デジタル・報道連絡波(放送連絡波)の受信方法

報道連絡波は放送連絡波とも呼ばれ、報道機関(テレビ局・ラジオ局)に免許された放送事業用の業務無線です。一般に番組中継のための連絡が主で事件・事故・災害現場で活動する携帯局側や上空の取材ヘリ、報道局デスク(基地局)との交信が行われます。

2016年に報道連絡波(放送連絡波)はそれまでのアナログ波から完全デジタル化となりましたが、2024年現在、メーカー各社のデジタル対応受信機で一部受信が可能です。

使用されているのは166MHz帯と168MHz帯

報道連絡波(放送連絡波)はデジタルの4値FSK方式であるSTD-T102を採用し、166.528125MHz~168.896875MHzまでが6.25kHzステップで割り当てられています。移動局側が166MHz帯の低群、基地局側が168MHz帯の高群です。

低群 166.528125MHz~166.896875MHz(6.25kHzステップ) 報道ヘリ、中継車などの移動局側

高群 168.528125MHz~168.896875MHz(6.25kHzステップ) 基地局側

交信頻度こそ一般の業務無線と比べると多くはありませんが、実は意外と入感しやすいのが、この報道連絡波です。基地局側が使う”高群”の送信元は各テレビ放送中継局と同じ立地、つまり大抵は小高い山の上にあるためです。さらに出力が25~50Wと高いのも受信には好条件。

ただし、移動局同士では低群の166MHz帯のみで交信することもあるため、両群の帯域をメモリーした方がヒットする確率が高いでしょう。

報道連絡波(放送連絡波)受信は秘話コードに対応する受信機が必要

4値FSK変調方式の『STD-T102』を使う報道連絡波(放送連絡波)は6桁の秘話コードが使用されているのが特徴です。

秘話コードの対応状況は受信機販売メーカー各社で異なり、AORのAR-DV10ならびにAR-DV1、それにアルインコのDJ-X100(受信改造済み)では秘話コードの自動解析に対応しており、簡単に受信が可能です。

2024年現在、マスコミ無線が受信可能なデジタル対応受信機

2024年現在、以下の受信機でマスコミ無線が受信できます。

  1. ALINCO  DJ-X100(受信改造済)
  2. AOR DR-DV10
  3. AOR DR-DV1
  4. ICOM IC-R30 ※生産終了、NHK方式非対応、秘話解読非対応

いずれの機種も秘話コードが一致しない場合、受信機からはモガモガとした音しかでません。また上記に挙げた機種のうち、ICOMのIC-R30では秘話の解析に非対応です。ただし、秘話コードが判明している場合はIC-R30でも入力をすることで受信が可能です。なお、IC-R30はNHK方式のホワイトニングコードには非対応です。

上記の機種で最も安価に受信できるのはDJ-X100(受信改造済み)と言えます。

アルインコ DJ-X100(受信改造済み)で受信する場合

受信改造済みおよび裏コマンドを入力したDJ-X100で受信する場合は『モードコンフィグ』→『デジタル』に入り『T102』の電波モードを選択。上述の帯域をスキャンさせます。”モガモガ音”を受信したならば、ストップさせてFキー+0キーで『虫眼鏡モード』を発動させると、5秒ほどで秘話コード解析が終了し、報道連絡波(放送連絡波)が音声として復調され、事件事故の取材内容等、詳細が判ります。

秘話がかかった状態ではデジタル変調の信号を断続的に受信するのはDCRの秘話と同じですが、その音はDCRと異なります。

またDJ-X100では「発信者名』の部分にテレビ局の社名が表示されます。

例 発信者名 HHTBほんしゃ

秘話コード解析後、6桁の秘話コードが表示されるのはDCRの秘話コード解析と同じです。

※秘話の解析機能を使って「通信内容を窃用した場合」、電波法違反による刑事罰の責任は全てユーザー側となります。

具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』等で伺い知ることができる

NHK、民放各局の報道連絡波の具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』にて掲載されています。

なお、上に挙げた『周波数ガイド』の2021年版、2022年版などはAmazon Kindle Unlimitedに(月額980円)に入会すれば、読み放題・無料で読むことができます。

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報道連絡波(放送連絡波)のまとめ

必ずしも事件事故の取材活動に関する交信ではなく、本社との放送の技術的な打ち合わせの場合もあります。

このため、報道連絡波でもあり放送連絡波でもあると言えます。

事件事故の発生をキャッチできる無線ですから、受信機にあらかじめ各社の周波数を登録して普段からサーチしていると、どこの社の電波が強力か否かといった技術的研究ができます。

ということにしておいて下さい。秘話の解析機能を使って「通信内容を窃用した場合」、電波法違反による刑事罰の責任は全てユーザー側となります。

あくまで小説や映画の話ですが、テレビ局のデスクとヘリとの交信はリアルタイムなニュースの緊迫した状況がうかがえる場面がよく描かれています。『あーっ!自衛隊の飛行機が雲に突っ込んで行きよるーっ!』って『首都消失』か。なつかしいな。

なお、今でこそヘリからの空撮取材や生中継は当たり前で、機上から本社へ電送しながら帰投するのが一般的ですが、昭和の頃は小学校の校庭などへの取材ヘリの無断着陸が横行していました。これは撮影した取材テープを地上クルーに引き渡すのが目的でしたが、民間ヘリは緊急事態や事前に許可を得ない限りは指定場所以外への無許可着陸は違法でした。その後は低空でホバリングするヘリから直接取材テープをパラシュートで地上のクルーに引き渡したり、NTTの専用回線を使った機上伝送が一般化されていきました。

また、マスコミ各社のヘリは過密な取材現場上空で空中衝突を避けるために連絡を取り合いますが、通常は航空機間の相互連絡周波数を使うほか、相手のヘリの使うカンパニーラジオにブレイクする場合もあります。

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