CH-47J/JAは、航空自衛隊および陸上自衛隊で運用されている大型輸送ヘリコプターです。米ボーイング社が開発したCH-47チヌークの日本向けライセンス生産型で、川崎重工業が製造を担当しています。

この機体は双発タービンエンジンを備え、前後に2枚のメインローターを配置したタンデムローター方式を採用しています。これにより揚力効率が高く、安定した飛行と大きな搭載能力を両立しています。最大で約10トンの貨物、または自衛隊員約50名を輸送することができます。
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CH-47Jの特徴
CH-47J/JAは、最大約50名の隊員や約10トンの物資を搭載可能で、広範囲の人員輸送や大型物資の空輸に対応できる点が大きな特長です。また、タンデムローター方式を採用しており、狭い場所でも安定した離着陸が可能で、山間部や離島への物資輸送にも強みを持っています。

主に人員や物資の輸送、災害派遣時の救援物資輸送などに使用され、特に東日本大震災や熊本地震などの災害対応では、孤立地域への物資投下や負傷者搬送などで重要な役割を果たしました。
その後継型として、航法装置や通信装備を改良したCH-47JAも導入されています。こちらは航続距離が延び、夜間や悪天候下での運用能力も向上しています。
なお、前任機はV-107です。

高い輸送能力
CH-47J/JAは自衛隊の大型輸送ヘリコプターとして、機体の搭載能力は非常に高く、優れた輸送能力を誇ります。

人員輸送では、最大で約50名の隊員を一度に輸送することが可能です。また、車両や大型資材の空輸にも対応できます。たとえば、軽装甲車や救援物資を一度に運ぶことができるため、災害発生時には孤立地域への物資投下や、迅速な人員輸送に非常に役立ちます。加えて、機外での吊り下げ輸送(スリング輸送)が可能で、橋や道路が破壊された地域、離島や山間部など、道路や鉄道が使えない地域での部隊展開に非常に有効です。

貨物輸送においても、CH-47J/JAは最大で約10トンもの重量物を搭載できます。車両や大型資材、食料や医療物資などをまとめて運ぶことができるため、災害時や訓練時に効率的な補給活動が可能です。また、機体内部だけでなく、外部に吊り下げて輸送するスリング輸送にも対応しています。これにより、橋や道路が破壊されている地域でも、ヘリから直接物資を投下することが可能です。
長い航続距離
さらに、CH-47J/JAは巡航速度が約265km/hと、高速での長距離飛行が可能です。UH-1Jでは同約201km/h、UH-60JAでは同約240km/hとなっていますから、1回の飛行で広範囲の地域に人員や物資を高速輸送できる点も大きな特徴です。これにより、災害時や大規模な訓練での迅速な対応力が飛躍的に向上しています。
こうした高い輸送能力と航続距離は陸上自衛隊にとって、迅速かつ効率的に任務を遂行するうえで欠かせない要素であるため、重宝されています。
オスプレイとの比較
防衛省は自衛隊の島嶼防衛能力強化の一環、いわゆる「南西シフト」で政策を進めてきた中で、迅速な部隊展開能力を持つMV-22オスプレイを17機、木更津駐屯地に制式配備しています。
気になるのは、陸自のCH-47Jは将来的にMV-22に代替されるのかという点です。
現状、その計画について防衛省では公表していませんが、オスプレイはヘリコプターと固定翼機の両方の利点を持つ特殊な輸送機であり、CH-47Jとは異なる役割や運用が想定されています。これは、両機種で搭載能力や運用特性が異なるためで、完全な代替は現実的ではありません。
MV-22オスプレイの能力
MV-22オスプレイはこれまでの固定翼機とヘリコプターの特性を併せ持ったティルトローター方式の画期的な航空機です。ローターを垂直にすればヘリコプターと同様に垂直離着陸が可能で、前方に傾ければ固定翼機のように高速巡航ができるため、従来型ヘリよりも速く、長距離の物資輸送や部隊展開が可能です。
搭載能力は、最大で約24名の隊員、または約6トンの物資と、CH-47J/JAに比べると搭載重量は小さいものの、CH-47J/JAの巡航速度が約265km/h、航続距離は1,000kmであるのに対し、オスプレイは巡航速度が約500km/hと高速で、航続距離は約2,000kmと、CH-47J/JAのおよそ2倍です。これにより、空中給油や着陸しての燃料補給を行わずに長距離輸送が可能であり、離島や遠隔地への迅速展開に適しています。
オスプレイは、狭い着陸区域や地形の制約がある地域でも運用可能であることが特徴です。夜間や悪天候下でも飛行できるよう、航法装置や通信装置が装備されています。これにより、隊員や物資の輸送を安全かつ確実に行えます。
この夜間飛行能力は飛行場のない離島での深夜における患者発生時の災害派遣任務でも期待されています。
2025年現在、CH-47Jは既存の輸送任務を継続するとみられる
総じて、MV-22オスプレイは「高速移動」「長距離輸送」「狭地離着陸」の性能に特化した輸送機で、航続距離や速度においてCH-47J/JAを上回る性能を持ちます。しかし、搭載可能な重量はCH-47J/JAよりもやや小さく、大型物資や車両をまとめて運ぶ場合には、依然としてCH-47J/JAの優位性が際立ちます。
将来的には、オスプレイのさらなる導入により陸自の輸送戦力は拡充されるものと見られますが、CH-47J/JAは搭載量の大きさや既存の運用ノウハウを活かし、災害派遣や日常的な物資輸送など、従来型ヘリが得意とする任務を担い続けることが想定されます。
したがって、両機種を併用することで、速さと積載量、運用柔軟性のバランスを保ちながら、自衛隊の輸送・災害派遣任務など、幅広い要求に対応できる運用体制が確立されると考えられます。
さらに、CH-47J/JAは長年の運用実績から災害派遣や輸送任務における運用ノウハウが蓄積されており、東日本大震災や熊本地震などの災害現場では、孤立地域への物資投下や負傷者搬送で迅速な対応を可能にしてきました。
まとめ

陸上自衛隊が運用するCH-47J/JA大型輸送ヘリコプターは、今後オスプレイ(MV-22)が導入されても、災害派遣や輸送任務の現場で重要な役割を果たし続ける機体です。
陸上自衛隊ではオスプレイ導入後も、災害支援や大規模輸送などオスプレイだけでは補いきれない任務において、依然として従来型ヘリのCH-47J/JAの運用経験が活かされ、両機種の特性を活かした柔軟な並行配備と運用がされるものと見られます。