勤務中の制服警察官や私服の機動捜査隊員とかが、受令機に繋いだ片耳イヤホンを耳にして、警察本部からの主に110番通報内容の指令を聴いてるんやけど、これがめっちゃかっこいい「PR-17」っていう伝説のイヤホンやねん。
実はこれ、声優とかテレビマンとかが使ってるアシダ音響の製品で、マニアの間では「Pチャンイヤホン」って呼ばれてるんや。
ほんまに高性能で、警察無線が「Pチャン」って呼ばれてたから、このイヤホンもその名前がついてるんやで。
80年代から警察で使われとる定番やけど、官給品と市販品の違いは少しだけやで。プラグサイズが2.5mmか3.5mmの二種類あって、大体のスマホやラジオには3.5mmが標準やから、普段でも使いやすいんやな。
イヤホンのコネクタ形状についてもなかなか奥が深いんやな。
ストレート型とL型の使い分けやけど、無線機のイヤホンジャックが本体上部にあるならストレート型でOKやけど、本体横にジャックがある場合にはL型が便利やねん。
あと、これは本体上部にイヤホンジャックがある無線機や広帯域受信機で応用できるテクニックなんやけど、背面のベルトクリップにコードを一周させると、イヤホンが抜けにくくなり、さらに万が一コードが引っ掛かってもイヤホンジャックに負担がかからんようになるから、おすすめや。
『ラジオライフ』2004年10月号の『受信レッスンABC』でアドバイスしている「師匠秘伝」の技なんやけど、こういう細かい工夫が役立つんやで。
アンテナにもなるイヤホン
イヤホンはアンテナ代わりになるで。ちょっと驚きやけど、実際に携帯ラジオでFM放送を聴くときにイヤホン使うと受信感度が良くなるのはまさにその通りなんや。
イヤホンのコードがアンテナの役割を果たして、電波をキャッチしやすくしてくれるんや。
特にFMラジオでは、アンテナがないと受信が難しいから、イヤホンがその代わりをしてくれるのは便利やわ。
広帯域受信機でも「イヤホンアンテナ機能」を備えてる機種があって、必要に応じてそれを使うこともあるんや。
例えば、受信機を隠し持ってることがバレたら、複数人にサッと囲まれて袋叩きにされそうな場所で受信活動を密かにやらなあかん時とか。
その場合、イヤホンアンテナを使うことで、スマホでプリキュアの主題歌聴いてるふりをして、受信してるってバレへんようにできるんや。だからお前は一体、何の受信調査してんねん……。
なお、無線機の場合は、こんなイヤホンの使い方はNGやで。
無線の知識があったらこんな使い方しないですよね。 pic.twitter.com/8ajfsfauyv
— キヨウトAA427 / JG3AIR (@jg3air) February 23, 2023
コードの絡みを防ぎたい狙いがあったんかな、携帯無線機のヘリカルアンテナにイヤホンコードを巻きつけるPMさん。
通常、無線の送信時はアンテナから電波が空間に放射されることで電波が伝播するんやけど、画像のような状態やと、送信電力がイヤホンに流れてしまって、イヤホン差し込み口から無線機本体に返ってきて、無線機が故障する可能性もあるで。
AM/FMラジオも広帯域受信機も送信機能がないから問題ないけど、送信機能がある無線機でイヤホンコードをホイップアンテナに巻きつけると、送信時の電力(電波)が影響して無線機が壊れるかもしれんから、こういう使い方はおすすめせんで。気をつけてな。
Pちゃん用は「1kΩ」タイプ
なお、警察受令機向けは「1kΩ」タイプやけど、ラジオライフ2004年10月号では「一般的には8Ωのもの(民生用のポケットラジオやトランシーバー向け)で十分」とのことや。テレビ局のモニター用は600Ωタイプやね。
イヤホンコードは1mが標準品で、特注で50cmタイプもあるんやけど、昔はグレー(灰色)が主流やったんが、今では目立たんように黒色のコードが全国的に主流になってるで。
だから警察さんも使うし、片耳イヤホンつけた怪しげな人物がいたら、それ、私服警察さんやろな。
でも実際の刑事がこんなイヤホンを見せびらかすようにつけてたら、即身バレしてまうわな。そんなん防ぐために、旧型のUR-3受令機ではコードレスイヤホンのオプションもあったんやけど、当時の技術では補聴器みたいな見た目やったから、結局目立ってしまうのが実情やったで。
2021年12月20日で閉店となった秋葉原ラジオセンターの三善無線。その名前にピーンと来なくても「Pチャンイヤホンのお店」と聞けば分かるだろう。最終日に予備を買いに行ったら売り切れ。ここ1週間で200本売れたという。つづく pic.twitter.com/POY6Zh8d4k
— sekiradiolife (@sekiradiolife) December 20, 2021
なお、この”Pチャンイヤホン”は業務中に耳につけてても疲れにくい、ほんまに優れたイヤホンやけど、あくまで無線交信とかで人間の音声が聞き取りやすいように作られたイヤホンなんや。
音楽用とちゃうから、その点に注意せなあかんで。製造元のアシダ音響もそのことについて注意喚起のツイートをしてるけど、間違った使い方せんように気をつけなあかんわな。
【ご連絡】現在、弊社製品「PR-17」を音楽用イヤホンと間違えてのご注文が大変増えております。
こちらは片耳イヤホンで、無線機や語学学習等にオススメのイヤホンでございます。(分かりにくくて大変申し訳ございませんが、)『音楽用』ではございません。
何卒宜しくお願い申し上げます🙇💦💦 pic.twitter.com/ruSIF3JuES
— ASHIDAVOX® アシダ音響㈱ 🔊🎧🎙️ (@ashidavox) February 2, 2022
制服警察官はPチャンイヤホンをイヤホン保持器とのセットで使用
なお、制服警察官はPチャンイヤホンをイヤホン保持器とのセットで使うんやけど、イヤホン保持器は別名『共鳴管』とも呼ばれてるんや。
これはイヤホンを保持しておくクリップ、紛失防止のためのフックとヒモ、そして金属パイプがセットになった便利なグッズやねん。
勤務中にイヤホンをずっと耳に刺しっぱなしやと痛くなるから、適宜外してこのクリップに保持するんやけど、イヤホンを外すと大事な指令が聴けなくなるから困るやろ? そこでイヤホンをパイプ状の共鳴管の端に差し込めば、音声が共鳴管内部で響いて、耳からイヤホンを外しても受令機の音声が耳元ですこぶる明瞭に聞こえる仕組みなんや。
通常、警察官はこの共鳴管のフックを制服のボタン穴に引っかけて連結し、クリップ兼共鳴管は肩のエポレットに挟んで保持するんや。
あと、こんな使い方もあるんやってさ……。
客引き避けにはPチャンイヤホン。 https://t.co/dNiCejJPYS
— MICHEE-N(ミッチー・N) (@MICHEE_N) December 1, 2021
さあ、キミも今日からPチャンイヤホンをスマホに挿して『あやしい私服の人』になろうや!(責任は取れんけどな)
