当サイトが推奨しているアイコムのベストセラー受信機『IC-R6』には工場出荷時から特定小電力、鉄道、バス、国際VHF、消防無線(署活系の周波数は現在も有効)など多くのメモリーが、あらかじめプリセットされています。
また、航空無線の受信であれば、はじめから各地域ごとにメモリーがまとめられたエアーバンドスペシャルを購入したほうが使いやすい場合もあります。

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IC-R6はそのままだと使いにくいので自分でメモリー編集すべし
『エアバンドスペシャル』であってもプリセットされたメモリーは全国の大規模空港の周波数に偏っており、ローカル飛行場の飛行援助局などは未メモリーが多いもの。
そこで、IC-R6をより使いやすくするため、自分にとって不要なメモリーやバンクを消去して、敢えて本体をまっさらな状態に戻す作業、通称『オールリセット』を行う場合があります。
へぇ、そうなのか。じゃあ、消すか。人生オールリセット……
がああああああっ!うるせーよ。
ちょっと待ってください!アイコム公式サイトのIC-R6取扱説明書において、以下のように記載されています。
【ご注意】
オールリセットすると、出荷時にプリセットされたメモリーチャンネルがすべて消去されますので、ご注意ください。【ご参考】
プリセットメモリーのデータは、弊社ホームページよりダウンロードできます。CS-R6(別売品:クローニングソフトウェア)を使用すると、ダウンロードしたプリセットメモリーのデータを本製品に書き込みできます。引用元 アイコム公式サイト IC-R6取扱説明書
http://www.icom.co.jp/support/download/manual/pdf/IC-R6_JPN_2.pdf
そう、オールリセットをかけてしまうと、工場出荷時にプリセットされていたメモリーはすべて削除され、受信機単体で戻すことは極めて困難です(※延々と手作業でひとつずつメモリーを再入力しバンクを作り直して復旧させることは可能です)。
さらに、受信改造済みIC-R6であった場合、リセットすると本来の歯抜けの部分まで元に戻ってしまうのです。つまり聞けていた周波数が聞けなくなります。
- IC-R6(ノーマル機)の受信可能範囲
IC-R6(ノーマル機)では以下の範囲のみ受信が可能です。
0.100 ~ 252.895MHz 255.100 ~ 261.895MHz
266.100 ~ 270.895MHz 275.100 ~ 379.895MHz
382.100 ~ 411.895MHz 415.100 ~ 809.895MHz
834.100 ~ 859.895MHz 889.100 ~ 914.895MHz
960.100 ~ 1309.995MHz
- IC-R6(受信改造済み)の受信可能範囲
0.100 ~ 1309.995MHzまですべて受信可能です。
例えば、無改造のノーマル機では252.896MHzから255.099MHzの間は受信ができず、飛んで255.100MHzから受信できます。飛び飛びで、まるであちこち歯が抜けているようです。これが俗に歯抜け受信機と呼ばれる所以です。
歯抜けの理由は以下のページにて解説しています。
さて、歯抜けが元に戻ることを知らずにIC-R6をオールリセットすると一瞬、恐怖新聞の主人公みたいな顔になってしまいます。
でも、歯抜けは受信改造状態に戻すことはできるので大丈夫です。
IC-R6(受信改造済み)をオールリセットした場合、歯抜けを元に戻すために必要な作業
まずはじめに、IC-R6の電源を切りましょう。
そして、本体左横の『FUNC』、『SQL』、『BAND』の3つのボタンを同時に押しながら、電源ボタンを押して起動させます。
すると液晶表示が左端から右端まで全パターンでゆっくりと表示されます。すべて表示されたらボタンから指を離してください。これだけで受信改造された状態に戻ります。液晶がすべて表示されるまでの数秒間、ICーR6のボタンから指を離さないでください。離すと失敗します。
さきほどの「復活の呪文」をコマンド入力して起動したら、確認作業のため、メーカー団体が自主規制している範囲のうち、261.895MHzからダイヤルを回してみましょう。ノーマルでは選択が出来ないはずの261.895MHz~266.100MHzまで選択できれば、歯抜けのノーマルから受信改造状態へ無事に戻っています。
安易にIC-R6をオールリセットしないで
このようにIC-R6はオールリセットをかけてしまうと、工場出荷時にプリセットされたメモリーが完全に消去されるうえに、受信改造も元に戻ってしまいます。受信改造は上の手段で簡単に元に戻せますが、プリセットメモリーを入れなおすには以下の純正クローニングソフトiCOM CS-R6と純正ケーブルが必要となります。
手作業でも復旧させられますが、簡単ではない作業です。IC-R6の元のメモリーも少しは使いたいという人は、安易にオールリセットを行わないように注意してくださいね。