M4カービン:米軍最強の制式小銃を巡る自衛隊の騒動
M4カービン――それは米軍が生んだ最も成功した制式小銃。米陸軍、海兵隊、特殊部隊に至るまで、あらゆる戦場で活躍し続けるこの銃は、世界中の軍や法執行機関にも採用されとる。
アメリカの警察では97年のノースハリウッド銀行強盗がきっかけで、全米のパトカーに「パトロールライフル」として積まれとるで。
もはや「アメリカの顔」とも言える存在や…って、ここ読んどる人らにはいらんか?そんな説明。
ところが、2008年にその米軍が誇る輝かしい小銃を巡って、日本の自衛隊で一つの騒動が巻き起こっとったんや。
それも、ちょっとしたウワサやなくて、オープンソース情報や海外の報道からも読み取れる、わりとリアルな話やねん。

U.S. Air Force Staff Sgt. Julius Taylor, a combat arms training and maintenance instructor with the 628th Security Forces Squadron, disassembles an M4 carbine July 30, 2013, at Joint Base Charleston, S.C. SrA Dennis Sloan
まあ、今でこそ公開情報の通り、特殊作戦群にHK416の配備も明らかになったし、もうM4どころの話やないけどな。
【史上初】特殊作戦群の実働訓練画像を防衛省の正式公表前からオーストラリア軍側が公開→削除してSNSでは物議。その背景には何が?
せやけど、当時としては自衛隊がM4導入したってウワサはセンセーショナルだったんやで。
まぁこの記事はもともと10年前に書いたもんやし、「事件」そのものも2008年やからね。その辺はご了承してほしいやで。
いちいちこのサイトの記事の日付けを気にする奴もおるからね。うちは運営歴13年と長いし、サイト移転してるから日付なんぞいちいち気にしちゃあかんで。
M4カービンと陸上自衛隊:配備のウワサの出どころは主に二つ
それぞれの項目に飛べます
日本の自衛隊が米国の兵器を研究目的で輸入すること自体は今時、珍しい話でもなんでもないで。
せやけど、実際に部隊へ配備されるとなると、これはもう話が別や。
特に、公式発表もなく「いつの間にか持ってる」状態やと、「いつ買ったんや?」「なんぼで買ったんや?」「どこ攻める気や!」と、そら疑問の声も上がるっちゅうもんやろ?とくに左巻きからな。
さて、現在確認されとる情報によると、当時、陸上自衛隊の特殊作戦群(SFGp:Special Forces Group)では、アメリカのFMS(対外有償軍事援助)を通じて、M203グレネードランチャーやQDSS-NT4サプレッサーとセットでM4カービンを取得した可能性が極めて高いっちゅうことや。
ところが、特戦群ちゅうのはなぁ、極秘中の極秘部隊で当時は訓練や装備画像が一切外に漏れなかったんや。相撲取りのUSP以外は。
それがようやく2022年10月に、防衛省が創設以来初めてオーストラリアでの特殊作戦群の訓練画像を公開。
せやけど、それよりフライングして、オーストラリア軍側が画像を公開してもうたんや。
そこにはHK416系の小銃を持っとる隊員の姿がバッチリ写ってた。
「M4やないやんけ!」ってツッコミたくなるかもしれへんけど、逆に言えば「陸自の特殊作戦群は西側先進諸国の特殊部隊が使うアサルトライフルを実戦レベルで普通に導入しとった可能性がある」っちゅう証拠よな、これ。
当時のM4カービンもその一部やと考えるのが自然な流れやろ?ちゃうやろか?
自衛隊とM4カービン:配備が公になった経緯
この話が表沙汰になったのは、いくつかのオープンソースがカギ握っとるで!
1. 米国政府がFMSで日本政府にM4を売却した事実を公表
アメリカ政府はFMS(Foreign Military Sales)を通じて、日本政府に対してM4を売却したことを公式に発表しとる。
つまり、「日本にはM4がありますよ」って、アメリカ側が公開文書でわざわざ教えてくれたんやね。民主主義のあるべき姿やで。東アジアの没落経済国家も見習ったらどうや?
まあ、日本は公式には「ノーコメント」っちゅう感じやな。
2. M4用の光学照準器が不正輸出された事件
こっちの話のほうがヤバい。なにせ、米陸軍の元将校が自衛隊員の依頼で光学照準器を密輸したとして、米国当局に起訴されとるんやからな。
この事件の当事者は、元・米陸軍大尉(情報将校)飯柴智亮氏や。

飯柴・元大尉は、アフガニスタンで従軍した経験を持つ元米軍将校で、日本のミリタリー専門誌にもたびたび登場しとった、まあ当時その筋ではインフルエンサー扱いやったな。
その彼が、ある自衛隊員からの依頼を受けて、アメリカ政府の許可なしに軍用光学照準器「EOTech 553」を日本へ輸出したっちゅうわけなんや。
しかも、彼によれば、当時依頼してきた「自衛隊員」の言い分が、めちゃくちゃ興味深い。
「特殊作戦群でM4を新しく配備したので、同銃に取り付ける光学照準器が欲しい。」
これが事実であれば、飯柴・元大尉の声明によって、M4カービンが特殊作戦群に極秘配備されとる証拠になってしまったんやね。
詳しくは飯柴・元大尉の声明文を参照のこと。 http://spikemilrev.com/news/2008/7/29-3.html
飯柴・元大尉の事件の詳細
事件の経緯を時系列で追ったで。
- 2006年、飯柴・元大尉は親しい自衛隊員から「M4に合うEOTech 553を入手してほしい」と頼まれる
- 軍用光学照準器の輸出には米政府の許可が必要やったが、それを取らずに日本に送った
- 2008年、米国捜査当局にこの密輸が発覚し、シアトル連邦地裁に起訴された
- 飯柴・元大尉は罪を認め、禁固1年1日の実刑判決が下った
この事件、アメリカ側から見れば「軍事機密に関わる違法輸出」ってことで、「たかがライフルの照準器で…」どころの話じゃなかったらしいんやわ。かなり厳しく追及されたわけやな。

ともかく、「EOTech 553」っちゅう照準器なんやけどな。日本人は銃そのものでは無く、単なるドットサイトなら日本国内で持っていても咎めなんかないやろと考えがちやろ?
まあ、実際そうなんやけど、問題は「EOTech 553」はアメリカから外国に無許可で輸出すること自体がアウトってことなんや。
ガチガチに規制されとるやつで法的責任を取らされまっせ。今回が、まさにガチガチに規制されとるやつだったってわけや。
ま、そのガチのやつを自衛隊関係者は特殊作戦群で配備したM4用の照準器として、飯柴・元大尉に所望してしもたんやね。
後に親しくなった自衛官の一人から電話による連絡がありました。内容は『陸自内に新設された特殊作戦群が、新たに購入した米国コルト社製M4カービン小銃に取り付ける光学サイトの購入を検討、結果米国製EOTech 553が選ばれた。』というものでした。
出典 飯柴大尉の声明文 http://spikemilrev.com/news/2008/7/29-3.html
その後、2008年に飯柴・元大尉はシアトル連邦地裁で起訴され、罪を認め、禁固1年と1日の実刑を言い渡されてたっちゅうわけ。
日系米軍大尉に禁固刑 日本に軍用品不正輸出
米国から日本に軍用品を不正に輸出したとして、密輸の共謀罪で訴追された日本出身
の米陸軍大尉、飯柴智亮被告(35)に、シアトル連邦地裁は7日、禁固1年と1日の
実刑を言い渡した。飯柴被告は不正の事実を認め、検察側と司法取引していた。飯柴被告は判決言い渡し前に「愚かな過ちを悔いている」と謝罪した。
ワシントン州フォートルイス陸軍基地の情報部門に所属していた飯柴被告は2006年
から今年2月にかけ、別の人物と共謀。銃器に付ける照準器60個などを許可なく日本に輸出したとして7月に訴追された。検察側は、輸出先が日本の自衛隊関係者や防衛商社、友人だったと指摘していた。
飯柴被告は渡米後に米国籍を取得。1999年に陸軍に入隊し、アフガニスタンでタリバン掃討作戦に参加した経験を基にした著書や、兵器の解説書を出版している。
訴追を受け情報部門から外された。
まぁそれにしても、1個や2個やなくて、60個ってのはかなり大量やな。まぁそれは部隊全員で揃えるんやったら、それぐらいは要るかもなぁ。しかも共謀したもんまでおるんやね。
せやけど「EOTech 553」はきちんとした手続きを踏めば「米国の友好国軍には提供できる」とされているんや。
せやから、特殊作戦群が本当に欲しかったら、アメリカ軍のイチ兵士に個人的に頼まずに日本政府として合衆国政府へ正規の手続きを踏むべきやったってことやね。
自衛隊の対応:M4の存在を否定し続けた理由
ところがや、このような経緯でM4の配備が思わぬ形で明らかになったものの、飯柴・元大尉の「声明」を自衛隊では完全否定しとんのや。
飯柴・元大尉の事件によって、特殊作戦群がM4を使っとる可能性が明らかになったにもかかわらず、防衛省・自衛隊は一貫して「事実無根」と言い続けとる。
なんでそこまで否定するんか?
一つは、配備を認めてしまうと、防衛商社による武器の不正輸入問題にも飛び火する可能性があるからやろうね。
もし「M4が特殊作戦群で使われとる」と認めたら、次に問題になるのは「じゃあダットサイトの大尉の件は事実なん?」って話やろ?
それを追及されると、場合によっては防衛商社や一部の関係者が関わった不正輸出問題まで発覚するかもしれへん。飛び火やねん。
この記事の要旨は「M4はあったんか?」ってことなんやけど、ダットサイトは無事に回収されたんか?ってとこも突っ込みたいわな(笑)
まぁしかし自衛隊側もFBIから問い合わせが来たと思うんやけど、何て答えたんやろうね。
結論:M4は自衛隊にあるのか?
オープンソースで各自確認したってや。ワイは別にすべてがソース主義ってわけやないで.
「公式には無かった」
「でも、非公式にはあったかもしれん」
これが現時点での答えや。
もし仮に、特殊作戦群でM4が配備されとる(されていた)としても、防衛省・自衛隊はそれを認めるつもりは……ないやろ。公式に発表した瞬間に、余計な問題が噴出する可能性があるからや。
せやけど、米国政府が公式発表しているFMSの情報を見てると、「ある」と考えたほうが自然やと思う。
しかし、自衛隊では存在しないことになっとる、存在するはずのない幽霊コルト…なのかもしれへんな。
意図的なリークだったらすまんけど、相撲取りのUSP、米軍大尉のM4、オーストラリア軍による特殊作戦群の訓練写真公開って、隠しとるもんを他所の人間に次から次にバラされてるのは……何故なん?
まぁ、2011年度の防衛省公式カレンダーに、特殊作戦群がP226を使っている写真なんてものも載っとったので、敢えて秘匿装備を表に出すってのも作戦なんやろね。それともほんまに気がつかんかったとか?
まとめ
いやしかし、興味深い騒動やったね。米軍の将校さん、ダットサイトでキャリア吹っ飛んでますやん。
気の毒やけど、自衛隊は「うち関係ないで。知らんし」っちゅうとるんもまたエグい〜。そら防衛商社も戦々恐々やろなぁ。
以上です!!

余談やけど、自衛隊と防衛産業の取引っていや、1988年放映のテレビアニメで「自衛隊と武器輸出・開発を巡る総合商社のキャリアウーマン」を描いた回が放送されとったな……。
昭和のテレビアニメで女武器商人が主人公の話とか、今考えたらようやっとったなぁ。あかんで。職業差別したら。
冒頭からFSXの離陸シーン。「防衛庁は昭和62年、次期支援戦闘機(FSX)としてF16戦闘機を米国と共同開発する方針を固めた」とキャプション。
今の三菱F-2支援戦闘機やね。
街角のおもちゃ屋の店先でF16戦闘機のプラモを手に取る子どもと母親の会話。
「ぼくこういう飛行機に乗りたい」
「無理よ。それ戦闘機よ。戦争にでもならない限り乗れないわね」
どんな母親やねん(笑)通りがかりにそれを見て、ちょっとアレな母親の物言いをたまたま聞いてしまい、顔をしかめ若い女性。
彼女の仕事・・それは田宮・・ハセ・・いや、総合商社のキャリアウーマン。
総額一兆円にのぼるFSX開発計画に沸く日本の航空産業に彼女もまた、好むと好まざるとにかかわらず身をおいているんや。
しかも、バリキャリやのに、日本独自開発をゴリ押しする防衛庁や自社やライバルの防衛商社界隈に彼女は「独自開発」はあかんて楯突くとか、そら社内でも板挟みなるわな。
「うちの会社はアメリカのスミス社の代理店として自衛隊に武器を売ってきた」と上司とやりあう彼女やけど、彼女の仕事は「自衛隊に武器を売る仕事」。
立場めっちゃ複雑やったんやろな。
法に反しなければ、企業として何やってもいいのか?女子高生にはコンビニスイーツを売り、警察や自衛隊にヘッケラー&コッホを売っても、法の範囲なら許されるのか?心は傷まんのか?って話やな。痛むかいな。知らんがな(笑)この国では何やっても許されるんや(笑)
ほんで今回のダットサイト無許可輸入の件、完全に違法で飛び火で巻き込まれとるな(笑)
軍人さんも防衛産業の「影」の部分に足突っ込んでもうて、えらいことになっとるで。
武器商人の世界はヨルでも昼でも闇深いっちゅうこっちゃ。
そのアニメの女武器商人さんのセリフじゃないけども「経済の論理だけで武器生産を考えてはいけない。少なくとも世界の中での日本の経済のあり方を防衛問題も入れて考えないと。今こそ平和国家の新しい道を探るべき時だわ」って感じやな。
売れるもんはなんでも売るっちゅうのが商売の基本やけど、武器商では論理は変わるっちゅうことを女武器商人は言いたいんやな。マッコイじいさんも中東で両陣営に武器を売ったりはせえへんかったで(笑)女武器商人って言い方やめなさい(笑)
なお、1991年にフジテレビで放映されたアニメでは「89式小銃“密輸出”」が描かれとったなあ。高校での君が代、日の丸強制問題も揶揄しとったし、“90式戦車は川底の石で穴があく”なんて描写が界隈で大論争を呼んだらしいで(笑)痛快やったわ。なんだよそのアニメ?「中空知防衛軍」か?
「バトルオーバー北海道」か?
違います(笑)ほんま、自衛隊に訓練用のエアガン売るくらいにしといたら、せめて平和的でよかったんにな(笑)