画像の出典 スカッとムービー『ボスママが私の家の前に駐車していた高級車を破壊。どうせもみ消すからと言ってきたが真実を伝えると』
漫画、アニメ、ラーメン、砂糖入り飲料、柔軟剤、猫動画…。合法ではあるものの、日本人を蝕む中毒性のあるものは多く存在します。
その中の一つに「スカッと動画」というものがあるのをご存じでしょうか。
スカッと動画とは、漫画のような表現を用いた、起承転結がはっきりした短時間のYouTube動画のことです。
日々鬱憤がたまっている人々のコンプレックスを煽りつつ、最後には勧善懲悪的な展開で視聴者がスカッとするオチに持っていくため、そのように呼ばれています。
そんなスカッと系動画の中で、現在、物議を醸しているものがあります。
「上級ママ」が破壊した車は…
問題となっているのは、シングルマザーを主人公としたスカッと動画です。
主人公は、夫を亡くした後、幼い娘を育てながら個人事業主として生計を立てているシングルマザー。そんな彼女の娘が通う幼稚園には、夫(医師)と父(議員)の地位を笠に着て威張るボスママがいました。
ある日、主人公が身につけていた宝飾品が「シンママのあなたには似合わない」という些細な理由でボスママの目に留まり、言いがかりをつけられてしまいます。そこから二人の関係は険悪になり、ついにはボスママが主人公の自宅に忍び込む事態に発展します。
主人公の家では、ちょうど彼女と娘、そして主人公の父親の3人が団らん中でした。
突然、ガレージから物騒な音が響きます。驚いた主人公が見に行くと、ボスママがバットで主人公の父の車を「ドゴオ」と振り下ろして破壊しているではありませんか。
ボスママの愚行と、思わぬオチ
驚愕の事態に、主人公は呆然としながら「犯罪ですよ」とたしなめますが、ボスママは「犯罪?夫の父は議員よ?揉み消すわよ!ふんっ!」と開き直ります。
しかし、ボスママが破壊していた車が「覆面パトカー」であることを知らされた途端、事態は急変します。
そこへ登場した主人公の父親は、すかさず警察手帳を提示。
実はこの父親、現職の警察官で、娘の家に遊びに来ていたのですが、その際に使った車が「覆面パトカー」だったのです。
結果、ボスママは器物損壊の容疑でその場で逮捕されるという結末を迎えました。
しかし、視聴者の反応は「モヤッと」
一見、スカッとする展開のように思えますが、視聴者はこの話に違和感を抱いたようです。
「そもそも、現職の警察官が娘の家に遊びに行くのに、覆面パトカーを使うのは公用車の私的利用では?」
動画のコメント欄には、以下のようなツッコミが多数寄せられました。
- 「(破壊行為も悪いが)公用車の私的利用もダメでは?」
- 「覆面パトカーを私用してることを通報されたら、父親のほうがヤバいのでは?」
- 「現役警察官が仕事帰りとはいえ、覆面パトカーで娘の家に遊びに来るのは問題では?」
これらのコメントには多くの「いいね」がついており、同意する人が多いことがうかがえます。
どこの国の話なのか不明
日本において、現職警察官が捜査車両を私的に利用したケースは過去に実際に起こっており、処分されています。そのため、この動画の展開は日本の常識では受け入れがたいものとなっています。
そもそも、この話の舞台がどこの国なのかも不明です。
動画の絵柄が日本人向けではないことから、アメリカの感覚で作成された話ではないかと推測されます。
もしアメリカが舞台であれば、私有車両を正式に覆面パトカーとして使用することも認められているため、私的な利用も許されるのかもしれません。
しかし、文化や一般常識の違いもあり、多くの日本人にとって、この動画は「スカッと」ではなく「モヤッと」するものとなってしまったようです。