撃たれても走れるランフラットタイヤとは

高機動車・トラック類

ランフラットタイヤとは、戦闘車両や装甲車、特殊車両などで採用される、たとえタイヤが損傷しても一定距離・速度で走行可能なタイヤのことです。自衛隊では高機動車に装備されています。

簡単に言えば「撃たれてもすぐ止まらないタイヤ」です。

ランフラットタイヤの基本構造

  1. サイドウォール補強型
    タイヤの側面(サイドウォール)を強化し、空気圧が失われても車両の重量を支えられる構造。タイヤがパンクしても、ある程度の距離(一般的に50~80km程度)を低速で走行可能です。
  2. インサート型(補助リング)
    タイヤ内部に金属またはゴムのリング(インサート)を入れ、空気が抜けてもこのリングが車体を支える構造。走行可能距離はサイドウォール補強型より長めのものもあります。

戦闘車両での利点

  • 戦場での機動性維持
    敵の小火器や破片でタイヤが撃たれても、即座に停止せず安全地帯まで移動できる。
  • 兵員や装備の保護
    車両が止まることによる戦術的な脆弱性を減らし、乗員の安全を確保。
  • 迅速な退避・補給行動
    パンク後も数十キロ走行できるため、戦闘地域から安全地帯までの退避や整備拠点への移動が可能。

注意点

  • 走行速度制限
    空気圧がなくなると高速走行は危険で、通常は50~80km/h以下での走行が推奨されます。
  • 寿命への影響
    パンク状態で走行するとタイヤやホイールの損傷リスクが高まり、補修や交換が必要になる場合があります。
  • 重量・コスト増
    補強構造のため、通常のタイヤより重く、高価です。

陸上自衛隊の軽装甲車や高機動車でも採用されており、戦闘環境や災害派遣での移動にも役立っています。

まとめ

ランフラットタイヤは**「撃たれても即座に行動不能にならない」ことを目的とした実務的装備**です。

万能ではありませんが、機動性と生存性を高める実効的な手段として、軍・警察・一部救援部隊で実運用されています。

運用には速度・距離の制約や整備体制が不可欠で、これを前提にした戦術運用(CTIS併用や退避ルール)が行われます。

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