アマチュア無線の運用に必要不可欠なコールサイン「呼出符号」とは?

アマチュア無線における呼出符号(コールサイン)とは

無線通信では、交信の際に自局の呼出符号(コールサイン)を明示することが基本ルールです。これは、自局が正規に免許を受けた無線局であることを示すために重要な識別手段です。

固有の呼出符号の付与

アマチュア無線局が無線局免許を申請し、許可されると、無線局免許状(局免)が交付されます。この免許状には、その局専用の呼出符号(コールサイン)が記載されており、世界に唯一のものです。このコールサインによって、各無線局が国から正当に免許を受けた局であると識別されます。

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呼出符号(コールサイン)の例。国際字列「JM」、北海道エリアを示す「8」の3文字までが「プリフィックス」、それに続く「KTC」が「サフィックス」です。

呼出符号の構成

アマチュア無線局のコールサインは、国際電気通信連合(ITU)が定める「国際呼出符号字列分配表」に基づいて構成されています。一般的には次のような要素で成り立っています。

  • 国際識別子(プリフィックス):日本の場合は「JA」「7K」など。

  • エリア番号:全国の総合通信局管内ごとに割り当てられた0から9までの数字。

  • サフィックス:2文字か3文字のアルファベットで構成され、局ごとにユニーク。

これにより、それぞれのアマチュア局が世界中のどこにいても一意に識別できるようになっています。

コールサインのはじめの三ケタをプリフィックスと呼び、コールサインの下三ケタをサフィックスと呼びます。現在交付されるサフィックスは3文字ですが、交付された年代が早いと2ケタの場合もあり、つまりかなりの大先輩であることを表しています。

Q符号(QRAなど)やSOSやOSOなど電信略符など混同される可能性があるものは原則として発給されず、また日本ではQRAからQTZのサフィックス(末尾の3文字)も発給されません。

アマチュア無線で使われるQ符号とは?

エリアナンバーとコールサインの仕組み

アマチュア無線局のコールサインに含まれる数字は、エリアナンバーと呼ばれています。これは0から9の数字で構成されており、免許申請者が居住する地域の総合通信局の管轄区域によって決定されます。

エリアナンバー 管轄総合通信局 該当区域(都道府県)
0 信越総合通信局 新潟県、長野県
1 関東総合通信局 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県
2 東海総合通信局 静岡県、愛知県、岐阜県、三重県
3 北陸総合通信局 富山県、石川県、福井県
4 近畿総合通信局 大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県
5 中国総合通信局 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
6 四国総合通信局 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
7 東北総合通信局 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
8 北海道総合通信局 北海道
9 九州総合通信局 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

例えば、

  • 北海道 → 8

  • 関東 → 1

  • 東海 → 2

といった具合に、全国がそれぞれの番号で区分されています。

コールサインは選べる?

通常、コールサインは申請者の住所地を担当する総合通信局によってランダムに付与されます。免許状が届くまで、どんなコールサインが与えられるか分からないため、まるで「くじ引き」のようなワクワク感があります。

なお、自動車の希望ナンバー制度のように任意のコールサインを選ぶことはできません。ただし、過去に自分が使っていたコールサインであれば、免許失効後であっても再取得を希望することが可能です(一定の条件あり)。

コールサインの検索と過去の「コールブック」

現在では、総務省のウェブサイトを通じて、割り当てられたコールサインを検索することができます。免許状の発行からおおよそ3週間程度で反映され、表示される情報は以下のとおりです。

  • コールサイン

  • 送信出力

  • 電波形式

※個人の氏名や住所などは非公開となっており、プライバシーは守られています。

かつては、CQ出版社から発行されていた「コールブック」という書籍があり、全国のアマチュア局のコールサインを電話帳のように一覧できました。これは無線愛好家にとって大変重宝されていた資料です。

無線局のコールサインにまつわる小話

コールサインは放送局にも

テレビ局やラジオ局などの放送局も、電波を用いる通信局として正式なコールサインを持っています。たとえば、NHK東京は「JOAK」というように、放送業務用の専用コールサインが割り当てられています。

「ハドソン」のマスコットキャラ「ハチスケ」は北海道エリアの「8」から

1980年代、ファミコンソフトの開発会社として一世を風靡した「ハドソン」といえば、札幌に拠点を構えていた北海道発のゲームメーカーです。現在ではコナミに吸収合併され、企業としてもブランドとしても姿を消していますが、実はこのハドソン、もともとの出発点はアマチュア無線ショップでした。

そして同社のマスコットキャラクターである「ハチスケ」は、北海道のアマチュア無線におけるエリアナンバーが「8」であることにちなんで、当時の社長が名付けたものだといわれています。こうした背景からも、ハドソンが無線文化にルーツを持つ企業だったことが伺えます。


フリーライセンス無線とコールサイン

これに対し、免許や資格が不要な無線、いわゆる「フリーライセンス無線」(例:デジタル簡易無線など)では、正式なコールサインは発給されません。

そのため、ユーザーは各自で自由に名前や通話名を名乗るスタイルが一般的です。アマチュア無線のように国から発給される正式な呼出符号とは異なりますが、その自由度の高さがフリーライセンス無線の魅力の一つでもあります。