【動画】安倍元首相の国葬にて首相SPが現場警備責任者の不手際を見かねて指示出し→責任者が『うるさい!黙れ!口出すな!』と市民の前でSPを罵倒→大炎上!

『うるさい、黙れ!こっちでやってるんだから口出すな!』

そんな罵声が飛んだのは2022年9月27日に行われた安倍・元総理の国葬における現場警備の一コマでした。

何台もの警察車両が霞ヶ関のある交差点を通過する中での出来事です。

『警備責任者の警察官』は自分に指示を出したSPを罵倒してしまう。 画像の出典 @tazzz1212さん

7月に奈良県内で演説中の安倍・元総理が狙撃され、警護対象者の後方が無防備だったこと、警護対象者が特定団体とのつながりを持つことに不満を抱く人間からの襲撃等が起きえる想定を考慮しなかったこと、奈良県警の警護員と警視庁SP間の連携不足など、面目を失うようなしくじりの数々。

ストライクアンドタクティカルマガジン 2021年 11 月号 [雑誌]

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警備計画に瑕疵はなかったか、警察庁での検証および報告書の公表、警察庁長官の交代など矢継ぎ早に改革への一歩を踏み出そうとしていますが、その開催に国民世論が割れる中、誰もが警備に不安を払拭できない中での安倍・元総理の国葬です。

幸い何事もなく国葬は終了し、テレビの前で人々は胸を撫で下ろし、個人の思いは違えど、あらためて多くの国民が故人の冥福を静かに祈ったのではないでしょうか。

しかし、国葬の裏側、すなわち警備の現場では連携不足とも取れる見逃せない極めて危険なハプニング、さらには失笑する事態が起き、SNS上で物議を醸しています。

一体あの日、何が起きたのか。

【悲報】警視庁SPさん、警護対象者の「動く壁」だった

警護車列が交差点内で停車してしまうハプニングが発生

ケースごとに異なりますが、首相の日常公務における移動では出向先が随時変わるため、事前に制服警察官を交差点に配置させず、交通規制は最小限のもの。

しかし、要人を乗せた警護車両の車列が赤信号で停車すれば襲撃の危険度が増してしまいます。

そのため、現場のSPチーフが判断し、状況次第では警護車を赤信号の交差点に緊急走行で先行して突っ込ませ、誘導灯を手にしたSPが車から身を乗り出して一般車両の通行を阻み、警護車列を優先させることで危険を排除する場合も。

防弾ガラスや特殊鋼の装甲が施された防弾仕様の『内閣総理大臣専用車』であっても、軽トラックの荷台に秘匿された対戦車ライフルや個人携行型対戦車ミサイル、あるいは自爆型で襲撃されようものならば、多弾数の軍用けん銃『ベレッタM92』や『グロック17』を携行するSPだけで対処するのは極めて困難です。

【警備部の装備トレンドは?】警視庁SPの使うけん銃にP2000など登場

皮肉なことに安倍元総理を襲撃した被疑者は元自衛官で、日本政府から軍事訓練を受けた特殊な人間だったとはいえ『単独型かつ個人製造の凶器による要人襲撃』が可能かつ、致命的な結果を引き起こせると証明してしまってさえいます。

今回の国葬警備では各国から多くの要人が来日。

今回のようにルートがあらかじめ決められたケースでは事前に制服警察官が交差点などの要所に多数配置され、交通規制で一般車両の流れを一時的に止め、警護車列を優先させる手筈となります。

警護車はSPがVIP警護のために使用する各種装備搭載の特殊な防弾車両

ところが今回の国葬警備の現場において、交通規制担当の現場警察官の不手際により、一般車両を停めきれられず、交差点内で警護車列が足止めを喰らうという極めて危険な事態が発生。

動画内のキャプションによれば、問題の交差点中央で警笛を吹きながら誘導灯を大きく振っている制服の男性警察官がこの交差点付近の警備責任者。

彼は部下に対向車を止めるように指示を出し、自らも合図を出しますが、両名共に一般車両への停止合図が弱かったのか、乗用車、タクシー、トラックなど対向の一般車両は交差点をほとんど徐行もせず、何事もなかったかのように通過。

その結果、動画の0:08付近で交差点内にて警護車列が”立ち往生”。この様子には沿道の市民から失笑が起きる事態に。

動画内のキャプションによれば『警護車両が交差点内に進入するも指示が行き届いておらず、警護車列が交差点内で停止してしまうハプニング』とのこと。指示及び連携不足が原因のようです。

ところが、ハプニングはこれで終わりません。

この事態に首相担当SPも肝を冷やしたのか、危険性をすぐさま排除すべく、警備責任者の警察官に『次終わったら出して!』と車を出すタイミングを拡声器で指示しますが……。

SPの指示に罵声を浴びせた「警備責任者の警察官」

このとき、SPが出した指示に返ってきたのは、まさかの怒号でした。

「うるさい、黙れ! こっちがやってんだから! こっちでやってっから口出すな!」

動画内のキャプションによれば、これを怒鳴りつけたのは“警備責任者の警察官”とのことです。

発言の主は、交差点内で誘導灯を振りながら部下に指示を出し、結局は車を止められなかった、あの制服警察官と思われます。彼はまるで、「車を止める・流す」の判断権は自分たち側にある、と言いたげな態度でした。

しかし、こうして立場や権限が対立する状況で、果たして緊急事態に適切に対応できるのでしょうか。

もちろん、「緊急事態」の定義は状況によって異なりますが、真に危険が迫った際には、交通規制を担当する警察官よりも、チーフSPの判断が優先される場合もあるでしょう。場合によっては、先導車や警護車両が対向車線に突入し、強制的に交通の流れを止めて、警護対象を緊急走行で通過させることもあるのです。

そう考えると、「車を止める・流す」判断の権限は、SP側にもあると言えるのではないでしょうか。

もちろん、通常の交通規制は、所轄署の制服警察官──今回で言えば、警視庁の所轄署勤務員──が担当するのが一般的です。ただ、今回の国葬警備では、全国から多数の警察官が所属車両ごと派遣されており、罵声を浴びせた警察官がどの所属かは断定できません。

それでも、同じ警視庁内のSP同士で、こんな低レベルな“口答え”が発生するとは考えにくく、実際には交通規制担当の制服警察官と、警視庁警備部警護課のSPとの間で生じた行き違いだったと見るべきでしょう。

同じ警察官とはいえ、階級の上下や所属の違いによって、「従えない」とする態度がハプニングを招いた可能性もあります。

この動画に映っていた制服警察官とSPのやり取りについては、SNS上でも様々な意見が交わされ、引用ツイートで多くの反応が見られました。

ただ、必ずしも『警備の責任者の警察官』の言葉遣いを責める声ばかりではなく、”動員されている現場”と意思疎通そのものが図れていない問題そのものに対して厳しい声が寄せられており、警備部のSP側にも問題があるという指摘も。

また、彼ら現場の警察官の問題というよりは、悪徳政治家を選んだ我々国民側にも問題があるとの声も。

なお、この警護車両の車列には応援派遣された山梨県警などのパトカーがいたことから『ガラが悪すぎるぞ山梨県警w』という声があり、あたかも“山梨県警の警察官が警視庁SPを怒鳴りつけた”かのような一部指摘もありますが、先述した理由から罵声の主は警視庁の所轄署員の可能性が高く『警視庁の身内同士のいざこざ』と見られます。

なお『警備責任者の警察官』が怒鳴りつける寸前に通過したのは千葉県警のパトカー。

ハリス・米国副大統領警護車列(重武装のシークレットサービス含む)の目前で歩行者を渡らせる不手際も・・・

また、先の場面の直後にも指示の行き違いが。

青信号を待つ歩行者を規制している女性警察官に対して、遠くから『渡して!渡して!』と指示する男性の声が聞こえます。

おそらくは先ほどの『警備責任者の警察官』だろうか。女性警察官らはその指示に従い、信号機を操作した上で歩行者を横断させます。

ところが、指示の主は米国副大統領の警護車列が来ていることに気がつかなかった様子。

男性警察官が『渡して!』と指示を出し、歩行者が渡り始めた直後にやってきたのは・・・。 画像の出典 @tazzz1212さん

なんと、歩行者が渡り始めた直後、ハリス・米国副大統領および重武装のシークレットサービスを乗せたシボレー・サバーバン、SATや銃対を乗せたとみられるシボレー・エクスプレスを含む警護車列がやってきてしまうのです。

目の前で突然渡り始めた歩行者に驚いたのか、車列先導役のPCも思わず『(歩行者を)とめて下さい!とめて下さい!』と怒鳴り気味で指示出し。

『(歩行者を)とめて下さい!とめて下さい!』と警護車列の先導パトカーから慌ててマイクで指示が飛んだ。後部座席のスーツ姿の男性はSPと見られる。 画像の出典 @tazzz1212さん

これに突っつかれた、さきほどの『渡して!』の指示を出したとみられる警察官が、今度は慌てて『回して!(※キャプションでは信号を変えろの意味とある)』との一貫性のない指示を出します。

これらの不手際に対し『警護車列は止めずに通過させる』ことの意義を理解してないのでは、との指摘も。

あやふやな交通規制でとんだ事態に見舞われたハリス氏。

しかし、幸いなことにこのハプニング以外に何事もなく、彼女のための警護車列は無事に交差点を通過。

岸田首相担当SPが現場警備担当者に罵倒された件のまとめ

今回の安倍元総理の国葬儀は、全体的には大きな混乱もなく滞りなく進行しました。しかし、その裏側では警備現場の連携に不備があり、いくつかの不手際が目立つ場面も見られました。

中でも特に印象的だったのは、岸田首相の警護を担当していたSPが、公衆の面前で現場の警備責任者とされる制服警察官に激しく罵倒されたという出来事です。

言葉を投げかけられたSPにとっては、悔しさ堪える場面だったことでしょう。

とはいえ、要人警護中に、警察官同士が指示を巡って衆目の中で口論を始めてしまえば、警察全体の信頼を損なうことにもなりかねません。そればかりか、もしも車列を狙ったテロなどがあった場合には、致命的な混乱を招く可能性すらあります。

そのような中で、相手にせず、あくまで自身の任務を冷静に優先したSPの対応は、非常に的確でした。

一方で、罵倒したとされる警備責任者の警察官は、その後に行われたハリス米副大統領の警護車列においても対応の不手際が指摘されており、今後の勤務評定にも影響が出る可能性があります。

この怒声が、安倍元総理を守れなかったSPへの批判だったのか、それとも、指揮系統に属していないSPから指示を受けたことに対する反発だったのかは不明です。

しかし、同じ警視庁の警察官でありながら、制服警官が警備部の精鋭であるSPに対して公衆の面前で怒鳴りつけるという異例の光景は、多くの人々に強烈な印象を与えました。

この出来事を報じた動画や投稿には、10月1日現在で1,500を超える「いいね!」がついており、注目の高さを物語っています。

さらに、同日の午後には、警視庁が国葬警備中に警察官のけん銃4丁を一時紛失していたことも発表されました。

このけん銃は、他県から応援に来た警察官に貸与されていたもので、警視庁の警察官が預かり、ジェラルミンケースに入れてロッカーに保管していました。しかし、そのままケースごとロッカーをリース業者に返却してしまったというのです。

けん銃はすでにすべて回収されたとのことですが、4丁もの銃が一時的とはいえ所在不明となったのは、極めて重大な失態であり、今回の警備体制にも大きな課題が残されたと言えるでしょう。

安倍元総理の銃撃を防げなかった件について、SP側に過失があったのか否かは、今後の検証や有識者会議に委ねられることになります。

しかし、国葬儀という国家的な行事において、再び警察組織の信頼を揺るがすような問題が重なったことに、多くの市民が落胆したのは間違いありません。

警視庁にとっては名誉挽回の機会となるはずの国葬儀で、またしても面目を失ってしまった形です。

この失点を取り戻せる日が来ることを、願うばかりです。