIDが到着します。ここからがようやく無線局免許状の申請の本段階です。
さて、申し込んだこの電子申請LiteのIDですが、通常ははがきで5日ほどで送られてくるでしょう。こうして、LiteのIDとパスワードを入手したならば、再び上記の総務省Liteの公式サイトにログインしましょう。
これでようやく、開局申請の手続きをさっそく即日、本格的に始めることができます。
早い開局を望まれるのなら、IDの記載されたはがきが届いた当日に早めにしたほうが良いでしょう。入力項目がとても多いのですが、手元には先に送られてきた無線従事者免許証と、このLiteのIDとパスが書かれたハガキ、無線機の技適番号を用意して、あとは画面を見て手順に従って入力していけばいいので簡単ですよ。
詳しい手順は総務省のサイトに説明があります。
https://www.denpa.soumu.go.jp/public2/
初めての方へ
https://www.denpa.soumu.go.jp/public2/beginner/index.html
申請手続き全体の流れはこちら
https://www.denpa.soumu.go.jp/public2/flow/flow_a.html
このようにして電子申請を行うと、数日で総合通信局から申請の審査完了と、電子納付の案内のメールが来ることでしょう。万が一、記載にミスなどがあれば「補正」の連絡が来るようになっていますから、補正の上で再申請してください。
ただ、ネット上では開局の審査が遅いと嘆く声もあります。関東などはやはり件数が多く、受理に時間がかかるようです。
さて、開局申請が無事に受理されると、今度はついについに「無線局免許状」、”局免”の受け取りですよっ。
免許状の受取り方法について
さあ、上記のように開局申請をして問題がなければ、そのまま受理され、いよいよ局免が発行されますから、今度は局免受け取りのための手続きに入りましょう。
局免の受取方法には下記の3つがあります。
- 総合通信局に住所、氏名、送信完了時に表記された「問い合わせ番号」が分かるように記載した封筒に82円切手返信用封筒を送付して免許状を送ってもらう。
- 『送料受取人払いによる受取』にて、総務省から送ってもらい、520円を配送業者の配達員に支払う。
- 総合通信局へ直接出向いて、窓口で受け取る。
筆者は1番の返信用封筒による受け取りと、3番の直接受け取りを実際に体験しています。「総合通信局での直接受け取り」の場合は、念のためにメールか電話で事前連絡をしたうえで受け取りに行くほうがスムースで良いでしょう。総合通信局のオフィスが近所なら最高にお手軽です。
しかし、最も手軽なのはお金が少々かかりますが、出向きもせず、返信用封筒も送らずに全部、総合通信局任せで送ってもらう2番の『送料受取人払いによる受取』サービスではないでしょうか。
次はペイジーで電子申請手数料の電子納付をしましょう。
電子申請Liteによる申請手数料の支払いはインターネットバンキングのペイジーで可能です。郵便局へ行き、ATMから「ペイジー」を選択して、納付番号を入力して納付しましょう。
もちろん振込み手数料は無料です。
こうして申請手数料を無事に支払うと、電子申請Liteの画面上の「納付状況ステータス」は「納付済み」になっていることでしょう。
さあ、申請手数料の支払いが完了し、局免受け取りの各種方法も決めたら、あとは数日から一週間程度であなたの手元に「無線局免許状」が、届くことでしょう。
お疲れさまでした!さあ、この局免が手元に届けば、あとは自由にアマチュア無線の運用が許されます。
おっと、電波利用料の支払いを忘れずに。
無線局免許状の注意点
さて、局免が従免と違うのは、5年ごとに更新手続きが必要な点です。これをうっかり忘れたまま運用を続けると、不法無線局となってしまいますから、注意が必要です。
アマチュア無線局を廃局する場合……無線局の廃止手続き
なお、アマチュア無線局を廃止する場合は住所氏名を記載した廃止届ともに免許状を総務省総合通信局へ提出しますが、こちらも電子申請が可能です。
アマチュア無線局免許状のまとめ
アマチュア無線はこのように、無線従事者免許証と無線局免許状の同時申請ができるようになりました。
実際の具体的な運用方法はこちらで解説しています。