報道連絡波(放送連絡波)とは、報道機関(テレビ局・ラジオ局)に免許されているマスコミ用の業務無線です。
番組中継のための連絡が主で、事件・事故・災害現場で活動する携帯局側や上空のヘリと報道局本社(基地局)との交信が行われます。
2016年に完全デジタル化済みですが、2023年現在、メーカー各社のデジタル対応受信機で一部受信が可能です。
使用されているのは166MHz帯と168MHz帯
報道連絡波(放送連絡波)はデジタルの4値FSK方式を採用。166.528125MHz~168.896875MHzまでが6.25kHzステップで割り当てられています。基地局側が使うのが高群の168MHz帯、そして移動局側が使う低群が166MHz帯です。
低群 166.528125MHz~166.896875MHz(6.25kHzステップ) 報道ヘリ、中継車などの移動局側
高群 168.528125MHz~168.896875MHz(6.25kHzステップ) 基地局側
実は意外と受信しやすいのが、この報道連絡波。基地局側が使う高群の送信元は皆さんの地元の各テレビ放送中継局と同じ立地、そう大抵は小高い山の上にあるためです。
さらに出力が25~50Wと高いのも受信には好条件。
ただし、移動局同士では低群の166MHz帯で交信することもあるため、両群の帯域をスキャンした方がヒットする確率が高いでしょう。
DJ-X100では高群の168MHz帯域受信時にサイドのシフトキーを押せば2MHz下の166MHzにそのまま周波数シフトできて便利です。
具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』にて掲載中
NHK、民放各局の報道連絡波の具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』にて掲載されています。
なお、上に挙げた『周波数ガイド』の2021年版、2022年版などはAmazon Kindle Unlimitedに(月額980円)に入会すれば、読み放題・無料で読むことができます。
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秘話コードに対応する受信機が必要
4値FSK変調方式を使う報道連絡波は秘話コードが使用されているのが特徴です。秘話コードの対応状況は受信機販売メーカー各社で異なり、AORのAR-DV10ならびにAR-DV1、それにアルインコのDJ-X100(受信改造済み)では秘話コードの自動解析に対応しているものの、アイコムのIC-R30では未対応。
ただ、秘話コードが判明している場合はIC-R30でも入力すれば受信可能です。いずれの機種も秘話コードが一致しない場合、受信機からはモガモガとした音しかでません。
なお、アイコムはNHK方式のホワイトニングコードには非対応です。
報道連絡波のまとめ
事件事故ならびに災害発生時の情報源として、極めてヒット率の高い無線ですから、受信機にあらかじめ各社の周波数を登録して普段からサーチしていると、どこの社が活発に取材しているかがわかります。
とくに本社デスクとヘリとの交信はリアルタイムなニュースの緊迫した状況がうかがえます。
なお、今でこそヘリからの空撮取材や生中継は当たり前で、機上から本社へ電送しながら帰投するのが一般的ですが、昭和の頃は小学校の校庭などへの取材ヘリの無断着陸が横行していました。これは撮影した取材テープを地上クルーに引き渡すのが目的でしたが、民間ヘリは緊急事態や事前に許可を得ない限りは指定場所以外への無許可着陸は許されないため、違法行為でした。その後は低空でホバリングするヘリから直接取材テープをパラシュートで地上のクルーに引き渡したり、NTTの専用回線を使った機上伝送が一般化されていきました。
また、マスコミ各社のヘリは過密な取材現場上空で空中衝突を避けるために連絡を取り合いますが、通常は航空機間の相互連絡周波数を使うほか、相手のヘリの使うカンパニーラジオにブレイクする場合もあります。