従事者免許(資格)および無線局免許が不要で、個人の趣味やレジャーなどのために行う連絡、企業の業務連絡に使用できる26-27MHzの周波数を使う無線を一般に、CB無線や市民ラジオと呼びます。
記事の終わりにお得な情報を記載しています。
CB無線の概要
500mwの低出力無線『CB無線』は当時から資格不要で使用できましたが、電波監理局(当時)へ開局申請をして局免の交付を受ける必要がありました。1983年の電波法改正によって、現在ではCB無線機を使用するにあたって、総合通信局への局免申請は不要となり、誰でも無資格で使用できるライセンスフリー無線です。
局免が交付されないことは、すなわちコールサインも交付されないので、各自が好きなコールサインを名乗っています。
主に使われているコールサインは、やはりかつての局免時代に交付された『地域名+アルファベット二文字+数字2または3ケタ』に因んだものが一般的です。
変調方式はAM
CB無線の電波形式は、一般的な業務無線、またはアマチュア無線の144MHzや433MHz帯域で一般的なFM変調と違い、航空無線と同じく、搬送波の振幅の強弱によるAM(Amplitude Modulation) 変調のみ許されています。一方、送信出力は最大で0.5w(500mw)と微弱です。
夏場に突発的に発生するEスポなどは刻一刻とコンディションが変化するうえに、FMに比べて聞き取りにくいAMが標準のCB無線では、慣れないと相手のコールサインを聴きとるのも一苦労です。短時間で相手の送信内容を聞き取る力をつける技術の向上には多くの運用回数が必要です。
また、外部アンテナを使うことは許されていません。デジタル簡易無線と違って秘話機能などはなく、業務で使用する場合は注意が必要です。
使える周波数は8つ
CB無線で使用できる周波数は26.968MHz、26.976MHz、27.040MHz、27.080MHz、27.088MHz、27.112MHz、27.120MHz、27.144MHzの8つです。
なお、念のために書きますと、CB無線機で使えるのはこれら26から27MHzのみで、現在のアマチュア無線で使えるのは28MHz帯ですので両者で交信はできません。
CB無線の注意点
- 送信出力は最大0.5Wまで。
- 使える周波数は8チャンネルまで。
- 空中線は本体付属のもののみで、アマチュア無線のように外部アンテナは禁止。
- 秘話機能はない。
以上の点に注意が必要です。
CB無線が根強い人気の理由
最大0.5Wの微弱な送信出力しか認められないCB無線でも、開けた海上であれば、50キロ~100キロほどの遠距離間での交信はそう難しくありませんが、市街地での交信距離は短いものです。
ところが、電波を大気中の疑似的な導管に通す『ラジオダクト』や、とくに7月から8月の夏場に発生するEスポなど、電波伝播のコンディションの良いシーズンを狙えば、とたんに交信距離は1000キロ越えもざらで、北海道と沖縄ほどの長距離でも交信できてしまうのです。
一般的な業務無線の交信では、このような異常伝搬が発生すると”正常”な通信ができませんから非常に厄介です。例えばアナログ時代の警察無線ではある県警の無線交信に別の県警の無線交信が被ってしまい、正常な交信が妨げられました。しかし、逆にアマチュア無線のHFや、フリーライセンスホビーであるCB無線ではこのような”異常伝搬”こそが1番面白く、実はCB無縁の魅力はそこにあると言っても過言ではありません。そうですよね、ももすけしゃん。

フリーライセンス無線各種。手前はパナソニックが製造販売していた8chCB機RJ-410
したがって、CB無線の根強い人気の理由は、外部アンテナ不要の(※使うこと自体が法的に認められていません)小さなハンディ無線機ながらも、デクニック次第で超遠距離交信(DX)を楽しめるからなのです。
CB無線で遠距離交信する秘訣は?
さて、CB無線で長距離交信ができるのが分かりましたが、成功のために何か秘訣があるのでしょうか。もちろんあります。それは海岸の近くや、河川、水田などの近くで交信をすることです。とはいえ、相手がいなければ交信は成立しません。でも大丈夫。CB無線の移動運用イベントが行われており、事前に告知がされます。特にコンディションの良いシーズンでは8つしかないチャンネルが全て埋まってしまうほどです。
ただ、比較的のんびり、ゆったりとラグチューをするアマチュア無線とはやや違い、気象条件によって繋がるチャンスが少ないので、手短に運用場所とメリット交換のみの交信が多くなりますので、無線機に向かってまくしたてるような早口での交信は、少しせわしないかもしれません。
かつて業務連絡でもCB無線は一般的だった
CB無線は遊びや趣味だけでなく、業務にも使用できることが強みです。現在では業務にはもっと音質が良くて信頼が高く、どこの家電量販店でも手に入る特定小電力無線機を使うので、工事などの屋外で作業を行う業務での利用は激減しています。
しかし、当時CB無線を製造販売していたSONYの広告では工事現場、工場、農場、駐車場、交通整理、森林パトロールなどの業務で自社製品が大活躍していると謳っていましたから、当時はCB無線も業務でのポピュラーな連絡手段だったと言えるでしょう。
当然、アマチュア無線をアマチュア業務外で使うことは法的にできませんから、特定小電力無線など無い当時はCB無線が結構『使い物』になっていた事実があるのです。農場など広大な敷地で業務を行う事業者の業務連絡用無線としてニーズを満たしたのが、合法CB無線だったのです。
その後、昭和57年に業務と遊びのどちらにも使えるパーソナル無線が登場したことで、CB無線は代替されていき、現在ではパーソナル無線も廃止され、その代替はデジタル簡易無線(登録局)となっています。
CB無線はアメリカから
もともと、CB無線はアメリカで始まった無線で、長距離のトラッカーが連絡を取ったり非常時の通信手段としており、アメリカでは今も愛好家が多くいるようです。
悪役らに覆面パトカーの警察無線の指令本部に不正アクセスされていたダイ・ハード4.0では、ハイテクを皮肉ってか
「CB無線はセカイノオワリが来ても使えるよ。俺はこいつで最後まで誰かと話していたい」
というようなセリフが出てきたほどです(ただし、演出で周波数は66.6MHzだった)。
また、CB無線で女性を偽り、トラック運転手に仕返しされる恐怖を描いた映画が『ロードキラー』です。
現在もCB無線機は製造販売されているの?
かつて日本国内のメーカーでは日本電機(NEC)、ナショナル、SONY、ケンウッドなど名だたる大手家電メーカーがCB機を製造販売していましたが、SONYでは2006年に「ICB-87R」の製造を終了し、すでに各社撤退。そのため、長らく国内合法仕様のCB無線機を製造販売する国内メーカーはなく、それらのメーカーの当時のビンテージな中古機をオークションなどで買うのが一般的でした。やはりコンディションの良い個体では数万円の値がつくこともあり、人気の高さが伺えます。
待望の新製品が続々登場!サイエンテックスのCB無線機
近年、なんと新製品のCB無線機が続々登場しました。静岡の計測機器メーカー・株式会社サイエンテックスは2016年に受注生産の卓上型CB無線機『SR-01』に続き、ハンディ型の『JCBT-17A』を製造販売しました。

サイエンテックス製JCBT-17A High performance portable CB Transceiver 画像引用元https://www.scientex.co.jp/citizenband/products/jcbt17a.html
株式会社サイエンテックス公式サイト
SR-01紹介ページ http://www.scientex.co.jp/citizenband/products/sr01.html
JCBT-17A紹介ページ http://www.scientex.co.jp/citizenband/products/jcbt17a.html
さらに、同社のエンジニアが独立して設立されたメーカー・ポラリスプレシジョンからは「Blackbird」、また兵庫の西無線研究所からはハンディ型「NTS111」が発売されています。
過去にはCB無線が社会問題になった
このように国内メーカーから正規で販売された国内仕様CB無線機を使用することは合法であり、当時何ら問題がありませんでした。しかし、社会問題とも言える大きなトラブルをもCB無線は引き起こしました。ただし、それは合法CB無線機自体がもたらしたのではなく、高出力に不正改造されたCB無線機や国外向けのCB無線機、そして一部の利用者が原因だったのです。
先述したとおり、CB無線という制度はアメリカで始まったものです。日本のメーカーもアメリカ向けの国外仕様を製造販売していました。その国外向けのCB機が日本国内にアメリカ仕様のままで輸入されたことから、周波数の違いで大きな問題となりました。現在もアメリカ向けのCB機を日本国内で使うと違法になりますので注意が必要です。
合法、非合法含めてCB無線では以下のような諸々の問題が発生しました。
チャンネルの占有行為
まず、合法的なCB無線で発生したのが一部の利用側のマナー違反たる”チャンネルの占有行為”です。
CB無線は昭和50年代に学生を中心に爆発的な人気となりましたが、一方で人気が過熱して利用者が急増したため、少ない8つのチャンネル数を巡って、利用者の間で奪い合いと占有行為がたびたび発生。
地域によっては、マナーの悪いCB無線クラブがチャンネルを占有しており、一見使っていないチャンネルでも常に留守番役が聴取しており、自分らのグループに属さない利用者が使おうものなら、嫌がらせをして追い出したのです。
さらにはその「チャンネルの保護(占有)」に利権を見出したいわゆる反社会勢力が登場。そのようなある種の任意団体に面倒を見てもらっているクラブは『会費』名目の上納金を毎月納めなければなりませんでした。
このようなCB無線でのチャンネル争いは、のちのパーソナル無線でも受け継がれましたが、そのような側面から、CB無線には独特の専門用語があり、とくにトラッカーが好んでこれらの用語を使用していました。一部はアマチュア無線用語とかぶっていたり、正規のハムが使用していたり、派生している用語もあります。
食事を「ポンポコチャージ」、乗用車を「レジャッコ」など、用語自体は面白くても、その歴史には良くない過去があり、アマチュア無線などではOMに眉をひそめられ、ご指導ご鞭撻キツイヤツイッパツ受けることもありますから、使用は推奨されません。
そして、この窮屈なチャンネル数や、それらの占有行為に嫌気がさした一部の人たちは、より多くのチャンネル数を持つアメリカ仕様のCB無線機を電波法に反して使うようになりました。
※参考書籍 早わかりパーソナル無線 梅原敦 著
違法CB無線による大出力送信で電波障害や火災の誘発が発生
また、CB無線はチャンネル占有に端を発する問題のほかにも、改造されたCB無線機から発せられる高出力の電波、電波法で認められていないアンテナによる深刻な電波障害も引き起こしました。
とくに主要道路の付近では、民家のテレビからトラック野郎の声が聞こえたり、電源も入れていないラジカセのスピーカーから声が聞こえたりなどして、心霊現象ではないかと騒ぎになり住民を恐怖に陥れました。
また、ファンヒーターや電気ストーブのスイッチが勝手に入ることで火災になった例もあります。
参考サイト様
http://www.ne.jp/asahi/yokohama/cwl/word.html
CB無線のまとめ
現在では、昭和50年代の最盛期と比べるまでもありませんが、気軽に楽しめるフリーライセンス無線として、著名なメンターに触発された若い世代の方たちが興味を持って始める例が増えており、静かなブームとなっています。
https://www.excite.co.jp/news/article/Radiolife_30729/
CB無線はダクト現象といった電波の異常伝搬やEスポなどの特定の気象現象による遠距離交信が醍醐味と言えますが、そのようなコンディションが良くなくとも、標高の高い山で運用を行えば400キロは飛びます。
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