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アマチュア無線の資格を苦労して取ったあなたは、早速誰かと無線でお話がしたいはずです。局免が手元に届いたら、その時点で正当に電波を発射しても許されます。FBなラグチューをさっそくはじめてみましょう。
アマチュア無線の交信をQSOと呼び、とくに楽しいおしゃべりをラグチューと呼びますが、もともと英語の「Chew the rag」が語源で、なぜか日本ではひっくりかえされて「ラグチュー」になりました。
気軽に会話して楽しむのが、ラグチュー本来の楽しみ方なので、肩ひじ張らずにとりあえず、144MHzや430MHzでご近所のハムと気軽にお話ししませんか。
144MHzや430MHzは特別、テクニックが必要なわけではありませんから、入門に最適です。ただ、送信出力や電離層の状態によっても変化しますが、見通し距離内の交信が基本ですので高い山の上でも届いて数百キロがよいところでしょう。
アマチュア無線を実際に運用しよう!
それでは誰かを呼び出したり、誰かの呼び出しに応える「CQ(シーキュー)」を出す、応答するという基本的な手順を記述いたします。

写真はシャック(無線室)の一例。外国と交信するにはこれくらいの無線機が必要。
もし、外国のハムと交信をしてみたい場合は低い周波数、短波帯の出番です。短波帯はテクニックが必要ですから、初心者には144MHzや430MHzが最適です。それでは交信方法を解説します。
さっそくアマチュア無線で誰かと交信したい場合、どうやるの?まずはCQだっ!
まずは以下の二つのどちらかを行いましょう。
- 自分でCQを出す
- CQを出している局に自分が応答する
アマチュア無線を始めて間もないころは相手が見つかったうれしさのあまり、そのままラグチュウに突入しがちです。しかし、まずはコールサインをお互い確実に交換し、RSリポート交換も必ずしましょう。
それが終わったならば、あとは運用規則に則っている限り、自分の名前と現在地、現在の天気を紹介したり無線の話や世間話をしようが大丈夫。なお、してはいけない交信として『アマチュア業務以外の通信』『虚偽の通信』『エッチな内容の通信』『暗号を使った通信』などは禁じられています。総務省に怒られて運用停止になることもあるので絶対にしないでくださいね。
交信証明書、つまりQSLカードの交換の可否を確認したりもしましょう。
免許を取得したあなたの手元には無線機、それに従免と局免があると思いますので、無線機の電源を入れてアンテナがしっかりと繋がっているのを確認したら、とりあえず周波数を144MHzなら145.000MHzに、430なら433.000MHzに合わせてみてください。
時間帯と地域にもよりますが、おそらく、すぐには何も聞こえないと思います。でも、土日はその周波数に合わせたまま、数時間聴取してみてください。誰かが誰かに対する呼び出しを行うはずです。呼出が『CQ』つまり不特定への呼び出しだった場合、その呼び出された相手は今聞いているアナタです。
この呼び出しを行う周波数こそが上に挙げた周波数、その名も「呼び出し周波数」、「メインチャンネル」です。
ここで相手局を呼び出して「サブチャンネル」に移ってから交信するのが、アマチュア無線のルールです。通常はこのメインチャンネルが、アマチュア無線の「待ち合わせロビー」です。
また、145.00MHz、433.00MHzはメインチャンネルのほかに非常通信用周波数としても規定されていますので覚えておいてください。何らかの非常通信が行われる可能性もあるので、その際は通常の通信をやめて、黙ってその通信を聴取するようにと法律で明記されています。
そして非常通信をあなたが傍受して、相手局から警察や消防に通報を依頼されたら、詳しい状況を聞き取ってためらわず通報しましょう。
一方、サブチャンネルとはメイン以外の周波数です。サブチャンネルでラグチューを行います。まずはメインチャンネルでのやり取りを中心に聴取して、アマチュア無線の交信の基本を学ばれてください。
「メインチャンネル(待合室)で呼び出し。おしゃべりは必ずサブチャンネル(個室)で」 と覚えておきましょう。
次はCQについてさらにくわしく解説します。
不特定多数への呼び出しがCQ
CQとは無線通信において、通信可能の範囲内にある不特定多数への呼び出し、あるいはそれらに対する通報を同時に送信しようとするときに用いられる略符号です。
アマチュア無線では不特定のアマチュア局に対しての通信の呼掛け(CQ呼出しまたは一般呼出しと呼ばれる)として用いられ「誰でもよいので交信する相手を探しています」というような意味合いで使われています。
通常、CQは三回以下と規定されていますので、2回でも1回でもOKです。
アマチュア無線では、慣用的にCQの後に周波数帯を周波数、または波長表記でつけることがあります。例えば、「CQツーメーター」や「CQヨンサンマル」などなど。
それでは実際にCQを出してみましょう!
不特定多数の呼び出しを行うCQの手法例として、現在の主流は以下のような手順です。
- まずサブチャンネルの周波数チェックをする。
- 次にメインchでCQを出し、先ほどチェックしたサブchに移ることを宣言し移ってからCQを出す。
- 相手が応答すれば、そのままサブでQSOする。
自分からCQを出す場合はサブチャンネルのチェックを忘れずにしておきましょう。誰も使っていないように静まり返った周波数でも一応念のため「こちらはJ○○○○○。この周波数、どなたかお使いですか」と声を出すと「はいはい。使ってるよー こちらはゴニョゴニョ……(適当なコールサイン)」と、たまに誰かが出てくることもあります。その場合は別の周波数に移りましょう。きちんと周波数が空いているか確認しないと混信が起きてしまいます。混信は主に電波を使った放送や無線通信において、同一周波数あるいは隣接周波数の他局の電波が混じり、正常な受信(視聴や聴取)が困難になることを指します。
昔、アマチュア無線華やかなりしころは周波数がどこも人がいっぱいで争いが起き、周波数の占有も多くありましたが、現在は都市部でもあまりそういったことはないようです。
本来はメインチャンネルでCQを出すのですが、あまりメインを占有したくない人が多いようで、あらかじめサブに移ることを宣言し、サブでCQを出す人ばかりです。
なお、「受信します」の代わりに standing by(スタンディングバイ・・・・・・受信するの意味)と呼ぶこともあります。FMモードでの周波数ステップは20KHzの偶数ステップを使用します。
CQ呼び出しを何度もやると疲れます
何度かCQを出しても応答がなければ、メインに戻り再度CQを出します。でも疲れたら、いったん休んで時間を置いてからまた出すのが得策です。
一方、いわゆる「コンテスト」では、そんな悠長な暇はありません。コンテストとは規定の時間内に、より多くの局と交信することで得点を競い合うアマチュア無線の競技です。コンテストでのCQ呼出しは電話の場合「CQコンテスト」と発します。
コンテストで上位入賞する局は1時間で100局以上と交信することもザラですから、とても口で「CQCQ」と言う体力は続きません。そこで録音した音声でCQを送出することもあります。
もちろん録音でもコンテストの規定に反しません。コンテストの時期になると、名誉と賞状がかかっていますから、尋常ではないほど何度も反復してCQを出している参加局が多くなります。
でも普段の場合はそこまで何度もCQを出す人はいないと思います。多くて4,5回といったところでしょうか。その間に応答がなければ、いったん終了したほうが良いでしょう。
今度はCQを出している局に自分が応答してみましょう。
こちらも緊張してしまいますが、落ち着いて相手のコールサインをメモしてから応答しましょう。間違うと失礼です。間違ったとしても叱り飛ばすような無粋な無線家には会ったことがありません。
例えば以下のようにA局がCQを出して交信相手を探していたとします。
「CQ CQ CQ こちらは(相手のコールサイン)。入感局ございましたらQSOよろしくお願いします。受信します。どうぞ」
もし、あなたの無線機に上のようなCQ呼出が入感したら、下記の様に応答してみてください。
「(相手のコールサイン)。こちらは(あなたのコールサイン)。どうぞ」
そっけない感じですが、あくまで基本例なので、このような感じを基にして、自分なりにアレンジして応答してみてください。相手に電波が届けば、返答があるはずです。もちろん、送信出力などの要因により相手の電波は届いても自局の電波は相手に届いていない場合もありますので、応答してもらえないかもしれません。無視されたとは思わず、めげずにチャレンジしてください。
きっと、最初の交信は忘れられないものとなるでしょう。
RSリポートで電波状態や了解度を知らせて交換しよう!
アマチュア無線の交信でなにはなくとも、まず第一に行わなければならないのが、RSリポートです。
RSリポートとは相手の電波が自分の耳と無線機でどのくらいの信号強度と了解度で受信しているのかを相手に知らせてあげることです。
もちろん、相手からも同じようにRSリポートが返ってきますから「レポート交換」になるわけです。
了解度は自分の耳で判断し、信号強度は無線機の表示されているSメーターを読み上げますが、このRSリポートにはRSTコードという物を通常使用します(Sメーターではなく自分の耳で判断するのが耳Sと言います)。
了解度
R | 説明 |
---|
1: | 了解できない |
2: | かろうじて了解できる |
3: | かなり困難だが了解できる |
4: | 事実上困難なく了解できる |
5: | 完全に了解できる |
信号強度
S | 説明 | |
---|---|---|
1: | 微弱でかろうじて受信できる信号 | |
2: | 大変弱い信号 | |
3: | 弱い信号 | |
4: | 弱いが受信容易な信号 | |
5: | かなり適度な強さの信号 | |
6: | 適度な強さの信号 | |
7: | かなり強い信号 | |
8: | 強い信号 | |
9: | 非常に強い信号 |
引用元http://ja.wikipedia.org/wiki/RSTレポート
完全に相手の音声が理解でき、信号強度が強い場合は『59(ファイブナイン)です』と送ります。
カード交換については以下のページで解説しています。
「ファイナル」で派手に”お開き”宣言しようぜ!
さて、楽しいラグチューを何十分もして、いよいよネタも無くなってきたし、眠たいし、ここらで楽しいQSOも切り上げたいなあ……でも、なんだか相手に悪い気がするし、交信を終わるキッカケがつかめないなあ……と思うこともあるでしょう。
大丈夫。こんな時は交信終了宣言である「ファイナル宣言」をしましょう。アマチュア無線でそろそろ切り上げたいときのお約束の文句です。「では、そろそろこのへんでファイナルをお送りさせていただきます」などのように使用してみてください。ファイナルが送られれば、相手も、そろそろ切り上げ時かな、と理解します。
でも名残惜しいのか、ファイナルを宣言したのに、その後も長々としゃべり続けてしまうことがよくあります。
ハムの世界で「ファイナル」はもう一つの意味があり、無線機の終段回路を指します。俗に言う『ファイナルを飛ばす』は無線機がぶっ壊れたことを意味します。