アルインコさんがデジタル警察無線を解読する受信機を発売しない理由を回答してくれました

日本のメーカーの技術力は高いで。

せやけど、デジタル警察無線を解読する受信機をどこのメーカーも発売せえへんのはなぜななんやろか。

理由はいくつかあるけど、ざっくり言うと 「法律違反」「倫理問題」「メーカーのリスク」 の3つが大きな要因やな。

2003年、デジタル警察無線『APR』の配備が全国で開始され、警察無線のセキュリティ技術は旧型の『MPR』から飛躍的にアップ。

【警察無線】デジタル無線 MPR、APR、IPR、その変遷の歴史

 

さらに翌年には『暗号化された通信の解読を禁止するため』として、電波法の改正を行い、新たに『法の壁』をも建てられたんや。

つまり暗号通信たる現行のデジタル警察無線の内容を解読(復元)することは違法とされたってことやな。

ただし、それには前提となる条件があるんや。以下に電波法を引用。

電波法第109条の2

第百九条の二  暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2  無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3  前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないようにするための措置が行われた無線通信をいう。
4  第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。
5  第一項、第二項及び前項の罪は、刑法第四条の二 の例に従う。

出典 https://dsk.or.jp/dskwiki/index.php?%E9%9B%BB%E6%B3%A2%E6%B3%95%E7%AC%AC109%E6%9D%A1%E3%81%AE2

以上の電波法第109条の2によれば、警察無線にかぎらず、暗号化された通信を傍受した者や媒介する者が、通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を何らかの方法で復号(デコード)すること自体および未遂は違法であると明記されとるで。

しかし、電波法の文面を額面どおりに受け取れば『通信の秘密を漏らしたり窃用する目的でなければ解読しても問題ないのでは?』とも解釈できるな。

とはいえ『もっぱら個人的な無線技術の興味に基づいて解読しただけで他言するつもりはありません』なんて主張しても、それを違法か判断するのは当然取り締まり当局や裁判所や。

少なくとも、限りなくクロに近いグレーな行為。グレーもクロにできる立場にある彼ら取り締まり当局やしな。

いずれにせよ、我が国では警察無線を聞きたくても、PCや解析プログラムなどを使って復元を試みようとした時点で不法行為となる可能性が高いで!

解読行為の違法性については大手無線機メーカーのアルインコ社も以下のように注意を喚起しとるんや。

引用文献 https://www.alinco.co.jp/faq/contents_type=322#F20171115001

今のアナログのような感覚で受信できるレシーバーはありません。警察や消防のような無線は、製造に必要な部品の入手、秘話コードや運用形態が高いセキュリティレベルで守られており、仮に受信機だけを手に入れたとしても、通信を聞くことはできません。また、デジタル秘話化された無線通信をデコードすることは電波法に違反し罰則がありますから、そのような装置をまともなメーカーが一般向けとして製造販売することもあり得ません。

引用文献 アルインコ株式会社公式サイトhttps://www.alinco.co.jp/faq/contents_type=322#F20171115001

当然『まともなメーカー』のアルインコなど大手国内無線機器メーカーは一般ユーザー向けに警察無線や消防無線(指令波)を解読できるような受信機を今後も一切販売しないっちゅうことやな。まったくもって残念やな!?

アルインコの説明書とかサイトの概要説明って、なんかどことなく 人間くさい 感じがするよな。他のメーカーと比べても、妙に親しみやすいっちゅうか、ええ意味で 職人のこだわり みたいなんを感じるわ。

つまり、こういうことやな。

1. 法律違反やから

日本の警察無線は高度な暗号化が施されたシステムを使うてる。
これを解読するような受信機をメーカーが出したら即アウトや。

せやから、「まともなメーカー」は 絶対にデジタル警察無線を復調および復号できる機種を販売せえへん のや。
これを技術的に作れるのは、かつての旧型デジタル警察無線を破った自作マニア しかおらんやろうね。

2. 倫理的にアウトやから

警察無線は、犯罪捜査や緊急対応 に使われとるもんや。
これを誰でも聞けるようになったら、犯人に捜査情報が筒抜けになる可能性もある。
例えば、警察が突入作戦の指示を無線でやっとる時に、犯人がそれを聞いとったらどうなる?
完全に警察側の不利になるし、最悪の場合、命に関わる問題にもなりかねへん。

メーカー側も、そんなリスクのある受信機を作ったら 社会的に大問題になる し、企業としての信用が地に落ちる。
せやから、まともなメーカーは絶対に手を出さへんのや。

3. メーカーにとってリスクしかないから

仮に「解読できる受信機」を出したとしても、即座に法的措置を取られて販売停止になるのは目に見えとる。
さらに、メーカー自体も捜査対象になる可能性が高い。
過去には、「暗号化されてへん警察無線を受信できる機器」が出回ったこともあるけど、最終的にはすぐに規制されてもうた。

現状、デジタル警察無線は AES-256 みたいな強力な暗号技術を使っとるから、仮に違法な機器を作ったとしても、解読はほぼ不可能や。

それに、警察側も対策として リアルタイムで暗号鍵を変更する技術 を使っとると思われるから、昔みたいに「特殊なソフトでちょっと解析したら聞ける」なんてことはないんや。

もっとも、技術の進歩はいたちごっこやし、言い切るのもあかんと思うけどな。


結論:まともなメーカーが作るメリットはゼロ

さて、デジタル警察無線を解読する受信機を まともなメーカーが絶対に発売せえへん理由、わかってもらえたやろか?

まともな無線機メーカーに言わせたら、そんなん 『違法』の一言で終わりや! っちゅう話や。

「デジタル警察無線を受信できる機器」を作ったところで、

  • 違法で即販売停止
  • メーカー自身が違法や言うとる
  • メーカーの信用が地に落ちる
  • 技術的にもすぐ対策される
  • 社会的にも大問題になる

こんなデメリットしかないから、まともなメーカーは手を出さへんのや。
むしろ、そんな危ない橋を渡るより、普通に合法な「航空無線」受信機を作る方が、企業として安定するんやろな。

せやから、「デジタル警察無線を解読できる受信機」を探しとるなら、まともなメーカーからは一生出てこんし、仮に中国あたりのまともじゃないメーカーが出したとしても、使った時点でアウト ってことを覚えといた方がええで。

誤解のないように追記しとくで。

消防無線を例に出すけども、アルインコは 消防機関向けに消防デジタル受令機をちゃんと製造販売しとる。決して 「技術がない」 っちゅうわけやないんやで。

せやけど、当然ながらその販売先は消防機関のみ!個人の消防団員含め、一般人には一切売らへん!問い合わせすら受け付けへんっちゅうことを しっかり明記しとる

別にアルインコだけが特別に厳しいんやなくて、これは 総務省消防庁の指導による厳しい流通管理 の一環や。

ところが2016年、あろうことか……

何者かが アルインコ製の携帯式デジタル消防受令機「DJ-XF7」ヤフオクに出品する っちゅう事件が起こったんや!😨

アルインコが「一般人には売らへんで!」と言ってるものがどこから出てきたのか経緯は知らんけど、警察用無線機や受令機では考えられへん失態 やな。

そもそも、消防デジタル無線の仕組みは……

デジタル警察無線と同等に暗号化のレベルが高いっちゅうのが通説や。

つまり、仮に無線機や受信機を 不正な方法で入手 したとしても……
🔹 コードが毎回合わんかったら復号不可!
🔹 盗難が判明したら、狙い撃ちで自己破壊コードを送られる!

せやから、盗難品や横流し品を手に入れたとしても、そのまま受信できるほどセキュリティは甘くない!

しかも”ビックリ箱”仕様の可能性

おそらく、警察無線機と同じく、消防無線機や受令機も 不正に開けたらプログラム破壊 される仕様やろうな。まさに「開けたら最後!」の ビックリ箱 や。

そしてAOR社も……

AOR社も、もはや 「受信マニア相手」 に商売するより、総務省消防庁との契約 を選び、全国の消防機関との共存を決めてもうたんや。

つまり、AOR社も国の流通管理の指導を受け入れた ちゅうことや。
その代わりに デジタル消防無線受信機を一般向けに販売することは未来永劫なし!

ああ、悲しき未来……
80年代のラジオライフの広告で、「受信マニアの心を煽り文句で揺さぶったメーカー」も、今ではこの変わりようや。

ほんま、時代は変わったもんやで……😞

余談やけどな、日本のメーカーである「ユニデン」は日本国内向けに受信機を販売してないけども、米国向けに高性能のデジタル受信機を輸出しており、米国の報道関係者の間では警察無線の受信に多数使用されとるで。

この受信機を使用して警察無線を傍受、現場まで急行するストリンガーが主人公のリアリティ風ドラマがこちら。

ほな 「どうしても警察無線を聞きたい!」 言う人はどうしたらええんや?
まあ、一番手っ取り早いんは 『警察24時』 でも視聴することやな。

それか、実際に 警視庁自ら公開した交信記録 を聴くのもアリやで。
たとえば、『地下鉄サリン事件』のときの警視庁の通信指令センターと外勤の交信記録 は、マスコミ向けに公開されとるから、それを聴取すれば リアルな警察無線の雰囲気 はつかめるはずや。

まあ、違法な方法に手を出すより、そっちの方が 安全で合法的 ってことやな!