受信改造済みではないIC-R6を買ってしまった航空無線ビギナー。
彼らは航空無線の中の「ある無線」が聴けません。
何がいけなかったのでしょうか?
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高性能受信機IC-R6を「買ってはいけない」ただ一つの理由
当サイトでも一通りのハンディ受信機の紹介はしていますが、アナログ専用機ならば、すでに答えは出てしまっているのが現状です。アイコムですらIC-R6を超えられるアナログ機をいまだ出せていないのは複雑な思いが…。
言うに及ばず、当サイトが航空無線受信に推奨している広帯域受信機はアイコムのIC-R6。
2010年に、前機種のIC-R5をより高性能化させた受信機として発売されたIC-R6は2025年現在でもベストセラー受信機。
航空以外でも、業務、バス、鉄道、消防署活系無線もアナログなら受信可能。
【IC-R6の基本仕様】
・サーチ&スキャン速度が高速
・全帯域で感度良好
・メモリーがプリセット済み
・バックライトつきで夜間も快適
・アルカリ単3電池×2本で約19時間、付属のニッケル水素充電池で15時間駆動
ハンディ型広帯域受信機としてはサーチ&スキャン速度、バッテリー持続性など、ライバル機と比べて高性能。
VHFとUHFどちらの航空無線も受信感度は最高。初心者から中級者までおすすめの広帯域受信機です。
工場出荷時から各空港主要波、特定小電力、鉄道、バス、国際VHF、消防無線(署活系の周波数は現在も有効)など多くのメモリーが、あらかじめプリセット済みで便利。
したがって、当サイトが航空無線の受信に推すのは『IC-R6』のみ。
しかし……。
損しないために以下へ読み進めてください。
IC-R6、ノーマル機と受信改造の違い
ノーマルと『受信改造済み』の2種類があるIC-R6。
ノーマルを買ってはいけない理由とは?
受信改造済みのほうが航空ファンから圧倒的に支持される理由とは?
IC-R6(ノーマル)は『歯抜け』だから
ズバリ結論を言うと、「歯抜け」という落とし穴があるからです。
以下のテーブル内に引用したものはアイコム公式サイトでのIC-R6(ノーマル)の製品情報です。
0.100~1309.995MHzの広帯域をAM/FM/WFMでカバー。(一部周波数帯を除く)
引用元 アイコム公式サイト
https://www.icom.co.jp/products/amateur/products/receiver/ic-r6/
0.100~1309.995MHzの広帯域をAM/FM/WFMでカバーしているとしながらも、何故か”一部周波数帯を除く”の文言が。
つまり、一部周波数帯が抜け落ちて聴けないのです。これがいわゆる『歯抜け』。
より詳しく見てみると、以下の帯域が「歯抜け」に。
- IC-R6(ノーマル機)の受信可能範囲
IC-R6(ノーマル機)では以下の範囲のみ受信が可能です。
0.100 ~ 252.895MHz 255.100 ~ 261.895MHz
266.100 ~ 270.895MHz 275.100 ~ 379.895MHz
382.100 ~ 411.895MHz 415.100 ~ 809.895MHz
834.100 ~ 859.895MHz 889.100 ~ 914.895MHz
960.100 ~ 1309.995MHz
- IC-R6(受信改造済み)の受信可能範囲
0.100 ~ 1309.995MHzまで歯抜けなしで連続受信
映画「ワールド・ウォーZ」では北朝鮮では歯を抜くことで人民のゾンビ化を防いだくだりがありますが、アイコムが歯を抜いた理由とは?
実はアイコムをはじめとするメーカーで作る業界団体のJAIA(日本アマチュア無線工業会)では、プライバシーにかかわる周波数を傍受させない取り組み、つまり自主規制を定めています。
歯抜け周波数の例を挙げると、411.895MHz~415.1005MHzの帯域。
これは新幹線の列車公衆電話がまさに412.025~414.475MHzに割り当てに該当。
このため、414MHzに割り当てられたJR無線(Cタイプ)、役所の水防関係、そして建設、運輸、商店などの幅広い民間事業者の簡易無線がごっそりと受信NGに。
そして、航空無線を受信したいエアバンダーにとっては261.895MHz~266.100MHz、そして379.895MHz~382.100MHzの歯抜けが致命的。
こちらも旧規格アナログコードレス電話への自主規制ですが、同じUHFの帯域に割り当てられたGCIがNGに。
「漬物たくさん作ったからお父さんと取りに来てや〜」「やーんだ。あんたなしてそんなに作ったのさ」とかいう、どこかのババアの会話を聴かせたくないために、航空自衛隊の将来の志願者を減らす。本当にいんですかそれ?いいんだよ。
これで楽しみにしていたGCI受信をフイにされ、一度しかない17歳の夏休みが終わってしまった女子高生もいます。かわいそう……。
ともかく、迫力のGCIが聞けないノーマル版ではエアバンド受信の魅力半減。買う価値全くなし。
比較的広範囲に飛ぶVHFに比べると、電波の減衰が激しいUHF。基地から近いか、よほど高い高度でなければ、受信は厳しいもの。
しかし、受信改造されたIC-R6の200~300MHz帯での受信感度はしっかり活きています。歯は抜いても手は抜かないアイコム。
なお、八重洲無線は今でこそ脱退していますが、かつては加入メーカーの一社。
同社のVR-150などでもアイコム同様の自主規制をしていましたが、脱退後に発売されたVR-160(2022年に生産終了)では受信改造不要の初めからフルカバー機。
すなわち、一部帯域の受信をできないことがノーマルのIC-R6を買うべきではない理由です。
また、IC-R6以外を購入する際もGCI狙いなら、歯抜けのない受信機が基本。
なお、販売店でもノーマル品と受信改造済みの二種類を並行販売しており、購入時はご注意を。
基本的に当サイトでは以下の『受信改造済み IC-R6』推奨です。
IC-R6エアーバンドスペシャルとは?
航空無線の受信であれば、はじめから各地域ごとにメモリーがまとめられたエアーバンドスペシャルを購入したほうがベター。
ただ、エアバンドスペシャルであってもプリセットされたメモリーは全国の大規模空港の周波数に偏っており、ローカル飛行場の飛行援助局などは未登録が多いもの。
そこで、使いやすくするため、不要なプリセットメモリーを消去し、敢えて本体をまっさらな状態に戻す『オールリセット』作業を行う場合も。
そして悲劇が起きます。
受信改造機のデメリットは?
ありません。
IC-R6(受信改造済み)でも受信できない無線は?
IC-R6はアナログ方式のAM、FM、NFMモードのみ受信及び復調可能です。
3-30MHzのHF帯で行われる洋上管制や米軍のHFGCSで使用され、地球の裏側まで届くSSBモードはIC-R6では復調できません。
【悲報】核戦争で地球が終わりそうなときに流れる米軍のHF通信『HF-GCS』「スカイキング、応答するな」応答しちゃいけない理由は?
さらに、電波形式以外にも、ある理由でIC-R6は受信NG。詳しくは下記の記事にて。
自衛隊でも救難系はHF通信が多数。ミリタリーエアバンドを極めたい方にはIC-R6では物足りなくなるのも時間の問題。
そこでHF帯のSSB受信にはSSB対応BCLラジオがおすすめ。実はIC-R6の約半額という嬉しさ。
XHDATA D-808でHF帯SSBモードの洋上管制や海上自衛隊HFアツギオーシャニック、7MHzアマチュアバンド受信可能!
ただ、誤解して欲しくないのですが、SSBモードが聞けないだけでIC-R6のHF感度自体はとても優秀。
深夜は気分転換に世界中の短波放送(AM)を聞けるのも、IC-R6の大きな魅力です。様々な国の言葉を楽しんでください。
国内では3.920MHz(夜間)でオンエアされている『ラジオ日経第1』が有名です。
おっと、朝鮮の声放送の日本向け放送に感化されないでください。公安刑事が外で待っています。
■関連記事■
非・受信改造済みIC-R6を買うと後悔する理由のまとめ
このように、航空自衛隊の使う『GCI』も聞くのなら、ノーマルではなく、受信改造済みIC-R6が必要。
- IC-R6はメモリーした100個の周波数を約1.2秒で一周する。
- IC-R6は必ず受信改造済み版を!
- IC-R6(受信改造済み)はSSBに非対応。
- IC-R6(受信改造済み)はオールリセットで受信改造も戻る。直すにはもう一度コマンド入力トライ。
- IC-R6(受信改造済み)のみがVHF&UHF航空無線を楽しむためのベストな受信機。
- 古くて安い中古の歯抜け受信機は感度も速度も劣りNG。
『歯抜け受信機』『安い昔の中古受信機』を買わないようにしてください。
最後に
傍受した通信を録音した音声や詳しい内容を他人に公開することは電波法によって禁止されています。
交信内容を公表する場合はフィクションを織り交ぜ、実際に存在しない交信にするようお願いいたします。
また、公共の場所で受信機を使う場合は必ずイヤホンを使って自分自身のみで聴取するようにお願いいたします。