業務無線局の運用には無線従事者の国家資格が必要。それらが陸上特殊無線技士や陸上無線技術士といった資格なんや。
全部で19あるプロ資格は以下の記事で解説中やで。
陸上特殊無線技士は第一級から第三級、それにレーダー級があり、通信系企業、そして昨今ではドローンビジネス業界にとって必要不可欠の国家資格。
さて、その難易度なんやが、陸上特殊無線技士は第三級および第二級については数ある無線従事者の国家資格の中でも、取得の難易度は最低ラインや!
航空特殊無線技士では電気通信術という受話と送話の実技試験があり、試験官への礼儀の欠けまでが採点対象となるが、二陸特、三陸特ではCBT(Computer Based Testing)方式による多肢選択問題のみ。小学生レベルの筆者でも二陸特を一発合格したで!
もちろん、これは二陸特、三陸特のお話や。
数ある通信系企業の就職や転職の武器となりうるのは特殊無線技士の中でも別格の『一陸特』。
その難易度は二陸特、三陸特の比ではないで。
基地局保守管理会社(手取り11万円)の入社試験では『ペーパー一陸特』除けのため、ガッツリ嫌がらせのような数学問題も出してくるとのことで、これには苦笑いやで!
それはともかく、警察さんに関して言えば、基本的には二陸特が必要なんや。
それはなぜなんや?
警察官は警察学校入校中に第二級陸上特殊無線技士の資格を取得する
警察には「無線」がつきものや。パトカーや白バイ、交番、機動隊、SATなど、あらゆる現場で通信が命を握る。
とはいえ、警察無線は、警察官なら誰でも自由に使えるわけちゃう。無線を扱うには免許が必要な場合があるんや。
そこで出てくるのが 『第二級陸上特殊無線技士』(二陸特) という資格。
特に基地局を操作する場合は「二陸特」以上の資格が求められることがあるで。
一級を除くアマチュア無線技士同様、特殊無線技士の国家資格取得にも『養成課程講習会』と『国家試験(国試)』の二種のコースがあるで。
養成課程講習会では数時間の講習と修了試験の合格で取得でき、国家試験に比べて難易度は低めなんや。
警視庁の『警視庁警察官採用時教養実施要綱』によれば、警察学校の初任科生が取得を目指すのは二陸特となっとるで。
警察学校の初任科入校中、授業の中で養成課程講習および課程修了試験を受け、二陸特を取得する流れが一般的や。
柔道、剣道又は合気道及び逮捕術の段位又は級位、けん銃操法初級、救急法初級、情報処理能力検定初級並びに第二級陸上特殊無線技士の資格の取得を目標とする。
出典 警視庁警察官採用時教養実施要綱の全部改正について 通達甲(警.教.教 1)第 6 号 平成 24 年3月30日
なぜ警察官は三陸特ではなく、二陸特でなければならないのか
このように、二陸特を取得しない限りは警察官としての業務に就くことはできないんやが、なぜ警察官は二陸特なんやろうか。
実はこれには明確な答えがあったで。
二陸特の試験勉強をした人には説明不要やが、その理由は警察官が業務で扱う「速度測定装置」つまり、マイクロ波を使用した交通取り締まり用レーダーにあるで。
下位資格である三陸特ではレーダーの技術操作が行えないんや。
アナログ警察無線だった30年以上前では警察官の多くが『特殊無線技士(無線電話乙)』を取得しとったが、この資格では交通取り締まり用レーダーの操作が不可。
そのため、レーダーの操作には『特殊無線技士レーダー』という区分の資格が必要だったが、当時この資格をもつ警察官は全体の10パーセントにも満たなかったんやで。
そして平成元年(1989年)、新たに制定されたのが『陸上特殊無線技士』という資格。従前の資格で操作が可能だったレーダーは第二級陸上特殊無線技士から操作できるようになったんや。
警察官が二陸特の資格を必要とする理由は単に無線機の操作だけでなく、速度取り締まりでレーダー式速度測定装置を扱うためというわけや。
資格取得後は警察学校で通信訓練も行われ、訓練と業務連絡を兼ねて警察本部とも定期的に交信。
別項で解説の通り、無線交信では通話コードを適切に使用し、情報の秘匿に努めとるで。
無線の運用中は無線従事者免許証を必ず携帯
なお、アマチュア局を含め、無線従事者がその業務中に無線機の操作を行う場合は無線従事者免許証を必ず携帯する必要があるのは、皆さんご存知の通り。
当然、取り締まり中の警察官も例外ではなく、レーダー測定装置を扱う以上は必ず二陸特の従事者免許証の携帯が前提。
ただ、従事者免許証を持たぬままレーダーによる速度取締りを行なった結果、証拠の効力が認められずにその取り締り自体が無効になるか否かは、判例などが見つからず不明や。
余談ですが、野外で移動運用中のアマチュア無線家に職務質問する警察官は『本職も無線従事者免許証を携帯云々』と頼みもしないのに二陸特の従事者免許証を見せてくることもあるそうやで。
まとめ
このように、警察官にとって二陸特は無線とレーダーの操作を行うために必要な国家資格であり、警察実務のかなめやで。
なお、警察官が二陸特資格者であるのに対して、取得難易度がはるかに高い第一級陸上無線技術士(一陸技)を持っているのが、警察部内の情報通信を担うネットワーク構築に従事する警察庁情報通信局の技官たちや。
技官は総合職試験(技術系)採用のほか、一般職試験(技術系)プロフェッショナル候補情報通信職員という区分で、無線の国家資格の中でも上位である一陸技の取得者を採用しているで!