日本の警察用けん銃といえば、長らくニューナンブM60やSIG P230といったリボルバーおよび小型自動拳銃が主力を占めてきました。
しかし近年、「第一線で勤務する地域警察官の装備として、5発装填の回転式拳銃で十分なのか」という議論が各方面で見られるようになりました。その流れの中で大きな転機となったのが、2020年東京オリンピック・パラリンピック警備です。
同大会の警備では、警視庁の地域警察官に対してグロック45が配備されました。

グロック45については別記事で詳しく解説していますが、一部報道によれば、警視庁では比較的短期間の運用にとどまった一方、大阪府警察では地域部門を中心に大規模な配備が行われたとされています。
そして、この東京オリンピック警備における警察けん銃の近代化という流れの中で、もう一つ注目すべき新装備が確認されました。
それが、ドイツの銃器メーカーH&K(ヘッケラー&コッホ)が開発した自動拳銃「SFP9」です。
SFP9は、日本の警察組織としては初めて導入が確認されたH&K製ストライカー方式拳銃であり、2020年から自衛隊が新拳銃として採用したSFP9とは異なる仕様(バリエーション)である可能性も指摘されています。
果たして警察仕様のSFP9はどのような特徴を持つのでしょうか。自衛隊向けモデルとの違いなど、公開情報をもとに検証してみます。
ここで掲載している情報は表現の自由における一般的な報道・評論の範囲に留まります。また、この記事には特定のけん銃モデルの説明文において、可能な限り出典を明示しておりますが、一部に個人の主観的表現やフィクション作品の例を用いた修辞が含まれている場合があります。
北海道内で確認された警察向けSFP9(VP9)の配備
警察向けSFP9の実戦配備を早い段階で報じたのは、警察車両ファンとして知られるエスハイ氏でした。
2021年6月、同氏が公開した写真には、北海道内で活動中とみられる警察部隊員が写っており、その腰にはドイツ製自動拳銃H&K SFP9が確認できます。
分野外ですが、初めてじっくり拳銃を見た気がする。 聞くところによると新しいモデルとのこと。 pic.twitter.com/AlWSNu5GYr
— エスハイ (@esuhai1991p) June 16, 2021
撮影時の詳細な状況については公表されていませんが、写真に写る隊員らは明るい青色の出動服を着用しており、一般的な制服警察官とは異なる装備体系で活動していたことがうかがえます。
所属部隊については公式発表がないため断定はできませんが、装備や服装から判断すると、機動隊系統の銃器対策部隊、いわゆる「銃対」の隊員であった可能性が考えられます。
さらに注目されるのが、隊員らの背後に写る黒色のトヨタ・ランドクルーザー200系です。

警察における黒色の200系ランドクルーザーは、機動隊の銃器対策部隊などで運用される小型遊撃車として知られています。平時は空港や原子力関連施設などの重要防護対象施設の警戒任務に従事するほか、大規模イベント警備や銃器使用事案への初動対応にも投入されます。
そのため、SFP9を装備した隊員と黒色ランドクルーザーの組み合わせは、銃器対策部隊による警備活動の一場面であった可能性を示唆しています。
写真で確認されたSFP9は、東京オリンピック・パラリンピック警備を契機として導入されたとみられるモデルです。
ドイツの地方紙『ブラックフォレスト・ボーテ(Schwarzwälder Bote)』は2020年、日本の警察当局向けとして約2,000丁のSFP9が納入されたと報じています。公開写真は、その導入実態を裏付ける数少ない事例の一つとして注目されています。
『彼ら(HK社)はまた、成功したSFP9モデルのけん銃2,000丁を日本の警察に納入したことを誇りに思っています。これらは来夏のオリンピックの安全確保のために特別に使用されます』
すなわち、今回のSFP9はまさに”東京オリンピック警備公式けん銃”というわけです。
H&K SFP9(VP9)の性能は
日本の警察が新たな装備を導入する際には、一般にコスト、性能、安全性といった要素が重視されます。

そういった観点から、従来は回転式拳銃を主流としていた警察ですが、なぜストライカー方式のH&K SFP9を選定したのでしょうか。
もちろん、装備選定の詳細な経緯は公表されていないため断定はできません。しかし、その背景の一つとして考えられるのが、国内公的機関における先行採用実績です。

防衛省は長年にわたり「9mm拳銃(SIG P220)」を制式拳銃として運用してきましたが、その後継として新型拳銃の選定を進め、2020年度から「9mm拳銃SFP9(H&K VP9)」の調達を開始しました。

警察と自衛隊では任務内容や運用思想が大きく異なるため、採用理由を単純に比較することはできません。
しかし、同じドイツ製ストライカー方式拳銃が日本国内の公的機関で先行採用されていたことは、警察による装備評価や調達検討において一定の参考材料になった可能性があります。
特にSFP9は、欧州を中心に法執行機関や軍事組織で広く採用実績を持つ現用拳銃です。さらに、自衛隊向け調達によって国内での整備体制や部品供給体制の構築が進められていたことも、結果的に警察側にとって導入しやすい環境を形成した要素の一つだったかもしれません。
少なくとも、警察によるSFP9導入が検討された時期には、すでに防衛省が同銃の調達を開始しており、日本国内において「公的機関採用済みの最新拳銃」という実績を有していたことは事実です。
日本の警察・自衛隊が相次いで採用した「SFP9」とはどのような拳銃か
SFP9(海外市場名:VP9)は、ドイツの銃器メーカーH&K(ヘッケラー&コッホ)が2014年に発表した9mm口径のストライカー方式自動拳銃です。
近年の法執行機関向け拳銃市場では、オーストリアのグロックシリーズ、アメリカのS&W M&Pシリーズ、訴訟事案多発のSIG P320シリーズなどと並ぶ代表的な現用拳銃の一つとして知られています。
SFP9最大の特徴は、軽量なポリマーフレームと撃針内蔵式のストライカー機構を組み合わせた設計にあります。従来のハンマー式拳銃と比較して部品点数を削減できるほか、操作系の単純化や携行性の向上が図られており、世界各国の軍・警察機関で採用が進みました。
そのルーツをたどると、1990年代にH&Kが開発した大型拳銃Mark 23に行き着きます。
Mark 23は、米特殊作戦軍(SOCOM)の要求に基づいて開発された攻撃的用途向けの大型拳銃でした。H&Kはその技術を応用し、より汎用的な軍・警察向け拳銃としてUSP(Universal Self-loading Pistol)シリーズを開発します。
これが原型となり、民間・法執行・軍用市場向けにスケールダウンしたのが、1993年に登場したUSP(Universal Self-loading Pistol)シリーズです。

USPは、高い耐久性と信頼性を評価され、各国の軍隊や法執行機関に広く採用されました。日本でも自衛隊の特殊作戦群や警察のSATなど、一部の特殊部隊でH&K製拳銃が運用されていることが知られています。
しかし2000年代以降になると、拳銃市場では従来主流だったハンマー方式から、グロックに代表されるストライカー方式への移行が進みます。

ストライカー方式は構造が比較的単純で、射撃時のトリガーフィーリングを一定にしやすく、訓練負担の軽減や迅速な射撃動作に有利と考えられていました。
次世代型ストライカー拳銃SFP9
こうした市場の変化を受け、H&Kも従来のUSPやP30系列とは異なる新世代ストライカー拳銃の開発に着手しました。その成果として2014年に発表されたのが、VP9(欧州名:SFP9)です。
世界の軍・警察市場におけるストライカー方式拳銃への移行の主な理由として、以下のような点が挙げられます。
・部品点数が比較的少なく、軽量化しやすいこと
・グリップを細く設計しやすく、さまざまな手の大きさに対応できること
・トリガー操作が毎回一定で、射撃訓練を標準化しやすいこと
・近代的な内部安全機構により、外部セイフティレバーを省略しても十分な安全性を確保できること
SFP9もこうした設計思想に基づいて開発されており、グロックシリーズなど現代の主流拳銃と同様に、ポリマーフレームとストライカー撃発方式を採用しています。
なお、欧州やカナダ市場では「SFP9」、アメリカ市場では「VP9」の名称で販売されていますが、基本的には同一の拳銃です。
VPとは「VolksPistole(フォルクスピストーレ)」の略で、日本語に直訳すると「国民拳銃」あるいは「人民拳銃」といった意味になります。もっとも、ここでいう「人民」は政治的な意味ではなく、「多くの人が扱いやすい汎用拳銃」というニュアンスに近いものです。
ちなみにUSPも「Universal Self-loading Pistol(汎用自動拳銃)」の略称であり、いかにもH&Kらしい機能重視のネーミングと言えるでしょう。
SFP9の特徴としては、ポリマーフレームやストライカー機構に加え、「チャージングサポート」と呼ばれるスライド後部の突起が挙げられます。これによりスライド操作時のグリップ性が向上し、装填や薬室確認を行いやすくなっています。
革新的な新機能を多数盛り込んだ拳銃ではありませんが、信頼性・操作性・射撃性能を高いレベルでバランスさせた現代的なサービスピストルとして評価されています。
実際、SFP9へ更新された陸上自衛隊では、旧制式拳銃である9mm拳銃(SIG P220)と比較して「扱いやすくなった」「射撃しやすくなった」といった評価も聞かれます。こうした実用面での向上が、警察や自衛隊が採用を進めた理由の一つなのかもしれません。
ほとんどの射手がSFP9(写真下)の高性能に軍配を上げていた
出典元 https://armsweb.jp/report/3294.html
なお、警備部では同じくH&K社のP2000を配備。

現在のH&K拳銃ラインナップ
なお現在のH&K拳銃ラインナップは、大まかに次のような棲み分けが行われています。
・SFP9(VP9)系列
現在の主力ストライカー拳銃です。欧州各国の警察機関や法執行機関で採用が進み、H&Kを代表する現用モデルとなっています。
・USP系列
伝統的なDA/SAハンマー方式拳銃です。長年の採用実績を持ち、既存ユーザー向けに現在も供給が継続されています。
・USP Tactical/Mark 23
特殊部隊向けモデルです。サプレッサー運用や特殊任務を想定した仕様となっており、日本でも一部特殊部隊での運用が知られています。
・P30系列
SFP9登場以前の次世代モデルとして位置付けられるシリーズです。DA/SA方式のほか、H&K独自のLEMトリガー仕様も選択できます。
このように現在のH&Kは、新規採用市場向けの主力製品としてSFP9系列を前面に押し出しており、同社の拳銃ラインナップの中核を担っています。
SFP9に大規模な安全性問題は確認されていない
H&K製SFP9(海外名VP9)については、2026年現在、設計上の重大な欠陥に起因する大規模なリコールや、安全性を巡る大きな論争は確認されていません。
SFP9はプリコック式のストライカー撃発機構を採用しており、トリガーセイフティ、撃針安全装置、落下安全装置など複数の安全機構を備えています。
これらの機構により、トリガーが意図的に引かれない限り撃発しない設計となっており、携行時や落下時の安全性に配慮されています。
また、分解手順にも安全対策が盛り込まれていることが特徴です。SFP9はマガジンを抜いた状態ではスライドが後退位置で保持される構造を採用しており、使用者が薬室確認を行いやすいよう工夫されています。
こうした設計思想は、グロックが普及させたストライカー方式拳銃の安全設計とも共通する部分があります。グロックの「セイフ・アクション」システムについては、別記事で詳しく解説しています。

もちろん、あらゆる拳銃と同様に誤操作や取り扱いミスによる事故の可能性はあります。しかし現時点で確認できる公開情報を見る限り、SFP9については特定モデルに起因する大規模な安全性問題や、広範な暴発事案が社会問題化した事例は確認されていません。
そのためSFP9は、総じて高い安全性と信頼性を備えた各国の軍・警察機関で採用実績を持つ現代的なサービスピストルの一つと評価されています。
ただし、SFP9の取扱説明書では、「装填された状態での取り扱いにおいて、外的要因により意図しない発射が発生する可能性がある」と警告しており、使用者に対して注意を促しています。
https://www.heckler-koch.com/Downloads/Bedienungsanleitungen%20Jagd%20und%20Sport/Pistolen/EN/SFP9_SFP40%20OM%20%28EN%29%20976885%20013.0721.pdf
ストライカー式オートの世界標準たる「グロック」ではなく「SFP9」を選んだ理由は?
自衛隊もそうですが、日本の警察がストライカー方式の拳銃を大量に配備するのは、これまで配備してきた拳銃(外部ハンマー方式)のタイプを鑑みれば、いささか驚きを隠せない見方もあるようです。

しかし、この見方は現在では過去のものになったとするのも事実です。
つまり、ストライカー方式だからと言って、外部ハンマー方式より暴発しにくいということはないのです。
ストライカー方式の特徴
「ハンマー方式とストライカー方式のどちらが安全なのか」という議論はしばしば見られます。
しかし、暴発や事故の発生率について、原因別に「ハンマー式かストライカー式か」で分類した大規模かつ信頼性の高い公的統計は、筆者の知る限り確認できません。
そのため、この分野における評価は主として設計思想や技術的特徴、そして各国の軍・法執行機関における運用実績の蓄積に基づいて行われています。
一般論として、現代のストライカー方式拳銃は以下のような安全設計を採用しています。
・撃針が前進するまでに複数の内部安全装置が介在し、落下や衝撃による意図しない撃発を防止する
・露出したハンマーを持たないため、ハンマー周辺部品に起因するトラブル要因を排除できる
・撃針ブロック(ファイアリングピンセイフティ)により、トリガーが適切に操作されない限り撃針が前進できない
・機構が比較的単純で、部品点数を削減しやすい
実際、グロックやSFP9をはじめとする現代のストライカー方式拳銃は、トリガーセイフティ、撃針ブロック、落下安全装置など複数の安全機構を組み合わせた設計を採用しています。H&KもSFP9について、トリガー、撃針、落下安全装置による多重安全機構を特徴として挙げています。
もっとも、「ストライカー方式だから安全」「ハンマー方式だから危険」という単純な話ではありません。
現代の軍・警察向け拳銃では、ハンマー方式・ストライカー方式を問わず高い安全基準が求められており、実際の安全性は個々の設計や品質管理によって大きく左右されます。
その代表例としてしばしば言及されるのがSIG SAUER P320です。P320を巡っては、意図しない発射を主張する訴訟が各国で提起され、安全性を巡る議論が続いています。
一方で、2026年現在の公開情報を見る限り、SFP9については同規模の設計上の論争や大規模リコールは確認されていません。H&K自身も、SFP9を軍・警察向けの主力サービスピストルとして展開しており、多数の法執行機関で採用実績を有しています。
結局のところ、現代の拳銃における安全性は「ハンマー式かストライカー式か」だけで決まるものではありません。しかし、ストライカー方式が世界的な主流となった背景には、シンプルな操作性と多重安全機構を両立しやすいという設計上の利点があることは間違いないでしょう。
① 実は「グロックの試験導入」はあった
そのストライカー方式セミオート・ピストルの先駆けであるグロック。今や全米の警察の3分の2がグロックなのです。
日本の警察機関もグロックを全く無視していたわけではないのです。
✅ 警視庁の地域部で「グロック45」が一時期導入された
前述の通り、今回のオリンピック警備の一環で、警視庁の自動車警ら隊では、地域警察官向けにグロック45が配備されていました。G45は、G17のグリップサイズにG19のスライドを組み合わせたモデルで、「グロック19Xの改良版」とも言われる民間モデルです。

これは、おそらく「グロックを都道県警察の地域部で導入した場合のテスト」だった可能性が高いですが、結果的に警視庁での配備は継続されませんでした。
しかし、2025年になると大阪府警地域部での配備が確認されています。ただし、2026年現在、全国的な採用には至っていません。
② なぜグロックではなくSFP9?(新事実が確定)
しかし、実際に大量導入したのはグロックではなく、SFP9だったという事実は何が理由でしょうか。
🔹 ① セーフティ機構の違い
グロックもSFP9も、オリジナル仕様は親指で操作する外部の安全装置「マニュアルセーフティ」が非搭載で、どちらも外部の安全装置は引き金についたトリガーセーフティのみです。
SFP9(VP9)とグロックの両モデルには、現代のストライカー式拳銃で標準装備となっている「トリガーセーフティ(トリガー安全装置)」が備わっています。
これは、引き金の中央部分に細い“レバー”が一体化しており、正しく指で押し込まない限り、トリガー全体が後退しない仕組みになっています。

HK社から引用した画像
つまり、トリガーの横方向の衝撃やカバンの中で物が当たった程度ではトリガーは動かず、射撃姿勢で正しく指をかけたときだけ作動します。
万が一の落下や、引き金への不用意な接触による暴発を防ぐための非常に重要かつシンプルな安全機構です。これがグロックの「セーフアクション・システム」の基本構造の一部となっています。
一方、H&K SFP9のトリガーセーフティも、基本的な原理はグロックとほぼ同様です。こちらもトリガー中央にセーフティレバーが組み込まれ、正しい操作が行われたときにのみトリガーが引ける仕組みになっています。
ただし、H&Kはこの部分の作動感や指への感触を少しマイルドに仕上げており、わずかに違和感の少ない操作感を意識しています。
また、SFP9は内部にも複数の落下安全装置を備えており、外部からの衝撃や振動でストライカーが作動することを防いでいます。
このように、どちらも「ストライカー式+トリガーセーフティ」という基本構造は同じですが、細部の作動感や設計思想にメーカーごとの違いが現れているのが特徴です。
結果として、ユーザーはどちらのモデルでも安全かつ迅速な射撃が可能となっています。
マニュアルセーフティ
ただし、どちらもまたマニュアルセーフティありのモデルも選択可能です。
そして、日本警察の導入モデルは自衛隊と違い、マニュアルセーフティありの仕様だったのです。
これは驚きですね。自衛隊とは別仕様だった警察のSFP9。
こちらの「第158回 SATマガジン2024年3月号表紙公開 警察のSFP9はサムセフティ付きだった!」動画でSATマガジン編集長が解説されています。

画像引用元 https://www.hkpro.com/threads/vp9-%E2%89%A0-sfp9-what-are-the-differences-between-these-two-models.416322/
フレーム後方にレバーが追加設置されていますが、これがマニュアルセイフティです。
日本の警察は「安全管理が厳しい」ため、やはり、マニュアルセイフティによる確実な安全性が評価された可能性があります。
同じくオプションでマニュアルセイフティのついたグロックよりも確実だった可能性があります。
マニュアル・セイフティを後付けさせた・・といえば、P230がありますね。

🔹 ② グロックの「グリップ角」が合わなかった?
グロックは設計思想による独特のグリップ角があり、とくにリボルバー慣れした手には「撃ちにくい」と感じる人もいます。
これが原因で、グロック用のトレーニングを受けないと、正しい射撃姿勢で扱えないという問題もあります。
以下の記事で俳優によるダメな射撃姿勢を掲載しています。
参照:グロックとフィクション作品――ハリウッド映画から日本の児童アニメにまで登場する“神格化けん銃”の構図
SFP9はバックストラップ+サイドパネルを交換できるため、「個人の手のサイズに合わせて調整可能」というメリットがあります。
なお、グロックも現行モデルはグリップのバックストラップを交換できます。
🔹 ③「政治的な大人の事情」
グロックはオーストリアですが、SFP9はドイツ。実は、日本の警察は昔からH&Kと関係が深いんです。警視庁のSATはSAP時代にP9Sを配備していたそうです。
政治がらみの考えもあったのかもしれません。ここは妄想です。
なお、自衛隊でベレッタAPX、グロック17、SFP9でトライアルが行われた際、最も価格が安かったのがSFP9だったそうです。警察も価格の点を考慮の一つにした可能性があるかもしれません。
まとめ・・ストライカー・ピストルが大好きになった日本警察
日本警察の長年の安全思想が大きく転換しつつある
このように、日本の警察は長年「ダブルアクション・ハンマー信仰」が非常に強かったなかでの2000丁ものSFP9の導入は意外です。
回転式時代から続く「引き金が重ければ暴発しにくい」という安全文化が大きく影響してきたのですから。
そしてオートに移行してからも、例えばSIG P230や一部のSIG P226やUSPなど、全てDA/SA(ダブルアクション/シングルアクション)という外部ハンマー式でありました。
実際、アメリカの法執行機関(FBI、州警察など)や欧州警察でストライカー式への移行が進んだ最大理由の一つは、この「シンプルな内部安全機構の充実ぶり」にあります。
現代の高品質ストライカー式は、万が一の落下・衝撃・誤操作に対する多重安全機構が精密に設計されており、設計者から見ると「長期使用で部品が摩耗しても安全性を維持しやすい」強みが評価されているのです。
ともかく、日本の警察がけん銃を新しくするのは、アメリカのように「新型出たし、試しに導入しよう」みたいなノリではありません。
「30~40年単位で使えるか?」
「予算に見合った耐久性があるか?」
「とにかく事故が起こらないか?」
こんな感じで、めちゃくちゃ慎重です。さすがにポリマーフレームのけん銃を30年はないと思いますが…。
そのため、グロックが「世界標準」になっていても、「日本で本当に使いやすいのか?」が最優先され、結果として「グロックがダメだった」のではなく、「SFP9の方が適している」と判断されたのでしょう。
いずれにせよ、ヘッケラー&コッホ社が地元新聞に語った声明をそのまま受け取るのであれば、2020年の東京オリンピックを契機に日本警察が導入した約2000丁のSFP9。
その今後の運用については、しばらくの間、銃器マニアの間で注目の話題となりそうです。
もちろん、SFP9を配備したのは警察当局だけでなく、自衛隊も同様ですから、今後は両省庁がそれぞれの運用を通じて知見を共有していくものと思われます。
また、地域警察では「グロック45の導入実績」もあり、今後どこかの段階で再びグロックが候補に浮上する可能性も否定はできません。
しかし現時点では、SFP9もまた「お巡りさんの次世代ピストル」としての役割を担う可能性を持っています。
「ストライカー式オート」が日本警察にどのように定着していくのか、今後の動向に注目していきたいところです。
もっとも、かつてのFBIが10mmオートを一万丁導入したものの、「やっぱ2400丁くらいで勘弁してください、手から血が…」という経緯があったことを思い出しますと、今後どう転ぶか、まだ未知数と言わざるを得ません。

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東京五輪警備で警視庁自動車警ら隊に配備された「GLOCK45」の衝撃
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