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電波法ではアマチュア無線技士の資格やアマチュア局の免許のない人はアマチュア無線機を使ってはいけないことになっています。
ただし、受信のみを目的とするものは無線局に含まないとしています。
ゲストオペレーター制度は従事者資格のみで使用可能です。また、2021年には『アマチュア無線の交信体験制度(体験運用)』がはじまり『従事者免許を持たない学齢児童生徒』が、保護者など有資格者の監督のもとで限定的にアマチュア無線の体験運用が可能になりました。
アマチュア無線の従事者免許証を持たない方が、たとえアマチュア無線機を受信専用に使っていても、電波の発射できる状態で運用していれば危うい行為。
警察と総合通信局合同の電波検問で見つかると、電波法の『不法無線局の開設』容疑に問われ、摘発される可能性も。
原則として、無線局免許を受けていない場合、電波発射の有無にかかわらず電波を出せる状態となっていれば、電波法第4条違反になり不法無線局の開設罪にあたる
総務省総合通信局の公式サイト内で以下のように記されています。
原則として、無線局免許を受けていない場合、電波発射の有無にかかわらず電波を出せる状態となっていれば、電波法第4条違反になり不法無線局の開設罪にあたります。
引用元 総務省北海道総合通信局http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/K/FAQ.htm
ポイントは『電波発射の有無にかかわらず』という一文。
たとえ「車内のアクセサリー」目的等を目的にアマチュア無線機を車載していたとしても、電源やアンテナにつなぎ、実際に電波の発射が出来うる状態であれば、違法になり得ます。
これについて、以下の記事で実際の摘発例をご紹介しています。
局免失効状態でアマチュア無線機を設置し摘発!→女性検事『電波出したろ?』→被告『出してない!』→『くっ…一度くらい電源は入れたことあるよね?』→『…かも』→略式裁判で有罪確定
無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。ただし、受信のみを目的とするものを含まない
電波法第2条第1項第5号で規定している無線局とは「無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。ただし、受信のみを目的とするものを含まない」としています。
「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。
出典 電波法 | e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000131
この但し書き『ただし、受信のみを目的とするものを含まない』とは、もちろんそのままの意味。
受信のみを目的とするものであれば、無線局に該当しないということです。
受信目的での設置も注意が必要
ただし、総合通信局では『受信目的でアマチュア無線機を使う(設置する)』行為について、以下のように回答しています。
Q6 : 受信する目的で無線機を設置していても不法無線局になるのですか?
A6 : 電波を発射できる状態にして無線機を設置していれば受信しているだけでも開設罪に問われる場合があります。
引用元 総務省北海道総合通信局 http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/K/FAQ.htm
総合通信局の公式見解によると、その無線機が電波を実際に発射したか否かにかかわらず、電波を発射できる状態にあるか否かが無線局かそうでないかを区別するポイントとのこと。
このように総務省では受信のみの場合でも『電波を発射できる状態にして設置』した場合には開設罪に問われる場合があるとしています。
電源を切っていたり、マイクを無線機から外していても、直ちに取り付けられる場合は不法局となる
一部では『マイクを無線機から外しておくのは有効な対策だ』という個人的な法的解釈をする人もいますが、総合通信局がどのように「電波法における無線局」と判断するのかについてもしっかりと定義があり、以下のように言及しています。
電源を切っていたり、マイクを無線機から外していても、直ちに取り付けられる場合は不法局となります。
引用元 東北総合通信局 http://www.soumu.go.jp/soutsu/tohoku/kanshi/amateurradio.html
上記のように無線機の電源を切っていたり、マイクを無線機から外していても『直ちに取り付けられる場合』は不法局になりえるとのことです。
つまり、無線機として製造販売されている製品でも、ユーザ側で送信のみができないように措置を施せば、総合通信局はその装置を無線機、つまり無線局と判断しないということになります。
さらに、無免許でアマチュア無線機を電波が発射できる状態で使っている方が路上で取り締まりを受けた際、総合通信局の係官に言うお決まりのセリフがあるというのです。
それはまさに『受信目的で車に付けた』というもの。
総合通信局の公式サイトによれば、上記の引用した文章の中にあるように、取締りの際、ほとんどの方がそのような言い訳で逃れようとするそうです。
どうやら総合通信局によれば『受信目的の局は無線局には含めない』という電波法における除外規定は、一部の無免許の方々の都合の良い言い訳に利用されてしまっているという現実があるようです。
不法無線局の開設の罰則は?
気になる不法無線局の開設の罰則ですが、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
さらに、無線設備(無線機と空中線など一切)は証拠品として押収されます。
Q5 :不法無線局を開設した場合どのような罰則が適用されるのですか?
A5 : 電波法第110条により1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
引用元 総務省北海道総合通信局http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/K/FAQ.htm
局免失効状態で車に無線機を設置して起訴された実話の紹介でも出ましたが、検察に送検されると、検察官からは『不起訴との交換条件を匂わせるような』物言いで、無線設備の所有権放棄を被疑者に迫るようです。
無線の免許を持っていないが、たまたま運転しようとしている車に無線機が設置されていた場合は?
実はこちらも注意が必要です。
アマチュア無線家と同居する家族などで無線の免許を持たない人が、無線機設置済みの家族共用の車を運転しようとする場合についても、総合通信局では以下のように回答しています。
Q8 : 無線の免許を持っていませんが、たまたま運転しようとしている車に無線機が設置されていた場合はどうすればいいのですか?
A8 : 無線機やアンテナを撤去するなどの対策が必要です。
引用元 総務省北海道総合通信局 http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/K/FAQ.htm
無線機やアンテナを撤去するなどの対策が必要です。
まとめ
以上、総務省総合通信局のサイト内にあるQ&A等の記載内容および内閣府e-gov.go.jp記載の電波法条文をソースとして引用する形でご紹介させていただきました。
したがいまして、上記の見解は政府の見解であり『個人サイトの見解』ではございません。
なお、当”個人サイト”では『無資格・無免許の方がアマチュア無線などを受信したい場合は資格免許不要の広帯域受信機(ワイドバンドレシーバー)を使うほうがよいでしょう』という従来通りの立場を表明いたします。
広帯域受信機があれば、アマチュア無線はもちろん、航空無線なども受信可能です。
総合通信局の取り締まり対象とする違法行為や取り締まりの方法は以下で解説しています。