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覆面パトカーは特殊車両だから「88ナンバー」なの?
覆面は特別な装備を積み込んだ「特装車」。では、覆面パトカーは特殊車両区分の8ナンバーなのだろうか。実際、過去に配備されていた覆面パトカーはほぼ全て特殊な改造を施した車両として登録され、8ナンバーが交付されていた。
しかし現在、警察で配備されている覆面パトカーは8ナンバーではなく、通常の3ナンバー車になっており、かつての『88ナンバー』一発でバレバレだった時代はすでに遠い過去の話。
一方、自衛隊の憲兵である警務隊が配備している覆面パトカーは8ナンバーだ。ピカピカの白いブルーバードシルフィや、古臭いクラウンで8ナンバーのアヤシイ車がいたら、痛~ィマニアではなく自衛隊警務隊と見て間違いはない。警務隊でも制服を着用して捜査を行うほか、必要に応じて私服での捜査も認められている。
なお、かつては一般人が自家用車を特殊用途の『広報宣伝車』として、88ナンバーを取得することも横行したが、代行業者が不正登録で次々に摘発されたため、こちらも過去の話だ。
主な覆面パトカーの装備や特徴
警察の覆面パトカーはどんな装備を積んでいるのだろうか。主に下記の保安装置だ。
- Aピラー両側に赤色灯コードをひっかけるためのクリップ
- 着脱式赤色灯
- 助手席側にカーメイトのミニミラー(稀に交通でも)
- 機捜隊の車両には身元を照会するのに使うPDAも搭載されている。
また、覆面の装備といえば、ルーフ上の赤灯だが、最近の捜査用覆面パトカーの着脱式赤色灯には下に黒いゴムがついている。これは道路運送車両の保安基準の一部改正によるものとみられる。多くの場合、覆面パトカーのルーフに載せる赤色灯は一灯のみだが、警視庁や神奈川県警、大阪府警、広島県警で二個載せが導入されている。
捜査用覆面パトカーの「屋根ピン」「ポッチ」も興味深い「装備」だろう。覆面パトカーのルーフには、前述の着脱式赤色回転灯が落下しないように固定するためのピンが取り付けられており、これを俗に屋根ピンと呼ぶ。これが覆面パトカーの特徴にもなっている。
ただ、同じように着脱式赤色回転灯を使う警察以外の緊急車両(総務省の車両など)でも屋根ピンがある。
機動捜査隊など最前線で犯罪捜査に挑戦する第一線部隊では、上記装備に加えて防弾チョッキ、さすまた、ストップスティック(車両強制停止装置)、レスキューハンマーなどが積み込まれ、さらにモノモノしい。
交通取締り用覆面パトカーの場合はさらに 、ストップメータ(自車の等速を利用して対象車両の速度を測定する装置)、パトサイン(起倒式の小型電光掲示板) 、カラーコーン や交通表示板 、後部補助警光灯 (トランクルームのトランクハッチ内側に設置。トランク開放時に屋根のパトライトが見えなくなるのでその対策) などが積み込まれている。
また、やはり覆面パトカーといえば青マットも特徴だろうか。
個性を演出する小物たちで覆面パトカーの車内を彩り、「覆面パトカーに見せないための偽装工作」を行う刑事たちの涙ぐましい努力
捜査用覆面パトカーは警察車両と見破られないため、多様な偽装工作を行い、日々努力を重ねている。
秋葉原事件では警視庁の機動捜査隊や万世橋署の捜査車両が幾台も現場に集結したが、その中の覆面の一台には、走り屋のよく貼るカーチューニングパーツの企画、製造、販売企業BLITZやHKSのシールを貼っていた車両がいた事を『世界びっくりカーチェイス2』さんが報じている。
『この手』の工作を地道に行っている警察本部の例は多くあるようで、ペットボトルのおまけのキャラクターマスコットのストラップをワイパースイッチに引っかけたり、アニメのマスコットキャラをダッシュボードに飾っている捜査車両、ハンドルカバーをハメてワッパを太くしている捜査車両の写真もあった。
札幌市のある警察署では覆面パトカーのレガツーに、ドコモダケの人形がぶら下がっている。もし、緊走で追い抜いてゆくレガシイ・ツーリングワゴンの運転席にて、ドコモダケがゆらゆら踊っていたらヤリキレナイ想いを感じてしまいそう。
「ドコモダケ」典拠元
http://www2.famille.ne.jp/~mst-hide/back5/110815.html
さらに、なんとステップワゴンやセレナの捜査車両には「赤ちゃんが乗ってます」というマグネットサインまで。ミニバンでこんなマグネットサインを貼られると、単なる幸せな家族の車に見えなくもない。
これらの偽装工作はおそらく警察官個人の涙ぐましい努力、または実際に乗務する捜査員のアソビゴコロとみられるが、中身、つまり乗っている私服の捜査員たちの雰囲気をまず、幸せな家族のように変えることが先決では。
内規によっては小うるさい警察本部もあるのだろうが、このような刑事個人の遊び心は傍から静かに覆面を見守っている側としては興味深い。
覆面パトカーのまとめ
- 覆面パトカーは捜査用と交通取締り用の二種
- 捜査用覆面はセダンばかりではない
- 交通は制服、刑事は私服。ただしイレギュラーはありえる。
それにしても覆面パトカーとは、奥が深いもの。