各都道府県警察の警備部に編成される機動隊では、警備・災害救助・爆発物対処など多様な任務に対応するため、専用の特殊車両が配備されている。

機動隊の任務は、大規模警備、騒擾対処、要人警護、災害派遣、爆発物処理など幅広く、それぞれの用途に応じた車両が運用されている。
たとえば、大規模雑踏警備や部隊輸送では、車体前面や窓部に防護用金網を備えた警備車や遊撃車が使用される。これらは投石などから隊員を防護しつつ、部隊を迅速に展開することを目的とした車両である。

また、一部の機動隊には放水銃を装備した放水車も配備されている。放水車は、かつての大規模騒擾事案対策に加え、近年では火災対応や災害支援用途などで運用例が確認されている。
さらに、防弾性能や防護性能を強化した「特型警備車」と呼ばれる車両も存在する。これらは銃器使用事案や重要防護任務などを想定した装備とされ、車体構造の強化や防護装備の追加が行われている。
災害対応分野では、救助資機材を搭載したレスキュー車、爆発物処理班が運用する爆弾処理車・EOD車両なども配備されている。これらは地震・土砂災害・事故現場などにおける人命救助や危険物処理を支援するための車両である。
加えて、長期間の警備活動や災害派遣を支える後方支援車両として、移動式炊事車、衛生車両、トイレカーなどが導入されている例もある。これらは部隊の継続的な活動能力を維持するための支援装備として位置付けられている。
このように、機動隊の特殊車両は単なる警備用車両にとどまらず、警備・救助・後方支援を含む幅広い任務を支える装備体系の一部となっている。
各種放水車

放水車は、車両上部または車体後部に放水装置を備えた特殊警備車両であり、主として大規模警備や騒擾対策などに用いられる。
日本の警察においては、過去の大規模騒擾事案に際して機動隊の部隊運用とともに投入されてきた経緯があり、現在でも一部警察本部に配備が確認されている。
また、諸外国の法執行機関においても、集団警備や暴動対処の際に実弾火器が使用される事例は限定的であり、一般的には段階的な実力行使の一環として、催涙剤、放水、ゴム弾、スポンジ弾、低致死性弾薬などの「Less-Lethal(低致死性)」装備が先行して使用される傾向にある。
日本国内でも、警察特殊部隊や銃器対策部隊において、非致死性装備の導入例が確認されている。
2020年7月に札幌市内で発生した立てこもり事件では、北海道警察のSIT(特殊捜査班)隊員が、米国PepperBall社製「PepperBall VKS」系統とみられる低致死性ランチャーを携行していたことが報道映像などから確認された。この装備は、催涙成分入り弾体などを圧縮ガスで発射する法執行機関向け装備であり、日本警察における非致死性装備運用の一例として注目を集めた。

遊撃放水車
放水車は「非致死性装備」に分類される一方で、完全に安全な装備という意味ではなく、あくまで実力行使を伴う警備装備の一種として位置付けられている。

とくに成田空港建設をめぐる抗議活動や、1960〜70年代の学生運動に伴う大規模騒擾事案では、機動隊の放水車がたびたび投入された。中でも比較的小型で機動性を重視した「遊撃放水車」は、狭隘な道路や市街地でも運用しやすく、部隊支援車両として活用されたことで知られている。
放水車による高圧放水は、暴徒の隊列の分断や接近阻止を目的として実施されたことが当時の報道写真や映像で確認できる。
警備車兼放水車
警備車兼放水車は、部隊輸送用の警備車と放水車の機能を兼ね備えた機動隊用特殊車両である。一般的な遊撃放水車よりも大型の車体を持ち、部隊員の輸送能力と放水能力を両立させた構造が特徴となっている。
1960〜70年代の学生運動・安保闘争期には、三菱ふそう製大型トラックをベースとした、半円形の屋根形状から通称「カマボコ型」と呼ばれたタイプが広く知られた。これら旧世代車両はすでに退役が進んでいるが、現在でも後継として三菱ふそう・スーパーグレート系車両をベースとした警備車兼放水車の配備例が確認されている。
車両には放水砲、防護用金網、拡声装置などが装備され、大規模警備や騒擾対策における警備実施を支援する。
高圧放水車
機動隊が用いる実力行使手段には、盾を用いた押圧、警棒による制圧、催涙ガスの使用、そして放水などが存在する。中でも放水は、大規模集団に対して距離を保ちながら制止・排除を行える手段として運用されてきた。
しかし、1960〜70年代の安保闘争や学生運動では、従来型の警備車兼放水車が多数の活動者に包囲され、車体を揺さぶられたり、横転させられたりする事例も発生した。当時の報道写真や記録映像にも、その様子が残されている。
こうした経緯から、より長射程かつ高圧の放水能力を備えた専用車両として導入されたのが「高圧放水車」である。
高圧放水車は警視庁や神奈川県警察などの一部機動隊に配備され、車体には大容量水槽と高出力ポンプを搭載している。公開資料などでは、約4000リットル級の水槽容量、100メートル級の放水射程を有すると紹介される例があるが、詳細な性能諸元については公的に網羅的公開が行われているわけではない。
警視庁第一機動隊所属の高圧放水車は、1995年のオウム関連施設捜索の際にも運用が確認されている。
さらに、2011年の東日本大震災では、福島第一原発の原子炉冷却支援のため、警視庁機動隊の高圧放水車が投入された。この際には、東京消防庁の大型特殊消防車「スーパーポンパー」や、自衛隊の大型消防車などとともに放水活動に従事したことが報じられている。
また、2011年3月17日付の朝日新聞デジタル報道では、当時、警視庁の高圧放水車は全国で1台のみとされていた。
警察幹部によると、使用が検討されているのは、警視庁が全国の警察で1台だけ保有する「高圧放水車」とみられる。通常の放水車は警視庁の各機動隊に数台ずつ配備されるが、高圧放水車は第1機動隊(千代田区)だけが持つ。タンクに入る水の容量は4千リットル。消防車両を大きくしのぐ12気圧の水圧で、100メートル近い距離を飛ばす能力があるという。
出典 朝日新聞社 2011年3月17日1時7分付け 当該URL
ただし、高圧放水車は本来、機動隊による騒擾対策・制圧支援を目的として設計された車両であり、消防活動を主任務とする消防車とは設計思想が大きく異なる。
とくに放水装置は、対人制止や車列排除を想定した比較的低い射角での高圧直射放水を重視しているため、消防車のように高い仰角を取って上方から広範囲へ注水する用途には必ずしも適していない。このため、2011年の福島第一原発事故対応では、建屋上部への注水効率や接近距離などの面で制約があったことも指摘された。
一方で、本来想定されている対人制止用途においては、高圧放水車は極めて強力な制圧能力を有する装備でもある。
放水砲は車内から遠隔操作可能な構造を採用し、機動隊員が車外へ露出せずに放水を行える点が特徴である。高圧水流によって暴徒の接近を阻止し、隊列を分断し、凶器を所持した暴徒の行動を抑止する目的での運用と見られている。
高所放水車

車体上部に高所放水装置を備え、高位置からの放水を可能としていた点が特徴で、機動隊が配備する通常の放水車よりも高い位置への注水能力を有していた。
現在では用途廃止となったとみられ、近年の警備公開や観閲行事などで確認される機会はほとんどなく、現役運用車両としては確認されていない。
各種警備車
「特型警備車」とは、日本警察において防護性能を強化した警備用車両に付与されている名称であり、機動隊などで運用される装甲警備車両を指す。
こうした車両が本格的に整備・投入されるようになった背景には、1950〜70年代に激化した学生運動や大規模騒擾事案がある。当初の衝突では投石が中心であったが、後年になるにつれ火炎瓶や鉄パイプなどを用いた暴力的事案も発生し、警察側では部隊防護能力の強化が課題となった。
初期には、大型バスなど既存車両に防護板や金網を追加した簡易的な防護車両も運用されたが、車体が大型で取り回しに難があったほか、車体上部への接近や損傷に対する脆弱性も指摘されていた。
こうした運用経験を踏まえ、1970年の期を前後して、専用設計の警備装甲車両として開発されたのが「F-3型 特型警備車」である。
F-3型は、警備用途を前提とした専用車体を採用し、防護性能と機動性の両立が図られた車両で、「コマンドカー」の通称でも知られている。
公開資料によれば、全長は約7メートル級、乗員輸送能力も備えており、部隊展開車両としての性格を持っていた。
以後、特型警備車は全国の機動隊へ順次配備され、日本警察における警備用特殊車両の代表的存在となった。
旧世代の特型警備車
特型警備車は、1960〜70年代にかけて激化した学生運動や大規模騒擾事案への対応を背景として整備が進められた、機動隊向けの防護型警備車両である。
当初の対応としては、大型バスなどの既存車両に防護板や金網を追加した簡易改造車両が運用されていたが、車体の大型化による機動性の低下や、接近・接触を許した場合の防護上の課題が指摘されていた。
こうした経験を踏まえ、1970年前後の期を前後して、専用設計の警備装甲車として登場したのが「F-3型 特型警備車」とされる。
| 名称 | F-3 |
| 全長 | 7.36 m |
| 全幅 | 2.49 m |
| 全高 | 2.2 m |
| 重量 | 11.16トン |
| 主要装備 | 放水砲 |
| 乗員数 | 14名 |
F-3型は、機動隊の部隊輸送と警戒展開を兼ねた車両であり、車体は防護性と乗員輸送能力を両立する設計となっていた。上部には放水銃を備えた放水塔が設けられ、主に暴徒制止のための非致死性手段として運用されたとされる。また、状況に応じて隊員が携行する装備を使用するための銃眼が設けられていた。
車体形状については、防護性を重視した傾斜構造や、接近・よじ登り対策としての外装処理が施されていた。
歴史的には、あさま山荘事件において機動隊車両群とともに投入されたことでも知られる。
その後、都市環境や法規制、車両更新の進展に伴い、旧世代の特型警備車は順次更新・退役が進み、用途廃止となった車両も多い。また、派生型とされる小型・高機動型の車両についても、同様に更新対象となり、現行の警備車体系へと置き換えられている。
現行配備の特型警備車

特型警備車は、日本の警察において機動隊などが運用する防護性を重視した警備車両の総称であり、特定の単一型式を指す厳密な制式名称というより、用途に基づく車種区分として扱われる側面が強い。
近年の警備車両は、時代ごとの運用環境の変化に応じて更新されており、外観や構造は旧来のバス型・大型トラック型から、より汎用的なトラックシャシーやバンベースへと移行している傾向がある。防護性能についても、防弾ガラスの採用や車体構造の強化といった形で段階的に向上しているとされる。
装甲板の可動構造、銃眼の配置、ルーフ開口部の形状といった詳細仕様については、警察側から体系的に公表されている情報は限られており、外部から確認できる範囲の写真資料や報道映像に依存する部分が大きいが、警備車全般にスムージング加工が施されている理由は、暴徒の車体へのよじ登り対策とされている。
このように現行の特型警備車は、過去の大型装甲警備車の系譜を引きつつも、より柔軟な運用と防護能力のバランスを重視した形へと変化しており、詳細仕様については公開情報の範囲では限定的である点に留意が必要である。

常駐警備車

現場常駐型警備に投入される車両。金網防護の遊撃車よりも防御力が高い。
小型警備車

銃器対策警備車
銃器対策警備車は、銃器使用事案などの高危険事案に対応することを想定して整備された警備車両であり、機動隊や銃器対策部隊における展開・防護・接近支援を目的として運用される。
車両は防弾性能の強化が施された車体構造を持ち、窓部には防弾ガラスが採用されるほか、外部からの攻撃に備えた防護構造が追加されることもある。また、状況に応じて車体側面に射撃用の開口部(いわゆる銃眼)が設けられる仕様。
これらの車両は、突入そのものを主目的とするものではなく、隊員の安全を確保しながら現場へ接近し、必要な警戒・制圧行動を支援するための装備として位置付けられている。
運用主体としては、都道府県警察の機動隊に編成される銃器対策部隊や特殊部隊が関与することがあり、特に警視庁特殊部隊SATなどの高危険事案対応部隊が想定運用先として知られている。

このように銃器対策警備車は、攻撃用装備ではなく、防護と接近支援を目的とした警備車両として、限定的かつ慎重な運用が前提となる装備体系の一部である。
各種遊撃車
遊撃車は、機動隊における警備活動や部隊運用を支援するための車両群の一つであり、主として人員輸送、警戒警備、現場展開などの用途に用いられる。
遊撃車は、放水車のような直接的な制圧手段を備えず、警備車のように強固な装甲を持たない。そのため、直接的な実力行使装備ではなく、警備部隊の機動性や配置展開能力を補う役割を担っている。
一部の車両では、車体の強化や防護構造の追加が施される場合もあり、状況に応じて簡易的な防護機能を備えた「展開用車両」として運用されることがある。ただし、いずれも専用の戦闘車両というよりは、警備部隊を安全かつ迅速に現場へ展開させるための支援車両として位置付けられている。
また、機動隊内部では遊撃車を指す略称として「マル遊」と呼称されることがあり、運用上の便宜的な区分としてI型からIV型、さらに小型車両や特定用途型など、複数のバリエーションが整理されているとされる。
遊撃車I型
マイクロバスベースの車両。車体防護は金網のみ。

遊撃車II型
マイクロバスベースの車両。車体防護は金網のみ。
遊撃車III型
小型ワゴン車をベースとした多目的運用型の警備車両。
一般的には日産自動車のキャラバンなどの商用バンを基にした車両が用いられる例があり、人員輸送や警戒警備、重要施設への張り付き警備など、比較的柔軟な運用を想定した構成となっている。
外観上は、護送車に類似した金網付き構造を有する個体も存在し、車内外の区画や安全確保のための簡易防護構造が設けられる場合がある。ただし、この金網配置は護送車のような「車内隔離目的」とは異なり、警備用途に応じた外部からの防護・接触防止を目的とした運用上の工夫とされる。
1980〜90年代頃には、三菱自動車工業のデリカワゴン系車両をベースとした濃紺塗装の警備車両が確認されており、機動性と悪路走破性を重視した運用が行われていたとされる。その後、車両更新に伴い、より汎用性の高い商用バンベースへと移行していったとみられる。
近年の警察車両では、白色を基調とした車体に青色の識別ラインを組み合わせたデザインが一般的に用いられる傾向があり、視認性や統一性が重視されている。また、金網構造についても、運用目的や安全基準の変化に伴い、搭載されない仕様が主流となっている。
遊撃車IV型
遊撃車III型と同様、車体サイズを抑えたバン型またはミニバン型ベースだが、警察のカラーリングのない覆面パトカータイプである。狭隘地や市街地における機動運用や、外観上の威圧性を抑えた警備に適用される多目的車両としての性格を持つ。
運用目的としては、雑踏警備や要人警護、周辺警戒などにおいて、状況に応じて柔軟に展開できる部隊輸送・支援用途が中心であり、必要に応じて着脱式警光灯を用いた「見せる警備」運用も行われる。
小型遊撃車
ランドクルーザー系などの大型SUVをベースとした高機動車両が、銃器対策部隊や警備部門で使用されることがあり、必要に応じて防弾性能や防護性能を強化した仕様が採用される場合がある。
これらは都市部における機動運用や、緊急事案発生時の迅速展開を目的とした車両群に位置付けられる。
外観については、民生車両に近い形状を維持しつつ、窓ガラスの防弾化に伴うフレームの強化や重量増加が反映される。
警察車両としては秘匿的に運用される場合が多く、警光灯は着脱式であり、いわゆる「覆面」に近い形で使用される。近年では護送の任務に投入されている。

この種の車両は、主に銃器対策部隊などが関与する重大事案への初動対応や警戒活動に用いられるものであり、状況に応じた柔軟な展開能力を重視した装備体系の一部であるる。
特型遊撃車
特型警備車PV-2型から重い防弾装備を取っ払い、機動性を重視した軽装甲タイプ。
爆発物処理車
爆発物の対策にあたる車両を便宜上まとめて爆発物処理車と呼ぶ。以下の各種の車両によって爆発物の解体、運搬などの任務に当たる。
爆発物処理筒車

いすゞエルフなどトラックベースの特殊車両。後部に爆発物処理装置を搭載し、液体窒素などを使って爆弾の起爆装置を急速冷凍で凍結させ、回路等を損傷させることで爆発を防ぎつつ、解体処理のため緊急走行で速やかに安全な場所まで輸送するのが任務。
爆発物処理用具I型
コマツの民間向け工事用小型油圧シャベル機を警察の要請で爆発物処理用に改修した装備品。日立建機製の爆発物処理用具I型双腕タイプもある。
爆発物処理用具運搬車
上記の『爆発物処理用具I型』を専用運搬するのが、緊急走行可能な平型ボディトラックの爆発物処理用具運搬車である。
爆発物処理用具資材運搬車
爆発物処理用具関係の液体窒素、整備用の関連資機材を運搬するための車両。基本的に緊急走行可能なアルミバントラック型車両である。後部にパワーゲートを架装している。
レスキュー系車両
警視庁機動隊の中には主に災害救助活動に従事する機動救助隊(通称・レスキュー110)も編成されているため、救助系車両も配備されている。
レスキュー車

高性能救助車

1.2メートルの水深を進み、また、45度の傾斜をものともせず登坂できる高性能4WD「ウニモグ」。
ミニレスキュー車

警視庁の機動救助隊レスキュー110で配備されている軽自動車のレスキュー車。
山岳救助車

警視庁の山岳救助隊で配備されている山岳救助車。
各県警に編成された山岳専門のレスキュー部隊は航空隊のヘリコプターとも連携し、遭難者の救助や捜索に当たる。
水難救助車

水難救助車は、都道府県警察の機動隊や警備部門に設置される水難救助部隊に配備される特殊車両であり、水難事故や災害時における救助活動を支援するための資機材搬送車として運用される。
警視庁の機動救助隊(通称「レスキュー110」)にも水難救助関連装備を搭載した車両が確認されており、緑色系の車体塗装が採用されている例がある。これは災害救助部門車両としての識別性や視認性を考慮したものとされる。
全国の都道府県警察における水難救助隊は、機動隊の一部門として編成されている場合が多く、潜水資機材や救命器材を搭載した車両を運用し、河川・海上・ダム・水路などで発生する事故や災害に対応する。
隊員は水難救助専従というよりも、平時には機動隊員として警備活動(重要施設警備、雑踏警備、警戒警備など)に従事し、必要に応じて水難救助部隊として招集される運用形態が一般的である。
また、水難救助車および関連部隊は、災害時における人命救助活動に加え、刑事事件捜査では水中からの遺留品・証拠品の捜索などにも投入されることがある。
資材運搬車

機動隊に配備されている小型のトラック。主に機動隊用の資機材の輸送に活躍する。トヨエースなど車種は複数あり、写真のアルミパネルタイプから平型ボディタイプもある。緊急走行に対応できるが、キャビン上の警光灯は高いアルミパネルのため、後部からは見えにくくなっている。
このため、別途アルミパネルの後部およびサイドにもフラッシュ式の警光灯が搭載されている。

また、県警によっては着脱式の赤色灯を必要に応じて装着し、車体に警察の表記の入らない『覆面』タイプもある。
化学防護車両
毒物などを使用したテロ事件に対応するため、警視庁特科車両隊などでは化学防護車を配備している。
化学防護車

警視庁の化学防護車には警備部(機動隊)用の救助を目的とした車両と、公安部公安機動捜査隊の捜査用車両がある。
除染車

NBC対策車

警視庁、神奈川、千葉県警などに配備される対化学テロ特殊車両。地下鉄サリン事件に代表される都市における大規模な化学、核、生物といったNBCテロに出動する。同種の車両に化学防護車もある。
放射線防護車
警察庁が2013年4月に福島県警へ導入した一両、一億五千万円の大型車両。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 性格 | 放射線遮断・測定機能を持つ警察の特殊車両 |
| 配備数 | 全国で2台(警視庁+福島県警) |
| 導入目的 | 原発事故やテロ時の現場対応 |
| コスト | 約1億5000万円/台、国費負担 |
| 実績 | 福島第一原発での対テロ訓練(2013年)に参加 |
全長10メートル、重さ22トンのバス型車両でガラスには鉛を使い、車内の気圧も完全に調整され、放射性物質の流入を防止する構造。
放射能汚染地区における対テロ作戦や、原子力災害時、住民救出に投入されるという。同じく警視庁にも一台配備された。
密閉・加圧構造を備え、鉛などの遮蔽材によって高い遮断性能を持ち、車内には線量計や警察無線の装置も搭載。
全長約10m・重量約22t、鉛を含む装甲や密閉・加圧構造、計測機材を搭載しており、車内の気圧を高めて放射性物質の侵入を防ぐ。
放射線を遮断・防護できる装備を備えた機動隊車両で、とくにテロ攻撃による原子力災害下で放射性物質が拡散した場合、犯人制圧や強行偵察、逃げ遅れた人の救助を遂行。
とくに、車内を加圧して外部からの放射性粒子の侵入を防ぐという特殊な仕様は、自衛隊の化学防護車やNBC偵察車でも用いられる技術。

2011年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故では、自衛隊の化学防護車が現地に出動しました。
原発建屋に近づくにつれて、車内の線量計の数値が上昇し、警報音が鳴り響いたといいます。
この経験を踏まえ、その後の化学防護車には、車両前面に放射線防護用の追加装甲が設けられるなど、装備の強化が施され、改良型として運用が続けられています。
後方支援系の特殊車両
最前線で活動する機動隊員の後方支援を務める車両。
キッチンカー

キッチンカーは、機動隊による長時間の警備活動や災害派遣などにおいて、現場に展開する隊員の食事提供を支援するための後方支援車両である。大規模事案では警戒配置や封鎖活動が長時間に及ぶことがあり、安定した食事供給体制の確保は部隊運用上の重要な要素となる。
通常、警察組織では仕出し弁当や外部調達による食事供給が基本となるが、突発的な大規模警備や長時間拘束が想定される現場では、現地での加熱・調理・配食が可能な車両が補助的に活用される場合がある。
この種の車両には、電子レンジ、給湯設備などの加熱調理機器が搭載され、温かい食事や飲料を迅速に提供できる構成となっている。いわば簡易的な移動給食拠点として機能するものであり、現場の士気維持や体力確保に寄与する。
歴史的背景としては、1972年のにおいて、極寒環境下で長時間展開する機動隊員に対し、温かい食事の確保が課題となったことが広く知られている。この際にはカップ麺などの温食が提供されたエピソードが報道され、後の装備・補給体制の改善にも影響を与えたとされる。
ただし、警察におけるキッチンカーは、自衛隊の野外炊具車のような大規模調理能力を備えた専用車両とは異なり、あくまで簡易的な加熱・提供機能に特化した後方支援車両として位置付けられることが多い。
このようにキッチンカーは、前線の戦術装備ではなく、長時間警備を成立させるための生活支援インフラとして機動隊運用を支える存在である。
トイレカー
トイレカーは、長時間の警備活動や災害派遣などにおいて、現場に滞留する機動隊員などの衛生環境を確保するために運用される後方支援車両である。
大規模警備事案では、多数の人員が長時間にわたり一定エリアへ展開・配置されることがあり、周辺に公共施設のトイレが十分に存在しない場合や、警戒線内から容易に離脱できない状況が発生する。そのため、移動式トイレ設備を備えた車両が支援用途として投入される。
これらの車両は、一般的なシャシー(商用トラックやバンなど)をベースに架装されることが多く、衛生設備や給排水システム、照明・換気設備などを備えることで、一定時間の現場運用に対応できる構造となっている。
機動隊の特殊車両まとめ
機動隊に配備される車両は、警察組織の中でも任務特性が強く反映された特殊車両群であり、警備、災害対応、爆発物処理など多様な目的に応じて構成されている。これらは集団警備や大規模事案への対処能力を確保するための装備体系の一部として位置付けられている。
代表的には、部隊輸送や雑踏警備に用いられる警備車、状況に応じて放水装置を備えた放水車、車体防護を強化した特型警備車、災害現場での救助活動を支援するレスキュー車、爆発物処理を目的としたEOD関連車両などがある。これらの車両は任務ごとに役割が分化しており、現場状況に応じて運用される。
また、機動隊車両は外観面でも一般的な警察車両と異なる特徴を持つ場合がある。日本の警察車両は基本的に白と黒の塗装が広く用いられているが、用途や部隊によっては視認性や識別性を考慮した別の配色が採用されることもある。たとえば、災害救助部門では高視認性を目的とした色彩が用いられる例があり、また一部の車両では青系のマーキングや、装備車両特有の識別色が付与されることもある。ただし、これらの配色は全国一律の統一規格ではなく、各都道府県警察や部隊運用により差異がある。
このように機動隊の車両体系は、任務の多様性に応じて車種・装備・外観が分化しており、単一の規格ではなく運用目的に応じた複合的な装備群として構成されている。
なお、この項目を作成するにあたり、警察庁公式ウェブサイトが国民向けに公表している広報資料『警察白書』のほか、Ypy31氏がwikipedia上にてパブリックドメインで公開されている各車両の写真を利用した。この場を借りてお礼を申し上げたい。
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