船舶無線の解説…実は意外と内陸部でも入感する船舶無線「国際VHF」を楽しんじゃおっ!

日本の漁船や旅客船、プレジャーボートなど各種船舶局および海岸局が行う海上無線通信には漁業無線、国内VHF(マリンVHF)、国際VHFなど複数の系統がある。これらをまとめて本稿では「船舶無線」と呼称する。

漁業無線・・受信はちょっと難しいぞ

遠洋漁業の漁船は27MHzや39MHz帯のいわゆるHF帯を使っている。モードはAMのほかSSBを使うため、SSB対応の受信機(短波帯対応のオールバンド機など)や、HFアマチュア無線機が必要なので、敷居がやや高いだろう。

残念ながら当サイトでおすすめしているIC-R6や同価格帯のハンディ型のライバル機では最小ステップ幅(周波数と周波数の間隔)が5kHzごとなので、漁業無線のステップ幅に完全対応できず、周波数にぴったり合わないのだ。ただし、2kHz程度のずれならかろうじて受信できる。なお、J3E、H3EはSSB、A1Aはモールス、A3EならAMだ。

ハンディ機で漁業無線を受信したい場合は、アルインコのDJ-X11がおすすめ。

27MHzはCB無線(市民ラジオ)の帯域としても割り当てられていてご存知の通り、夏ごろにダクト現象やEスポが出れば、遠距離でもガンガン聞こえてくるぞ。

無線局の免許は漁協か漁業無線組合に交付されるのが通例。各漁協に割り当てられている業業務船の周波数一覧は総務省で公開されているのでチェック。

総務省公式サイト https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/material/dwn/06.pdf

HF用アンテナを立てられる環境ならば、ぜひ聞こう。大掛かりなアンテナがだめならば、いっその事、海へ出かけ手っ取り早く海岸で聞いてみるのもいい。

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国際VHF・・・VHFの飛びのよさとFMなので手軽に受信できる

手っ取り早く「船の無線」を聞きたいのなら、国際VHFの16chをワッチ!

船舶無線で最も手軽に受信できるのが「国際VHF」だ。


大海原を航行する大型タンカー、貨物船、豪華客船、海上保安庁や海上自衛隊、各国海軍の各種船舶。

これらは150MHzから160MHzを使う世界共通の周波数で合計57チャンネルを使う「国際VHF」にて互いに航行安全上の相互交信をすることが定まっており、航行中は常に呼び出し兼非常用チャンネルでもある16ch(156.800MHz)を聴取するよう定まっている。

だから、16chを聞いていれば、即座に大海原を行く船の無線をワッチできるのが魅力だ。チャンネルによっては海上保安庁の船舶局、海岸局、航空機局との通信に使用するものもある。

総務省による国際VHFの説明(pdfファイル) http://www.soumu.go.jp/main_content/000199106.pdfを参考にしてほしい。

前述したとおり、これは世界共通の通信システムで大型船舶には設置が義務付けられている。その名のとおりVHF帯域を使う無線で、150MHzから160MHzに割り当てられる。

国際VHF用の無線機各種。画像引用元 https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/life/technique/navigation/vhf.html

すべての周波数にはチャンネル番号が指定されており、その中でも156.800MHzは16チャンネルと呼ばれ、必ず聴取が義務付けられているのと同時に、呼び出しと応答専用ともなっており、緊急用にも使用されるのだ。ここで呼び出して、他のチャンネルに移って交信をするのはアマチュア無線やデジ簡と同様。

2018年に発生した日本の自衛隊機に対する韓国駆逐艦レーダー照射事件でも、日本のP1哨戒機側は国際VHFの16ch、それにVHFとUHFの二つの国際緊急周波数を使って、韓国艦艇側にレーダーによるロックオンの意図を繰り返し問い合わせたが、国際的に取り決められた安全航行のための周波数や緊急事態用の周波数による問い合わせを一方的に無視した韓国海軍は国際ルールから反れていると非難されても仕方ないだろう。

というわけで、手っ取り早く「船の無線」を聞きたいのであれば、国際VHFの16chをワッチしてみよう。

毎朝、メインチャンネルで航空無線とはまた違うハッキリした英語で「プリーズ、チャンネル、ワン、フォー」などと、海岸局と各船舶との交信を聴取できるはずだ。

なお、国際VHFを使用するためには、第一級から第三級総合無線通信士、第一級から第四級海上無線通信士、第一級から第三級海上特殊無線技士のいずれかの無線従事者を取得していなければならない。

また、この国際VHFのシステムの中には、我が国の沿岸海域のみを航行する国際VHFや、漁業無線なども設置していないレジャー船、プレジャーボート用として、日本独自の「マリンVHF」という制度がある。

マリンVHFも国際VHFを使用する大型船舶や海上保安庁との直接通信が可能だ。

1988年(昭和63年)に発生した自衛隊潜水艦と釣り船との衝突事故「なだしお事件」が導入契機となっており、緊急時の連絡体制をいかに確保するかということであるが、マリンVHFには国際VHFと違って聴取義務はないのが特徴だ。

マリンホン

電源や船体構造のため、通常の国際VHF無線機が設置できないような、より小型の船舶用には「マリンホン」という無線通信システムもある。

これは1991年に制度化されたもので、300メガヘルツを使用するMCA方式の無線通信で、基地局は全国に18局、携帯局は約2400局で、交信可能距離はおよそ30キロにもおよぶ。

400メガヘルツ無線電話

モーターボート、ヨットなどのプレジャーボートの船舶での無線利用の普及を図るため、昭和61年(1986年)6月に制度化されたシステム。

主として(社)小型船舶安全協会が利用しており、27メガヘルツ帯、40メガヘルツ帯の無線機器の設置が船体構造上困難なもの、27メガ帯に対するエンジン雑音が大きい船舶が使用する。

交信可能距離はおよそ30キロメートル。

海上保安庁の船舶電話

また、海上保安庁でも、専用周波数を使用して業務を行っている。

参考文献
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/kaijo_senpaku/pdf/080424_2_si3.pdf

船舶無線のまとめ

航空無線に比べて、ちょっとばかり複雑な日本の海上通信の現状だが、航空無線や一般の業務無線の受信に飽きたら、ぜひ牛みたいに突撃して受信してほしい。

「ボクんちの近所に海なんかないよ!」なんて嘆くなかれ。海から離れた内陸部に住んでいるから船の無線なんて聞けそうにない・・なんて諦めの声も聞こえてきそうだが、大丈夫。船が海上で発射する電波は航空無線並みに意外とよく飛ぶのだ。その理由は海面による電波の反射と、HF、VHF帯域の周波数のため。

海岸から山を挟んで100キロは離れた内陸部でもコンディションが良ければ、バッチリ聞こえちゃうこともあるので、まずはダメもとで国際VHFの呼び出し周波数である156.800MHzに合わせ、受信にトライしてみよう。

なお、フライトレーダー24同様に、船舶のリアルタイムな動向がわかるサイト・マリントラフィックドットコムもあるので、日本のほか世界中で漁船や貨物船、旅客船、漁業監視船など、おおまかな船舶のリアルタイムな位置を知ることができる

なお、漁協、各種船会社、さらには国立高専に割り当てられた周波数は総務省で公開されているので、目をとしておこう。

総務省公式サイト https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/material/dwn/06.pdf

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