HF帯のSSBモードを手軽に安く受信!洋上管制や海上自衛隊アツギオーシャニック、7MHzもみんな聴けちゃうSSB対応BCLラジオは評判通り高性能

 

当サイトで”最強の航空無線受信機”としてお勧めしている『受信改造済み IC-R6』が復調できる変調方式はFM/WFM/AMの3種のみ。

通常のAM航空無線やFM無線の受信には問題ありませんが、HF帯のアマチュア無線や洋上管制で使用され、通常のAM変調よりはるかに遠距離まで届く『抑圧搬送波単側波帯(SSB…Single Side Band amplitude modulation)』となれば話は別。IC-R6はSSBモードの復調が出来ません。

なお、IC-R6でHF帯の通信が聞けない理由はSSB非対応以外にも、もう一つ理由がありますので、念のため以下の記事で解説しています。

受信改造済みのIC-R6でも航空無線の『洋上管制』が聞けない2つの理由

 

さて、このSSBとは搬送波および搬送波の上下いずれか片側のみの周波数の成分を利用した方式(モード)で、搬送波よりも上の側波帯を使うUSB (Upper Side Band)、下側を使うLSB (Lower Side Band) の2種類があります。

例えばアマチュアバンドの7MHz帯ではLSBモードが使用され、航空無線の『洋上管制』や、海上自衛隊版洋上管制の『厚木オーシャニック』ではUSBモードが使用されます。VHF帯の144MHzでも稀にSSBで交信するアマチュア局がありますが、日本の北から南、さらには外国の局とも交信が容易なHF帯の各バンドにおいてこそ、SSBの特性が発揮されます。

短波 HF (High Frequency)と電離層を利用すれば外国との交信も可能!

いずれにせよ、2万円前後で買えるIC-R6やVR-160ではSSBモードに未対応。それならばと、出費を覚悟してSSB対応のオールモード高級受信機やHFアマ機の購入をお考えになるかもしれません。

しかし、実は『予算1万円で確実にSSBの上下各モードが受信できる』人気の受信機材があります。

中国メーカー製『SSB対応BCLラジオ』

広帯域受信機やHFアマ機よりも安くSSB受信が可能!平均価格は1万円台!

それが中国メーカーが主に製造販売しているSSB対応BCLラジオ。そもそも『BCLラジオ』とはAMの短波放送が聞ける『短波ラジオ』のこと。ただ、街のホームセンターでも売られている数千円台の短波ラジオではAMとFMしか受信・復調できません。

しかし、それより高価な『SSB対応BCLラジオ』ならば、AM、FMに加えてSSBモードを復調できるわけです。

気になるお値段ですが、現在『SSB対応BCLラジオ』は1万円前後のお手頃モデルが普及しています。ただし、アマゾンで『SSB ラジオ』と検索すると、1万円程度の機種が多数出ますが、中にはSSB対応ではない安い機種も検索結果に反映されているので、商品名に『SSB』と明記されているか要チェックです。なお『SW』は短波(Short Wave)帯を意味する表記で、『SSB(Single Side Band)変調』の意味ではないため、ご注意を。

これら1万円台のSSB対応BCLラジオはレビュー件数が多く、総合評価も実に高評価。ただし、広帯域受信機同様の機能性といった場合は今ひとつ。とはいえ、その価格差だけみれば、日本製のSSB対応受信機上位機種やHF機の実に5分の1から10分の1とコスパは抜群。今回、筆者は数ある中から、ある人気機種を購入し、その実力を検証。その性能に驚きました。

XHDATA D-808

数あるSSB対応BCLラジオのうち、ヒット機種と言っても過言ではないモデルが『XHDATA D-808』です。AM・FMラジオ放送のほか、HF帯では1711-29999kHzまでのSSB方式に対応し、さらに118-137MHzのVHF帯AMエアバンド受信まで楽しめる製品です。ほぼ同一筐体・同一性能・同一型番でメーカー名が違うケースが中華製品にありがちですが、この『XHDATA D-808』にも『SIHUADUON D-808』というそっくりな製品があります。これら『D-808』の両モデルを使った複数の人のレビューでは『SIHUADUON』より『XHDATA』のほうが感度や反応が明らかに良いという声があります。

XHDATA D-808 ポータブルラジオ FM AM SW LW ワイドFM エアバンド SSB BCL DSP RDS ポケットラジオ 高感度 小型 電池式 充電式 スリープ機能付き 目覚まし時計 日本語説明書付き

XHDATA D-808。価格も手ごろで洋上管制、人気の7MHz帯アマチュアバンドも対応。日本語説明書付き

さて、この『XHDATA D-808』は『7MHzや洋上管制も受信感度が良い』との評価がありましたが、本当でしょうか?はい、事実に相違ありません。

『XHDATA D-808』は最小ステップ幅が1KHz(ファインチューニングダイヤルでさらに細かい調整が可能)で問題なくHF帯域の周波数をチューニング出来ますし、SSBモードではUSBとLSBの2種類を適宜切り替え可能です。CWモードはないものの、LSBモードでモールス音をキレイに受信できます。FM放送、LW/MW、SW、そしてエアバンドそれぞれのおおよその帯域の呼び出しはそれぞれのバンドキーを短押しで可能、周波数の直接入力&メモリーも可能と、”広帯域受信機”としては最低限必要な機能を持っています。

『D-808』はHF帯の感度が抜群!まずは7MHzの受信から

一般にHF帯のベストコンディションは日中より日没から夜明けごろですが、7MHz(40mバンド)は日中も比較的安定しており、とにかく賑やかでHF帯におけるメインストリートです。日本各地でモービル運用する局も多数で、とくに週末や祝日の昼間は国内局の交信が賑やか。というわけで、まずは7MHzの受信から。『SSB』キーを押して電波形式を『normal(AM)』からLSBにセットして、7MHz帯の7.130KHzにチューニング。すでに筆者の地元8エリア管内のローカル局はもちろん、1エリア局同士の交信が明瞭に入感しました。さらにダイヤルを回して下に降りていくと関西弁、博多弁など全国津々浦々のアマチュア局が多数オンエア中。夜が更けてフェージングがやや強くなる中、今度はヨボセヨ、ポニョ、ハムスキニダ?などの韓国語(!?)、さらにロシア語による交信が入感し、国際色豊かなDXバンドの様相を魅せ始めました。

ひとまずは外部アンテナなしでのワッチでしたが、予想以上の感度に驚きです。7.045KHz以下はCWが活発ですが、当然モールスもビンビンに入感。

今度は3.5MHz帯をワッチ。HFは低くなるとフェージングが強くなり、慣れないと雑音の中から信号を聞き分けるのに苦労しますが、こちらも付属の簡素な3mサイズのワイヤーアンテナを使えば余裕で入感しました。この付属ワイヤーアンテナは短波帯受信時は必ず活用することをお勧めします。天井から下に垂らす、D-808本体を机に置いてワイヤーを床に垂らす、窓辺にワイヤーを貼りつけるなど、いろいろ試すとベストな感度がきっと見つかります。

メインのチューニングダイヤルで合わせただけでは変調が聞きにくいなら、正面右側面にあるチューニングダイヤルとは別に設けられた『ファインチューニング』用ダイヤルを回して、さらに1KHz以下を細かく調整してゼロインすれば、より明瞭に復調されます。

お次はUSBに切り替えて洋上管制の受信。LSBからUSBモードへの切り替えは『INFO』ボタン短押しでOK。通常、HFの洋上管制の周波数は複数で運用されており、電離層の状態、時刻で周波数がコンディションの良いバンドへ適時変更されます。いつも筆者がHFのコンディションチェックを兼ねて受信している『東京レディオ』の北太平洋エリア(NP)5.628KHzでは航空機側、地上局側の女性通信官の声も問題なく明瞭に復調・受信できました(男性通信官に交代したら即バンド変更するやつ・・ぐへへ)。10.048KHzも感度良好。しかし、彼女が各機に促すセカンダリーの8.951KHzは当方の環境では受信不可。

また、海上自衛隊厚木基地(神奈川県綾瀬市)から6.727KHzで洋上飛行の航空機へ送信される『厚木オーシャニック』は、上述の洋上管制より交信頻度が少ないため受信チャンスは低いのですが、翌日の昼ごろにはフェージングが強い中、航空機側(P-3C?)、地上局側も受信できました。

D-808のHF帯受信性能はすこぶる高いと言えるでしょう。

何らかの不明な通信の傍受に関しては是認されるべき個人の趣味の範疇と考えられますが、傍受する際は当該工作機関から十分に適切な社会的距離を保つ必要があります

『D-808』のポップノイズは?

評価の低いレビューを見ると、複数台購入者数名による『ポップノイズが気になる』『個体によって感度にばらつきがある』というものがありました。ポップノイズといえば、筆者も過去にアルインコのDJ-X8とDJ-X11の大きい『ポッ・・ポッ』音にひどく悩まされましたが、D-808にはほぼありません。

『D-808』のVHFエアバンド受信感度や使い勝手は?

D-808の118〜137MHzのVHF帯エアバンド受信機能はどうでしょうか?VHFの受信感度は搭載のロッドアンテナを目一杯伸ばして受信する限り、IC-R6と同等とはいきませんが、決して悪くありません(理論上、アンテナは波長に合わせたほうが感度が良いとされますが、体感的にはVHFはアンテナが長いほど感度が良いです)。あとは外部アンテナ次第と言えます。

しかし、問題は使い勝手。D-808は遅いながらもバンドスキャン機能はありますが、残念ながら一般的な広帯域受信機のようなメモリースキャンがありません。D-808でエアバンドの個別の周波数を次々に聞きたいのなら、事前に登録した個別の周波数をメモリーごとに割り当てたナンバーキーを短押しし、その都度呼び出す使い方が基本。メモリーは10チャンネル×10バンク(各バンド)です。ただ、メモリーした任意の周波数を表示してる時にダイヤルまたは上下方向キーで、その周辺周波数にシフトできるため、近い周波数なら即座にチューニング可能で便利です。

とはいえ、やはりメモリースキャンがないので、2、3個の周波数を専念して聴く方以外は、やはりD-808との価格差2倍ですが、IC-R6(受信改造済)をお勧めします。

『D-808』のAM、FMラジオ放送受信感度とその他バンドの音質は?

ラジオ放送ではAM,FM共に受信感度に不満はありません。やや『サー』音が気になりますが、2万円のIC-R6でAM放送を受信したときより遥かにマシで実用上まったく問題ないものと思います。音質に関しては、8万円のIC-R30でNHKのFM放送を聞いていていつも筆者が感じる『わざわざNHKのアナウンサーが筆者の部屋に出張してきてくれて部屋でニュース読んでくれてるような気持ち悪いほどの臨場感』のようなものは、さすがにD-808にはありません。エアバンドの音質に関してはIC-R6やDJ-X100など広帯域受信機と比べると音のこもりがやや気になるものの、スピーカーが大きいこともあり、音量は充分。HFでLSBモードで聴くCW(モールス)の受信音も心地良いです。

『D-808』のうるさいビープ音は設定でオフに

D-808が届いた直後、開封して軽く使ってみると、操作のたびに耳障りでうるさいビープ音にイラッとした方は多いはず。でも設定でオフにでき、深夜も安心して使えます。

『D-808』のバッテリー持ちは?

D-808は付属の『18650型リチウムイオン充電池』一本を使用します。2時間ほどのUSB充電で25時間以上の連続駆動と、驚異的でした。

『D-808』の販売ショップは?

筆者はアマゾンの上記ページからプライム配送で購入しました。日本語説明書、ワイヤーアンテナ、リチウムイオン充電池(18650)が付属したセット品で即日使用可能でした。

『D-808』総評

現時点で1台しか購入していない筆者には検証の術がありませんが、感度について筆者の手元の個体はすこぶる良好です。なお、星が一つのレビュアー方は『スピーカー部が凹んでいた』というものがありました。これは中国製品の品質管理なのか、返品された商品をそのまま再販してるのか不明ですが、筆者の個体は外装の気になる傷はほぼありませんでした。

いかがでしょうか。HF&エアバンド受信機能を持つSSB対応BCLラジオ『D-808』。購入以来、筆者のD-808は5MHzおよび10MHz帯の洋上管制、3.5MHzおよび7MHz帯アマチュア無線、6MHz帯の自衛隊『厚木オーシャニック』など、SSB(USB/LSB)専用の優秀な受信機になりました。あとは暇があれば、AMの漁業無線などのワッチにも活用したいと考えています。

え?118-137MHzのエアバンド帯は聞かないのかって?筆者はすでに優秀なIC-R6(受信改造済)がありますし、VHF航空管制のうち、140MHz帯の陸上自衛隊管制やUHF帯の航空自衛隊GCI波を受信できないD-808では残念ながら役不足なのです。また、D-808ではAMモードからSSBへの切り替え時に4秒弱かかったり、メモリースキャンがないので『周波数の手動切り替え』が基本操作となるため、HF受信とエアバンド併用またはVHFエアバンド専用受信機としての使用はしずらいのではと思います。

したがって、筆者はD-808をほぼ完全にHF帯のSSBモード専用受信機として運用しています。

しかし、機能が限定的とはいえ、1万円前後で29.999MHzまでのHF帯がAM、SSB(USB/LSB両対応)で受信でき(30MHz帯を使う漁業無線は受信不可)、AM、FMラジオ放送、さらに118-137MHzのVHF帯エアバンドまで受信できるD-808。些細な点は目をつぶりたいところです。『予算は少ないけどHFのSSBを聴いてみたい』という方には、まず『XHDATA D-808』が、その第一歩を叶えてくれるでしょう。普段使いや枕もとのお供としてコストパフォーマンスは抜群。間違いなくオススメです。

なお、上述したとおりエアバンドは標準のロッドアンテナを最大に伸ばす、同様にHF帯受信に関しては付属のワイヤーアンテナを外部アンテナ端子(3.5ミリ径)に差し込むだけで充分な感度でしたが、必要に応じてHF用アンテナを用意するとさらに耳が良くなるでしょう。HF用アンテナは以下の製品がベストセラーになっています。

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