『ARDF』と『フォックスハンティング』ってなに?電波を使った“かくれんぼ”のような遊び!
アマチュア無線の世界には、ちょっとかわったスポーツがあります。
それは、電波をたよりに、発信機のかくれ場所を探す競技です。
たとえば、手に「受信機」と「アンテナ」を持って、山や広い公園の中で、かくれている電波を出す小さな機械(これを「キツネ」といいます)を探しに行きます。このような遊びは「フォックスハンティング(Fox Hunting)」と呼ばれています。
まるで電波を使ったかくれんぼのようなもので、みんなで楽しむことができます。車に乗って探すスタイルの場合は「モービル・フォックスハンティング」と呼ばれます。
ARDFとフォックスハンティングの違いとは
キツネ役の人が見つからないように逃げ回ることが特徴の『フォックスハンティング』に対し、『ARDF』は一箇所に無線機が固定され、日本アマチュア無線連盟が基本的ルールを定めていおるところが異なります。
「ARDF」は、「フォックスハンティング」の中でも、とくにルールがしっかり決まっている公式なスポーツです。
ARDFでは、「キツネ(発信機)」は動きません。あらかじめ山や森の中にかくしてあり、それを探しにいきます。参加する人は地図やコンパスを使って、どの方向に電波が出ているかをたよりに、ゴールをめざします。
ポイント:
-
ARDF(Amateur Radio Direction Finding) は、「フォックスハンティング(Fox hunting)」という広い概念の中に含まれる、国際競技ルールに基づいたスポーツ競技です。
-
対して、「フォックスハンティング」という用語は国や文脈により意味が変わります。米国などでは非公式な無線方向探知レクリエーション全般を「フォックスハンティング」と呼ぶ場合があります。
つまり、ARDFは「公式なフォックスハンティング」、フォックスハンティングは「遊び的なARDF」ではなく、ARDFはその一形態です。
これら二つの競技は、受信機を用いて電波の発信源(電波を出す送信機)を探ることが目的ですが、遊びとオリエンテーションとしての要素が強いフォックスハンティングよりも、さらに公式ルールを細かく設定し、競技として発展させたものがARDFなのです。
だれでもできるの?どんなものを使うの?
ARDFやフォックスハンティングに使うのは「受信機」なので、アマチュア無線従事者免許はいりません。
子どもから大人まで誰でも参加できます。ただし、山の中を歩いたり走ったりするので、すこし体力がいります。
使う道具は、電波の強さをはかる「受信機」と、「八木アンテナ(やぎアンテナ)」という電波の方向がわかる、手に持てる大きさのアンテナです。
探索技能は受信機とアンテナの性能が左右する
参加者が使うのはほとんどが八木アンテナと減衰器(アッテネーター)をつけたSメーター付きの受信機です。なにより、電波の知識もある程度必要です。
無線を利用したかくれんぼを想像すると良いかもしれませんが、会場は主に山や郊外の公園ですから、体力勝負となります。
ARDFにおける送信機と使用する周波数
-
ARDFでは、発信機はあらかじめ地形に応じて固定設置されており、競技者は地図とコンパスを使って山野を走破しながら探索します。
-
日本の場合、ほとんどの大会が144MHz帯で開催されますが、外国では、3.5MHz帯も頻繁におこなわれています。それぞれ5つ程度の発信機がタイマーで順番に送信する仕組み(タイムスロット制)です。
実施団体・関連リンク一覧
-
日本アマチュア無線連盟(JARL)
ARDF競技の公式ルールを定めており、全国大会や地方大会を開催しています。
https://www.jarl.org/Japanese/1_Tanoshimo/1-5_ardf/ardf.htm -
ARDF日本
開催情報や活動報告などを掲載。
http://ardf.jp
まとめ
ARDF(アマチュア無線方向探知)は、電波を使った本格的なスポーツ競技で、地形図とコンパスを駆使して、自然の中に設置された無線送信機(「キツネ」)を探索するレクリエーションです。
一方「フォックスハンティング」という言葉は、より自由な形式の電波方向探知ゲームを指し、必ずしも公式ルールに則った競技ではないものです。
どちらも受信機と指向性アンテナを使って電波の方向を探る点では共通しており、無線とアウトドアを組み合わせたユニークな活動です。