免許がないのに電波が発射できる状態のアマチュア無線機を車内設置した人が取締りの際に使う定番の言い訳があるって総合通信局の人が言ってた

総合通信局によれば、『アマチュア無線の免許がないにもかかわらず、電波が発射できる状態のアマチュア無線機を車内に設置して路上取り締まりを受けたほとんどの方たちが逃れるために使う』という定番のセリフがあるそうです。

不法無線局を取り締まる総務省総合通信局(総通)とは?

ある日の電波検問にて…

※これはある日の電波検問の一幕を筆者が実際の取り締まりを参考にして書き起こしたもので、実際の公的機関や取締りとは一切関係がありません。

ある日の路上。アマチュア無線用と思わしきアンテナを取り付けた一台の営業車が、赤色灯のついたトヨタアリオンの覆面パトカーから停止命令を受ける。営業車は警察車の誘導に従い、数十メートル先の検問エリアへと向かう。警察と総合通信局の合同による不法無線局取締のための電波検問だ。

電波監視の任に従事するのは”電波Gメン”と呼ばれる総合通信局の職員だ。捜査機関ではない”電波Gメン”には車両を強制的に停車させる権限がない。したがって、警察との合同取り締まりも行う。

「お忙しい中恐れ入ります。総務省関東総合通信局のキムラと申します。ただいま不法無線局の取り締まりを行なっております。運転手さん、アマチュア無線やられてますか』

キムラ係官は営業車の運転手に問いかけた。制服の警察官、それに『POLICE』と明記された赤いベストを着用した私服の警察官数名も同時に取り囲む___。

「やってるよ。やってるっていうか……聞いてるだけ!」

運転手の言動からは苛立ちと焦りのようなものを感じさせた。

聞いてるだけ?職員は訝しげに問い返した。「アマチュア無線の免許あります?」営業車の運転手は一瞬、言い淀んだ。

いや、免許はないよ。聞くだけなら免許いらないよね___

そう言いながら運転手は何かを隠そうとした。無線機のハンドマイクのコードを本体から外し座席の隙間に押し込んだのだ。

『おいアンタ!ダメだよ。ウチら“現認”したからな』

助手席側から見ていた年配の巡査長がウインドウをコンコンと叩きながら窓越しに運転手を一喝した。ビクッとしながら運転手は手を止めると巡査長は黄色い歯を見せながら「ヒヒッ」と満足そうに笑った。突っ込みを免れたハンドマイクは座席の隙間に半分だけ頭を出している。

『無線の免許はないんですね。運転者さん」とキムラが再度確認する。

「送信してないもん、俺」運転手が声を荒らげた。「なにか無線機自体から電波が発射できないような措置とかしてます?」とキムラ。

そばに立っていた制服の警察官らは署活系無線で忙しなく本署と連絡を取り、貸与されたPフォンで被疑車両の画像を撮影し、警察本部へと送信している。生活安全課員らしき私服の警察官も加わる。『運転手さん、マエ(前科)ある?何か他にやばいもの積んでたら先に出しとけば、自首じゃないけどさ、我々の心象も変わるよ、ヒヒッ』と刑事。先ほどの巡査長とは違い、白い歯が印象的だった。

「だから受信のみで電波出してねえよ!」

「運転手さん、今実際に測定するけど実際に電波を出してなくても、一緒にマイク積んじゃってるし、PTT(プレス・トーク・スイッチ)押して電波出たらアウトだよ___」

係官らが無線機に計測装置をつなぎ、運転手が半分だけ隠したマイクを取り付け直し、PTTを押す。メーターが振れる。電波の発射が確認されたのだ。青ざめた顔の運転手。彼に従事者免許がない以上、不法無線局の開設となり、彼は摘発対象となる。キムラ係官は警察官に対し、電波法違反の不法事実を口頭で告発した___。

総合通信局職員らはあらためて無線設備のチェックを行い、告発を受けた警察官らはそれらを押収し、捜査車両に積み込む。運転手は任意同行に応じ、警察官とともに警察署へ向かったが、車内では被疑者の運転手と警察官が、「おうおう!DNA(検査)でもなんでもやりゃいいじゃねえかよ!」「そんなもんやる必要ねえんだよ!」「カツ丼は食えるの?」「食えねえんだよ!」などとひどく言い争っていたという___。

後日、関係書類作成のために警察署へ出向いたキムラ係官は書類作成後の談笑中に担当刑事からその話を聞いたという。

総合通信局は捜査機関ではない。したがって、その職員も司法警察員ではないため、逮捕も検察への送致もできない。強制的な権限がないに等しい彼らには警察との密接な協力が必要であることを再認識したキムラであった。来週はまた警察学校で不法局取締りの講師として招聘されている。次の講義でキムラは「ある言い逃れのセリフ」を学生たちに教えるつもりでいる。電波監視にキムラの休まる日々はない___。

総合通信局「取締りの際にほとんどの方がそういう言い訳で逃れようとします」

DNAでもなんでもやりゃいいじゃねえかようッ!←そんなもんやる必要ねえんだよ!(笑)お前に作家の才能がないことだけはわかったよ。

さて、『電波を発射せずとも、アンテナや電源を繋ぐなど、”電波の発射できうる状態”で無線機を無免許で車などに設置していると、取締り当局側に不法無線局の開設と見做される』という事例は当サイトでも以前ご紹介した通り。

未だに「無免許(従免&局免)でも、受信目的なら車に無線機をつけてもOKでしょ?マイク?もちろんはずしてバッチリ対策してますよ!」という認識の方がいることに驚くこともありますが、当の総合通信局では「受信目的」という主張は「取締りの際に、ほとんどの方がそういう言い訳で逃れようとします。」とバッサリ切り捨て。

Q1-6 無線局の免許がないのに、無線機を受信目的として車に付けた場合はどうなるの?

取締りの際に、ほとんどの方がそういう言い訳で逃れようとします。しかし、受信目的であっても、電波が発射可能な状態であれば不法無線局を開設したことになり、電波法違反となりますのでご注意下さい。

引用元 東海総合通信局 https://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/denpa/kansiqa/index.html#a1-6

「マイクを外せばいい」、「いいわけねーだろ」から始まった不毛な論争は「マイクを車に積んでなければいい」にひとまず落ち着いてはいるようですが、昨今の機種によってはマイクを取り付けなくても無線機のパネル操作で送信できるものもあることに留意する必要があります。

実際の取り締まり当局側ではマイクのみならず、電源も同様に「直ちに取り付けられる場合」は不法局と判断しています。

電源を切っていたり、マイクを無線機から外していても、直ちに取り付けられる場合は不法局となります。

引用元 東北総合通信局 https://www.soumu.go.jp/soutsu/tohoku/kanshi/amateurradio.html

そう、総合通信局の見解として重要な点は「電波の発射の有無」ではなく、「(無線機が)電波が発射可能状態下にある、または直ちにその状態に移行できること」なのです。

原則として、無線局免許を受けていない場合、電波発射の有無にかかわらず電波を出せる状態となっていれば、電波法第4条違反になり不法無線局の開設罪にあたる

有効な免許を所持しないまま、アマチュア無線機(※ただし受信のみを目的としたものは含まない)を車内などに設置していることは電波法違反となることを当サイトでも以前から申し上げていますが、アマチュア無線は従事者免許と局免のセットで運用できる趣味の無線です。※例外的にゲスオペ制度や、体験運用制度があります。

また、アマチュア無線の従事者免許証は生涯有効の終身免許(資格)ですが、無線局免許状は5年毎更新となっていることに注意し、更新手続きのお忘れがないか、ぜひお手元の免許期限のご確認を。

局免失効状態でアマチュア無線機を設置し摘発!→女性検事『電波出したろ?』→被疑者『出してない!』→『くっ…一度くらい電源は入れたことあるよね?』→『…かも』→略式裁判で有罪確定

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