ミームいろいろ夢の旅 第73話(1984年)で詳しいアマチュア無線の描写あり

さて、「アマチュア無線の出るマンガやアニメ」を以前の記事でご紹介しましたが、実は『ちびまる子ちゃん』と同等か、それ以上に詳しくアマチュア無線を描いていた衝撃的なテレビアニメが、もうひとつあります。

それが1983年から85年にかけてTBS系で放映された科学教養テレビアニメ「ミームいろいろ夢の旅」の第73話『宇宙からのメッセージ!?』です。

本作は『福島第一原子力発電所』を名指しで紹介し、その構造と原発事故の恐ろしさを作中で詳細に紹介するなど、近年ネットで『恐ろしい予言アニメ』として話題にもなった作品です。放映回数も全127話と、当時なかなかの人気作だったようです。

なお「ミームいろいろ夢の旅」は、いわゆる1期、2期編制となっており、第1話から第50話までの『大谷兄妹編』が1期、そして第51話から第127話までの『科学探偵団編』が2期です。少し地味だった1期のストーリー性およびキャラクターを見直し、51話から127話まではポップでカラフルな色調と冒険活劇の度合いを前面に押し出しています。

当時、現在のインターネット回線の前身となるINSネット(国際規格のISDNに準じた公衆交換電話網)を社会に普及させたい戦略的目標があった電電公社(現・NTT)の一社提供となっており、1期では大谷大助・さやかの兄妹が、INSの発達した近未来の世界を電子の妖精ミームと共にコンピューターでシミュレーションする姿が描かれます。

第2シーズンのキャラクターたち全員集合。第1シーズンも面白かったけれど、さらにコメディタッチになり、冒険ゴッコの魅力がアップ。彼らは「科学探偵団」として、普段は地元のさくら町を中心に科学的疑問を調査、解決していきます。ピンクのスカートの少女と、メガネの少年がアマチュア無線の資格者です。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話 (C)日本アニメーション/TBS

そして、2期の『科学探偵団編』では、ついに”未来の技術”であったINS通信網のモニター地区に選ばれた「桜町」に住む人々の暮らしが描かれます。通信端末のパソコンを使い、自宅にいながらのネットバンキングや電子商取引、在宅勤務(テレワーク)、在宅学習、テレビ電話、オンラインゲームなど、現在では当たり前になった最先端の情報化社会が1985年のアニメの中で、惜しみなく描かれています。

未来社会のIT技術を暮らしに取り入れ、豊かな生活を送るさくら町の人々ですが、次第にパソコンをパパやママが占有してしまい、子どもたちは使えなくなってしまいます。そこで彼らは自分たち専用のパソコンを作るのですが、そこに現れたのは・・・・・・。

なお「ミームいろいろ夢の旅」の第73話のご紹介ではネタバレがありますので、ご了承願います。また、画像は批評のため、出典を明記したうえで「ミームいろいろ夢の旅」から著作権法上の引用をさせていただきました。ご了承をお願いいたします。

「CQCQ、こちらはJS1MEN・・・・・・どなたか応答願います」

1エリアのどこか。サトルをはじめとする「桜町科学探偵団」のメンバーは空きビルの理解あるオーナーに「テナントが入るまで」という期間限定で許可を得て、地下にある元ゲームセンター跡を秘密基地(たまり場)にしています。彼らは普段、博士くんが作った自作パソコンの「レインボー」や、ロボットのピコなどを科学調査に使用するなど、メカに明るい子どもたちです。

なお、彼ら科学探偵団のオンライン上のハンドルネームはMEME401(めめ・よんまるいち)を使っています。MIU404みたいです・・・・・・。“MEME”は当然、”ミーム”。401はHTTPステータスコードの『アクセス権限がない場合やログイン認証に失敗した際のエラー』を表すものですが、それが由来でしょうか?しかし、このアニメは1980年代の作品。MEME401の名称の由来、詳しくは不明です。

さて、科学探偵団メンバーである薬師寺ひろ子くん、さらに博士くんの2人、実はアマチュア無線技士の国家資格を取得している無線従事者です。

薬師寺ひろ子くん(JS1MEN)はアンテナと無線機の調整を兼ねて、友達たちにアマチュア無線の見事なオペレートを実演してくれます。武くんはハムと聞いて、お肉のハムを想像する安定のギャグ要員です。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話 (C)日本アニメーション/TBS

薬師寺ひろ子くん(JS1MEN)と博士くんらは今日、日本の上空を2日にわたって通過するスペースシャトルから、日本のハムに向けて送信されるメッセージを受信しようと、ビルの屋上に上りアンテナを調整しているところです。おそらく宇宙飛行士が余暇に行なう無線運用なのでしょう。

「CQCQ、こちらはJS1MEN。どなたか応答願います」

HF用の八木アンテナ調整を終え、セットアップされた無線機の前にみんなが集まり、サトルくんたちはどきどき。薬師寺ひろ子くんの明瞭なCQとコールサインが響きます。正真正銘のYLですからパイルアップを予感させます。ほどなくして、東京からずっと南のほうから応答が。それは沖縄の青い海に浮かんだ小船の少年からでした。これには同じく従事者のちびまる子ちゃんや永山くんもびっくりですな……(たまちゃんもだぞ)。

通信士さん、やったな新記録だ!画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話 (C)日本アニメーション/TBS

彼女らの使う周波数帯域(バンド)はHF帯の14MHz(20mバンド)です。電離層の利用で世界中と交信が出来るHF帯。その中でも14MHzは抜群の安定性を持ち、DXペディションでもメインストリートとして多用されますから、4アマ、3アマなどの初級ハムならば、誰しもが憧れを持っているバンドです。

電離層を利用すれば遠距離交信(DX)が可能!アマチュア無線と電離層

そう、電波法によって14MHzは第4級および第3級アマチュア無線技士の資格では無線設備の操作を行えません。ということは、ひろ子くんならびにその交信相手は”上級ハム”である2アマもしくは1アマになるでしょうか。

彼女のオペレートは手馴れたものです。沖縄に続き、今度は北海道帯広市のハムが応答します。さすが北海道から沖縄、地球の裏側までを地でいく20mバンドの真髄を発揮。

搾りたての牛乳を味わいながらトランシーバーでひろ子っちと交信する少年ハムのシャツに”JA-8″の文字が・・・・・・。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

ここで思わず唸る演出が。少年ハムのシャツに”JA-8″の文字があるのです。言うまでもなく”8″は北海道管内を意味するエリアナンバー。佐呂間町の文章ヘタクソな自称・貸し倉庫業者のハゲも昔は彼のように純朴だったんでしょうね。誰だよ。

アマチュア無線の運用に必要不可欠なコールサイン「呼出符号」とは?

余談ですが、札幌にかつて存在した有名なハドソンというゲーム会社(コナミに買収され消滅)は元々、小さなハムショップ「CQハドソン」でしたが、そのマスコットキャラクターはこのJA8にちなみ、”JAハチスケ”としておなじみでした。

そのHAM(ハム)の名称の由来も、彼ら子どもたちのメンターであるミームが丁寧に教えてくれます。ミームの説明によれば、amatureの最初の2文字をとってAMとしたものを、それでは呼びにくいからHをつけて『HAM』とした、としています。ただ、HAMの由来については諸説あり、どれが正しいとは言えません。

アマビエではありません。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

おっと、紹介が遅れました。彼ら科学探偵団の少年少女たちを優しく、ときに厳しくご指導ご鞭撻キツいやつ一発授けてくれるのはパソコンの中に住む妖精、ミーム。彼女こそが本作の本当の主人公です。Xファイルで言うところの機械の中のゴーストですか?妖精です。電波りようこみたいな。

画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

ミームはアマチュア無線の成り立ちからプロの業務とアマチュア業務との違い、電離層のこと、アマチュア無線が災害時に役立つ通信であること、そしてアマチュア無線を扱うには資格が必要であることなど、大切なことを子どもたちに教えてくれます。

非常通信とアマチュア無線

とくに、災害時におけるアマチュア無線の存在意義と役割をていねいに解説してくれるアニメは本作だけでしょう。

『オーエスオー、オーエスオー、秋田沖に津波発生・・』ただ、無線電話では『ヒゼウ(ヒジョウ/非常)』の3回前置きで『OSO』は電信では?画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

災害の事例で描かれる巨大地震と秋田沖の津波。これは1983年5月26日に発生したM7.7の日本海中部地震を想起させます。この地震による建物倒壊では死者4人、津波では秋田、青森、北海道で計100人が犠牲となるなど、このアニメの放映回の直近ではもっとも甚大な被害が出た国内の大地震です。100人の死者のうち、釣り人が18名だったことから、この日本海中部地震を釣り人の視線から被害調査をしてゆくドキュメンタリー的マンガが、矢口高雄氏の『激濤 Magnitude 7.7』です。

また、電離層の説明ではミームが電離層に電波を反射させることで世界中と交信ができることや、宇宙空間のアマチュア衛星(オスカー10号)を利用した交信方法を詳しく解説。

ここでサトルくんが大変すばらしい質問をひとつ。

『衛星に向けて電波を発射しても、電離層ではね返るんじゃね?』

もちろん、ミームはそんな質問が返ってくることをあらかじめ予期しており、さらに詳しく電波の伝わり方の特性を解説してくれます。

ところで、初級ハムの国家試験の難易度は”中学校程度の理科”とのミームの解説にサトルくんは、ちびまる子ちゃんのように顔面蒼白ではないにせよ、さすがに驚きを隠せません。

なお、ひろ子くんと博士くんが取得していると思われる上級ハムのうち、2級であれば高校物理程度、1級であれば理工系短大程度のレベルとなっています。80年代当時の国家試験は今より難度が高く、解答も現在のマークシート方式と違い記述式、さらにモールスの実技試験もありますから、とんでもない秀才の子たちです。小学生で上級に合格すると、新聞の地域版に載る時代です。

そしてついに夜8時。スペースシャトルが日本上空を通過する時間です。

博士くんが周波数を144MHzの超短波に合わせ、みんなが固唾を呑んで見守る中、シャトルのクルーからのCQ呼び出しの第一声が聞こえてきました。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

当サイトでも解説していますが、ISSやスペースシャトルなど、宇宙空間に滞在する宇宙飛行士たちと地球上のハムとが交信できるチャンスがあります。日本では事前に取り決められたスクールコンタクトとして、事前に選ばれた主に小中学校などの児童生徒が対象となっており、一般のハムは交信の対象外ですが、もちろん彼らの交信を傍受するのはどなたでも可能。

電波を宇宙に飛ばす!アマチュア衛星利用の交信

しかし、喜んだのもつかの間。よりによって無変調野郎が出現し、露骨に宇宙からのメッセージ潰しにかかります。

「誰かがシャトルと同じ周波数で電波を発信しているんだわ」とミーム。みんなが楽しみにしていることを台無しにしようとする心無い人。いますよね。悪質な妨害行為にみんなはがっかりです。

しかし、翌日になっても妨害電波が発射されています。シャトルのメッセージ受信のチャンスは今夜しかない以上、妨害電波の発信者を特定し、停波させなければならないと彼らは意気込みます。

ミームは「”フォックスハンティング”で電波の発信源を突き止められる」と、キツネの狩り方をみんなに教示し、ヒントを与えます。

フォックスハンティングによる発信源探索の解説も丁寧にミームが教えてくれます。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

そしてアホな妨害犯を捕まえるべく、彼ら科学探偵団(未来少年じゃないほうのコナンみたいな校外活動を彼らは普段からしています)は無線従事者のひろ子らの班と、同じく博士らの班の二手に分かれ探索を開始。

さっそく屋上に上り、探索を開始するひろ子班。先発の博士班は丘の上の公園方面から攻めます。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

秘密基地で指揮を執るのはミーム。ひろ子班はサトル、妹のマリ、武の4人。彼らは今、探査装置を抱え、金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務目的で出動するわけです。あくまでフォックスハントだもん!合法だもん!それでこそアマチュア無線技士。もちろん彼らも本職の総合通信局(当時は電波監理局)と同じく、司法警察権がありませんが、”容疑者”の同級生へとんでもない行動に出てしまい・・・・・・。

アマチュア無線の不法無線局の取締りとは!

だが、犯人が○○○○とかだったらやばくねえかこれ?『七人のおたく』で、主人公が女子中学生の無線おたくの好奇心に付け込んで廃墟に誘い出した手口に似ている。

『七人のおたく』と『電車男』に見る時代別のオタク考察

町中をさまよい歩き、ついにあるマンションにたどり着いた彼ら。マンションには陰気な同級生男子のイヤミくん宅があるようで、どうやらサトルと武はピンときます。サトルはイヤミくん宅のドアをぶち破って上がりこみ、イヤミくんが以前に彼らとトラブルを起こした過去があり、陰気臭くて胡散臭いという理由だけで彼を締め上げるなど、かつての某レピーター管理団体による妨害電波探索に名を借りた数々の違法行為のごとく、危うい行動に出ます。これ、何かに対する皮肉的な描写、演出だったなら脱帽。だったなら、な。

ひろ子くんは早まる彼らを諌めますが、サトルと武は納得できない様子です。しかし、ひろ子くんの言うとおり、イヤミくん宅に無線機はなし。今回はサトルと武の勇み足による完全な”誤認逮捕”です。

もっとも、たとえ正規の無線従事者の資格を所持していても、不法無線局に対して、不法な電波の発射を停止させる権限はありません。不法な電波を確認した場合に出来ることは、電波法第80条第2号の規定に基づいて総務大臣に報告することのみ。発見してもヤサに乗り込んで妨害電波のヌシを脅したり暴力行為など論外。無線でいたずらしてた人の家にダンプの運転手が乗り込んできて、屋根のモビホ折られたとか、折られなかった、どっちが犯罪者だなどの話も聞きます。

どうやら、誤認の原因は乱立する高層マンションだったようで、科学探偵団は電波の伝搬特性にかく乱されてしまい、苦汁を味わいます。うさん臭いというだけで無実の同級生イヤミくんをシメたサトルとタケシ。

しかし、薬師寺ひろ子は第2級アマチュア無線技士(1アマだったらごめんなさい)の名にかけて、あきらめません。少女は今、真実に向かって探査を再開します。かっこいい。アマチュア無線技士の国家資格を持つ少女がその知識と技術を存分に発揮して活躍するテレビアニメっておそらく本作だけだな。

画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

ひろ子くんは自らがマンションの前に立ち、建物をパラボラアンテナ化することで一方向のみの電波を受信し、捜索範囲を的確に絞り込みます。これにはミームも感心。そして彼らはマンションの一棟一棟をしらみつぶしに探索してゆくのです。

ラジオライフも役立つけど、こういうアニメも意外と役に立つわぁ……って、オマエはなんの電波を探ってんだ?じ、自衛隊のGCIですから!なに焦ってんだ?

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そしてついに古びた一軒家にたどり着き、屋根にアンテナを確認したひろ子くんらは勝利を確信します。

しかし、民家の表札を見てびっくり。なんと、以前の回で彼ら(MEME401)に偽SOSを電話回線を介してパソコンで送り、騒ぎを起こしたおばあちゃん、矢島さわさん宅だったのです。

さきほど無実の同級生を誤認でシメ上げておきながら「今度こそとっちめてやる」と正義に燃えるサトルですが、呼び出しブザーを押しても返答なし。しかし、郵便受けに新聞が溜まっていることを不審に思った彼らは「まさか……」と戦慄。

そこへ、通りかかった警察官に事情を申告し、警察官と駆けつけた救急隊員が矢島さん宅に突入。直後、矢島さん外出先からひょっこり帰宅による生存確認。どうやら老人会の旅行だったようです。

画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

公務員らは引き上げ、ご近所迷惑な事態は一応の終息を見せますが、ひろ子くんは矢島のおばあちゃんの家に無線機を見つけ、ようやくこの騒動の原因を理解しました。無線機のスイッチが送信になったままだったのです。

実はおばあちゃんもスペースシャトルからのCQを楽しみにしていたものの、旅行の日程と被るため、録音装置を作動させたつもりが、誤って無線機の送信スイッチをONにして出かけてしまったようです。

ありますな。こういうおっちょこちょいなるも、悪意のない無変調電波の発射事例は実際に。JARLでも「無変調キャリアの発射にご注意ください」として注意喚起しています。

https://www.jarl.org/Japanese/7_Technical/denshou/carrier.htm

名も知らぬ局長のあけっぴろげな生活音、家族との会話がメインチャンネルはそのままで何時間もオンエアされると、とても気まずいんですわ。波よ止めてくれって話ですわ。こういう場合は地元の良き社会人たるハム有志がまさにフォックスハントで発信源を探査し、屋根のアンテナを確認して家庭訪問、ピンポンを鳴らすわけです。もっとも、これが恋の無変調、いや故意の無変調であった場合は総合通信局によって発信源がいとも簡単に探知されてアホな妨害犯は行政処分を受けるわけです。

アマチュア無線でのルール違反の事例とは?

「あたしもボケたのかしら?」からの、矢島のおばあちゃんのシャックにて、無事にスペースシャトルからのCQを傍受。おばあちゃんと科学探偵団は宇宙からのメッセージ受信に歓声を挙げます。筆者も初めてISSに滞在する宇宙飛行士からの声を聞いたときは感動したものです。それまでダンプの運転手らによる爽やかな会話が続く144MHz帯で、突如宇宙空間から宇宙飛行士の声がほんの数分間だけ聞こえてきたのですから神秘的です。

そして今回の騒動でアマチュア無線に感銘を受けたサトルも国試を受けることを宣言しますが、妹のマリに『中学校の理科レベルなんだが兄者大丈夫なのか?』と突っ込まれ、大団円です。

総評

アマチュア無線の成り立ちから、HF帯による実際のオペレート、従事者免許、非常通信、フォックスハント、スペースシャトルからの通信・・・・・・。間違いなく、アマチュア無線をここまで詳しく描いた作品はテレビアニメ史上でも本作が随一。非常に興味深く楽しめました。無線の描写の点で言えば、この回は最高に楽しめます。ただ、後発の回でも博士とひろ子らがトランシーバーを使い、やりとりする場面があるのですが、この73話での見事なひろ子のオペレートを踏襲しているとは思えないようなお粗末な運用描写があり、少し残念です。これは実際に皆さんで視聴していただいて、確認していただきたく思います。え?見られるの?

はい!この作品は2021年1月現在、Amazon Prime Videoチャンネル内で追加の支払いにより利用できる「dアニメストア for Prime Video」にて配信されておりますので、すでにAmazonプライム会員であれば、NTTドコモが提供するDアニメストアの月額440円(税込み)の定額料金で全話視聴ができます。興味を持たれた方はぜひどうぞ。もちろん、ドコモユーザー以外も登録できますよ!

Amazonプライム会員になっていない方はこちらで以下から登録できます。

電電公社が37年も前に作ったINS推しテレビアニメを2021年の今、NTTドコモのネット配信サービスで見るって、なかなか感慨深いでしょう。

そして冒頭でも触れたとおり、このアニメは電電公社の通信回線普及のための広報戦略とも言えるべきものであることから、もうひとつ見逃せないものがあります。それは自宅でのテレワークが推奨されている昨今、このアニメではシリーズ全体を通して、1985年の時点でその未来を予感させる場面が随所に描かれているところです。

85年開催の「科学万博―つくば’85」ともタイアップしており、そのなかで「もし森鴎外の時代にINSとパソコンがあったなら」という仮定で、それらを利用して在宅勤務に勤しむ森鴎外の姿が描かれているところなどは興味深いでしょう。

さらにはパソコンとINS回線を使い、テレワークどころか『リモート新年会』までアニメの中で描かれるのです。

そう、とくに89話は必見です。大雪のため外出できず”ステイホーム”になったサトルくんのパパ。予定されていた会社の新年会が急遽”INS新年会”になります。今で言う”リモート新年会”です。カメラ搭載のパソコンの画面はZoomのようなビデオチャット・アプリにより4分割され、4人の同僚たちと顔を合わせるパパですが、その表情は楽しくなさそう。上司や同僚に囃し立てられ披露した隠し芸の手品の”ネタ”は、あきらかにリモート新年会向きではありませんでした。INS回線を介した新年会で上司に隠し芸を披露する未来のサラリーマンの悲哀を予感させるこのアニメのエピソードは、1984年12月23日に放映されました。

2020年7月には『クレヨンしんちゃん』の「父ちゃんがテレワークだゾ」というエピソードにて、しんちゃんのパパ・ひろしの在宅勤務とテレビ会議が描かれ、タイムリーだとしてネットが騒然としたそうです。ひろしは「今の時代、インターネットがあれば、何処にいても会社とつながれる」としんのすけに説明しますが、帰宅後まで会社の同僚とリモート新年会でつながり、上司に隠し芸披露というリーマンの悲哀というインパクトを描いたミームもイチオシです。

「でも、そんな生活を続けていると不精になるかも?」と心配する子どもらは、ある意味まさに現在のおこもりだの、巣ごもりだの、立て篭もりだの「ステイホームになれてしまったコロナ禍の現代人」に対する警告をも発しています。今だからこそ、おうちで子どもと一緒に見たい科学教養アニメです。俺は独身オタッキーだけどな。オタッキーって。

なお、本作の監修はあの「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」と呼ばれる糸川英夫氏です。

画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

というわけで、これまで日本のテレビアニメの中でアマチュア無線を詳しく描いた作品では『ちびまる子ちゃん』と『ミームいろいろ夢の旅』、映画では「崖の上のポニョ」とありますが、ぼく的には『ミームいろいろ夢の旅』がイチオシです。萌えアニメとかは知らねんだわ。

アマチュア無線が出る漫画とアニメ解説

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