八雲分屯基地(北海道二海郡八雲町)は、航空自衛隊の三沢基地(青森県三沢市)に属する分屯基地です。
これについて、北海道民なら、あれっ?と思うかもしれません。北海道内にありながら、なぜ千歳基地の所属ではないのかと。
これについて、組織上・地理上の背景をまとめます。
1. 防空組織の管轄による配置
八雲分屯基地の主な役割
このため、地理的には北海道にあっても、組織上は三沢基地の防空指揮系統のもとに置かれています。
2. 地理的・戦略的な位置づけ
八雲町は北海道の南西部、日本海と太平洋の両方に面した位置にあります。
この地域は、津軽海峡の防空・警戒監視の要衝であり、青森県側の三沢基地との連携が不可欠です。
一方、千歳基地は道央・道東方面の航空作戦を中心に担当しており、防空エリアが異なります。
3. 編成の経緯と歴史的背景
八雲分屯基地は、もともと旧陸軍や米軍が使用していた飛行場を転用して設置されました。
1970年代以降、三沢を母基地とする第6高射群の再編で、北海道南西部の防空を担当する拠点として位置づけられたため、現在も三沢基地の分屯基地として運用されています。
他の分屯基地の例
現在、分屯基地を含めて全国73ヶ所に航空自衛隊の基地があります。
北海道内で三沢基地の分屯基地になっているのは、以下があります。
- 稚内分屯基地(稚内市)
- 網走分屯基地(網走市)
- 根室分屯基地(根室市)
- 当別分屯基地(当別町)
- 奥尻島分屯基地(奥尻町)
- 襟裳分屯基地(えりも町)
- 八雲分屯基地(八雲町)
逆に千歳基地の分屯基地となっているのは千歳基地のすぐ近くにある長沼分屯基地が唯一です。
まとめ
つまり、八雲分屯基地が三沢基地の分屯基地となっているのは、「地理的な位置よりも、防空任務と指揮系統を重視した結果」です。
三沢基地が担当する防空網の一部として八雲が組み込まれているためであり、千歳基地の所掌範囲とは防空エリアが異なるのです。
というわけで、「分屯基地がどこの基地の隷下になるか」は、地理的な近さではなく、「運用上の任務・部隊の系統」によって決まるため、八雲分屯基地に限らず、他の分屯基地でも「地理的には遠いけれど、別の方面の基地の分屯基地になっている」ケースは珍しくないのが実情です。


