広帯域受信機(ワイドバンドレシーバー)で自衛隊や米軍のエアバンドを受信することは合法です。しかし、それらの施設に無断で持ち込んだ場合はトラブルの原因になりかねず、注意が必要です。
例えば、航空自衛隊の航空祭。ブルーインパルスの会場上空進入とスモークナウのタイミングに合わせて撮影する航空ファンにとって、受信機はカメラと同様、撮影に欠かせない機材。
しかし、航空自衛隊入間基地の公式サイトでは『受信機は持ち込み可能です』としているものの、同じ空自の三沢基地公式サイトでは『無線機類(エアバンドレシーバー等受信専用の物も含む)」の持ち込みは禁止と明記されています。このため2024年現在、航空自衛隊では基地ごとに個別の判断が行われ、統一ルールを敷いていないものと見られており、事前に基地の公式サイトやSNSの公式アカウントで確認することが必要です。
なお、軍事施設の保安上の観点として、航空ファンが自衛隊機を何気なく撮影している一方で、彼らの側もまたセキュリティ上の理由から私たちの監視ならびに撮影を行い、部内で情報共有をしている可能性も否めません。向こうからやってきた警備担当者に『先週は○○基地にもご熱心にいらっしゃったようですね』など、フェンス越しに個人情報をほのめかされるなどする可能性も。
一方、昨今の在日米軍基地でも『フレンドシップデー』等のイベント時、基地内への受信機持ち込みに対して神経を尖らせており、基地内での傍受をしないように要請するケースも見られます。明確に許可されている場合を除いて無許可あるいは隠しての持ち込みはNG。憲兵隊からの厳しい取り調べもあり得るので充分にご注意ください。
施設外であってもフェンスに近寄りすぎると警備責任者から注意を受ける可能性もあり、注意が必要です。とくに在日米軍は基地によっては厳格な対応を取ることもあります。その際は米軍兵士または米軍に雇用されている日本人警備員(けん銃携行)による対応となります。
在日米軍基地の「フレンドシップデー」はその名の通り、日米親善が目的なので米軍兵士もフレンドリーに撮影に応じてくれますが、軍事機密に関しては厳しいのでご注意ください。
一方、空港や一部の商業施設でも受信機の使用はNGとなる場合も。特に高層ビルやタワーの展望室などではアマチュア無線の運用が禁止されている場所も多く、電波を発射しない受信機であっても誤解を招かないよう、使用の前に施設管理者に確認しましょう。無線の運用は特に注意したいところです。
空港では運悪く(?)要人警護の際に受信していると、警備関係者から確認のお声がけがあるかもしれません。
また、公共交通機関である旅客機内での受信機使用にも注意が必要です。旅客機の機内では国土交通省の告示において一部の電子機器の利用が制限されており、告示の中には「トランシーバー」が含まれるものの「広帯域受信機」は含まれていません。
しかし、その制限は各社の対応に委ねられており、ピーチ・アビエーションのように広帯域受信機の使用制限を行う航空会社もあります。
その理由について同社では『使用を制限されているトランシーバーとの見分けが難しく、誤解を招く恐れがあるため』としています。
旅客機の機内での受信機の使用ほど、エアバンド愛好者にとって魅力的なものはありませんが、実情はケースバイケースのようです。
さらに日本国内での受信は問題がなくても、一部の国では特定の周波数が受信できる受信機、さらに広帯域受信機そのもの自体の持ち込みが法律で規制されている場合もありますので、海外旅行へ受信機を持っていく場合は該当国の大使館への事前確認が必要です。
そして、旅行ではついつい他国の軍事関係の施設を観光してみたくなってしまうもの(!?)しかし、それらの施設の周辺における安易な撮影や無線の受信には注意が必要です。
スパイ防止法もなく、なぜか外国人には人権に手厚い日本国内では想像もできませんが、外国でのミリタリーウオッチングはやはりスパイ行為を疑われる恐れがあります。
警察に受信機を没収されるだけならまだしも、逮捕をされたり、小銃を持った兵士に銃を向けられた挙句、国外退去処分などにもなりかねませんので、日本国内での受信とは違うことに十分な認識が必要です。
以上のように、広帯域受信機で無線の受信を楽しむ際は時と場所、周囲への配慮、各事業者ごとの判断、その国のルールや情勢も考慮したいところです。
“広帯域受信機での受信、注意が必要な時と場合とは?大変なことになる前に!” への1件のフィードバック