原発事故や放射性物質災害の現場で活動するため、警察には「放射線防護車」という特殊車両が配備されています。
これは一部の県警にしか存在しない、極めて限定的かつ高性能な装備です。
特に福島県警には、東日本大震災の教訓をもとに導入されました。
どのような車両なのか、その背景を紹介します。
Contents
🚛 放射線防護車の仕様
警察庁の要望により整備された放射線防護車は、放射線から乗員を守りつつ、原発事故や放射性物質災害の現場で活動するための特殊車両です。
密閉・加圧構造を備え、鉛などの遮蔽材によって高い遮断性能を持ち、車内には線量計や警察無線の装置も搭載されています。

主な仕様
項目 | 内容 |
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性格 | 放射線遮断・測定機能を持つ警察の特殊車両 |
配備数 | 全国で2台(警視庁+福島県警) |
導入目的 | 原発事故やテロ時の現場対応 |
コスト | 約1億5000万円/台、国費負担 |
実績 | 福島第一原発での対テロ訓練(2013年)に参加 |
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放射線を遮断・防護できる装備を備えた機動隊車両で、とくにテロ攻撃による原子力災害下で放射性物質が拡散した場合、犯人制圧や強行偵察、逃げ遅れた人の救助を遂行します。
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全長約10m・重量約22t、鉛を含む装甲や密閉・加圧構造、計測機材を搭載しており、車内の気圧を高めて放射性物質の侵入を防ぎます。
機動隊の特殊車両は装甲車だけじゃないぞっ!武骨なフォルムの特型警備車だけじゃなく、レスキュー車や資材搬送車、トイレカーにも萌えろ!
警察では他にも、NBC対策車、化学防護車があります。
自衛隊にも同種の車両がある
とくに、車内を加圧して外部からの放射性粒子の侵入を防ぐという特殊な仕様は、自衛隊の化学防護車やNBC偵察車でも用いられる技術です。
2011年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故では、自衛隊の化学防護車が現地に出動しました。
原発建屋に近づくにつれて、車内の線量計の数値が上昇し、警報音が鳴り響いたといいます。
この経験を踏まえ、その後の化学防護車には、車両前面に放射線防護用の追加装甲が設けられるなど、装備の強化が施され、改良型として運用が続けられています。
📍 配備状況と背景
福島第一原発事故を受け、放射性物質災害に即応できる体制の整備が急務となりました。
これに伴い、2013年度に国費で導入されたのが、放射線防護車です。
✅ 配備する警察はどこ?
配備先は、原発を管轄する福島県警と、首都圏の対テロ対策を担う警視庁の機動隊に限られ、全国で2台のみ。
福島県警への配備と背景
福島第一原発事故後の2013年度、福島県警と警視庁に各1台ずつが配備されています。1台あたりの導入費は約1億5000万円。
配備の背景には政府による予算措置で、放射線災害発生時における警察の初動対応能力を強化する目的があります。
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国内には2台のみ配備されており、警視庁と福島県警がそれぞれ1台ずつ保持しています。
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予算は国費で約1.5億円/台。福島第一原発事故後の2012〜2013年度に導入されました。
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また、2001年の9.11以降、原発警備の観点から常時配備が強化されたという背景があります。
🛡 活用の現場と役割
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現場での放射線レベル測定や現場活動の支援(除染・封じ込め対応など)に使用される想定です。
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原発事故などで、警察による初期段階の現場侵入・測定対応に用いられると公表されています。
✅ まとめ
このように、放射線防護車は福島のような放射能拡散リスクの高い地域での現場活動を支える専門的装備です。
参照文献
1. 【原発テロ対策 放射線防護車を配備】
媒体:NHK科学文化部(X)
公開日:2013年5月2日
URL:https://x.com/nhk_kabun/status/329790108926619650
2. サリンと原発の放射線…見えない敵と戦った元自衛官 「あの日、私も怖かった」 退官後に語る現場のリアル
媒体:Yahoo!ニュース
公開日:2021年3月11日
URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/a10d0c0108706546e51f9977c3460eeb201c0947?page=3
3. 警察庁、放射線防護車を初配備 テロや事故に備え2台
媒体:朝日新聞デジタル
公開日:2013年5月8日
URL:https://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201305080042.html
4. テロは許さない!機動隊 写真特集(写真)
媒体:時事通信社(画像アーカイブ)
公開日:不明
URL:https://www.jiji.com/jc/d4?p=kdt144-jpp14532519&d=d4_hh