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広帯域受信機の付属アンテナで受信しないでください。高性能な受信機本体に反して付属アンテナの性能がそれに対応しておらず、受信機の性能が十分に発揮されないからです。
なお、広帯域受信機のご購入がまだの方は、残念な受信機を買ってしまう前に以下の記事で紹介している受信改造されたあのベストセラー機種をぜひ購入されてください。
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広帯域受信機付属のアンテナはなぜ短い?
さて、広帯域受信機を使い慣れてくると、より遠くの電波を拾いたくて高性能なアンテナが欲しくなるはず。しかし、その前に広帯域受信機や無線機の付属アンテナの特性をおさらいしましょう。
ハンディ型の受信機や無線機には付属品として20cm程度のラバー外装の短いアンテナの中にエレメント(放射素子)が何十ものらせん状で巻かれたノーマルモード型と呼ばれる標準的なヘリカルアンテナが同梱されるのが通例です。
「どうせなら最初から長いアンテナを付属させてくれれればいいのに…」と思う方もいるでしょう。しかし、広帯域受信機はその名の通り、不特定帯域の電波を受信する機器。特定帯域で高感度が得られる長さ(例えば官波や一般の業務無線で使用されることが多い150MHz帯域の波長では50cm前後)にしてしまうと、波長が異なる他の周波数帯の感度が上がりません。
また、アイコム公式サイトによれば『IC-R6』の純正付属アンテナ『FA-S270C』は、対応周波数が144~148/430~450MHzとなっており、航空無線の帯域にマッチングしていません。
周波数で分かる通り、『FA-S270C』は同社のアマチュア無線機標準アンテナでもあるが故です。いわば、共用化によるコストカットが狙いでしょうか。なお、同社製品でもハイエンド受信機のIC-R30では伸縮式のロッドアンテナが付属する場合もあります。
ともかく、高性能なIC-R6のポテンシャルを活かしたいなら、標準付属アンテナはNG。アンテナメーカー製の別売アンテナに要交換です。以下にご紹介するアンテナメーカー製の受信感度の優れたアンテナに交換しましょう。
また本来、アンテナの性能を論ずる場合、受信と送信の両方で検証が必要です。そこで問題になるのは定在波比(Standing Wave Ratio、SWR)。簡単に言うと、無線機で電波を発射した際、アンテナから出ていく電力と出て行かずに反射して返ってくる電力の整合の比率を表した値です。アンテナと伝送線路の整合度はSWRを通じて評価されます。
SWRが1:1に近い場合、アンテナは送信機に適切に整合し、ほとんどの送信電力がアンテナに効率的に供給されていることを示します。逆にSWRが高い場合、電力が送信機に戻っていることを示し、極端に値が高ければアンテナや無線機が損傷する原因にも。当然、無線機で各種アンテナを使用する場合(=受信と送信をする場合)はこのSWR測定による整合状態の確認が必要となりますが、受信のみで使用する場合(=電波を発射しない場合)、考慮は不要です。
ハンディ受信機用3大人気アンテナのベストバイは?(2024年度版)
受信機では安価な金属製ハンディ機用ロッドアンテナに交換するだけで驚くほど受信感度がアップするので、必ずアンテナ交換することを強く推奨します。
第1位 ダイヤモンド SRH789 95MHz-1100MHz帯ワイドバンドハンディーロッドアンテナ(レピーター対応型) WIDE Band【全方向折曲機構付】 SRH789
交換アンテナには数多くの種類がありますが、特定の周波数にこだわらず、より多くの周波数を高感度で受信したいなら、ダイヤモンド SRH789 がおすすめ。最短20センチから最長80センチまで展開できる金属製の伸縮式6段で、95MHz~1100MHz帯の広帯域まで対応しています。
なんと2021年2月当時、Amazonではベストセラー1位を誇っていたベストバイ・アンテナです。受信機付属アンテナより数倍優れており、ハンディ用交換アンテナの中で、とっても優秀。
かなり高性能で消防無線(署活系は現役)や航空無線はもちろん、業務無線もアマチュアもこれ一本で、広範囲に受信してくれました。95MHz以下はダメ?いえいえ、とんでもない!旧防災無線の60MHz台も感度良く受信することができました。
先ほども言いましたが、波長によってアンテナの全長は変わります。SRH789は伸縮させることで95MHzから1100MHz帯の各帯域に合わせることが可能です。ロッド部分に対応する長さがエレメント本体にステッカーで示されているのも便利です。したがって、SRH789はエアバンダーのみならず、幅広いジャンルのおもしろ無線を聞いている方にもおすすめ。さらにアマチュア無線のハンディで使用する場合、耐入力10Wまで送信可能ですのでアマチュア局にも人気です。
ただ、最短でも20センチなので携行性にはやや難あり。また、ラジオのアンテナのように細い金属製ロッドアンテナは柔軟性が無いに等しく、折れ曲がりやすいので、ぶつけないようにご注意を。基本的にアンテナは長ければ長いほど、VHFとUHFの両帯域で感度が良くなるので、必要に応じて長さを伸ばせるSRH789は現時点で最強のアンテナだと思います。
第2位 MR73S第一電波工業 ダイヤモンド 144/430MHz マグネットマウントアンテナ(SMA-P) MR73S
もし、車のルーフや部屋の窓辺の金属部分にぺたんと貼り付けられる手軽な屋外設置型アンテナが良いのなら、第一電波工業のMR73Sがおすすめです。見た目のかわいらしさとは裏腹に、その受信性能はこの価格帯なら最強!144/430MHzのVHF&UHF対応で劇的な感度アップを体感できる製品です。もちろん、広帯域対応で各種周波数も敏感に受信できます。SMA-Pなので、IC-R6などの受信機にそのまま接続可能。
同軸ケーブルは3メートルと、自宅のベランダの手すりにペタッと貼り付けて使うにも最適。このMR73S、筆者は家と車で使いましたが、すこぶる高感度で驚きです。垂直から水平までエレメントを稼働でき、とくに車ではルーフ上で倒した状態でも受信できるので特定の場所など目立ちたくない時にも重宝します。
弱点は同軸ケーブルの細さ。ドアの隙間にケーブルを挟む場合、ドアの開閉を繰り返すたびにケーブルが引っ張られるため、気が付いたらケーブルが根元からゆるみ、最悪の場合、本体からケーブルが抜けてしまうこともあります。それを防ぐために、ケーブルは若干の余裕を持たせて車内に引き入れるか、あるいは普段開閉しないハッチドアなどからケーブルを出すのがベスト。くれぐれもドアの開閉時のケーブルの引きずられにはご注意を。
第3位 エアバンド受信なら 第一電波工業 ダイヤモンド 120/300MHz帯エアバンド受信用ハンディアンテナ SMA形コネクター SRH1230
航空無線を重点的に受信したい場合、エアバンド専用アンテナのSRH1230がおすすめです。
SRH1230は全長47cmのロングアンテナでエアバンド受信に特化したアンテナです。VHF帯(118~130MHz)、UHF帯の300MHz帯を中心に感度が良く作られています。とくに118から120MHz帯あたりのマッチングが非常に高くなっています。さらにUHF帯では294MHzあたりの感度が最高で航空自衛隊のGCI受信にも最適です。
もちろん、150MHzの一般業務無線や、それ以外の周波数帯域にも対応している『広帯域受信対応』ですのでご安心を。
第4位 SRH920第一電波工業 ダイヤモンド 50/144/430MHz コンパクトハンディアンテナ SMA-P形 SRH920
こちらも過去にAmazon’sChoiceとなっていた人気商品。どうしてもアンテナを短くして携行性および秘匿性を優先させたい場合は口紅サイズのリップアンテナことSRH805を使いたいところですが、口紅サイズからもう少しだけ長さを伸ばしてアンテナ長と性能のギリギリの両立をさせたのが、この人気のヘリカルアンテナSRH920です。
SMA接栓のショートアンテナですが、50/144/430MHz/エアーバンド/150/300/450/800/900MHz帯受信対応と、全長10.9cmながら高性能です。スタイルも良く、業務無線を彷彿とさせます。アマチュア無線では耐入力6wまで送信も可能です。
おまけ 根強い人気の極ショートアンテナSRH805S
街中で受信するには不向きですが、空港の展望ラウンジや屋内など、限定されたシーンでの受信なら、短かさ優先でも問題なし。根強い人気のSRH805Sをチョイスしちゃいましょう。144/430MHzでの送信にも対応しており、アマチュア無線運用ではあまり遠くへ電波を飛ばしたくない場合に使うこともあります。
個人的には8年使っているダイヤモンドSRH771がはずせない
144&430帯域のアマチュア無線用アンテナとして設計されたダイヤモンドのSRH771は広帯域受信用としてもすこぶる高性能で隠れた名品です。個人的評価ですが、金属製のSRH789と性能は互角、フレキシブルタイプなのでSRH789よりも扱いやすさで優っており、結局はこちらを多用するに至りました。8年使ってるので、おっちょこちょいな筆者がぶつけたりしてやや曲げてしまいましたが、買い直しもせずに現役。ただし、エアバンド受信では、やはり同社のSRH1230にはかないません。
アンテナの疑問各種
上記、各種アンテを挙げてみましたが、いずれも『SMA(P)型』と呼ばれている接栓です。受信機には主にSMA(ねじ込み式)やBNC(簡易着脱式)など接栓の種類が複数タイプがありますが、IC-R6、VR-160、DJ-X8など一般的な受信機はSMA接栓なのでSMAと明記されたアンテナを購入してください。間違って買ったとしても、安い変換コネクターを買えば、各種の口金に変換できます。お金に余裕があれば、変換コネクターも各種持っておくと助かります。
なお少数の機種ではヤエスのFT-60(アマチュア機)などで『逆SMA型』を備えている場合がありますので、ご注意を。こちらも変換アダプターがあれば大丈夫です。
受信のみと送信もできるアンテナ、違いはなに?
さて、一般的に受信機で受信専用に使うのであれば、受信専用アンテナで問題ありませんが、将来、開局してアマチュア無線機を購入し、その運用も併用して行いたいなら、送受信対応アンテナを買うのも良いでしょう。
耐入力○○Wまでと書かれていれば、送信が可能なアンテナです。
一方、送信不可と明記されているものは受信専用ですので、送信には使えません。もし使うと、アンテナどころか無線機も壊れてしまう場合があるので、絶対に送信しないでください。
自動車で受信する場合は?
受信機を車に積んで、移動しながら受信する場合もハンディアンテナをそのまま使っても、ある程度は入感します。しかし、車は基本的に鉄の箱。できるだけアンテナを車外に出すほうが、微弱な電波も受信できます。
ただ、アンテナを屋根につけるとパトカーに止められたり、屋根に傷が付いたり、日焼けしたり、駐車場でアンテナをぶつけたり、挙句の果てに盗まれたりすることもあるので、あえて外に出さないほうが良い場合もあるでしょう。
その点はアマチュア無線のモービル運用の場合のアンテナのページでも詳しく書いていますが、人それぞれ、多様な運用スタイルがあると思いますので、受信性能を優先するか、秘匿を優先するか、ぜひ研究されてみてください。
ですが、やはり車外にアンテナを設置することで、より良好な受信を楽しめます。
まずは、先に紹介した「マグネット一体型アンテナ」でも、受信機付属アンテナで受信するより遙かに受信感度がアップしますから、一本試してみてください。
取り付ける場所は車のルーフ(屋根)になり、一番手軽な取り付け方法がマグネットベース(基台)を使う方法です。
磁石ですので、車の屋根に簡単に貼り付きますが、マグネットと屋根の間に小石や砂などが入り込んだまま走行すると、屋根にひっかき傷がつくので注意しましょう。マグネットは自分の指を車のルーフとはさむ危険性があるほど強力。通常の走行では外れることはありません。
また、モービル用アンテナも室内で使うことができますが、本来は車のルーフに装着することでアースが作用し、送受信ともアンテナ本来の性能を発揮します。ですから、室内で使う場合もベランダや屋根の金属面に張り付けてアースを作用させたうえで受信するほうが良いでしょう。
とはいえ、本来アースを作動させるのは送信時にSWRを下げて、より良好な交信を行うためで、受信のみならあまり気にしなくてよいかもしれません。
同軸ケーブルも重要
実はアンテナ同様に同軸ケーブルも重要です。一般的には細いケーブルよりも太いほうが電波の減衰を減らすため、送受信で有利です。また、同軸ケーブル自体もアンテナの役割を果たします。そのため、絡ませて設置することは好ましくありません。
山頂受信で効率化
山頂で受信してみましょう。平地に比べ、はるかに多くの交信を受信しやすくなりますから、ぜひ検証してみてください。
消防署活系無線や航空無線、各種業務無線などはさらに広範囲で聞くことができて、とても遠い地域の市町村名が交信に出てくれば、驚きと感動が味わえるでしょう。
最終手段……自宅の屋根にアンテナを上げる!
家で受信機を使う場合も窓辺に本体やアンテナを置けば、それなりに受信してくれます。自宅が二階建てなら、2階の部屋の窓際で受信しましょう。1階で受信してもほとんど入りませんぞ。
しかし、どうせ自宅という好環境にあるのですから、ベランダや屋根の上にアンテナを立てるのも良いでしょう。自宅の広さによっては自動車の場合と違って同軸ケーブルを買い足すなど必要ですが、まずはマグネットベース式のモービルアンテナをベランダにポンと置くだけで受信感度はかなりアップします。
また、自宅で固定して使うのであれば、円盤(ディスク)と円錐(コーン)を組合わせた特殊なディスコーンアンテナ、それに指向性の強い八木アンテナなど大型のアンテナを屋根の上に設置すれば、もう文句がないほどあらゆる電波を拾う事ができるでしょう。
とくにディスコーンアンテナは、低い周波数から高い周波数までの広帯域受信に威力を発揮します。もし、飛行場などに行く機会があれば管制塔付近を見てみましょう。破れ傘を開いたような独特の形状のアンテナが設置されているはずです。
価格は安価ですから、より多くの周波数を良好に受信されたい場合は使ってみてください。
八木アンテナも同様に鋭い指向性を持ったアンテナで、とくにテレビ受信用として知られていますが、広帯域で使用しても良好な受信性能を発揮します。
また、部屋の外にアンテナを立てる場合、壁に穴を開ける必要がありますが、抵抗のある方も多いと思います。そのような場合、このようなサッシケーブルを使いましょう。
サッシの隙間から外に通すことで、壁などに穴を開けることなく屋根にアンテナを上げられます。
これらのような高性能な別売アンテナに変更することで、受信環境が飛躍的に改善されます。
さあ、電波の飛び交う街が、あなたを待ってます。
もちろん、周波数はあらかじめ正しく受信機にメモリーしたうえで受信してくださいね。
最終的には自宅の屋根にディスコーンアンテナを上げれば、もう受信家としては完璧ですが、大型のアンテナを屋根に建てたりせずとも、ハンディ機向けアンテナで受信環境は大幅に改善されますよ。
まとめ
このように受信機を買ったらこれら社外アンテナに交換するのがベスト。アンテナ・メーカー各社からはVHF/UHFエアバンド用など、周波数ごとに専用のアンテナが発売されているというわけです。エアバンドなど自分の聞きたいバンドが決まれば、自ずと専用アンテナに食指が動くかと思いますが、幅広い帯域の周波数を楽しみたい場合は「ワイドバンド(広帯域)対応」や「ワイド受信対応」と明記されたアンテナを購入しましょう。
144/430MHz帯域だけが高感度になっているタイプでも、航空無線やその他の業務無線も、なんら問題なく明瞭に受信できることがわかるハズ。144/430MHzの普通のモービルホイップ一本でも、手軽に広帯域受信ができますよ。
IC-R6のような手軽なハンディ受信機を移動時に使う場合、基本的にハンディ用のアンテナを使い、車に乗られる方であれば、モービルアンテナを使ってみましょう。