【お知らせ】
シグナリーファン編集部では、無線受信や運用に関して総務省総合通信局の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、各種記事はそれらの調査結果に基づいて構成しています。

HF(短波)で「面白そう」に聴ける周波数/帯域を、聞き物のポイントつきで紹介

短波(HF)帯の世界には、放送局やアマチュア無線だけでなく、時刻標準信号、海上通信、謎の数字放送など、多彩な電波が飛び交っています。

周波数を少し回すだけで、国境や言語を越えた音や信号に出会えるのがHFの魅力です。

本記事では、そんなHFの中から「聴いて面白い」周波数と、その聴きどころをまとめて紹介します。

受信機材は1万円程度で手に入る『SSB対応BCLラジオ』がおすすめです。レビューや機能の紹介は以下の記事で解説しています。

【超人気】XHDATA D-808でHF帯SSBの洋上管制や7MHzアマチュアバンドを受信する方法

HF(短波)で「面白そう」に聴ける周波数

それではHF(短波)で「面白そう」に聴ける周波数/帯域を、聞き物のポイントつきで挙げます。夜/昼の伝播やモードも短く添えますね。

洋上管制(航空無線の一種)

HFの航空無線『洋上管制』の受信方法を解説

  • 洋上管制は、海上空域を飛行する航空機の安全確保のために、飛行の指示や気象情報提供を行うHF航空無線です。その魅力は、広大な海上空域を飛ぶ国際線旅客機同士のやり取りがリアルタイムで聞けることです。「ピーッボー」の独特のセルコール音、季節や天候で変わる通信内容も魅力です。

アマチュア短波バンド(とくに7MHz)

  • 3.5〜4.0 MHz(80m帯)・7.0〜7.3 MHz(40m帯)・14.0〜14.35 MHz(20m帯)など:世界中のアマチュア局が出ていて会話(SSB/AM/CW)やビーコン、コンテストが楽しめます。中でも7MHzの伝播率は高く、休日は昼間でも人が多く、夕方〜夜にかけては国内全国、深夜は南のほうからの長距離伝播が出やすいです。

時刻標準局(“時刻信号”で実用的?)

  • WWV(米国): 2.5 / 5 / 10 / 15 / 20 MHzなどで正確な時刻信号が流れます。調整・受信テストに便利。
  • CHU(カナダ): 3.33 / 7.85 / 14.67 MHzで時報(英仏)を流します。音が一定パターンなので識別しやすいです。

短波ラジオ放送(国際放送)

  • ネット配信じゃ味気ない!?ベリカードを集めてみよう!これぞ短波受信の醍醐味、BCL(Broadcasting Listener)です。5.9–6.2 MHz(49m)、9.4–9.9 MHz(31m)、11.6–12.1 MHz(25m)などで、各国の短波放送(ニュース・音楽)が出ます。昼夜で受信局が変わるので周波数をざっと掃くのが楽しいです。もちろん、日本国内の短波放送も、AMやFMと違った趣があり、楽しいのです。受信状態が良ければ異文化や国際情勢をリアルタイムで感じられる興味深い局をいくつか紹介します。

    1. BBCワールドサービス(イギリス)
      信頼性の高い国際ニュースや多言語放送が魅力で、世界中で聞かれています。文化や政治の情報も豊富です。9.59 MHz(31m帯)、11.77 MHz(25m帯)、15.42 MHz(19m帯)など。
    2. VOA(ボイス・オブ・アメリカ/アメリカ合衆国)
      英語だけでなく、多数の言語でニュースや情報番組を配信。国際情勢に関心がある人におすすめです。9.475 MHz、11.790 MHz、15.360 MHz、17.810 MHz(季節や時間帯で変動)など。
    3. ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)
      フランス語を中心に複数言語で放送。ヨーロッパやアフリカのニュース、文化紹介が充実しています。9.75 MHz、11.89 MHz、15.17 MHz、17.8 MHzなど。

    4. 中国国際放送(CRI)
      中国政府の公式放送局で、多言語で中国のニュースや文化を紹介。内容を比較することで国際理解に役立ちます。6.17 MHz、9.57 MHz、11.74 MHz、15.4 MHzなど。
    5. ラジオNIKKEI第1および第2
      ラジオNIKKEI第1は「637 kHz」(中波帯)のほか、「3.925 MHz」「6.055 MHz」(短波帯)で行われています。特に3.925 MHzは夜間を中心に良好に受信できます。また、第2では主に「3.835 MHz」「6.115 MHz」の短波周波数で放送され、経済解説やマーケット情報、金融関連の番組が多いです。

航海/海上通信(世界各国の船)

船舶無線(海上無線通信)は『国際VHF』と『漁業無線』が主流の受信対象

  • 4.125 MHz、6.215 MHz、8.291 MHz、12.29 MHz(HFの海上交信で使われることがある帯域)や、かつてのMF 2182 kHz(遭難呼出/監視で歴史的に有名)など。これらもまた、航空機の洋上管制同様、ロマン多めで面白いです。

モールス(CW)ビーコン/短波ビーコン群

  • 各国のCWビーコン(数kHz単位で点在)や、OBSER/IONOSフェーズ観測用ビーコンなどは、短波帯の特定周波数に数キロヘルツ単位で分散して設置されており、周期的にモールス符号で信号を送っています。これら周期的な信号を発信するビーコン局かららの信号の強さや受信状況を記録(ログ付け)することで、短波伝播の良し悪しや電離層の変動を推測できちゃいます。受信→ログ付けで自分だけのデータブックを作ろう!

【軍事系】ナンバーズ(Numbers)/ステーション風ミステリー周波数

HF帯での諜報戦の実態とは?謎の通信、受信時の注意点などを解説

  • 静寂の中、短波帯に響く無機質な数字の羅列。ナンバーズ放送はただの通信ではなく、遠く離れたスパイや諜報員たちが秘密裏に交わす“暗号”です。不規則に現れる「数字放送」局。内容が不可解なのでハマる人は深掘りします。現代の影の戦争の一端を垣間見せるHF無線であり、受信するだけで背筋が凍るような緊迫感を味わえます。

【ライブ配信あり】ロシア軍の謎無線局“UVB-76”に萌えアニメソングで突如電波妨害!→世界騒然

【乱数放送】A3放送に潜む北朝鮮の“拉致指令”の謎

【現在でも続くプロパガンダ放送】韓国による対北放送の役割とは

アマチュアバンドの不明な通信『オフバンド』と『アンカバー』とは

正体不明の放送に耳を澄ますとき、あなたは知らず知らず、冷たいスパイの世界の片隅に足を踏み入れています(ただし、運用当事者とは思想的に距離を置いてください)。

デジタルモード/短波データ(近年注目)

  • RTTY、PSK31、FT8などはPC/SDRと組み合わせると世界中の局と“見える化”できます。モードごとに使う帯域・周波数が決まっているので、モードマップを見ながら狙うと良いです。
  • RTTY(Radio Teletype)
    最も古典的なデジタル通信方式の一つで、文字を2つの異なる周波数で表現し、テレタイプ端末同士の通信に使われてきました。短波帯でのデジタル通信の先駆けであり、今でもアマチュア無線で広く利用されています。信号は比較的太くノイズに強いですが、伝送速度は遅めです。

    PSK31(Phase Shift Keying 31 Baud)
    1990年代に開発されたモードで、非常に狭い帯域幅(約31Hz)で高速かつ効率的に文字通信が可能です。低電力でも安定した通信ができ、主にアマチュア無線のチャットやコンテストで人気です。リアルタイムのテキスト通信に適しています。

    FT8(Franke-Taylor 8-FSK)
    近年登場した超低SNR環境下でも通信可能なモードで、音声ではなく文字列を送受信します。約15秒間隔で送受信を行います。パソコンを使い、自動化された交信が可能で、弱い信号でも世界中と通信できるため、コンテストやDX(遠距離通信)に特に重宝されています。ただしリアルタイムの会話には向きません。

CQ ham radio 2021年08月号

HFを聞くときの簡単なコツ

HF(短波)受信では、伝播環境や電波の性質を理解し、それに適した受信機材を整えることが重要です。

特にアンテナの性能向上は信号の感度や選択度に直結し、受信可能範囲を広げます。また、周波数帯ごとの伝播特性や運用時間を把握し、目的に応じて適切な周波数を選択することも不可欠です。これらのポイントを押さえときましょう。

周波数を聞き分けよう

HFの特性は昼夜で周波数の特性が異なります。

  • 日中は高めの周波数(10–20 MHz帯)、夜間は低め(3–7 MHz帯)が強くなる傾向。

  • SDR(ソフトウェア受信機)を使うと帯域をざっと見渡せて効率的に面白い信号が見つかります。

HFの電波は、昼間は高めの周波数(10〜20MHz帯)が遠距離まで届きやすく、夜間は低めの周波数(3〜7MHz帯)が安定して受信できます。これは電離層の性質が太陽光によって変化するためで、時間帯ごとに有利な周波数帯が異なります。特性についてはこちらの記事で解説しています。

短波(HF:High Frequency)と電離層を利用すれば外国との交信も可能!

また、季節や太陽活動の影響も大きく、同じ周波数でも日によって受信状態が変わります。

アンテナを強化しよう

アンテナはできるだけ長く、屋外に設置するほど感度が向上します。周波数を固定せず広くバンドを回して、その時よく入る信号を探すことが、HF受信を楽しむうえでのコツです。

VHF帯(超短波)の航空無線は波長が短いので、ロングワイヤーよりも専用のVHFアンテナのほうがいいのですが、短波の受信にはロングワイヤーアンテナが最適なのです。

短波は波長が長いので、長めのワイヤーを使うと弱い電波もキャッチしやすくなるのです。東京マーチスの短波通信や国際放送、ビーコン、ナンバーズなんかを聞くなら、ロングワイヤーが効果的です。

アンテナを設置する場所も大事で、できるだけ高くて周りに障害物がないところに張ると、もっと良く聞こえます。

  • アンテナは長めのワイヤー(ランダムワイヤーやダイポール)が万能。室内でもループや短めワイヤーで楽しめます。

まとめると、VHF用にはモービルホイップ程度の短いアンテナでもいいのですが、短波用にはロングワイヤーアンテナが最適です。両者を使い分けるのが一番効率的です。

最初は簡易的なものでも十分です。

まとめ

このように、電離層の変化や時間帯によって表情を変えるHF(短波)の受信は、世界中の多彩な電波をリアルタイムで感じ取れる、無線受信の中でも特別に魅力的な分野です、技術探究を深めると、ドツボにはまること間違いなし。

「狙うべき個別のHF周波数」については以下の記事でもご紹介しています。本記事で紹介した軍事系周波数のほか、自衛隊の使うHFも参考にしてください。

【解説】自衛隊の無線周波数と役割(HF・VHF・UHF)

海上自衛隊の謎の電波『Japanese Slot Machine(ジャパニーズ・スロットマシン)』

また、災害時に役立つHFの無線周波数について詳しく知りたい方は、【災害時に聞ける周波数のまとめ】の記事も参考にしてください。国際的な周波数や自衛隊の救難系など、緊急時の情報収集に役立つ周波数を分かりやすくまとめました。受信に活用するための知識が得られます。

【2025年版】災害時に活用される無線周波数の知識──防災・行政・航空救難・アマチュア無線の周波数解説

 

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