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暴走族対策と黒バイの歴史について
取り締まり当局が暴走族対策のために積極的に投入しているのは、警視庁をはじめとする各警察本部の暴走族対策車、そして2002年に和歌山県警察に編成された通称「黒豹隊」の駆る黒バイです。
暴走族が現れると、これらの黒バイは赤色灯を点灯させ、サイレンを鳴らしながら追尾します。これは、いわば交通用覆面パトカーのバイク版とも言える存在です。
つまり、白バイをそのまま黒く塗装し、警察の表記をつけていないバイクということになります。
また、暴走族対策車(族対車)に乗務する警察官は、サンルーフから身を乗り出し、暴走族に向けてペイント弾を発射することもありますが、この黒バイにも同様の発射装置が備えられており、暴走族に向けてペイント弾を放つことができます。
黒バイの仕様と特徴
『ラジオライフ』2004年2月号では、同誌の恒例企画である警察特集の中で、和歌山県警の黒豹隊と黒バイについて取り上げています。

現在、黒豹隊に配備されているVFR800Pでは、通常の白バイと同様に赤色灯がエンジンガード(サイドバンパー)上部に取り付けられています。
しかし、配備当初のVFR750Pでは異常に低い位置、つまりエンジンガードの内側に赤色灯が取り付けられていたのです。
さらに、サイレンを鳴らすためのドライバーユニットが見当たらないという特異な仕様でもありました。
また、後部のサイドボックス前部に取り付けられた細長いボンベ状の装備品にも注目。
これは、ペイント弾発射装置を駆動させるための二酸化炭素を充填したボンベであると推測されています。
その後、和歌山県警の黒豹隊による暴走族摘発の成果が評価され、警視庁をはじめとする他の警察本部でも同様の覆面黒バイ部隊が編成され、対暴走族取り締まりに順次導入されるようになりました。
Contents
福岡県警に捜査用黒バイの歴史あり!?
Wikipediaの「黒バイ」ページの最も古い編集記録(2005年11月6日)には、『(黒バイとは)年末年始の暴走族の取り締まりに向け、和歌山県警が全国で初めて導入した黒塗りの暴走族対策専用の覆面バイクの事。』と記されています。
福岡県警察と黒バイの歴史
一方、2007年5月18日の編集記録には、『80年代に福岡県警察機動捜査隊が覆面パトカーよりも機動力を増す目的で導入した刑事捜査用の大型バイク。(現在の稼動状況は不明)』との記述があります。
2021年8月時点では、何らかの理由によりその記述は削除済み。
しかし、仮にこれが事実であるならば、「黒バイ」はもともと交通取締り用ではなく、捜査用として1980年代という早い時期からすでに一部の警察本部で導入されていた可能性があることになります。
福岡県警察における刑事捜査用の黒バイの運用は事実だった
結論として、それは事実でした。実際に、福岡県警察では1980年代に黒バイが配備・運用されていたことが明確な報道によって裏付けられています。
1988年(昭和63年)10月4日付の朝日新聞九州版の記事によると、福岡県警察本部刑事部機動捜査隊には、400ccの黒バイ2台と4人の専従隊員が配備され、刑事事件の初動捜査に投入されていたと報じられています。
これは、機動捜査用車両(通称・機捜車)のバイク版とも言える存在でした。
したがって、交通違反の取り締まりには従事しておらず、黒バイに乗車する機動捜査隊員は、ジャンパーとジーンズ姿の下に警察手帳・けん銃・手錠・携帯型無線機などの装備品を携行していました。当時の記事では、「刑事とは思えない出で立ち」と評されています。
ただ、報道によれば、機動捜査隊の黒バイがバイクは大型の750cc(ナナハン)ではなく400ccの小型車両とのこと。記事では「小型車両であったのは、小回りが利くことを重視したため」ともあります。
なお、この黒バイには、緊急走行に対応するサイレンや警光灯といった保安装置が備えられていなかったようです。
ちなみに、徳島県警察の元刑事で「リーゼント刑事」の異名を持つ秋山博康氏も、機動捜査隊員時代に張り込みや尾行にバイクを使用していたと回想しています。
機動捜査隊時代
尾行・張り込みに使っていたオートバイ#リーゼント刑事 #秋山博康#矢沢永吉 #警察24時 pic.twitter.com/IHxNdCKW2T— 秋山博康 リーゼント刑事【公式】 (@ri_zento_deka) June 22, 2021
黒バイの本来の役割とは
現在では「黒バイ」というと、暴走族取り締まり専用のバイクとその隊員を指すのが一般的ですが、実は機動捜査隊(MIU)の刑事が、捜査の機動力を高めるために導入していたのが先であったということになります。
ただし、現在も福岡県警察機動捜査隊で黒バイが運用されているかは不明です。
警察におけるその他の二輪車の活用
なお、警視庁刑事部捜査一課のSIT(特殊捜査班)には、バイクによる秘匿追跡部隊「トカゲ」が存在しており、現在も刑事事件の捜査に二輪車が活用されています。
まとめ
まあ、結論としては黒バイに代表されるイレギュラーな装備品も、その運用は全国で異なるということですね。