80年代アニメでアマチュア無線ものがあった! | ページ 7 | シグナリーファン

80年代アニメでアマチュア無線ものがあった!

アマチュア無線
引用元「ミームいろいろ夢の旅」
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シグナリーファン編集部では、無線受信や運用に関して総務省総合通信局の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、各種記事はそれらの調査結果に基づいて構成しています。

ついに電波の発信源を特定

探偵団は「これはいける」と確信する。だが、玄関に掲げられた表札を見て仰天。そこに記されていたのは、前回のエピソードで偽のSOS信号をMEME401に送りつけた当人――矢島さわ、その人の名前だった。

つい先ほどまで無実の同級生を詰問していたサトルも、鼻息荒く再び正義感に燃える。だが、インターホンを鳴らしても応答はない。郵便受けには新聞が積み重なる。

「まさか……」と誰かがつぶやく。地方公務員と近隣住民が集まり、玄関から突入。そこで彼らが目にしたものは――。

クライマックスはすぐそこに。

というわけで、わかる人にはわかる結末。やらかした矢島のおばあちゃん。衝撃の結末は実際に視聴を。画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

なお、JARL(日本アマチュア無線連盟)では、「無変調キャリアの発射に注意せよ」とたびたび警告を発していますが、それでもなお、生活音や家族との私語がそのまま電波に乗ってしまう局が、稀に発生します。

名も知らぬ局長の生活音が丸聞こえになり、家族との会話がだだ漏れの状態で「チャンネルはそのまま! 波よ聞いてくれ! 君の名は!」などと言われても、受信している側としては、正直なところ気まずさを覚えます。

過去には、433Mhzのメインチャンネルにおいて、無変調状態が長時間継続したため、総合通信局の探索車が出動し、免許人が厳重注意を受けた事例もありました。

こうした状況では、作中の探偵団のように、地元の善良な社会人ハムたちが「フォックスハント」、すなわち電波源探索を行い、発信源の特定を試みることがあります。アンテナの向きを確認し、最終的にはインターホンを鳴らして自宅を訪問するわけです。

もっとも、これが単なる操作ミスや失念ではなく、故意の無変調によって警察や消防などの重要無線通信を妨害する悪質なケースであれば、話は別です。その場合、総合通信局のセンサ局が即座に発信源を特定し、妨害者は行政処分のみならず、刑事責任を問われることになります。

さて、「あたしもボケたのかしら?」という一言から始まった今回の騒動の張本人、矢島おばあちゃんのシャック(無線機の設置場所)において、科学探偵団はついにスペースシャトルからのCQ(呼びかけ)を傍受します。宇宙から届いたその呼びかけに、子どもたちはもちろん、矢島おばあちゃん自身も大歓声を上げます。宇宙からのメッセージは、確かにここへ届きました。

ちなみに筆者自身も、144MHz帯でダンプカーの運転手たちの会話が飛び交う中、突如としてISS(国際宇宙ステーション)から英語によるメッセージが、信号強度59で届いた瞬間に遭遇したことがあります。あれは疑いようもなく、電波というものの神秘を実感した体験でした。

一連の出来事を経て、アマチュア無線の魅力にすっかり取り憑かれたサトルは、「俺も試験、受ける!」と宣言します。すると妹のマリが、「中学理科レベルだけど、兄ちゃん大丈夫なの?」と冷静に突っ込みを入れ、探偵団は笑いに包まれます。

こうして物語は、知的好奇心とささやかなユーモアを残したまま、大団円を迎えるのでした。

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総評

本作がいま語られにくい理由は、内容が古いからではなく、むしろ先を行き過ぎていたからではないでしょうか。

テレワーク、遠隔会議、常時接続による労働の変質といったテーマは、長らく「現実味のない未来像」として受け取られてきました。しかし2020年代に入り、それらは一気に日常の風景となりました。その結果、40年前のアニメが描いた世界が、ようやく現実の側から追いついてきたとも言えます。

通信技術の歴史と発展を軸に描かれているのも、その背景に当時の電電公社(現在のNTT)がスポンサーとしてついていたからといえます。技術教育と企業イメージの向上を兼ねた、実に理にかなった広報戦略です。

本作は「80年代アニメの一作」としてではなく、通信史とメディア史の交差点にある作品として、正当に再評価されるべき時期に来ているのではないでしょうか。

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電電公社が40年以上も前に制作した、INS(情報ネットワークシステム)推しのテレビアニメを、いま私たちはネット配信で気軽に視聴できる。これ自体が、なかなか感慨深いオチでした。

そして本作には、もう一つ見逃せない視点があります。2020年代に入り、在宅勤務が当たり前になった今だからこそ際立つ、「未来の先取り」です。1985年の時点で、すでにその光景が当たり前のように描かれていました。

「科学万博―つくば’85」とのタイアップ回では、「もし森鴎外の時代にINSとパソコンがあったら?」という大胆な仮定のもと、森鴎外が自宅で仕事に向き合う姿が描かれます。在宅勤務という発想自体が、すでに完成された形で提示されているのが印象的です。

さらに驚かされるのが、いわば“リモート新年会”まで描いている点です。特に第89話が象徴的でしょう。

大雪で外出できなくなったサトルくんの父親は、会社の新年会に参加できなくなります。そこで用意された代替案が「INS新年会」。カメラ付きパソコン越しに、同僚たちと顔を合わせる──まるでZoomそのものです。

ただし、そこには救いがありません。画面の向こうの上司や同僚に促され、父親は隠し芸のマジックを披露する羽目になります。しかも、その芸はオンライン向きではない。気まずさだけが、回線を越えて伝わってくる。

この回が放送されたのは、1984年12月23日。今から40年も前に、「リモート勤務」と「リモート宴会」、そしてその悲哀まで描き切っていたのです。

2020年には『クレヨンしんちゃん』で「父ちゃんがテレワークだゾ」が放送されましたが、本作のINS新年会が放つ切なさと皮肉には、なかなか及びません。技術は進歩したけれど、立場の弱いサラリーマンが背負わされるものは、むしろ増えているのではないか──そんな問いが浮かびます。

どこにいても会社と「つながれる」社会は、勤務時間外までも仕事を連れてくる。そして、つながった先で隠し芸を求められる。この描写の苦さは、今見ても鋭い。

ミームは、どこかでこう警告しているようにも見えます。「そんな生活を続けていたら、人間は不精になるのでは?」と。実際、座りっぱなしは体に悪い。笑い話で済ませきれないリアリティがあります。

だからこそ本作は、今こそ親子で見返したい科学教養アニメです。「80年代アニメ再評価」の文脈で、真っ先に語られてもいい作品でしょう。

最後に一つ付け加えるなら、本作の監修を務めているのは、「日本の宇宙開発の父」と呼ばれる糸川英夫氏。その名前を知った上でもう一度見ると、このアニメが本気で描こうとしていた未来の輪郭が、よりくっきりと見えてくるはずです。

画像の出典「ミームいろいろ夢の旅」第73話  (C)日本アニメーション/TBS

もし本作の視聴者層をもう少し上に設定し、たとえば中学や高校のアマチュア無線部に所属する少年少女たちが、謎の電波を追跡する・・・そんなストーリー仕立てのアニメ映画が、仮に1980年代に作られていたとしたら、タイトルはどうなっていたでしょうか。

たとえば『Q・R・A / 貴局(きみ)のコールサイン(名)は。』

などと名付けられていても、不思議ではありません。今の感覚で見ると、どこかエロゲのような響きですが、当時のSF・通信モノとしては、むしろ真面目でそれらしいタイトルです。

それはさておき、科学的で進歩的であるはずのアマチュア無線系の大手サイトが、本作のような科学教養アニメに触れていない一方で、お注射と打ったフリの嫌いなサイトがこれを紹介している現状は、もはや皮肉。

ともかく、アマチュア無線という技術が、どのような思想と期待のもとで社会に位置づけられてきたのか。その一端を、ここまで真剣に描いたアニメ作品は、本作が随一です。

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