周波数の基本的な考え方として、周波数には『既知の周波数』と『未知の周波数』の二つがあります。
既知とは、すなわち既に広く知られている周波数のことです。なぜなら、我が国では周波数は以下の理由で原則公開だからです。
周波数の公開について
1周波数の公開とは
総務省では、電波法第26条の規定に基づき免許の申請等に資するため、割り当てることが可能な周波数や既に割り当てている周波数の現状を閲覧できるようにしております。なお、インターネットにおいても公開しています。
出典 https://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/ru/frequancy/kokai/index.html
したがって、周波数の調べ方は大きく分けると以下の2つの手法があります。
1、web上で調べる
web上で周波数を調べる手法は以下の3つです。
市販の電子書籍で調べる
警察や自衛隊、金融機関など一部業種を除けば、多くの周波数は公開されている情報です。周波数は業界あるいは都道府県ごとにきちんとまとめられた『周波数手帳ワイド』、『周波数帳』、『周波数バイブル』といった主に三つの市販の冊子シリーズに載っています。
手軽に受信を楽しみたい場合は安価な『周波数手帳ワイド』でも、消防無線、防災、マスコミ無線から行政無線、バス無線、その他官公庁無線が掲載されており、十分実用的ですが、それ以上の情報量を誇るのは、周波数をほぼ完璧に網羅した周波数帳という冊子です。CD-ROMも付属しておりますが、国語辞典ほど分厚い上に価格は周波数バイブルの4倍ほどします。より詳しい周波数データがほしい方はこちらを利用してください。
現在では、「周波数帳オンライン」も公開されており、スマートフォンで利用できます。
周波数バイブル2015年度版は地域別かつ周波数順になっており、今までで一番使いやすく、見やすく工夫されておりオススメです。
航空無線に特化した『航空無線ハンドブック』もあります。
現在、便利なアイテムとしてアマゾンにて三才ブックスの『ラジオライフ手帳ワイド 三才ムック vol.806 Kindle版』がダウンロード販売されています。一冊購入しておくと便利です。筆者も購入しました。
そして、こちらの『おもしろ無線受信ガイド』シリーズは30年近い歴史を持つ定番バイブルでおすすめです。ver.24ではついに登場したアルインコのデジタル対応受信機『DJーX100』の総力特集を兼ねており、「次世代おもしろ無線」となる各種デジタル無線受信の幕開けを感じさせます。
さらにもう少し詳しく、広帯域受信機の理解を深めてみましょう。
なお、これらの電子書籍版はAmazonキンドル読み放題に入っていると、無料で閲覧できます。
ただ、警察署の署活系無線の周波数などは明らかに古いデータ(30年前!?)がそのまま掲載されており、これについては現在の地元とその周辺の警察署の署活系無線の周波数を全て知っているのに受信報告しない我々読者にも責任がありますが、公開されると周波数を変えられる可能性があるため、編集部ではそれを危惧して敢えて間違った周波数を掲載し続けているのかもしれません。
真実は不明ですが、いずれにせよページの無駄だと思いますし、何も知らない方はそれを本物の周波数だと信じるかもしれません。これも無駄な追記だと思いますが、もちろん警察無線はデジタル・スクランブル化されており、周波数が判明しても技術的および法的な面から、音声として復調できません。
2、航空ファンなどのサイトで調べる
多くの航空ファンがいらっしゃるので、周波数を紹介しているサイトも豊富です。
3、総務省公式の『無線局データベース』で調べる
また、総務省の公式サイト上にある「電波利用ホームページ」にある『無線局データベース』では一般的な企業や団体の使う周波数が公開されています。誰でも無料で閲覧可能です。
ただし、データベースには総務省が免許している全ての無線局の情報が載っているわけではありません。国の安全、外交などに関わる無線局およびこれに準ずる災害対策用の無線局は、その重要性から総務省が非公表扱いです。
例えば、自衛隊の使う防衛用周波数、消防防災用、水防道路用、水防用、防災行政用、 防災用、防災対策用、防災相互通信用、運輸関係災害対策用、航空保安用、 航空機製造修理事業用、外交用 、外務行政事務用など。
さらに犯罪の予防・取締りなどに関わる無線局として、警察、検察、海上保安庁、法務省刑務所用、入国管理用、公安調査庁、税関、国税、検疫、麻薬取締官事務所、労働基準監督署、漁業指導監督用、郵政監査用といった捜査権や強制調査権のある機関の無線局の周波数が非公表です。
また、非常警報用などの周波数、民間の無線局では貨物自動車運送事業用に使う無線、いわゆる現金・有価証券などといった貴重品輸送警備を行う警備保障事業用の周波数、金融機関の周波数も非公表です。
典拠元 総務省公式サイト「無線局等情報検索」
http://www.tele.soumu.go.jp/j/musen/sp/
http://www.tele.soumu.go.jp/musen/SearchServlet?pageID=1
2、自分で受信機を使って調べる
以上のように、周波数には公開されていないものと公開されているものがあります。公開されているものは『既知の周波数』、そして公開されていないものは『未知の周波数』と定義づけることができ、手元の受信機を使って自分で調べるという選択を取れます。
周波数を探すためには受信機のスキャンとサーチ機能を活用しましょう。
また、Uniden BearTrackerやアルインコ DJ-X100などのように受信機によってはすぐ付近の無線局から発射される電波を瞬時に捉える便利な機能を持つ製品もありますので、それらを利用すると良いかもしれません。
周波数を調べる際には当サイトの記事でも触れているとおり、『歯抜け受信機』では特定の周波数帯域が受信不可。当サイトでは航空自衛隊のGCIを紹介している以上、歯抜け受信機をお勧めしていません。それらを受信をする場合は、くれぐれも歯抜け受信機は購入しないでください。
まとめ
以上、周波数の調べ方について、まとめました。
なお、電波法ではこれらの無線を個人で傍受すること自体は問題ありませんが、いつどこで誰がどんな内容を交信したのか具体的な内容を外部に公開することは違法です。2016年にはJRの業務無線の音源をYouTubeにアップロードした人物が電波法違反で書類送検されており、音源そのものの公開なども厳禁です。
ありがとうございました。