災害発生時に重点的に聴取すべき無線の周波数


災害発生時、広帯域受信機で重点的に聴取すべきアナログ無線をMF、HFからVHF、UHFまで低い順にこのページ内にまとめました。お使いの広帯域受信機にぜひメモリーしてください。※署活系消防無線や業務無線は地域によって各周波数が違うので、自分でサーチして調べるか、周波数バイブルなどが必要です。

各種無線の周波数を知る方法!広帯域受信機を使って各種無線を受信したい場合、あらかじめ周波数を受信機に登録し、効率よく受信しましょう。

現在でも聴取できる各種アナログ周波数について

現在では受信できる官波も減りましたが、消防・防災機関の航空系、公共事業者から官波まで各種の情報を収集できる広帯域受信機はアナログ無線が今後も運用される限り、災害時の情報収集に役立ちます。

交通事故、土砂災害、水害などによる通行止めなどは大手バス、JRといった各交通機関の業務無線から情報収集でき、防災・消防ヘリ、警察ヘリの各カンパニーラジオや、自衛隊や海保などが使う災害援助用周波数や国際VHFなども広域災害時に聴取すべき周波数です。さらに近隣市町村の防災移動系、消防署活系、水道企業団、水防、土地改良区、電力なども、災害時に活躍する機関ですので忘れずに各周波数をメモリーしておきたいところです。

なお、当サイトでもアマチュア無線と防災対策として『非常通信』についてご紹介していますが、非常通信が行われるのはアマチュア無線の145MHzや433MHzといった各バンドの呼び出し周波数(メインチャンネル)や、非常通信専用周波数です。非常通信については以下の記事で解説しています。

非常通信とアマチュア無線

広帯域受信機の概要については以下のページにて解説を行っています。

免許不要の広帯域受信機で各種無線を聞こう!

災害時に備えるべきアナログ無線の周波数(2018年版)

災害が発生した場合に聴取すべき周波数を以下にまとめました。消防無線に関しては指令波がデジタルに移行しており、受信不可ですが、アナログの署活系無線はむしろ運用が全国で増えています。

なお、地域によっては下記に紹介している無線がデジタルに移行している場合がありますのでご了承ください。

アマチュアバンドにおける非常用周波数については、ジャールが平成27年1月5日から施行しているアマチュアバンドプランを参考としています。

http://www.jarl.org/Japanese/A_Shiryo/A-3_Band_Plan/bandplan20150105.pdf

それでは低い順から説明していきます。

4630KHz

アマチュア局が免許される周波数です。モードはCW(モールス)のみですが、アマチュア局がアマチュア以外の業務局や、警察、消防、自衛隊、海上保安庁などと非常時に直接交信できるように制定されている国家公認の非常通信用周波数です。日常でも訓練で交信が行われています。

アマチュア無線の3.5MHz帯の非常通信周波数

3,535kHzが非常通信周波数です。

アマチュア無線の7MHz帯の非常通信周波数

7,050kHzが非常通信周波数です。

アマチュア無線の14MHz帯の非常通信周波数

14,300kHzが非常通信周波数です。

アマチュア無線の21MHz帯の非常通信周波数

21,360kHzが非常通信周波数です。

アマチュア無線の28MHz帯の非常通信周波数

28.20MHzが非常通信周波数です。

アマチュア無線の50MHz帯の非常通信周波数

50.10MHz、50.30MHz、51.50MHzが非常通信用周波数です。51MHzが呼出兼非常通信用周波数です。

50MHzは電波伝搬特性が非常に特異であり、通常は見通し距離で数十キロですが、春から夏にかけては突発的に発生するEスポ(スポラディックE層)によって、北海道から東京、さらには福岡や沖縄まで驚くほどの遠距離交信(DX)が可能です。

60MHz帯防災同報無線

防災対策として広帯域受信機を所有する人が欠かさずメモリーしている周波数といえば、都道府県および、市町村役場が放送する地域住民向けの防災同報無線です。

こちらも周波数再編により、音声による双方向通信、複数チャネル同時使用、テレメータや静止画等データ伝送が可能なデジタル方式へ移行しており、アナログ広帯域受信機では傍受できない市町村も増えていますが、アナログならば傍受可能です。

地域住民への実際の避難指示や避難勧告はこの防災無線で行われます。自分の地域だけではなく、隣接する市町村もメモリーしておきたいところです。

航空機相互間通信用周波数(ローカル)

各行政機関のヘリ、それにマスコミのヘリが集まれば災害現場の上空は過密となり危険です。したがってこれらの航空機はお互いの飛行高度や位置といった情報を航空機相互間通信用周波数122.60MHzで交信します。実際の交信ではありませんが、以下のような交信を行います。

『南富良野ローカル。こちら道警ヘリ・ゼロ3ホテルパパですぅ。これより高度1000で南西より空知川の堤防決壊現場進入し救助開始しまーす。各機注意願います』
『こちら、HHTV北海道ほしテレビです。了解しました。本機は高度1500で空知川下流上空にて取材中です。こちらの機体カラーは白です。道警さん視認してまーす♪』
『南富良野ローカルー、南富良野ローカルー、こちら、ひぐまテレビですー。高度1500で現場はいりますー』
『こちらゼロゼロ3ホテルパパです。ひぐまさん、1500はHHTVさんに取られてます』
『了解しました・・・』

このように突如として122.600MHzで『(近隣の地域名)ローカル』と航空機がお互いに呼びかければ、付近で災害や事故が発生し、報道や警察など各機関のヘリが集まっている可能性が高いので、チャンネルはそのままで注意深く傍受してください。

警察・消防・海保・自衛隊機が救難活動に使う救難周波数

一方、災害現場にて各行政機関の航空機が救難活動時に相互交信する際には123.100MHzを使用します。

防災ヘリ・警察ヘリのカンパニー無線

こちらも実際にヘリが飛んでこなければ受信できませんが、ヘリが飛ぶような災害では最も情報入手が容易いといえます。防災ヘリも警察ヘリも全国共通で 135.950MHzを共用しています。

『どこの堤防が決壊している』
『どこの山の斜面が崩れている』

鷹の目からの情報は迅速で正確です。ただし警察ヘリの場合、警察業務の交信は第三者に傍受されたくない思惑から、傍受不能のデジタル警察無線を使い、あくまでカンパニーラジオでは現在地、活動時刻等の報告が主です。

また、防災ヘリの運航のみは民間航空会社が委託運行している場合もあるので、ヘリ会社のカンパニーもメモリーしておくとよいでしょう。

消防ヘリのカンパニー無線

消防ヘリの周波数は防災ヘリとは別です。複数の周波数を使用している地域もありますので、確実なヒットを狙うならすべて入力が必要です。消防ヘリ自体は大きな消防局でなければ運用できませんので、北海道なら札幌市消防局では配備していても、とかち広域消防局では配備していません。

また佐賀県と沖縄県は県所有の消防および防災ヘリを配備していません。ただし、沖縄県は特殊で、内閣府沖縄総合事務局のヘリコプター・エキュレイユが防災ヘリとして日本政府直轄で配備されています。

また東京都は防災ヘリを配備せず、東京消防庁航空隊が担っています。

 129.750MHz   131.150MHz  131.875MHz   131.925MHz   131.975MHz

消防ヘリは上記のカンパニー周波数を使用しています。

消防ヘリの無線「カンパニーラジオ」って何?

マスコミが運航委託するヘリ会社のカンパニー無線

取材場所など、航空会社の地上局とやり取りを行います。なお、現在ではマスコミ無線はすべてデジタル化済みですので、アナログ受信機での傍受はあきらめてください。マスコミのデジタル無線傍受はデジタル無線対応のAOR AR-DV1で。

近隣の飛行場やグライダー滑空場の飛行援助用航空局の周波数

事件事故、災害発生現場の近隣に場外飛行場や滑空場と呼ばれる小さな飛行場があれば、同空域には各行政機関のヘリ、マスコミヘリ、ドクターヘリなどが大挙して押し寄せてくるため、飛行場の飛行援助用航空局、いわゆるフライトサービスに飛来の通告をします。

【航空無線受信テク】民間事業者などが運営する非公共用の小規模飛行場が設置した飛行援助用航空局を受信したい!

フライトサービスの周波数は普段から航空機が飛行場周辺を通過していくだけでも、常に安全のために各機が通告をするので、欠かせない情報源です。自分のまわりのフライトサービスの周波数を調べて、普段から注意深く傍受し、近隣の航空機トラフィックを把握しましょう。

災害援助用の相互通信波

さらに、災害現場の近隣の飛行場が行政機関のヘリの臨時のヘリポートになる可能性もあります。その場合は上述のフライトサービスの周波数、または離着陸を統制するための周波数として、災害援助用の相互通信波である123.450MHzを使用します。

海上保安庁カンパニーラジオ

地震による津波など、海難発生時に海上保安庁のヘリがサーチ&レスキューで出動していた場合、海保のカンパニーラジオが活発になります。130.300MHz134.500MHzです。

ドクターヘリ無線(医療無線)

消防無線がアナログだったころは共通波で地上の消防・救急隊員と交信してきましたが、消防無線のデジタル化によって、ドクターヘリもデジタル消防無線機を搭載しはじめ、消防隊との交信を聞くことはできなくなりました。

http://www.soumu.go.jp/soutsu/okinawa/hodo/2008/08_10_22-02.html

ただし、医療機関からドクターヘリに指令を出す医療無線はアナログで運用されています。

復信式の場合は基地局が147.660MHz、移動局が143.660MHzです。単信の場合はいずれか一波です。なお、航空無線のAMではなく、FMモードですので留意してください。内容は要請内容、現場詳細、担当消防隊、着陸地点(ランデブーポイント)などです。

なお、ドクターヘリは夜間飛行の装備がないため、基本的には日没前までの運行です。夜間にヘリによる救急搬送が必要な場合は航空自衛隊の航空救難団が行っています。

アマチュア無線の145.000MHz(呼出周波数兼非常通信用周波数)

145.000MHzは本来、呼出周波数ですが、非常通信の場合にも使用することが決められています。ほかに非常通信用として144.100MHz、145.300MHz、145.500MHzの使用がバンドプランによって取り決められています。ただ、実際に大規模災害が発生した場合には、上記の非常通信専用や呼び出し周波数に限らず、アマチュアバンド全体を上から下までサーチして通信を傍受すると、各移動局からの情報が入手しやすいでしょう。

土地改良区(愛称・水土里ネット)

土地改良区は主に農業用水路や機械揚水といった施設の維持および農地管理、さらには農家から賦課金の徴収までを行う公共法人です。役所のような公的機関ではなく、職員も基本的に公務員ではありませんが、土地改良法という法律に基づき、各地域の農家で構成されているという知られざる組織です。

ただし、地域によっては市町村役場職員が兼務する場合もあります。警察マニア、自衛隊マニアは多いでしょうが、土地改良区マニアは少ないので実態は謎に包まれています。

彼らの管轄はあくまで農業用水施設および農地ですが、台風、冠水、洪水が起きれば彼らの出番です。田んぼの守護神。ちょっと田んぼ見てくるぜ。なお、公務員より給料は低いんです。

とくに台風や大雨による土砂災害、水害が発生しそうな場合は朝4時でも土日でも出動し、減災のために揚水施設を操作して農業用水の管理を行いますので、140MHz帯域の無線が活発になります。F3Eなのでアナログ受信機で聴取が可能です。

電力会社

普段は送電設備の保守点検で使用されています。火災が発生すれば電力会社も出動します。一般的に、150MHz帯域を使用しています。

バス会社

交通情報入手に絶対に欠かすことができない価値のある無線です。大手路線バスはもちろん、観光バス各社もメモリーしておけば、市内の路線から高速道路まで道路情報が丸わかりです。一般的に、149~152MHz帯域を使用しています。

路線バスの無線から街の交通情報が聞こえてくる

バス無線は総務省による完全デジタル化計画の予定はありませんが、関東地方では古くなったアナログ機材の更新のついでにデジタル化してしまった例もありますので、アナログ受信機での傍受はあきらめてください。一方、同じ公共交通機関のタクシー業界ではなんと99パーセントの会社でデジタル化していますので、アナログ受信機での傍受はもはや無理です。

国際VHFのメインチャンネル

船舶が使用する国際VHFの「16チャンネル」と定められている156.800MHzはアマチュア無線同様、呼び出し周波数兼非常通信用となっており、すべての船舶が聴取しています。16チャンネルで呼び出した後は別のチャンネルで交信が行われますが、万が一の事故の発生の際は、16チャンネルで遭難通信など救助の通信が行われます。海上保安庁からの海上安全放送が行われることもあります。

船舶無線の解説…実は意外と内陸部でも入感する”船舶無線”を楽しんじゃおっ!

 

国際VHFの通信は呼び出しチャンネルから開始

したがって、海上保安庁、海上自衛隊も常に傍受しています。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000230458.pdf

JR

鉄道路線が巻き込まれるような土砂災害が発生すれば、無線で連絡をします。150と400MHz帯域を使っていますが、デジタル化した地域はアナログ受信機での傍受はあきらめてください。

防災相互連絡波

かつて、消防無線がアナログだったころに消防機関、警察、市町村役場の防災担当部署が相互に連絡をとれるよう、158.350MHzおよび466.775MHzで整備されたものです。導入のきっかけは対策に当たった諸機関が相互に連絡を取れず混乱した1974年の『水島臨海石油コンビナート石油流出事故』とされています。

現在は防災行政の当事者である消防機関の消防無線が150MHzアナログから270MHzデジタルに移行したことにより、存在意義がなくなっています。ただし、市町村役場同士で連携をとる場合に466.775MHzが使用されれる可能性があります。

アマチュア無線の433.000MHz(呼出周波数兼非常通信用周波数)

433.000MHzは本来、呼出周波数ですが、非常通信でも使用することがバンドプランで決められています。ほかに430.100MHz、433.300MHz、433.500MHzが指定されています。災害時、広く情報を知りたいなら、バンド全体のサーチも試したいところです。

市町村役場防災移動系

防災移動系無線は60MHz~70MMHz帯域の防災同報無線とは違って、市町村役場の緊急車両などの車載無線と市町村役場が交信する無線です。150MHz帯域と400MHz(466.0500MHz~ 466.3375MHz)帯域で使用されています。なお、災害が複数の地域にまたがる際は相互応援などで全国共通の防災相互連絡波466.775MHzで各市町村が連携を取り場合があります。

デジタル化により、秘話性に優れ、傍受、情報の漏洩等に強い「260MHz帯デジタル防災行政無線システム」に移行する地域が増えていますが、まだまだ予算不足で移行できずにアナログを使用している市町村はあります。ただし、早急に完全移行し、一般人の傍受をやめさせたい総務省の思惑がひしひしと伝わってきます。

警備業者

水害での緊急工事による通行止めが行われれば、交通誘導で彼らも駆り出されます。

消防署活系無線

消防無線の中の種類の一つである署活系無線は、466MHz帯域で現場の消防署員同士で交信する場合に使用されます。ただし、1ワットですので、自宅のロケが良くないと難しく、現場のそばで受信するか、自宅にアンテナを立てる必要があります。しかし、台風や水害時にわざわざ現場に出向いて傍受するような危険な真似はやめてください。

消防無線はアナログ波の署活系でデジタルを聞く

希に、消防本部からのデジタル指令波をアナログに変換して署活系無線に流す場合もあります。

災害時に聴取すべき周波数のまとめ。現在でもこれだけのアナログ波無線が生き残っています。

概略ですが、以上のようにアナログ無線通信が現在も運用されています。総務省の周波数再編プランによって、将来的には多くの業務無線や官波もデジタルに移行していきますが、現状ではまだまだアナログ波は生き残っています。

何といっても、VHF帯の航空無線の防災ヘリ、消防ヘリなどのカンパニー系や、相互通信用、それにアマチュア無線は今後もアナログなので、各地からの情報入手が期待できます。

有線通信が行えない非常時の通信手段として、阪神大震災、東日本大震災でもアマチュア無線は有効性が認められています。

これだけだと平時は寂しいから、パチンコ店やホームセンターなどの大きな店舗で広く使われている特定小電力無線、くみ取り屋などのマニアックな無線も入れて、24時間サーチして常にパソコンなどで録音しているというマニアもいます。

逆に、ある受信系のフォーラムでは「ハムなんか聞いてもしょうがない」と、アマチュア無線だけスッパリ捨てている受信マニアもいます。アマチュア無線の情報に価値はないと考え、呼出しチャンネルすら一切聞かないという割り切ったタイプです。

しかし、アマチュア無線の145MHzや433MHzといった各バンドの呼び出し周波数(メインチャンネル)では、災害発生時に非常通信が行われる可能性があり、それを万が一、傍受した場合、誰かの命を救うことにもつながります。聴くことだけに飽きたらアマチュア無線の資格もぜひ取得してみてください。

ただ、アマチュア無線を運用する場合は、基本的に大規模災害が起きたとき、助けを求める非常通信が聞こえるまでは不要な呼び出しは控え、静かに各アマチュアバンド内の各非常通信用周波数の傍受に努めてください。

電波法では聴取した内容を第三者に漏らすことは禁じられています。

広帯域受信機は自分自身のみで聴取し、無線で傍受した内容を他人へ情報提供しないでください。また無線で傍受した内容を使って何らかのアクションを起こすこと(窃用と言います)も電波法で禁じられています。

命を守るための行動である避難等を行うことが窃用になるのか、刑法上の緊急避難として罰せられないのかどうかの法的判断は当方では一切できませんので、電波法を遵守してください。

広帯域受信機やアマチュア無線は災害時の情報収集手段として役に立ちますが、交信の内容はあくまで参考情報にとどめ、避難などが実際に必要になる場合は各自治体が災害対策基本法に基づいて発する避難勧告や避難指示に必ず従ってください。


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