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航空無線のウェイポイントとは?

広帯域受信機
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ウェイポイントは、航空機が航法に使うために設定された地理的な位置(座標)に付けられた識別点で、
空に道路がない代わりに「仮想的な目印」として使われます。

詳しく見ていきましょう。

航空無線の専門用語「ウェイポイント」とは?

簡単に言えば、ウェイポイントとは各国の航空当局が定めた、航空機のナビゲーション用の「位置通報点(目印)」のことです。

空の上には道路のような目印がありません。そのため、特定の座標に名前をつけ、飛行機が「今どこを飛んでいるか」を確認するための指標として利用しています。

ウェイポイントは特に、計器飛行方式(IFR)で航空路や進入経路を構成するために使われます。

このウェイポイントには、いくつか知っておきたい特徴があります。

参考資料:日本における広域航法 (RNAV) について

  • アルファベット5文字のルール:世界共通のルールとして、RNAV用のフィックス(いわゆる一般的なウェイポイント)名はすべて5文字のアルファベットで構成されています。
  • 主に「計器飛行(IFR)」で使用:レーダーや計器を頼りに飛行する機体が、このウェイポイントを点と線で結んだ「航空路」を辿って目的地へ向かいます。ただし、VFR(有視界飛行)でも補助的に使われます。
  • 現在の運用:かつてはポイントを通過するたびに無線で現在地を報告していましたが、現在はレーダー技術の発達により、指定された特定の地点(強制通報点)以外では、通過のたびに報告を行う必要はなくなっています(レーダー管制空域 → 原則として逐一通報不要)。

そして、日本全国の空に点在する、このウェイポイントですが、実はそのネーミングが非常にユニークなことでも知られています。

5文字という制約の中で、地名をもじったものから地域の特産品、さらには遊び心あふれる面白い名前まで、バラエティに富んでいます。

各地のウェイポイントをご紹介

それでは、航空無線を聞くのが楽しくなるような、一風変わったウェイポイントの名前をいくつかご紹介していきましょう。

北海道のウェイポイント:遊び心あふれるネーミング

北海道のウェイポイントは、地元の特産品やお土産にちなんだネーミングが非常に多いのが特徴です。

まずは新千歳空港の周辺や、道央エリアを見てみましょう。

  • KURIS(クリス): 岩見沢市栗沢町の上空にあり、「栗沢」をもじっています。
  • BEEBA(ビーバ): 月形町付近にあり、隣接する美唄市から名付けられました。ここまでは比較的オーソドックスですね。
  • SUIKA(スイカ): スイカの名産地として有名な月形町の上空には、そのものズバリの名前がついています。
  • OSOBA(オソバ): 蕎麦の作付面積日本一で知られる幌加内町付近にあります。もはや「グルメシリーズ」の様相を呈してきました。

道北や道東、道南エリアも負けてはいません。

  • KONBU(コンブ): 利尻島の北にあり、名産の利尻昆布にちなんでいます。
  • IKURA(イクラ): 稚内の東側にあります。北海道らしい海鮮のネーミングです。
  • HOKKI(ホッキ): むかわ町沖にあり、名産のホッキ貝を指しています。
  • RAKNO(ラクノウ)BOKSO(ボクソウ): 十勝・帯広付近にあり、酪農地帯の風景を象徴する名前です。

そして、最も有名なのが新千歳空港の南側にある、通称「白い恋人」シリーズです。

  • WHITE(ホワイト)とLOVER(ラバー): 二つ並ぶと、北海道を代表する銘菓「白い恋人」になります。
  • ISIYA(イシヤ): さらに驚くべきことに、そのすぐそばにはメーカーである「石屋製菓」を連想させるポイントまで存在します。これは偶然ではなく、意図的なネーミングであることは間違いありません。

その他にも、放送局やエンターテインメントにちなんだものもあります。

  • NACKS(ナックス): 長沼町付近にあり、演劇ユニット「TEAM NACS」や、彼らを一躍有名にした番組『水曜どうでしょう』を彷彿とさせます。
  • 過去には期間限定で、番組出演者の名前を冠したポイントが登場したこともありました。

航空局のネーミングセンスには、思わず顔がほころんでしまうような自由さがありますね。次に登場するのは、カーリングで有名になった「SODNE(そだねー)」や、地元の情報番組に関連したAKSHI とか KIMUR とか SACIK とかでしょうか。

東北編

次は、東北エリアを見てみましょう。ここでもユニークな名前が次々と見つかります。

まずは青森県です。

  • MAGRO(マグロ): 大間の沖合にあります。大間のマグロですね。
  • NEBTA(ネブタ): 青森名物「ねぶた祭り」にちなんだ名前です。

続いて秋田県ですが、こちらは名産品を組み合わせる「高度なテクニック」が光ります。

  • KILLY(キリー)とTAMPO(タンポ): にかほ市の沖合と由利本荘市にそれぞれ配置されています。二つを合わせると、秋田名物「きりたんぽ」の完成です。
  • GAKKO(ガッコ): 秋田の食卓に欠かせない「いぶりがっこ」から名付けられています。
  • WAPPA(ワッパ): 伝統工芸品の「曲げわっぱ」までウェイポイントになっています。
  • BIJIN(ビジン): そして秋田といえば「秋田美人」。直球すぎるネーミングに、思わず笑みがこぼれます。

こうした名前を見ていると、国土交通省航空局の方々も、地域の特徴をいかに5文字に詰め込むかを楽しんでいるように感じられますね。

現在はまだありませんが、秋田ゆかりの漫画『釣りキチ三平』にちなんだ「SAMPE(三平)」や「GYOSN(魚紳さん)」といった名前が将来登場したら……その時は、関係者の皆さんの「遊び心」を温かく見守ることにしましょう。

関東・甲信越編

関東・甲信越エリアを見ていきましょう。この地域も、誰もが知るスポットや文化にちなんだ名前が揃っています。

まずは東京都と千葉県です。

  • DREAM(ドリーム): 江東区の夢の島公園付近にあります。「夢の島」にふさわしい、とてもおしゃれなネーミングですね。
  • MICKY(ミッキー): 木更津の沖合にあります。浦安市にある東京ディズニーランドを連想させる、非常に分かりやすい名前です。
  • DAMBO(ダンボ): 千葉の沖合にあり、こちらもディズニーに関連したキャラクターを彷彿とさせます。

続いて甲信越・静岡エリアです。

  • SUZKI(スズキ): 南伊豆町の沖合にあります。魚の名前か、あるいは浜松市に本社を置く自動車メーカーに関連しているのか、想像が膨らみますね。
    • 余談ですが、警察車両としても馴染み深い「KIZSHI(キザシ)」という名前までは、さすがに存在しないようです。
  • MARKO(マルコ): 静岡市駿河区付近にあります。静岡は国民的人気アニメ『ちびまる子ちゃん』の舞台であり、作者のさくらももこさんの故郷でもあります。
    • 劇中でアマチュア無線技士の国家資格を持っているまる子や、親友のたまちゃんも驚くような、地元愛にあふれた選定です。


関西・西日本編

西日本エリアへ目を向けると、方言や特産品、さらには国民的キャラクターに関連したユニークな名前が次々と登場します。

まずは大阪と和歌山です。

  • MAIDO(マイド): 大阪府高槻市付近にあります。大阪らしい「まいど!」という挨拶から名付けられた、親しみやすい方言シリーズですね。
  • MIKAN(ミカン): 和歌山市付近にあります。和歌山名産のミカンをそのまま冠した、非常にストレートで分かりやすいネーミングです。

続いて九州と四国エリアです。

  • KABOS(カボス): 大分県姫島の東方沖合にあります。大分名産のかぼすにちなんでおり、特産品シリーズがここでも健在です。
  • KATUO(カツオ): 高知県の沖合にあります。高知といえばカツオの叩き。地域の顔とも言える魚が空の目印になっています。

そして、高知県付近には非常に個性的で、少し「カオス」とも言える一連のウェイポイントが存在します。

地図上のwaypoint “dokin(ドキン)” まさか、ドキンちゃん……?

画像引用元 http://opennav.com/waypoint/JP/DOKIN

  • ANPAN(アンパン)
  • BATAK(バタコ)
  • CHEEZ(チーズ)
  • JYAMU(ジャム)
  • BIRKN(バイキン)
  • PANCH(パンチ)

これらは、高知県出身の漫画家、やなせたかし先生の代表作『アンパンマン』のキャラクターたちにちなんで名付けられました。作品ゆかりの地ならではの遊び心が詰まった、非常に熱いネーミングです。

このように、ウェイポイントの名前を辿っていくと、その土地の文化や名産、そして郷土の偉人への敬意が伝わってきます。航空無線の世界は、知れば知るほど奥が深く、楽しい発見に満ちていますね。

九州・沖縄・四国編

九州のウェイポイント:歴史の英雄から「ビール街道」まで

九州エリアも、歴史的な背景や豊かな食文化が反映された、非常にユニークな名前が揃っています。

まずは鹿児島県周辺です。

  • RYOMA(リョウマ): 徳島県海陽町の沖合にあります。高知出身の幕末の英雄、坂本龍馬にちなんでおり、彼がゆかりの深い鹿児島へと向かう航路を連想させます。
  • OIDON(オイドン): 鹿児島県さつま町付近にあります。鹿児島弁の代名詞とも言える一人称「おいどん」から名付けられた、親しみやすい方言シリーズです。
  • TEPPO(テッポー): 種子島の沖合にあります。歴史の教科書でもおなじみの「鉄砲伝来の地」にふさわしい、歴史を感じさせるネーミングです。

続いて福岡県周辺です。ここでも食文化や方言が炸裂しています。

  • YOKAT(ヨカト): うきは市付近にあります。九州の方言「よかと(良い)」から取られた、明るい響きの名前です。
  • UMAKA(ウマカ): 久留米市付近にあります。博多弁の「うまか(美味しい)」ですね。久留米という地名や、福岡が舞台の料理漫画『クッキングパパ』を連想させるような、遊び心のある選定です。

そして、福岡の空には通称「ビール街道」と呼ばれる、驚きのラインナップが存在します。

  • KIRIN(キリン)
  • LAGER(ラガー)
  • MALTS(モルツ)
  • HOPPS(ホップ)

これらのお酒にまつわる名前が並んでいるのを見ると、福岡の空の上で思わず乾杯したくなってしまいますね。

まとめ

このように、ウェイポイントの名前を追いかけるだけで、日本各地の歴史や文化を旅しているような気分になれます。これほどユニークな名称を、航空局の担当者の方々が真面目な顔をして検討している姿を想像すると、微妙な気持ちになりますね。

しかし、これらはすべて世界に公開されている公式な名称です。一見、遊び心で付けられたように見える名前も、実は安全運航を支えるための工夫が隠されているのではないかと推測できます。

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たとえば、特定のシリーズ(プロ野球チームやキャラクターなど)で名前が繋がっていれば、管制官やパイロットは「飛行機が今、どのルートを順番に辿っているか」を直感的に把握しやすくなります。また、地元の名産品を名前に使うことで、その地点がどの地域の上空なのかを頭の中でイメージしやすくする効果もあるのではないでしょうか。

実は航空の世界って“直感”が利用されてることがあります。例えばコックピットのタイヤを下ろす(ギアダウン)レバーの先は、タイヤの形になっています。フラップレバーも同じく、羽のような形になっています。

こうしたウェイポイントの知識を持っておくと、航空無線の受信はさらに楽しくなります。

  • 飛行機が今どこを飛び、どこを経由しようとしているのか、頭の中でルートが鮮明に見えてきます。
  • フライトレーダー24」のようなアプリと組み合わせれば、リアルタイムで飛行ルートを視覚的にチェックすることも可能です。
Flightradar24を航空無線受信で便利に使う
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このように、全国津々浦々のウェイポイントには、その土地の個性が5文字に凝縮されています。普段は何気なく聞き流してしまうような無線のやり取りも、名前の由来を知るだけでぐっと身近に感じられますね。

ほんまかいな?

参考文献 全日空公式ページ

ANA.Japan – 【Captain’sトリビア】 今回は、「航空路」と「ウェイポイント」についてのお話しです。 地上から見上げると、飛行機は大空を自由に気持ちよさそうに飛び回っているように見えますが、実は 空にも「航空路」という道があります。 航空路には、分岐点や空域の境界をまたぐ場所などに、「ウェイポイント」という地点が設けられています。このウェイポイントにはアルファベット5文字で名前がつけられていて、三浦半島城ヶ島の上空には「JYOGA」、志摩半島の上空には「SHIMA」などその地域にちなんだ名前もあれば、中には、ご当地モノとも言えるなかなかユニークな地点名もあります。 例えば、北海道ではBOKSO(牧草)、RAKNO(酪農)、大阪ではHONMA、KAINA(ほんまかいな)、九州ではITIKO(いいちこ)、沖縄ではSARTA(サーター)、などなど。 また中国に向かう途中、GOMAR(ごま)、AZUKI(あずき)、POTET(ポテト)、ONIKU(お肉)、NIRAT(ニラ)、LAMEN(ラーメン)と食べ物の名前が立て続けに出てくる航空路なんかもあります。 旅客機は管制官の指示に従いながら飛んでいるので、管制官から「ラーメンに直行しなさい」なんていう指示が来たりすることもあります☆ | Facebook
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