【航空無線受信テク】2000フィート以下を飛ぶ防災ヘリ、訓練のセスナから3万フィートの国際線まで!誰でも聞いていい航空無線の基本解説!

なぜ航空無線は魅力的なんだろう?それは世界の空では絶え間なく航空機が飛んでいるから

高空を音もなく飛行機雲を流して飛んでいる国内線や国際線の旅客機、貨物機。そして低空では自衛隊や警察、防災、報道、各機関のヘリ、民間のセスナ、田植え時期には農薬散布のジェットレンジャーと、空の仲間は多彩です。

これらの航空機のどれもが必ず使うもの、それは無線です。さあ、目くるめく航空無線の世界へようこそ。

高高度を飛行する旅客機からの無線は広範囲で受信できる

高高度を飛行する旅客機からの無線は大変広範囲で受信できるため、空港が近くになくても気軽に受信が楽しめるのが魅力です。

約2000フィートで飛行していく民間や防災ヘリ、訓練のセスナは私たちと身近な一方、国と国を行き交う3万フィート上空の国際線の大型旅客機もまた魅力です。

通常、ヘリなどは空港の航空管制と交信をしつつ有視界飛行で飛びますが、その飛行中も、カンパニー周波数を使って運行会社の地上局と業務内容の確認、機材の状況や給油の手配など、さまざまな業務連絡を行います。

つまり、航空無線の周波数と一言で言っても、各空港管制、各航空会社に定められたさまざまな周波数があるわけです。さらに付近を飛行中の航空機がいる場合は航空機近接交信用の周波数でお互いがコンタクトをとることも。

これらアナログの航空無線はほぼ全て、市販の広帯域受信機で傍受が可能です。資格も免許も不要です。

このように、傍で無線交信を受信することを『傍受(ぼうじゅ)』と呼びます。もし、手元に広帯域受信機があったなら、どなたでもアナログの航空無線を傍受できます。どの受信機を買えばいいのか、以下のページで答えを書いています。

【航空無線受信テク】航空無線を受信するためにはまず広帯域受信機を購入しよう!

航空無線は誰でも聞いて良い?

しかし、このような受信機が市販されているとしても、本当にだれでも自由に航空無線を聴いていいのでしょうか。もちろんです。傍受することに何の問題もありません。どなたでも受信機があれば楽しめる趣味です。国土交通省航空局も公式サイト上にて「エアバンドを聞いてみよう」という題名で下記の様に解説しています。

『エアバンドを聞いてみよう』

管制官とパイロットは航空無線を使用して話をしていますが、その内容は「エアバンドレシーバー」という無線機を使えば誰でも聞くことができます。ただし、傍受した通信の内容を漏らしたり、窃用することは電波法で禁じられています。

出典 国土交通省ホーム>政策・仕事>航空>航空管制官 公式
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr14_000016.html

上記の国土交通省のホームページで、電波法という法律が出てきましたが、典拠元のとおり、交信の内容を漏らすこと及び窃用することは法律で禁じられています。これさえ守れば、個人の趣味の中で楽しむのであれば、問題がないものと解されています。

航空無線傍受の基礎知識

エアバンドには後述する民間用と軍用(自衛隊用)の二種類があります。

どちらも基本的にAMかつ英語での交信ですが、場合によっては日本語だったり、自衛隊の戦闘機の訓練でも日本語で交信する場合も多いでしょう。できる限り英語が望ましいとされていますが、日本語での交信も禁止されてはいません。

また、滑空場などの管制塔は飛行援助局と呼ばれており、自飛行場の所属機への指示のほか、付近を低空で飛行する民間のセスナや自衛隊、警察ヘリコプターなどに対して多くの場合、日本語でトラフィック情報のアドバイザリーを行います。こちらはカンパニー無線と同様、比較的日本語の交信が多いようです。

【航空無線受信テク】民間事業者などが運営する非公共用の小規模飛行場が設置した飛行援助用航空局の無線を受信する方法

民間機が使う周波数

一般に使われている航空無線の周波数は117.975~137MHzのVHFと呼ばれる帯域となっています。

この周波数の中には空港の管制塔から、空港情報の自動送信周波数、防災ヘリ、警察ヘリ、航空会社それぞれに割り当てられたカンパニーラジオまで、実にさまざまな種類の無線周波数が混在しており、この帯域がエアバンド受信の中でも基本となります。もし、はじめて広帯域受信機を買って使い方がまだ理解できなくても、この帯域をスキャンすれば、必ず何らかの交信が受信できます。

主用波と副用波の役割

通常、各空港の管制部署には主用波のほかに、副用波という周波数も割り当てられています。平時には主用波が使われますが、何らかのトラブルが発生したときには副用波も使用されます。

軍用機が使う周波数

一方、軍用機(自衛隊機含む)向けの周波数として、138MHz~141MHzのVHF帯ならびに、UHF帯である222~253.8、275~322MHzの周波数帯が設定されています。

これらのUHF帯域は自衛隊機が訓練や実戦のための交信で使用します。

【航空無線受信テク】自衛隊の非公開GCI周波数とは?

また、新千歳空港など自衛隊が民間機の管制を行っている場合があります。

航空保安管制群は、自衛隊機の管制だけでなく新千歳空港、三沢空港、茨城空港、名古屋空港、小松空港、米子空港に離着陸する民間航空機の管制業務及び北九州空港及び山口宇部空港にかかるターミナル・レーダー管制業務を実施しています。

出典元 防衛省 http://www.mod.go.jp/asdf/atcg/mission-atc.html

航空機のコールサインについて知ろう!

航空無線に限らず、無線では自分がどこのだれであるか相手にわかるように判別させるための名前が必要です。

この名前がすなわち、コールサイン。

簡単に言うと航空機のコールサインには機体登録番号がそのままコールサインになっているものと固有のコールサイン+数字という法則でつけられています。毎日飛んでいる定期便の旅客機の場合は航空会社名+数字と覚えておくとよいでしょう。

日本航空125便→ジャパンエア・ワンツーファイブ
全日空 503便→オールニッポン・ファイブゼロスリー

※便名が無い場合は航空会社名+機体登録番号です。

一方、個人所有のセスナやヘリ、それに警察や防災、消防ヘリなどは機体登録番号をコールサインとしています。

JA123→ジュリエットアルファ・ワンツースリー

航空機相互通信用周波数122.60MHzとは?

また、上空で航空機が相互間で航行の安全上必要な通信を行う場合の周波数に122.60MHzがあります。こちらはとくに災害が起きたり、事件事故が起きた場合にマスコミのヘリが多数飛来すると、前触れもなく開局されますから、受信機を購入したら周波数を登録してみてください。とくに災害発生時には役に立つ周波数です。

【2021年版】災害発生時に聴取する無線の周波数解説

日本の近隣諸国の管制機関

また、ユジノサハリンスクから千歳へDHC8旅客機がやってきたり、ウラジオストック – 東京(成田)などの航路もありますが、北海道では運が良ければロシア側の管制やロシアの空港管制塔と交信する旅客機側の電波も聞こえます。国内とさほど変わらず、位置報告などが主要な交信です。

最近では着陸料の高い新千歳空港をスルーして着陸料の安いサハリンに降り、給油を済ます航空会社が多いようです。

空港情報が常時送信されているATISとは

ATISとはAutomatic Terminal Information Serviceと言って、飛行場から自動で送信されている空港情報の放送です。

内容は送信元空港名、情報名、visibility視程、雲量、風速、気温といった気象状況、使用滑走路、それにデパーチャーの周波数です。これらの内容を録音したものが英語で空港の運営時間中、自動的に繰り返し送信されているわけです。

【航空無線受信テク】空港情報が常時送信されているATISを聞いて耳慣らしをすべし!

航空路管制は誰もが平等に受信できる親しみやすい航空無線

広帯域受信機を手に入れたら、まずは航空路管制を聞いてみましょう。地元に空港が無くったって大丈夫。

空を見上げれば、飛行機雲。頭の上を通過する航空機から地上の空港へ発射される航空路管制との交信は何の不自由もなく誰でも受信できます。

一見、無機質な航空路管制ですが、日本の空域を離れる外国便のパイロットが交信の最後に「サヨナーラ」とか「オヤスミナシャイ」と言ったり、時折垣間見える人間味には頬が緩みます。

航空路管制とは?

日本の航空路管制は計器飛行方式(IFR)で航空路を飛行中の航空機に対する航空交通管制です。実施しているのはACC, Area Control Center(札幌、東京、福岡及び那覇航空交通管制部)です。それぞれの管轄する管制空域内を飛行する航空機に航空路管制業務、進入管制業務等を実施する機関です。

セクターってなに?

前述したとおり、日本では札幌、東京、福岡及び那覇航空交通管制部がそれぞれ航空交通管制を行っています。その各航空交通管制部における各管制区です。このうち、航空交通管理センター (ATMC) は太平洋上空の洋上管制区を管轄しています。

ターミナル・レーダー管制を聞く

「ターミナル・レーダー管制」は航空機をレーダーで監視して飛行経路や高度などの指示を出す

さて、航空無線の航空管制と言っても複数の種類があります。

ガラス張りの管制塔で目視を中心として行う飛行場管制業務に対して、ターミナルレーダー管制業務では部屋に引きこもった管制官が、スクリーンの画面上を見ながら空港から離れた高度1万4,000フィート以下を飛ぶ航空機の管制を行います。

目視中心の飛行場管制から引き継ぐターミナルレーダー管制業務

航空機が着陸する際には「ターミナル・レーダー管制」から「飛行場管制」へ、逆に離陸の際は「飛行場管制」から「ターミナル・レーダー管制」に管制がリレーされます。

「ターミナル・レーダー管制」では、空港から出発・到着する航空機をレーダーで監視し、飛行経路や高度等の管制指示を発出しています。「飛行場管制」では、管制塔から目視等で航空機の位置を確認し、滑走路や離着陸の順番や時機等の管制指示を発出しています。着陸の場合は「ターミナル・レーダー管制」から「飛行場管制」へ、離陸の際は、これと逆に「飛行場管制」から「ターミナル・レーダー管制」へと管制業務が受け継がれていきます。

情報典拠元 国土交通省航空局公式サイト

http://www.mlit.go.jp/koku/haneda/column/control.html

航空管制はこのように各部署が担当を受け持っており、周波数を変えながら次々に引き継いで、航空機に指示を出していきます。もちろん航空機側も周波数の変更を行いながら交信します。ですから、広帯域受信機には複数の空港、複数の管制区の周波数をメモリーしましょう。

ターミナルレーダー管制業務を行うのは航空交通管制部

北海道及び東北の一部のターミナルレーダー管制業務を行う北海道札幌市に所在する札幌航空交通管制部は丘珠空港のすぐそばにありますが、管制塔はありません。

飛行場管制を聞く

パイロットや飛行場の職員などが航空無線機を扱うには航空特殊無線技士や航空無線通信士の資格が必要です。航空無線機はアマチュア無線メーカーからも多数発売されています。

映画でも管制官と言えば管制塔の飛行場管制。

飛行場管制とは空港や飛行場から離陸し,または飛行場に着陸する航空機,空港周辺を飛行する航空機に対してタワー(管制塔)から目視によって指示を与える管制です。

そのほか空港内の走行区域内における人や空港内作業車両に対する管制も担当しています。

管制塔にもレーダー装置がありますが、基本的にはタワーの管制官の目視および、ターミナル・レーダー管制を行うレーダールームにいる管制官と綿密に連絡を取り合いながら業務を行っています。

飛行場管制における管制の種類

 飛行場管制(aerodrome control) と一言で言っても、計器飛行で飛行する航空機に対してその承認を与えるクリアランス(略号:CLR)や、誘導路やエプロン上の航空機に対する指示を出すグランド(略号:GND)などがあります。