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シグナリーファン編集部では、自衛隊の装備や部隊について防衛省の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、それらの調査結果に基づいて記事を構成しています。

陸上自衛隊の高機動車と民生用の「メガクルーザー」の違いとは?

自衛隊の高機動車と、トヨタが一般向けに販売していたメガクルーザーの違い

陸上自衛隊の高機動車と、トヨタが一般向けに販売していたメガクルーザー(製造終了)は、外見はよく似ていますが、中身はかなり違います。

陸上自衛隊の高機動車が「独特の乗り心地」と言われる理由は?体験試乗できる?

トヨタ・メガクルーザー(Toyota Mega Cruiser)

  • 発売期間:1995年~2002年(生産台数約150台前後)

  • 開発目的:高機動車の技術をベースにした民生用大型SUV。

  • 駆動系・エンジン:高機動車とほぼ同じ4.1Lディーゼル+4WD機構を採用。

  • 装備特徴

    • パワーステアリング・エアコン・電動ウィンドウなど快適装備を追加

    • 内装はレザー調、静粛性も高め

    • ABS・トラクションコントロール搭載

    • 公道走行用ライト・バンパー・ナンバー灯など法規対応

  • 販売対象:主に官公庁・消防・防災機関・一部個人。

  • 目的:災害対応車両や高級SUVとしての公道走行性能を確保。

一方、高機動車は、もともと自衛隊が使うために作られた車です。

悪路を走ったり、兵員や装備を運んだりするのが目的で、整備性や頑丈さが重視されています。

内装は非常に簡素で、快適装備はほとんどありません。

エアコンもありませんし、座席も布製で防水加工がされているだけです。

外装も戦場を意識したつや消し塗装で、防錆処理がしっかりされています。無線機や銃架などを取り付けることが前提になっており、純粋に「道具」として作られています。

一方のメガクルーザーは、高機動車の設計をもとにして、一般道で使えるように手を加えた車です。

基本のフレームやエンジンは似ていますが、内装は完全に民間仕様で、エアコンやパワーステアリング、電動ウィンドウなどが付いています。静粛性や乗り心地も改善され、車内は高級SUVに近い作りです。

法律に合わせてライトやバンパーも変更され、公道を普通に走ることができます。

要約すると

  • 共通点

    トヨタ製・4WD構造・4.1Lディーゼル・大柄な車体。

  • 主な違い

    • 高機動車=軍用設計・耐久優先・快適性なし

    • メガクルーザー=民生仕様・快適装備あり・法規適合


つまり、メガクルーザーは「高機動車の民生版」というよりも、「高機動車の技術をもとに、民間が使えるように“再設計”された高級車」です。

本質的には、同じ骨格でも目的がまったく異なる兄弟車という関係です。

つまり、高機動車は「純然たる軍用車両」で、メガクルーザーは「その技術を応用した民間の大型SUV」です。

共通しているのは大きくて頑丈な構造と4WDシステムですが、使う場面と目的がまったく違います。

なお、2025年に茨城県庁において災害現場などで25年近く使用された県所有のトヨタ「メガクルーザー」が売却されています。

部品の交換が難しく維持費がかかる一方で、愛好家の人気が高いことから一般競争入札を実施することになったとのことです。県

が設定した最低売却価格は900万円とのことでしたが、落札結果は836万円でした。なお、落札者は「茨城トヨタ自動車(株)」だったそうです。

出典  https://nsearch.jp/nyusatsu_ankens/67b843487e988c3545b491d4

メガクルーザーは「準中型自動車」に分類

メガクルーザーの運転には「準中型免許」が必要です。これはメガクルーザーが「準中型自動車」に分類されるためです。

海自と空自での配備は?

実は「高機動車」を大量に配備しているのは陸上自衛隊のみです。航空自衛隊と海上自衛隊では実はメガクルーザーを配備しています。

航空自衛隊での運用

航空自衛隊では、高機動車および「場外救難車」として、民生用のメガクルーザーを導入しています。

これらは、航空機の緊急着陸や不時着時の救難活動に使用される特殊車両です。

海上自衛隊での運用

海上自衛隊では、民生用のメガクルーザーのみを配備しており、高機動車を使用していません。

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