日本の警察で主流の回転式けん銃は構造上、内部に安全装置(インターナル・セーフティ)を組み込むことで、シンプルかつ堅牢な設計である。
回転式けん銃ではセミオート方式と異なり、マニュアルセーフティを搭載しない設計が2025年現在も主流である。
また、セミオート方式に比べ安全とされる理由は、トリガープルの重さにある。トリガーに指をかけない限り暴発のリスクが比較的低いという利点がある。

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リボルバーが「比較的安全」とされる理由
たとえば、日本の警察庁が1960年から配備している国産けん銃・ニューナンブ M60(ミネベア)などの『回転式けん銃(リボルバー)』は、暴発事故や誤射事故の報告が極めて少ないことから、2025年現在も主に地域警察官の装備品として標準化されている。
これに対して、2000年代以降、導入された一部のセミオートピストルでは、操作ミスによる事故が報告されている。
近年の事例では2024年に愛知県警の捜査員が自動式拳銃を誤射している。
6日未明、愛知県警の33歳の警察官が滋賀県内の警察施設の駐車場で拳銃を装着するための準備をしていたところ、安全確認の手順を誤り、銃弾1発を暴発させました。
下に向けて発射されていてけが人はいませんでした。6日午前1時半ごろ、滋賀県守山市にある運転免許センターの駐車場で愛知県警の33歳の巡査部長が自動式拳銃を腰に装着するための準備中に銃弾1発を暴発させました。
巡査部長は当時、窃盗事件の容疑者の逮捕に向かうところで、周囲には別の捜査員30人がいましたが、下に向けて発射されたため銃弾は地面にあたり、けが人はいませんでした。参照元:NHK 東海 NEWS WEB 愛知県警警察官の拳銃が暴発 けが人なし 滋賀県内警察施設で https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20240906/3000037432.html
欧米諸国では現在、回転式けん銃は警察用けん銃としてはすでに主流から外れており、自動式けん銃(オートマチック・ピストル)が主力となって久しい。
自動式にはマニュアル・セイフティを備えた設計も多いが、グロックのように主な安全管理を内部安全機構のみに頼る「セイフティレス」設計が広まりつつあり、日本の回転式けん銃が採る設計方針は、現在のグローバルな安全思想とも一定の共通点を持つといえる。
ただし、グロックやSFP9などは標準で「トリガーセイフティ」を設けており、これは事実上のマニュアルセイフティとして機能している。
そして、トリガーセイフティまで廃したモデルが、米軍の現用制式拳銃「SIG P320」である。
トリガーセイフティを配したことが原因か不明だが、同モデルを巡っては、暴発問題が取り沙汰されている。
ただし、アメリカでも回転式けん銃の使用が一定数継続している。
例えば、米国内における非番警官の携行銃としての利用である。
その背景には、安全性・操作の単純さ・信頼性といった特性が存在しており、とりわけ「比較的安全である」との評価は構造的特徴に基づく。
リボルバーの作動方式と安全性

1. トリガープルの重さと長さ
とりわけ、リボルバーが比較的安全であるとの評価は撃発機構の特徴に基づく。
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ダブルアクションリボルバーでは、トリガーを引くと同時にハンマーを後退させ、最後に撃発するという仕組みになっているため、トリガーの操作が重く、長い。
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これにより、意図せぬ発射(暴発)を起こしにくい。つまり、トリガーにしっかりと指をかけ、力を加えない限り、簡単には作動しない。
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セミオートピストルのシングルアクションやグロックなどのストライカー方式に比べて、誤操作のリスクが物理的に低い。
2. 構造がシンプル
回転式けん銃は、装填された弾薬がシリンダー内で個別に保持され、トリガーを引くごとにシリンダーが回転し、次弾を撃発位置に送り込むという極めて単純なメカニズムを採用している。
内部機構が露出しておらず、意図的な操作を行わない限り暴発の可能性が低い。
一方、米国警察の運用では、セミオートピストルはチャンバー内に弾薬が装填されている状態で携行されることが多く、機構的に一発目が非常に即応性が高い一方で、引き金の不意な接触や落下時の衝撃などに対して、リボルバーより、危うい構造でもある。
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リボルバーにはスライド機構や給弾・排莢のメカニズムがなく、動作が機械的に単純。これにより、ジャム(装填不良)や二重給弾などのトラブルがほぼ存在しない。
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弾薬に問題があっても、トリガーを再度引くだけで次の別の弾丸を発射できる(=撃ち損じの回避が容易)。セミオートではスライドを引いて不良弾を排出し、再装填が必要。
3. 不意の作動を起こす部品が少ない
さらに、セミオートピストルはモデルによって、デコッキングレバーやセーフティの操作を必要とし、それを使用者が正しく理解していないと安全管理上のリスクとなる。
一方、リボルバーにはそのような安全装置がなく、物理的にハンマーが下がっていなければ発射されないという構造が、安全性に寄与している。
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セミオートには、スライドストップ、セーフティ(兼デコッキング)レバー、グリップセーフティなど多数の可動部品があり、状況によってはそれらが原因で想定外の作動をすることもある。
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一方、リボルバーではセーフティ機構そのものが存在しない設計が標準であり、物理的に誤作動しにくいという構造的利点がある。
4. 携行中に暴発しにくい
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ダブルアクションで携行していても、ハンマーが内部にある(センターファイアの内部撃発方式)リボルバーであれば、落下や衝撃で暴発する危険は極めて低い。
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また、リボルバーはトリガーに指がかからない限り、ほぼ動かない。
🛑 注意点(リボルバーも完全に「安全」ではない)
ただし、以下の状態下にあれば、リボルバーも安全ではない。
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シングルアクションでコックした状態で携行(セミオート並あるいはそれより軽いトリガープルで撃発する)。
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落下耐性のない古いモデル(撃針が直接雷管に当たっており、衝撃で暴発する可能性がある)。
以下の参考動画では、スミス&ウェッソン製リボルバーの内部構造と安全機構について詳しく解説されている。
補足
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一部の近代リボルバーでは、内部ロック機構(鍵を使ってトリガーやハンマーを固定)が組み込まれる例もあるが、これは「安全装置」とは別扱いで、保管時の安全管理目的であり、即応性の求められる公的機関では採用されにくい。
誤った取り扱いでの事故例
千葉県警では弾丸の装填中に誤射する事故が発生している。
ただし、『回転式拳銃』では弾丸の装填中に誤射は起きないため、SNS上では疑問を指摘する声も多い。
結論
回転式けん銃が安全である理由は、その構造が単純かつ視覚的に明確であり、意図しない発射を防ぎやすいという点にある。
リボルバーは、装填状況が一目で確認できるという点で優れている。
シリンダーを開けば、弾が何発入っているかは明確であり、初心者であっても安全確認が視覚的に可能である。
これに対し、セミオートピストルでは、マガジンを抜いてもチャンバー内に実包が残っている可能性がある。
安全確認にはスライドを引く操作が不可欠であり、操作ミスによる「抜いたつもりでも弾が残っていた」という事故が現実に複数発生している。
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セミオートピストルの即応性・装弾数の多さ・近代化された利点は否定できないが、操作に習熟しなければ安全性が十分に担保されないという側面もある。
したがって、人命を扱う現場においては「安全性の高さ」こそが装備選定の最上位にあるべき要件であり、回転式けん銃はその観点で依然として信頼されていると言える。
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