なにわろとんねん(笑)いや、べつに……(笑)
警察へ110番通報を行うと、通常は各都道府県警察本部の地域部に設置されている「通信指令課」(通信指令室や通信指令センターとも呼ばれます)に繋がります。ここでは「受理台勤務員」が通報を受け付け、対応を開始します。
通信指令室には通常、「指令台勤務員」「受理監督台勤務員」「受理台勤務員」の3名が配置されており、通報の内容はこの3名全員が同時に聴取し、迅速かつ正確な対応が可能に。
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通報の受理と指令は同時進行
通信指令室では、通報の受理と同時に「臨場指令」も行われます。
具体的には、指令台勤務員が各所轄署の通信係(警視庁では「リモコン指揮者」と呼ばれます)、自動車警ら隊、機動捜査隊などの警察車両に対し、車載通信系や有線電話を用いて指令を出します。
これは通報の受理とほぼ同時に進行するため、現場の警察官が迅速に対応できる仕組みになっています。
通信指令システムを支える企業
警察の通信指令システムは、高度な技術が求められる分野であり、国内では富士通などの企業がシステムを納入しています。
富士通ではこのシステムを「警察指令管制システム」と呼び、大型表示ディスプレイに一括表示することで、各勤務員が情報をリアルタイムで共有できる仕組みになっています。また、複数のサブシステムと連携することで、緊急配備の発令や、通信指令室から各警察署の端末へ文字データでの情報送信もリアルタイムで行えるようになっています。
こうしたシステムによって、110番通報に対する警察の初動対応が迅速かつ的確に行われているのです。
イラストの警察官の横に描かれた携帯電話端末はPSDと呼ばれるもの。画像の出典 富士通公式WEBサイト https://www.fujitsu.com/jp/products/network/managed-services-network/command/police/
110番通報と警察の対応
警視庁では、110番通報の内容は パトカーや警察署の端末、さらに現場の警察官が所持するモバイルデバイス(PSD)にも同時に表示 される仕組みになっています。
これにより、警察官はより迅速に状況を把握し、適切な対応が可能となっています。
リスポンス・タイムとは?
警察官が110番通報を受理してから現場へ到着するまでの時間は、警察庁では 「リスポンス・タイム」 と呼ばれています。
現在、日本の警察におけるリスポンス・タイムの平均は約7分。これは世界的に見ても非常に速い水準です。比較として、アメリカでは 平均20分以上 かかる場合もあるため、市民が自衛のために銃を所持し、「自分と家族の身は自分の手で守る」というセルフディフェンス文化が根付いています。
110番通報の統計
警察庁の統計によれば、平成26年(2014年)中に全国の警察本部が受理した110番通報件数は、約935万件。これは 約3.4秒に1回、国民13.6人に1人の割合 で110番通報が行われている計算になります。
また、全通報の68.4%が携帯電話などの移動通信端末から行われています。(出典:警察庁公式サイト『第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動』)
110番通報の記録と虚偽通報について
110番通報は 必ず記録が残り、通報を受理すると警察官は現場へ向かう義務 があります。そのため、虚偽の通報を行えば 業務妨害 となりますし、緊急性のない通報も警察の負担を増やすことになります。
実際に 110番通報の4件に1件は、警察の本来業務とは関係のない内容 であると言われています。
例えば、
- 「夫の体臭が臭いので何とかしてほしい」
- 「エアコンを修理してほしい」
- 「蛇を捕まえてほしい」
などの通報が報告されています。こうした無駄な通報を減らすために、毎年 1月10日は『110番の日』 とされ、警察は「不要な110番通報をしないように」と注意喚起を行っています。
110番の歴史と刑事ドラマ『ダイヤル110番』
現在、日本では 110番 に緊急通報が統一されていますが、制度が始まった昭和23年(1948年)当時は 「118番」など地域によって番号が異なる という問題がありました。
そこで、警察庁は テレビ局とタイアップし、1957年から刑事ドラマ『ダイヤル110番』を放映 しました。
この番組は 警視庁や警察庁、全国の警察本部の協力を受け、公式資料を基に制作 されたリアルなドラマでした。放送は 1964年までの7年間 にわたり続き、広報効果も絶大で、110番が全国的に広く認知される契機となりました。
後に警察庁は、その功績を称え番組スポンサーを表彰しています。
タクシー無線との連携
かつては、各都道府県警察の通信指令室が タクシー会社の無線に直接割り込みし、行方不明者や手配情報などを配信 し、情報提供を求めるケースもありました。
現在も警察からタクシーへの捜査協力要請は行われていますが、通信指令室からの直接割り込みではなく、タクシー会社の配車係が警察から受け取った文書を読み上げる形に変わっています。
いじめの通報は「緊急性のない110番」なのか?
ところで、「校内でいじめを受けた中学生が『いじめ相談ダイヤル』ではなく、110番に助けを求めるのは、警察への緊急性のない通報なのか?」という疑問も。
一部では「いじめで110番するな」と怒っている人もいるようですが、当の警察側が「いじめは犯罪です」と主張し啓発している昨今、果たして「いじめで110番するな」は正当な意見なのかどうか…。知りませんけども(笑)