【お知らせ】
シグナリーファン編集部では、無線受信や運用に関して総務省総合通信局の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、各種記事はそれらの調査結果に基づいて構成しています。

デジタル・タクシー無線はDJ-X100でより簡単に受信可能に!

この記事では、『DJ-X100(受信改造済み)』を用いて、デジタル・タクシー無線を受信する手順や設定方法を詳しく解説していきます。

【注意事項】
本記事は、デジタル・タクシー無線の技術的変遷や制度背景について、公開情報や専門誌の報道に基づき解説するものです。暗号化されていない無線通信を本記事で紹介しているデジタル受信機にて受信する行為は合法ですが、通信の傍受によって知り得た秘密を漏えい,窃用することは電波法違反になります。使用する際は電波法等の法令遵守を前提としてご理解ください。
【取扱説明書をお読みください。】
◎ この製品を使用する際はアルインコ公式サイトの「DJ-X100 – 取扱説明書」をお読みください。なお、「受信改造」とはメーカーではなく販売店が独自に行うもので、それによって生じた不具合などはメーカーの無償保証対象に含まれません。
参照:アルインコ公式サイトhttps://alinco-denshi.com/wp/wp-content/uploads/2025/01/djx100V1.03doukonsyousai.pdf

デジタル時代のタクシー無線、ついに受信が身近に

― アルインコ『DJ-X100(受信改造済み)』でデジタル・タクシー無線も簡単復調 ―

2025年現在、タクシー業界をはじめとする公共交通機関では、アナログ無線からデジタル無線へ転換済みです。

450MHz帯の周波数を用い、4値FSK方式の「STD-T102」およびPSK方式の「STD-T61」という2種類のデジタル通信方式が主に使用されています。

このうち、PSK方式の特長として、POCSAG方式で文字情報の送受信も可能であることが挙げられます。

これにより、配車指示では従来の音声通話に加え、テキストによる効率的な指示も増えつつあります。実際、一部のタクシー会社では音声よりも文字メッセージが中心になるケースも。

そんな中、注目を集めているのが2023年に登場した『DJ-X100(受信改造済み)』です。

このDJ-X100は、標準状態でSTD-T102方式に完全対応しており、さらに裏コマンドによる機能拡張により、市販機としては初めてSTD-T61方式にも対応

かつては、2015年にAORから発売された『AR-DV10』でSTD-T102の復調は可能でしたが、状況によっては安定受信までに長時間を要するケースもありました。

これに対し、DJ-X100ではスムーズかつ安定したデジタルタクシー無線の受信が可能となり、受信環境が格段に向上しています。

覆面アンテナ風『MG-450-TP』による430MHz帯送受信実験動画

2025年現在、デジタル・タクシー無線の受信にはアルインコのDJ-X100の一択です。

DJ-X100でデジタル・タクシー無線受信

― STD-T102とT61、2方式への対応手順 ―

DJ-X100完全ガイド

以下に、必要な準備と操作手順を簡潔にまとめます。


必要な機材と準備

  • 受信改造済み+拡張コマンド入力済みのDJ-X100
    市販の状態では制限があります。STD-T61の受信などを行うには、適切に受信改造済のDJ-X100を使用してください。


拡張機能の解放方法

  • 拡張コマンドの入力
    キーロック状態で、ある特定の数字「ひとよひとよにひとみごろ」を入力することで、T61モードや“虫めがね”(コード自動解析機能)などの拡張機能が解放されます。
    ※コマンドの詳細な入力手順は、下記書籍を参照してください。

秘話解読の簡易マニュアルは下記商品にも付属します。

コマンド入力に成功すると、モード選択画面にデジタル変調方式『STD-T61(T61)』の各TYPE(1から4まで)が出現します。

現時点のノーマル機のDJ-X100の仕様では周波数歯抜け、デジタル変調方式一部制限、アナログ10番A解読なしとなっており、ほとんど何もできないので、買わない方がいいですよ。


使用時の誓約と同意事項

拡張機能の使用にあたっては、以下の点について事前に誓約および同意する必要があります。

  • 第三者の権利を侵害しないこと

  • 電波法を遵守し、違反行為は行わないこと

  • 電波法違反に対する刑事責任が発生する可能性を理解していること


法令上の注意

デジタル無線の受信は合法であっても、その内容の第三者への漏洩・公開は厳しく禁じられています。電波法違反は刑事罰の対象となる場合がありますので、使用には細心の注意を払ってください。

STD-T102 (FSK)方式の受信方法

受信モードを『デジタル』→『T102/B54』に設定します。FSKの場合、ホワイトニングコード(WC)は初期状態ではなぜか『228』という固定値が入力されていますが、自動追従されるため、とくにそのままでもOKです。

設定は以上で完了です。

▼ ポイント

一部のタクシー会社では、8MHz間隔の二つの周波数を使って交信している場合があります。

たとえば――(以下、架空の周波数と交信例です)

  • 固定局(会社) → 450.1234 MHz
     「XX号車は○○店前、△△様。男性のお客様です」

  • 移動局(車両) → 458.1234 MHz
     「ただいま実車、XX町に向かいます」など

このような感じの交信になっています。


▼ STD-T61(PSK)方式の受信方法

近年、業務無線の一部で使われているのが「STD-T61」という規格です。これは業界共通のデジタル通信方式(PSK)ですが、実際の運用では、事業者ごとに微妙な改修が加えられているのが実情です。

DJ-X100(受信改造済み)では、この違いに対応するために、受信モードに『T61』を選ぶと、4種類のコーデック(TYPE1~TYPE4)が用意されています。

T61の場合、気をつけたいのがホワイトニングコード(WC)の設定です。

というより、T61ではWCの自動追従(AUTO)がありません。

そのため、秘話コード解析のFボタン→0キーで「虫めがね」を使います。T61の復調にはホワイトニングコード(WC)の一致が前提条件なので、思わぬ“沈黙”を招きます。

場合によっては、設定してすぐに、まぐれ当たりで音声が復調されることもあります。ですが、多くの場合は受信状態でしばらく待ち、自動解析を行う必要があります。これは、使われているT61の細かい仕様が事業者によって異なるためです。ここはもう、「デジタル受信道」という修行と割り切って、待機するしかないのです。

注意点としては、長く待っても、この4種類のいずれかに通信が合致したときだけ復調が可能であり、どれにも合わない場合は復調できないということです。万能というわけではありませんが、逆に言えば、それだけ現場ごとに使い方が違っているということでもあります。

とはいえ、2025年現在、「T61」モードに対応した市販受信機は、DJ-X100(受信改造済み)だけです。T61の受信は、まだまだ発展途上ですが、この点は2025年現在、デジタル受信機のライバルである「AR-DV10」にはない、大きなアドバンテージと言えます。

POCSAGデータ表示

さらに、PSK方式の特徴があります。それは、POCSAG方式によるデータ通信が可能であること。このデータ通信では、タクシーの動態、つまり位置情報がGPSによって基地局側で把握できるほか、配車情報も文字データで詳細に送れるのです。DJ-X100では裏コマンドにより、POCSAG方式の文字データも受信・表示可能になります。

DJ-X100(受信改造済み)では電源投入後に『誓約』画面が表示される意味とは

地元のタクシー無線、どの周波数? 簡単に調べる方法

タクシー無線を受信するうえで、まず知っておきたいのが使用されている周波数です。調査には、総務省が提供する「無線局等情報検索 – 総務省 電波利用ホームページ」を活用するのが便利です。

検索方法は簡単です。「都道府県で検索」から自分の住んでいる地域を選び、「免許人名称」に目的のタクシー・ハイヤー会社名を入力して検索することで、該当する周波数情報を確認できます。

ただし、検索しても該当する無線局が出てこない場合、その会社がIP無線(携帯電話回線を使った通信)を採用している可能性があります。IP無線は電波の免許情報には現れないため注意が必要です。

さらに、全国各地のタクシー会社の周波数を一覧化した電子書籍も存在し、これらを活用することで、より効率的な情報収集が可能になります。

ラジオライフ手帳電子版 ジャンル別データ編 2024 ~消防・航空・鉄道など~

ラジオライフ 手帳2024(電子版)はジャンル別データになっており、使いやすさ抜群です。

デジタル・タクシー無線の受信方法のまとめ

タクシー無線受信は今が“旬”?手軽なデジタル無線の入り口として受信対象の価値高まる!?

このように、デジタル・タクシー無線の(STD-T102およびSTD-T61)が、近年発売されたアルインコ製の高性能デジタル受信機『DJ-X100(受信改造済み)』の登場により、受信家の間で今、注目を集めています。

かつてアナログ時代にタクシー無線を聞いていた無線ファンにとっても、こうした通信を通じてデジタル方式への理解を深めるきっかけになるかもしれません。受信の世界が次第にデジタルへと移行していく中で、こうした対象に興味を持つことも、無線趣味のひとつの流れとして自然なことでしょう。

なお、こうした受信には、対象の通信に関する誓約や法的同意事項が付随しており、あくまで機器側の拡張機能としての範囲で楽しむだけにとどめ、誓約に反する行為を行えば刑事罰の対象となる点には注意が必要です。

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