無線の受信に関しては、国によって適用される法律は異なります。
とはいえ、多くの国で「受信」と「送信」では、法的な扱いが大きく異なっているのが一般的です。
特に日本でのアマチュア無線については、資格や免許がない状態での運用は完全に違法とされています。使用周波数の逸脱や、営利目的での利用も法律違反となります。
「じゃあ、受信だけなら問題ないのか?」と思われるかもしれませんが、実際にはそれほど単純な話ではありません。
特に刑事責任が問われるのは、受信した内容を漏洩、悪用したり、他人に損害を与えるような目的で利用した場合です。
たとえば、受信改造されたDJ-X100では、電源を入れると以下のような画面が表示されます。
『私は、電波法上、受信した通信の存在・内容を漏洩したり窃用したりすると刑事罰が課されることを理解しています。』
私が知る限り、こうした「同意」や「誓約」に類する画面が標準搭載されている受信機というのは、これまでになかったと思います。

この画面で「はい」を選択すると、拡張機能が使用可能になりますが、「いいえ」を選んだ場合には、一部の機能がロックされる仕組みになっています。つまり、このように、利用者に法的責任の所在と倫理的意識を促す構成となっています。
このとき「はい」を選んで同意すると、次に表示されるのは以下の2つの誓約に関する確認画面です。
1つ目は、「私が拡張機能を使用する目的は、盗聴や不正利用ではありません。そのような行為は一切行わないことを誓約します」。
2つ目は、「拡張機能を使用するにあたり、第三者の権利を侵害しない範囲内でのみ利用することを誓約します」。
こうしてようやく、DJ-X100(受信改造済み)にてタクシー無線のT61モードの復調や、POCSAG方式による文字データの受信などが可能になります。

これらの「1つの同意」と「2つの誓約」に、電源を入れるたびに毎回きちんと従わなければ、タクシー無線のT61モードの復調や秘話コード解析といった拡張機能は使用できない、という仕組みになっています。
同意や誓約をしないまま使用していると、それまで表示されていたデジタルモード一覧からT61モードなどが一斉に消えてしまったり、秘話暴き機能である“虫めがね”も動作しなくなり、大慌てすることになります。
要するに、「法律を正しく理解し、ルールを守って使ってください。守れないなら使わせませんよ」という明確なメッセージが込められているわけです。
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POCSAG方式の文字データに対応
実は、先ほど触れた誓約画面の中でも、特に関連性が高いのが、タクシー会社が各車両に送信しているPOCSAG方式の文字データです。このPOCSAG方式のデータには、乗客の個人情報、配車時間、停車位置など、非常にセンシティブな内容が含まれていることがあり、慎重な取り扱いが求められます。
不用意に扱えば、電波法違反となるおそれがあります。
そのため、発売当初からDJ-X100の詳細解説を行っている『ラジオライフ』誌も、非常に慎重な立場を取っており、編集長もX(旧Twitter)上で「誓約画面が3回も出ることを理解してください」と注意喚起を行っています。
DJ -X100ユーザーの素晴らしいところは、ネットにアップした受信画面にモザイクをかけているところ。特に文字データは受信マニアの間で収まっている間はいいのですが、再生回数稼ぎのためにYoutubeに上げると一般人も知るところになり厄介です。あの誓約画面が3回も出ることを理解して下さい。#djx100
— sekiradiolife (@sekiradiolife) May 25, 2023
DJ-X100の秘話解析についてはラジオライフ2023年7月号で紹介されています。
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まとめ
無線の受信を趣味とするなかで、刑事責任を問われる事例は稀ですが、実際に鉄道会社の業務無線を録音・アップロードし、内容を漏洩したとして検挙されたケースも存在します。
DJ-X100の裏機能(拡張機能)を使用するのであれば、メーカーに対し「法律を守って使います」と誓約した上で楽しむことが大前提です。

電波法では、通信の「内容」はもちろんのこと、「通信が行われていたという事実そのもの」についても、第三者に漏らすことを禁止しています。
このため、当サイトに掲載されている「受信内容」の例は、あくまでフィクションとして提示しているものであり、実際の通信内容ではありません。
これを遵守しなければ、将来的にDJ-X100の拡張機能そのものがアップデートによって封じられる可能性もあります。
dj-x100 これはなんだ?!? pic.twitter.com/iUbzLC5Cbs
— マン毛ガニ (@hGLppwrBjhU4AuJ) May 5, 2023
DJ-X100に『ICDU』と表示されています。