画像の引用元『SNIPER』
スナイパーを題材にした映画はようさんあるけど、絶対にはずされへんのが1993年公開の『山猫は眠らない(原題・SNIPER)』やろ。
暗闇から石を高速で投げつけるような卑怯なイモ虫スナ野郎のバイブルみたいな作品や。

まあ、ミリタリーにおける狙撃の基本はこっちで解説の通りやけども。
ストイックな米国海兵隊のベテラン狙撃手・ベケット曹長をトム・ベレンジャーが、オリンピックメダリストでワシントンD.C.のSWAT隊員(非軍人)ミラーをビリー・ゼインが演じとる。
そないな二人が、ぶつかり合いながらも一緒にパナマの麻薬組織のボスらを排除する任務に挑む話や。
話自体はフィクションやけど、ベケットのモデルはあの有名な狙撃手、カルロス・ハスコックやで。
武器の話もしとこか。ベケット曹長が使うんはM40風M700。
サイドアームはシグ・ザウアーP226。P226って陸上・海上自衛隊の特殊でも使ってる奴やな。

シグナリーファンでも紹介している陸自特殊作戦群SFGp。さりげなく手の内明かしてくれるのありがたいで。
写真の引用元 防衛省発行『陸上自衛隊2011年公式カレンダー』
まあ、映画は1993年当時やから、アンダーマウント(ガタガタ)のない美しいアーリーモデルやね。
自衛隊の使ってるのは後年のアンダーマウント(ガタガタ)つきのP226やで。ガタガタって言うなや(笑)
そんで、今SFP9に更新の進んでいる旧型9mm拳銃がこれやで。
P226は中盤の協力者である神父のいる教会突入シーン、その後、スナイパー小屋(笑)から狙撃後、からくも脱出しながらの追手への反撃、多数の敵の追撃に即応など見せ場は数箇所あるで。

画像の引用元『SNIPER』
潜んでいたスナイパー小屋(笑)から狙撃を完了後、脱出したベケット曹長。直後、接近戦にてP226を使用。
一方、ミラーは一見PSG-1やMSG-90に見えるけど、民間仕様のHeckler & Koch SR9TC(7.62x51mm NATO)がメインアームや。

サイドアームはなし。大事にしてたシューティンググラスを現地の協力者におねだりされてるの笑うで。
ただ、ベケットが7.62ミリ弾の弾頭をナイフで削って「精度を高める」っちゅう、なんやよくわからん演出もある。
ミリタリー雑誌でイチローナガタ氏が「そんなんアホやろ!」とツッコんどったけど、まぁ世界中のミリタリーマニアにはウケとる映画や。
ベケット曹長の名言もかっこええねん。「狙撃は適性や。好きやからって理由だけじゃあかん」
そんなベケット曹長、戦死した相棒のドッグタグ(認識票)を指で擦りながら、新しい相棒・ミラーにしんみりと夢を語る。
「俺は除隊したらモンタナのリビングストーンに帰るんや。マジソン川の支流が流れ込む淀みの近くで釣りガイドでもやるつもりや。2年前に帰った時に決めたんや」
ミラーは楽観的や。「その街なら俺の大学(スキーで落第した)もあるし、よー知っとるで」
ほなベケット、「嘘つくなや」
ミラー、冗談やなくマジやった。ところが、この二人、懐かし話に花を咲かせるんかと思ったのも束の間や。
「アンタが言う川やら岩場やら、7年前に埋め立てられて高校のテニスコートになっとるで。2年前に帰った?ホンマかいな……アンタにゃ狙撃しかないんやで!」
ミラーの一言が、一気にベケットを現実に引き戻すんやな。このシーン、何を伝えたかったんやろな。
「俺はお前みたいにイモスナで一生終わりたないんや」っちゅうミラーの上昇志向と冷たい視線がベテラン兵士に突き刺さるんはせつないで。
それでも二人は作戦を続行するんやが、考え方が合わんのでミラーがついにブチギレ。なんとベケットに銃を向ける。ミラーはスコープ越しのベケットの姿に「美しさ」まで感じるようになってもうたんや。狙撃の禁断の魅力に取り憑かれてもうたわけやな。
ほんで、ミラーが行きついた先はジャングルの中の教会、墓場。
そこでミラーは自分の影にビビり、自分の影を撃ち、大声で笑い、最後には涙。ベケットに「俺を撃ってくれ」と頼むけど、ベケットは「お前はまだやり直せる」と慰めてミラーを救う。
ほんでまた二人で作戦再開。
監督のこの演出、ほんま感嘆の息出るわ。
興味深いんは敵役のけん銃に「LAR グリズリー Mk I」が出てくるんや。ガバメントベースのカスタムガンなんや。めっちゃマイナーなピストルやけどな。知っとる?昔、「グンゼ産業」って玩具メーカーがあってな、そこがエアガンを出してたんよ。そのラインナップにグリズリーが入ってたんやな。
ちなみにグンゼ産業って下着メーカーで有名なグンゼで、現在のGSIクレオスやで。婦人下着からエアガンまでかい・・。
とまあ、こういう内容やで。
幸か不幸か、ベケットもミラーもこの後、何作か続編に出演するんやが、後半の方になってくると、ベケットの息子とミラーのコンビになっとる。
シリーズは全部で10作。ミラーはかなりハゲ進行しとるやん。
おまけに、日本のファンにとっては衝撃的なことが待ってた。
まさかの元AKB48・秋元才加がシリーズの凄腕暗殺者として登場するとは、誰が想像したやろな?
ちなみに自衛隊って、昔こんなコラボやっとったんやな(笑)

画像の引用元 自衛隊岩手地本
ほんまに自衛隊にゴルゴが入んの?という妄想やとこんな感じか?
「ゴルゴ13、陸自のスナイパー教官になる」
某陸上自衛隊駐屯地――
「ええええええっ!? ワタシたちのスナイパー教官って、あのゴルゴ13さんなんですかぁ!?」
駐屯地に集合した女性自衛官たちの間に、驚きと興奮の声が響き渡った。
「キャーッ! すごいすごいすごい!! 本物のゴルゴさんやぁ!!」
「え、えっ? マジで? あの伝説のスナイパーに直接指導してもらえるの!?」
「こ、こんな日が来るなんて…!」
騒然とする隊員たちの前に、黒いスーツに身を包んだ男が静かに現れた。
「……」
言葉は発さない。ただ、静かに佇むだけで圧倒的な威圧感が漂う。
ゴルゴ13――コードネーム・デューク東郷。
「……諸君らに、狙撃を教える」
その低く響く声に、隊員たちは一瞬で静まり返った。
――が、次の瞬間。
「よろしくお願いしまぁぁぁす!!!」
隊員たちは一斉に敬礼し、なぜかキラキラした目でゴルゴを見つめている。
「ひゃ~っ! ゴルゴさん、めっちゃカッコいい!!」
「えっ、普段はどんなご飯食べてるんですか!?」
「スナイパーって、どんなお化粧したらバレにくいんですかね!? ゴルゴさんのおすすめのスキンケアとかあります!?」
「……」
ゴルゴ、完全に困惑。
(……これは、予想外だ)
◆第一回 射撃訓練◆
ゴルゴは無言のまま、訓練場に向かう。そして、50m先の的を一瞥すると、すっと愛銃M16改を構えた。
パスンッ!
次の瞬間、銃声とともに的のど真ん中が撃ち抜かれる。
「す、すごーい!!」
「やばっ! 一瞬で撃ち抜いた!」
「え、あの構え方って、どうやるんですかぁ!? もっと見せてくださいっ!!」
ゴルゴは淡々と答える。
「無駄な動きをするな。呼吸を整え、心拍をコントロールしろ」
「ほぇぇぇぇ…」
「……?」
(なぜ、キラキラした目で見つめられている……?)
「じゃあ、まずはお手本として撃ってみろ」
「はーい! がんばりまーすっ!」
そう言って、一人の隊員――鈴木2等陸士がやたらとノリノリでスナイパーライフルを構える。
「えへへ~、ゴルゴさん見ててくださいねっ♪ えいっ!!」
バンッ!
弾は完全に的を外れ、遠くの土手に突き刺さった。
「あれぇ~!?」
「……」
「ちょ、ちょっと緊張しちゃいましたっ もう一回いいですか!?」
「……待て」
ゴルゴは無言で彼女のライフルを取り上げる。
そして、彼女の構えを直しながら呟いた。
「……まず、頬付けが甘い。ストックを肩にしっかり当てろ」
「は、はいっ!」
「呼吸は3秒吸って、3秒止め、3秒で吐く。心拍を一定にしろ」
「は、はいぃっ!」
「トリガーは引くのではなく、体全体で押す感覚で……」
「……」
「……なぜ頬を赤らめる」
「えっ? だ、だってぇ……ゴルゴさんがめっちゃ近いんですもんっ」
「……」
(これは……俺が教官に向いていないということなのか)
◆訓練の成果◆
数週間後。
「よぉし! いくでぇぇぇ!!」
パスンッ!
「おおっ! 当たった!!
パスンッ!
50m先の的の中心に、弾痕が開く。
「やったぁぁぁぁ!! 💦ゴルゴ教官、見てください! 当たりましたっ!!」
「ふんふん♪ ゴルゴ教官に教われば、ワタシたちも最強のスナイパーになれるかも~!」
「きゃーっ! ゴルゴさん、もっと教えてくださーいっ!!」
「……」
ゴルゴ13――本名、デューク東郷は、無言でライフルを肩にかけながら、ふと自問自答していた。
(なぜ……俺は日本の自衛隊で射撃の教官をしているのか……?)
◆――都内の高級料亭「松風」◆
静かな和室。襖が閉ざされ、外の喧騒とは無縁の空間。
座卓の向かいには、スーツ姿の男――防衛大臣。
「ゴルゴくん」
「……」
「君が日本で何をしたか、証拠はある。」
ゴルゴの目がわずかに細まる。
「当然、警察はいつでも君を逮捕できる……」
「……」
防衛大臣はニヤリと笑い、杯を手に取った。
「それが嫌なら、自衛隊で射撃教官をしてもらおう。女性隊員だ!」
「……」
無言で猪口を傾けるゴルゴ。
(……この俺が、日本政府に借りを作っただと?)
「どうする? 君ほどの腕前なら、簡単な仕事だろう?」
「……」
(……仕事の依頼を断ることはある。しかし、今回の状況は最悪だ)
ゴルゴは静かに、しかし確実に、頷いた。
「……分かった」
防衛大臣は満足げに笑う。
「そうこなくては。では、明日からよろしく頼むよ」
◆現在――自衛隊駐屯地◆
「ゴルゴ教官、どうしても当たらないんですぅ💖」
「おかしいなぁ~、ゴルゴさんの教えどおりやってるんだけど……」
「もう一回、マンツーマンで指導してもらえませんか?💖」
「……」
(なぜ……俺はここで、キャピキャピした女性隊員に射撃を教えている……?)
ゴルゴは、じっとライフルを見つめながら再び自問自答するのだった。