アマチュア無線でカード交換(QSL)をする際に必要なものは?

アマチュア無線でQSO(交信)をすると、お互いにカードを交換する習わしがあります。これがいわゆる受信証の交換(QSL)です。

カードには無線局のコールサイン、交信した際の時間や周波数など、さまざまな情報が記載されています。

その名のとおり受信した証ですので、できれば記念に手に入れたいものです。とくにDX-peditionで外国のアマチュア局などと交信した際、お互いのQSLカードを交換すれば、その喜びもひとしおとなるはず。

QSLカードに記載しなければならない内容

QSLカードには必ず記載しなければならない事項が各種厳格に決められています。以下のような項目が記載されるのが原則です。

 

    1. 自局のコールサイン
    2. 運用した場所
    3. 局の名前
    4. 相手局のコールサイン
    5. 貴局と交信したことを証明しますという文言。
    6. 更新日時と時刻
    7. 周波数帯
    8. 電波形式
    9. RSレポート
    10. 交信の御礼とカードの送付依頼の文言

QSLカードには以上のような内容が記載されています。なお、郵便による交換を考慮されているため、大きさは郵便はがきと同サイズの縦148mm×横100mmです。

内容だけ満たしていれば、公序良俗の範囲でデザインは自分の好きなものでOKです。自分のシャックの写真、自分で撮影した地元のお祭りや美しい風景、自作の漫画、イラストなどを使用するハムが多いようです。

詳しい書き方についてはジャールの公式サイトにて解説されています。

http://www.jarl.org/Japanese/5_Nyukai/qsl_card.htm

カードの印刷は専門業者がありますので、今まではそちらに頼むのが一般的でしたが、昨今では自宅で簡単にプリンターを使って作成できます。

カードは『記念品』だけじゃない!集めればアワードを狙うことも可能

手に入れたカードが一定の条件を満たしていれば、アワードという賞も狙うことが可能ですから、ウソ、偽りなどは絶対に書いてはなりませんし、記入忘れなど記載内容に不備があればアワードの申請に認められません。不備のあるカードは送らないよう注意が必要です。

実際のQSLカード交換の流れ

日本ではJARLがQSLカード交換の窓口になっています。あらかじめJARLの会員になっていれば、数カ月に一回、QSLカードを代理で送ってくれます。これを「ビューロー(事務局)経由で交換」と言います。

アマチュア無線の関連団体『JARL』と『JARD』とは?

もちろんJARLの会員になるには会費が必要です。正会員で年会費7200円と、ややお高いのがネック。もう一つの方法としてダイレクト交換があります。これはビューロを経由しないで直接、局同士で交換する方法です。さらにインターネットを介した電子的なQSLカード交換、電子QSLなどの方法もあります。

「カード交換できません」と言ったら交信を断られますか?

さて、アマチュア無線の運用を行うにあたって、そもそもQSLカードを作成しなければならないのでしょうか。いいえ、QSLカードを作成する義務も、発行しなければならない義務もありませんので、ご安心ください。

QSLカード交換をしないことを『ノーカード』と呼び、実際の交信上では『ノーカードでお願いします』などと言います。

前述したとおり、JARLの会員になればQSLカード交換も簡単ですが、始めたばかりの人は未入会の方も多いでしょう。

アワードを目指している方の場合は、カード交換をしない局は眼中にないのかもしれませんが、QSLカード交換自体に興味がないという方もいます。

筆者は「カード交換できないなら交信しません」と言われたことは過去、幸いにしてありません。どの局長さんも「かまいませんよ」と気軽に交信してくれますので、気にする必要はありません。とくにビギナーの方はJARLへの入会も、お金をかけてわざわざQSLカードを作る必要もありません。お金をかけなくても、なに不自由なく運用ができます。

交信をしたらログを取ることではじめてQSLカードの交換条件を満たす

ただし、QSLをするのであれば、必ずログ(記録)をとらなければなりません。これまでは自宅運用や移動運用に限らず、アマチュア無線で交信をした際には、必ず交信相手のコールサインや日時、場所などその交信記録をとらなければなりませんでした。今はその義務も無くなり、ログをとらなくても良くなっています。

これは電波法に規定されていたもので、アマチュア無線の資格を持っている方であれば、勉強で何度も暗記したはずですので、もう聞くのもウンザリかと思いますが、そう、いわゆる「無線業務日誌」のことです。

英語ではログブックと言います。しかし近年、法律が改正され、かつては電波法令集も電波法第60条及び電波法施行規則第38条により、大半の無線局に備付けておかなければならない業務書類(法及びこれに基づく命令の集録)として規定されていた無線業務日誌の備え付けそのものが必須ではなくなりました。それに加えて「正確な時計」もです。

とは言うものの、大多数のアマチュア無線家はこれまでどおり、ログをとっているのが現状です。ログをとっておけば、以前交信した方かどうかわかりますし、その当時の気象などもわかり電波伝搬の具合も把握できるでしょう。交信したのにログを取っておらずに、交信した記憶も忘れてしまうと二回目につながった時に相手の局長さんに失礼かもしれません。

交信記録をとっておくことで、QSLカード交換が初めて可能に。

そして、QSLカード交換をするならば、ログがなければなりませんし、アワードやコンテストも同様です。ですから、法的な義務はなくなっても、QSLカードを交換したい方は必ず交信記録をとっておきましょう。

そのため、正確な日時を知るためには、やはり正確な時計も備えるべきです。もちろん腕時計でも壁掛け時計でも、正確であればかまいません。現在では携帯電話を多くの方が所持していますから、正確な時計を誰もが持っているので、とくに困らないでしょう。

交信記録をつけるログブックはアマチュア無線ショップで販売されている市販のログブックのほか、さらに自分でノートに線を引いて作った簡易なものでも大丈夫です。

でも、せっかくパソコン時代ですし、無料で公開され誰でも自由にダウンロードしてパソコン上で使えるフリーのログ管理ソフト『ハムログ』があるので、こちらもお勧めです。

というわけで、交信記録を書く目的は単なる記録だけでなく、QSLカード交換のための必要な情報の記録という側面もあります。カード交換に興味があるのなら、忘れずにログをとりましょう。