特殊警備隊SST……警察のSATに相当する海上保安庁の切り札
海上保安庁の特殊部隊はSSTと呼ばれ、都道府県警察SAT同様に全身黒尽くめの本格的なスタイルで、シグ・ザウエルのP228自動けん銃やMP5サブマシンガン、特殊警棒、フラッシュバン、さらに89式小銃を配備し、テロ対策などに投入されます。近年では原子力発電所に対するテロの脅威を受け、警察や自衛隊とも合同訓練を行っています。
SSTは主に海上テロ事案、シージャック事案(船舶に対するハイジャック)、海上犯罪、爆発物処理などに対処する目的で編制された海上保安庁の最精鋭部隊です。
海上保安庁では「関西国際空港海上警備隊」とあかつき丸警備のための特別な部隊、「輸送船警乗隊」を過去において編成していましたが、これらの部隊が実質的なSSTの前身部隊となっています。
特別警備隊が警察の機動隊に相当するなら、この特殊警備隊SSTは警察のSATに相当しますから、もはや海上保安庁の切り札と言ってもよいでしょう。
SSTは第五管区大阪特殊警備基地を活動拠点としており、24時間体制でテロや、ハイジャックに備える一方、普段は全国の保安署などに出向いて、隊員への教導も行います。
また海上テロ事案ばかりでなく、隊員の潜水能力や高い身体能力を活かしてを救難任務にも出動することが警察のSATと異なっています。
こういった事情から警察や自衛隊の特殊部隊と比べて、比較的出動回数が多く、場数を踏んでいるものと目されています。ほかに、マラッカ海峡における海賊対処といった実績もあります。
SSTの訓練
SSTは主に海上テロ事案、シージャック事案(船舶に対するハイジャック)、海上犯罪、爆発物処理などに対処しますから、一般の保安官よりも優れた判断力、知性、体力、特別な死生観が必要です。
そのため、SSTでは、一般保安官とは比べ物にならない厳しい潜水訓練、武道訓練、レンジャー訓練、ヘリコプターからの降下訓練などを実施しています。
また、特に東京といった都市圏のエネルギー関連施設さらには原子力発電所など、海に面した重要な施設がテロの標的となることも考えられることから、特殊警備隊ではいかような事態にも対応できるように多様な訓練行っているのが現状です。
SSTの武装
シグ・ザウエルP228という自動式けん銃をはじめ、警察や自衛隊でも配備されている89式自動小銃や、MP5短機関銃も使用しています。
特別警備隊は警察の機動隊に相当
一方、特殊警備隊とは別に特別警備隊という部隊も編成されており、こちらは大規模な警備事案に投入される海上保安庁版の機動隊です。
ただし、部隊として編成されておらず、便宜上の名称です。さらに精鋭部隊である特殊警備隊とは異なり、女性隊員も配属されています。
特別警備隊の武装
特別警備隊では特殊警棒やけん銃のほか、盾や、SSTも使用する89式自動小銃も配備されています。