監察官室って下級国民が苦情出しても動いてくれるの？さあ…？

警察の中で不正が行われていないか監査する職務を担っているのが、各警察本部警務部と警察庁に置かれている監察官室。

ヤマト運輸で言うところの、警察OBで組織され、組織図にも載っていないという『マザーキャッツ』と呼ばれる社内監査チームの如くです。

警察の監察官室は組織図に明記されており、秘密チームではないものの、もっぱら警察内部の不正調査が職務です。

また、市民からの通報による信用失墜を行ったとされる警察官の調査も。

何人もの接点のない市民から警察職員の信用失墜行為に関する申出、つまり苦情を受けると、奇妙さを感じた監察官は重い腰を上げ、おもむろに調査を開始。

内務調査の実施報告は公安委員会への届けが必須。

申し立てを行う市民の側も、氏名や年齢はもちろんのこと、事実無根の偽りを申し立てるなど許されません。

監察官は首席監察官と呼ばれる幹部警察官をトップに、ほとんどが1年の任期制。副署長経験者の幹部警察官が充てられています。

警察庁の特別監察チームは全国の警察本部へ出向いて調査を行う水戸黄門㌠です。

警察官が起こす不祥事はさまざま

監察官が乗り出してくる警察不祥事には、職員個人が起こす犯罪行為から警察組織までさまざま。

プライベートであっても『市民の模範たれ』を実践しなければならない警察官。

したがって、直接的な犯罪行為でなくとも、民事の不倫、それに女子高生との淫行なしの交際、それに計画性のない借財、つまり胴元しか儲からないパチンコなどのギャンブルによる借金などもNG。

道徳に欠ける非違行為となり、処分の対象の可能性も。

とくに男女間の不道徳な恋愛は部内の秩序や風紀を乱す行為として、非常に重い懲戒処分にも。

男女ともに警察職員であれば、双方が処分されます。当然と言えばそれまでで、不倫がお互いの恋愛感情からではなく、部下が自身の昇進に便宜を図ってもらうためだとしたら……。

このような不祥事が発覚した際に、速やかに事態収拾を図るのが各都道府県警察本部の警務部監察官室と監察官というわけです。

ただし、警察官に表彰するに足りる職務上の行為があったかどうかを審査するのも、監察官室の表彰係。決して”鬼”だけではないようです。

けん銃が関連する不祥事

警察官に貸与されているけん銃に絡む不祥事も過去に何度も起きています。

都道府県警察では3種類の回転式および、2種類の自動式けん銃が主流

とくに、けん銃を持った警察官による失踪事案。”けん銃を持ったままの警察官”が自発的に失踪すると、その時点で”銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)違反”に問われ、罪に。

けん銃を持ったままの警察官が失踪すると犯罪になる理由

警察官と銃をめぐる不祥事

上司が悪ふざけで部下に銃を向ける遊びは今時の日本警察では珍しくもないカジュアルな話。

筆者は警察不祥事をトレンドとして追っかけてはいませんが、2018年に起きた滋賀県警彦根市の交番での事件はやはり度肝を抜かれました。

部下が上司に銃を向け、さらには加害にまで至ったのです。

警察庁によると、今回の滋賀で発生した『勤務中の警察官がけん銃で上司を加害した事例』としては日本警察史上初。

また、今回は巡査部長を撃った部下の巡査が未成年者であったことから通常、実名報道はないものと見られていましたが、巡査が逃走したため、事件発生数時間後には滋賀県警本部の独自判断で巡査の実名が公表されたことも興味深いケースです。

もちろん内々で処理されて、報道されていないケースもあるかもですが、上司に銃を向けたケースそれ自体は今回がはじめての事件ではありません。

2012年には警視庁葛飾署で31歳の巡査長が署内で上司からの厳しい指導に耐えかね、けん銃をホルスターから抜いてエレベーターの床に向けながら上司を脅した事例が発生。

居合わせた別の上司の署員が一喝したために、巡査長が2秒くらいでうろたえて銃をすぐにしまったため、発射には至らず。

しかし、銃を抜いた巡査長は『銃を抜くことで、積もり積もった怒りを知ってほしかった』と供述。

巡査長が勤務内容を勝手に変えたことが叱責の理由でした。制止がなければ発射に至っていた可能性も。

しかし、加害にまで至った事例は滋賀県警が初。

アメリカの警察でも「パワハラが原因で部下が上司を撃つ」事例があるのかは詳しく調査していませんが、民間企業では上司が部下に首切りした翌日に撃たれることもあるため、上司も言い方にかなり気を使っており、怒鳴るよりも、スマートにクビ宣告がクレヴァーです。

それでも後日、完全武装の上で会社に乗り込まれて乱射されることも間々あるので滋賀県警のようで怖いです。

本来、日本警察では目上の者に絶対に抗わないように、野球部で3年間、体育会系の理不尽なオラオラ節のシゴキでシコまれて弱肉強食の警察組織に耐え抜ける猛者のみを選りすぐり、さらに警察学校の新任教育で階級社会の基礎を叩き込み、ついてこられない者は遠慮なく足切りしてきたはず。

今回のケースでも19歳の巡査は高校時代、野球部でレギュラーだったと報道されており、目上の者からの罵倒、理不尽な強要、いわゆるパワハラ程度でキレるとは考えにくく、ネット上ではさまざまな憶測を呼びました。

裁判では巡査部長による厳しい指導が実際にあったことが認定されているのは興味深いものです。

警察部内のイジメなど筆者が知る由もなく、本記事では省かざるを得ませんが、そもそも日本のいじめ文化の大本をたどれば、武家社会の忠義と衆道という奇妙に交わった上下関係とホモが源流。野島シンジですね。

現代の武家社会である警察にとってイジメやパワハラは切っても切れない関係ですが、放射能とイジメは人類が制御できる領域なのかは不明です。

“けん銃を紛失”しても懲戒免職にはならない

一方、銃に絡む不祥事でも、過失によるけん銃紛失の場合は警察庁通達の「懲戒処分の指針」によると免職処分にはならず、驚きです。

では、どんな場合に懲戒免職になるのかと言えば「法令に反して使用」した場合と「けん銃を暴発させ、他人の身体生命に重大な影響を生じさせた場合」場合とのこと。

つまり、けん銃が絡んだ”事故”で懲戒免職になる場合は、悪意をもって部下や上司に突きつけるなど、けん銃を弄んだ場合（銃刀法違反）や、悪意がなくても、暴発で他人の身体生命に重大な影響を生じさせた場合など。

このようなときは免職または停職処分となるとのこと。

なお、けん銃は必要もないのにホルスターから取り出す行為も規則違反。

罰俸転勤

東京の亀有交番から北海道のノサップ岬交番へ転勤させられる地域警察官や、警視庁捜査１課から北海道警察西紋別署刑事課へ左遷される女性刑事……こんな変な漫画や変な映画を見たことはないですか。ないですよね。

現実の警察では都道府県の職員、すなわちノンキャリアの地方公務員である警察官をフィクション作品のように47の垣根を越えて、よそ様本部へひょいと一方的に飛ばすことなど、できはしない。

そういえば武田鉄也の「刑事物語」なんて映画も。

武田鉄矢の『刑事物語』を武田梨奈ちゃんでリメイクしたいな。｢地方公務員が全国飛ばされまくるとかおかしい｣なんて無粋な突っ込みいれる奴がいるから、キャリアだけど武闘派過ぎて本庁に戻れないやさぐれ者に設定するんだ。 #刑事物語2 #bsfuji

— 偽海洋地形学者/Masashi Yu-ki (@Masashi_Yuki_XX) 2015年5月17日

このような演出を地方公務員人事の研究を怠っている作家が描いたフィクションと蔑むつもりもないし、むしろ都道府県警の人事交流の一環や、実は地方採用ではなく本省採用の国家公務員の警察官なのだと脳内でニヤニヤ妄想できるようになれば、立派なマニア。筆者はさすがに警察の人事制度まで興味ないですね。

ただ、辞めさせたい警察官がいたら、自宅と遠く離れた勤務地に転属させるイヤガラセの転勤、罰俸転勤があるそうで興味深い話です。

ただ、三宅島署への転勤の場合は『ご褒美』なのだというからよく解りません。

典拠元　http://www.news-postseven.com/archives/20171206_635145.html?PAGE=2

まとめ

長々と、とりとめのない話をしてしまい、申し訳ございません。

ということは、叩き上げの60歳近いベテラン刑事が明日、本庁広報部に移動となって警視庁の萌えキャラの企画をしろというような罰奉もなきにしもあらず！？