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フリーライセンス局が使う秘話コード『27144』の由来とは?

この記事では「フリーライセンス局の秘話コード『27144』の由来」について解説します。

まず秘話コード」とは、無線通信において音声内容を第三者に傍受されにくくするために用いられる、簡易的な通信秘匿の仕組みです。とくにデジタル簡易無線(DCR)においては、あらかじめ設定された秘話コードを送受信機で一致させることで、対応しない機器からは音声が聞こえない、いわば「パスワード」をかけたような仕組みになっています。

これは高度な暗号化とは異なり、簡易的な識別コードによるアクセス制限に近いものです。つまり、“パスワード”である「秘話コード」は第三者に知られてはなりません。

より詳しい「秘話コード」の仕組みについては以下の記事で解説しています。

デジタル簡易無線、混信トラブルを防ぐために知っておきたい「秘話コード」のこと

したがって、「秘話コード」を使う理由は主に企業などの業務利用で、個人情報などセンシティブな内容を通信で取り扱う場合のプライバシーの確保と秘匿という観点が多いと言えます。

ですから、本来であれば私たち趣味の利用者(フリーライセンス無線愛好家)が、レジャー目的で使用する場合、秘話コードは普段あまり使わない機能です。

しかし、フリラーの場でも、あえて使うこともあります。実際にどのような場面で使われ、「27144」というコードがどのような意味を持つのかについて、今回は詳しく解説します。

フリーライセンス無線で秘話コードが使用される理由と「27144」の意味

「フリーライセンス無線」は本来、レジャー利用を想定した趣味の無線で、多くの場合、交信内容は“同じ趣味の仲間内での会話”であり、秘匿すべき内容がないと言えます。

たとえば、アマチュア的な交流の中で「週末のミーティング」や「無線の話」を無線でやり取りする際に、あえて秘話コードを設定してまで隠す必要があるかといえば、そうではないケースがほとんどです。秘話機能の必要性は用途によって大きく異なりますが、趣味の無線で過剰な秘匿性を持たせることは、かえって閉鎖的になり、実用性も損なうおそれもあります。

極端な例えとしては、こんな会話です。

📻「この前、ドライブ運用の途中で、めっちゃええラーメン屋見つけてな」
📻「えっ、どこ?」
📻「……秘話コード入れてから教えるわ。聞かれるとまじでヤバい」

フリーライセンス無線は資格や免許を持たない人でもすぐに始められ、共通の興味を持つ仲間と出会える場として、多くの利用者に親しまれています。同じ趣味を持つ利用者同士が気軽に会話に加われることこそ、醍醐味といえるでしょう。

例えば、こんなやり取りです。

📡 Aさん:「今日はええ天気やな~! どっか行きたい気分や!」
📡 Bさん:「ほんまやな! ワシ今、淀川の土手でのんびりしとるで!」
📡 Cさん(たまたま受信してた人):「お、淀川おりはるんですか! ワイも近くおります。 ちょっと参加してええですか?」
📡 Aさん&Bさん:「もちろんやでー! ほな、ミーティングしよか!」

こうした無線では、個人情報や機密事項のような深刻な話題はあまり交わされません。だからこそ、秘話コードによる通信の秘匿と第三者介入の制限よりも、「誰でも参加できる」という開かれた環境の方が重視されます。

誰でも加われるために秘話コードを使うという逆転の発想

しかし、やはりフリーライセンスの場でも秘話コードが推奨される場合があります。

それはなぜでしょう。

一言で言えば、業務局への配慮と、気軽な合言葉としての利用です。

先述したように、秘話コードが設定された無線機同士でなければ、音声として復調はされませんから、混信を防ぐことができ(※電波の占有自体はされます)、利用者の多い都心部での利用など、一定の配慮ができます。

これを逆手にとり、趣味の無線と業務の無線とを棲み分けるというのが目的なのです。

「27144」はどこから?

そして、この「秘話コード」自体も特に秘匿されているわけではなく、フリーライセンス無線の愛好者の間で広く共有されています。

その代表的なコードが「27144」です。

では、この「27144」という数字にはどのような由来があるのでしょうか。

これは、かつて日本の市民ラジオ(CB無線)で使用されていた周波数に由来します。

日本のCB無線は、27MHz帯を使用する無線であり、27.144MHzはその中でも代表的なチャンネル周波数として多くの利用者に親しまれていました。とくに1970年代のCB無線の全盛期には、この周波数を使って交信する愛好者が非常に多く、「27144」はCB無線文化の象徴的な数字となりました。

CB無線は資格免許不要でHFの電波伝搬特性が気軽に楽しめる!違法CBと合法CBの違いとは

その後、CB無線の利用者は減少し、1980年代から1990年代にかけてはMCA無線の一種である「パーソナル無線」が普及しました。パーソナル無線では、利用者が任意に周波数を選ぶことはできませんでしたが、代わりに「群番号(グループコード)」を仲間内で共有することで、特定の相手とだけ通信できる仕組みが採用されていました。

当時の無線利用者の間では、この群番号にも「27144」が用いられ、CB無線時代からの一種の伝統として受け継がれていたのです。

やがてパーソナル無線制度も廃止され、多くの愛好者はデジタル簡易無線(DCR)などへと移行しました。ここでも、過去の慣例を踏襲する形で、秘話コードとして「27144」が選ばれるケースが一般的となり、現在に至ります。

このように、「27144」はただの数字ではなく、日本におけるフリーライセンス無線の歴史と文化を象徴しています。

まとめ:27144は無線愛好家の合言葉!

すなわち「27144」は、フリーライセンス局にとって伝統的で親しまれてきたナンバーです。

無線の世界でも、かつて熱心に利用していた技術や周波数に対して、名残惜しさや親しみを感じることがあります。「27144」は、そうしたCB無線の記憶を象徴する数字であり、多くの愛好者にとって特別な意味を持っています。

なお、市民ラジオ(CB無線)は現在も存続しており、「27.144MHz」も引き続き合法的に使用されています。CB無線そのものが過去のものになったわけではありませんので、その点は誤解のないようご留意ください。

この「27144」をデジタル簡易無線(DCR)における秘話コードとして活用することを呼びかけているのが、「ライセンスフリーラジオ・ミーティング(FLRM)」という、フリーライセンス無線の交流イベントを主宰する団体です。

ただし、FLRMにおける「27144」の使用目的は、通信内容を秘匿するためではなく、DCRを使用する際に業務用通信局(事業用利用)との混信を避けるための配慮や、フリーライセンス局同士の共通の合図として推奨されているものです。

このような使い方は、いわば**「合言葉」的な意味合い**に近く、アマチュア無線におけるレピーター運用のローカルルールと同様、法的拘束力はありません。使用を義務付けられているわけでもなく、誰かに強制されるものでもありません。

そのため、フリーライセンス局の中にも「27144」を使用していない局は多く存在します。使用しないことに対して特に気にする必要はありませんし、あくまで趣味の一環として、気の合う仲間同士で気軽に使うものとして受け止めるのが適切です。

「27144」は、フリーライセンス無線の歴史と文化を象徴する数字であり、使うかどうかは利用者の自由な判断に委ねられています。

秘話コードは、あくまで状況に応じて適切に使うことが重要です。

なお、フリーライセンス局同士で秘話交信を行う場合、15chで呼出し時に秘話の使用も同時に宣言するのがスマートです。

単に『秘話ありで交信お願いします』と言うよりも、やはり『秘話コード”27144″で交信お願いいたします』など、コードナンバーそのものを明示したほうが良いでしょう。

秘話コードは互いに設定されていないと交信ができなくなてしまうので注意したいところです。

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