【航空無線受信テク】「洋上管制」を受信できる広帯域受信機は?

深夜2時、周波数を5.628MHzに合わせるとノイズの向こうから聞こえてくる『ピー、ボーッ・・・・・』という不思議な音色(個別呼び出しのためのセルコール)に続く『ゼロ、セブン・・・・・・トウキョウ・・・・・・』などの声。

これは太平洋上を飛行中の大型旅客機や貨物機が送信している航空無線の一種、いわゆる洋上管制です。

このロマンチックな洋上管制の受信を思い立ち、広帯域受信機を買う方も多いと思います。

洋上管制とは?

通常、陸上の上空を飛ぶ航空機ではVHFによる管制を受けていますが、洋上ではレーダーが使えないため、HFによる通信が行われます。

当然、アマチュア無線のHF帯がそうであるように、季節や時間帯によってコンディションは変化します。

そのため、洋上管制に使用されるチャンネルは複数あり、東京レディオの北太平洋地区(NP)では2932, 5628, 6655, 8951, 10048, 11330, 13273, 17904の周波数が、時間帯に応じて使用されます。

受信改造済みIC-R6で洋上管制は聞けない?

残念ながら当サイトで推奨しているアイコムのIC-R6は洋上管制の受信には不向きです。

地上から約100kmから130km付近に発生するE層という電離層に反射するHF帯(短波)の受信でも優秀な広帯域受信機IC-R6(受信改造済み)でも、太平洋など大海原の上空を飛行する定期便が使う3~30MHzの洋上管制は聞けないのです。

その理由は二つあります。

IC-R6で洋上管制が聞けない理由、その1

まず第一に、洋上管制はより遠くへ電波を飛ばすため、減衰の少ないSSBモード(Single Side Band=振幅変調単側波帯抑圧搬送波)の通信であるためです。SSBモードの中でも、さらにUSB(UpperSide Band=搬送波と搬送波より低い周波数の成分をカット)とLSB(LowerSide Band=搬送波と搬送波より高い周波数をカット)がありますが、洋上管制はUSBを使用します。IC-R6が選択できる電波形式はFM,AM,WFMのみであるため、正常にUSBの復調ができません。

IC-R6で洋上管制が聞けない理由、その2

そして第二に、IC-R6の最低チューニングステップ幅が5.0KHzのため。これでは1KHz単位でシビアな周波数調整が必要な洋上管制を正確に受信できません。

洋上管制の受信に適した受信機とは?

フライトレーダー24で見た太平洋上の航空機(画像典拠元 Flightradar24.com)

洋上管制の受信にはゼネラルカバレッジ(general coverage)と呼ばれるHF帯が受信可能かつ、SSB(USBモード)を選択できる比較的高級な受信機、またはアマチュア無線機が必要です。general coverageとはそのまま略せば全体の範囲といった意味合いですが、まさに広範囲を受信できる機種です。

手軽なハンディ型レシーバー、ICOMのIC-R30も高価なだけあり、SSBモードによる洋上管制も気軽に受信が楽しめます。

またオールモードと呼ばれる高級機ではほとんどSSB方式に対応しています。購入される場合はSSB対応の有無を確認してください。しかし、ゼネラルカバレッジのオールモードは高額機種もざら。安く買いたいのならHF受信専用機を買うのも手です。

例えば、アルインコのHF専用オールモードデスクトップレシーバー DX-R8は長波、中波、短波帯に対応しており、短波帯で行われている洋上管制の航空無線やVOLMET、それに船舶向け通信なども受信可能です。ただし、周波数は0.15〜35MHzまでの対応で、それより上のV/UHF帯の航空無線は受信不可。

さらに少し足せば人気のデスクトップ受信機AOR AR8600MARK2 が買えます。※2020年に製造終了となりました。

また、アマチュア無線の資格を持っているなら、YAESUのFT-817ND もおすすめです。HFのほか、V/UHF帯の航空無線も受信できます。

洋上管制ではアンテナもHF用のものが良い

HFの場合、VHFやUHFに比べるとアンテナがより重要になってきます。

アマチュア無線用のVHFモービルアンテナでも深夜ともなれば、太平洋上からの電波を十分に拾ってくれますが、快適なHF受信を求めるならば、やはりHF専用アンテナの設置が推奨されます。

HFアンテナには設置が簡易なV型ダイポールから、より大型の八木アンテナまでピンキリですので、付け加えるならばHF用のアンテナを立てられる自宅環境があれば最適です。

しかし、マンション住まいの方でもベランダにモービル用のHFアンテナをちょこんと設置するお手軽な方法で受信を楽しんでいる方も多くいます。

そんなアパマン受信家の間で人気が高いのは第一電波工業の7MHzセンターローディングアンテナ・HF40CL。市場平均価格は1万円以下。

2メートル弱の流麗なスタイルで、モービルホイップとしてもお手軽ですし、自宅設置でも省スペースで運用可能。10MHzまでなら大抵のHFで良好な受信環境を構築できます。

洋上管制のまとめ

昨今では洋上管制は衛星通信にとって代わっておりますが、2021年現在でも深夜ともなれば、何十機もの航空機が、東京と交信していますので安心して受信に励んでください。

このように洋上管制を受信するには手間とお金がかかることを今一度考慮して、興味があればチャレンジしてみてください。

洋上管制は航空無線の頂点かもしれません。

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