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覆面アンテナ風『MG-450-TP』による430MHz帯送受信実験動画

「せーんぱい!高すぎます!」

「キャベツか?」

「覆面パトカーマニアの間で人気のタクシー用ユーロアンテナのMG-450-TPですよ!31,200円→44,660円です!」

「3万って、3年前の価格だろ?世界情勢激変で電子部品が軒並み値上げしてるし、店は楽天税も納めなきゃならんのよ」

「それにしても物価が高すぎますよ…。家計を切り詰めて毎日豚汁とライスなのに……。主婦は限界です」

「450TPが高いなら本家のMG-UV-TPを買えばいいじゃない?」

「えー!売ってないですよね?」

「そうでもない。最近は平気で本物の中古覆面パトカーがアンテナ付きで売られてるから、それを狙うのだ」

アンテナ付き(同軸ケーブルの処理きれい♪)の元本物覆面パトカーのティアナが中古で売られている

「そんなお金ないです〜!」

MG-450-TPによる送受信実験

ってことで、まだまだ一部で人気のMG-450-TP。

そして、それがアマチュア無線の430MHz帯での送受信で使えるか?性能は?という実験の様子がYOUTUBEで公開されている。

実験の主は免許や資格のいらないフリーライセンス無線を紹介するももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】を主催されており、無線好きな方の視聴者も多い『ももすけ』さん。

記事内の引用について 『ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】』より。

念のためにおさらいしておくと、MG-450-TPは日本アンテナ製のタクシー事業者(デジタルタクシー無線)向けユーロアンテナ。

デジタル・タクシー無線はDJ-X100でより簡単に受信可能に!

警察の覆面パトカー用アンテナMG-UV-TPと極めてソックリな製品。

MG-450-TPは業務用無線アンテナであるため、一般のアマチュア無線ショップでは扱いがないが、業務無線専門店で販売されており、本家のMG-UV-TPに比べれば、断然入手しやすい。

 

そのため、“本家MG-UV-TPの血を引く由緒正しい代替品”として支持する愛好者の声も多い。

覆面パトカーのアンテナを種類ごとに解説!偽装アンテナから車内アンテナの増加へ

 

車のルーフトップにマグネットで設置するアンテナは垂直に立てた場合、広いルーフ面がパラボラアンテナめいた作用をする。

このため、エレメントの短いMG-450-TPでも、ハンディ機付属アンテナでの車内受信に比べれば、感度がはるかに良好。しかも目立たない。

そして、アマチュア無線のUHF帯(430MHz)において、実際の送受信検証を行うのが以下の動画。

SWR(定在波比)を測定

まずは、その本来の目的であるデジタルタクシー無線の450MHz域付近のSWR(定在波比)を測定。

すると画像のとおり1.27を示している。さすがはタクシー無線用アンテナ。

450MHzにバッチリと同調するように設計されている。

450MHzでのSWRは1.27にまで落ちている。SWRは1.5以下が理想とされ、 3以下が実用上の限界とされている。すこぶる良好。これならアマの430MHzでもイケるんちゃうの?オッス、オラ無線従事者、いっちょやってみっかなどと我々が考えてしまうのも無理はない。 画像の出典 ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】

430MHzのマッチングは?

そして、アマチュア無線の430MHzのマッチング。

なんと、こちらも1.3前後とすこぶる良好。

ちなみに422MHz帯域の特定小電力トランシーバーの帯域もチェックすると、こちらも良好な数値を示している。

『意外と航空無線や鉄道無線、アマチュアの144MHz帯の広帯域受信も聞けるんじゃないですかね』と、ももすけさんは評価。

なお、筆者自身も総務省によるアナログ無線の周波数再編計画が推し進められる寸前の数年前、MG-450-TPと広帯域受信機のIC-R6にて“受信実験”を敢行。

118〜140MHzの民間/自衛隊エアバンド、各種業務無線や官波が割り当てられていた150MHz帯、そして役場の防災移動系などが多い460MHz帯、いずれも良好であったことを記させていただきたい。

今回のももすけさんの実験では、実際にアマチュア無線のハンディ機『FT3D』を用いて、レピーターと呼ばれる中継局に搬送波を送信し、その作動を確認する作業『カーチャンク』を行なって、返ってきた電波の強度をSメーターで確認するもの。

レピーターとその仕組みについては以下の記事を参照のこと。

アマチュア無線のレピーターの仕組みと使い方

レピーターから返ってきた信号強度、つまり電波の強さはフルスケール(つまり、アンテナ3本)とすこぶる良好。

ももすけさんは前回、アマゾンで低価格の車内設置型の覆面アンテナを購入して受信実験を行なっているが、日本アンテナの450TPの予想外の感度に驚いた様子だ。画像の出典 ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】

レピーターを使って無線交信する方式を『山かけ通信』と呼び、警察無線ではこれが基本であるが、アマチュア無線でも全国各地にレピーターが設置されており、誰でも利用できる。

警察無線用のMG-UV-TPのような短いアンテナでも、本部と遠方の無線局同士が問題なく送受信できる理由は、まさにこの山かけ通信のおかげ。

さらに警察無線では個別PCの車載無線機にも中継機能を備えており、不感地帯ではPC自体が”中継局”になることも強み。

アマチュア無線や受信のみに関してはアンテナに『技術適合基準(いわゆる技適)』による法的な制約はないため、このような実験が自由に行える。画像の出典 ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】

というわけで、ももすけさんの実験の結果、覆面アンテナ風『MG-450-TP』によるアマチュア無線の430MHz帯での送受信はとりあえず問題なく、十分実用的に使えるということがわかった。

マグネット式で着脱容易、ダサくないどころか、むしろ車がカッコよくなる魔法のアイテム(!?)こと、MG-450-TP。

まさに『キミのクルマが役所のクルマに!?』である。キミの愛車が渋滞の先頭になってしまう。懐かしい。

本来の無線用アンテナとして実験目的で使う場合は、受信機やアマチュア無線機での利用にとどめたい。

デジ簡の送受信実験はNG

さて、誤解のないように申し添えるが、ももすけさんの今回の実験は『アマチュア無線機による430MHz帯での送受信実験』であり、また筆者の過去の実験も『広帯域受信機による受信実験』であり、いずれも『デジ簡の送受信実験』ではない。

というのも、前提としてデジ簡では技適(※wikipedia)の認証を受けていないアンテナの使用は認められておらず、万が一未認証のアンテナで送信してしまうと、電波法違反の恐れがあるためだ。

たとえ、350MHz帯対応の『MG-UV-TP』でも、デジ簡アンテナとしては技適を受けておらず、法的には使えないと言えるだろう。

覆面パトカーみたいなダッジチャレンジャーSR8がデジ簡(車内秘匿アンテナ)装備!

一方、番組のチャンネルをガチャッと変えてみる。

若き僧が僧衣を脱ぎ捨て、ドリフトに没してタイヤを坊主にしていく姿をドキュメンタリー風に記録しているYOUTUBEチャンネル『you寺FACTORY』が今、じわりと人気だ。

茨城県にある『向山寺』の副住職として、小気味良いショート編集と、どこかとぼけた口調で車好きから支持されている『ドリフト僧侶こまっちゃん』が、今回はある男性の愛車『ダッジ・チャレンジャー』を紹介。

黒くていかついアメ車然とした風体だが、驚くことに米国警察の覆面パトカー仕様に改造され、ダッシュライトやサイレンアンプも備わっているようだ。

いざ、車内の紹介に入ると、こまっちゃんが無線機に気付き『これ、何に使うんですか?』と、アンテナ職質の警察官の如く尋ねると、オーナーの男性は『これ、パトカー になってて・・・。そのグループで共通の無線積んでて』と一言。

『今さらっと”パトカー になってて・・・”って言ったけど、パトカーなんですか!?』と困惑するこまっちゃん。

『パトカーなんです!』とオーナーの男性。

車内からは手錠も発見され、これにはこまっちゃんも戸惑うしかない。

さて、このダッジ・チャレンジャーは八重洲のデジ簡機『FTM320R』を搭載しているようだが、車外にアンテナは見当たらない。

他人の車のアンテナが気になって仕方がない筆者が『ん?車内アンテナかな?』と思ったら、やはりリアウインドウ内側にそれらしきモノを装備しているようだ。

この車内アンテナはアマゾン等で販売されている『351MHz デジタル簡易&デジタル登録局用ガラス貼り付けアンテナ 過激飛びMAX』と思われるが、もしそうなら、このアンテナはデジ簡用アンテナとして技適を取れていないという指摘もある。

前述の通り、一般的にはデジ簡では技適認証のないアンテナで電波を送出すると電波法違反となりかねないため、今一度の確認が必要かもしれない。なお、技適のないアンテナを購入すること自体に問題はない。

https://twitter.com/KUMAMOTO_M32/status/1281147215197532163

まとめ

というわけで、今回の覆面アンテナ風『MG-450-TP』による430MHz帯送受信実験という興味深い実験は、問題なく運用できそうな可能性を秘めていることがわかったようで、とても有意義な実験に終わったようだ。

移動体通信において送受信感度を上げたいなら、是が非でもアンテナを車外に出すのは常識とはいえ、筆者のようにアマチュア無線用アンテナを隠してしまいたい、あるいは偽装したい無線従事者資格を持つ人や、デジ簡といったフリーライセンス無線を楽しむ人も多いはず(そんな変態はいません)。

アマチュア無線局がアンテナを隠すのは悪いこと?

そんな中でアマチュア局には”救世主”となるアンテナが『MG-450-TP』なのかもしれない。実際に車に装備して運用されている局長もいらっしゃるようだ。

残念ながら現在、国内のメジャーなアンテナメーカーから販売されているアマチュア無線用アンテナにしても、技適認証済みのデジ簡用アンテナにしても、MG-450-TPのようなスタイルの良い製品は皆無

とはいえ、これまでC社さんはデジ簡およびアマチュア無線用ドルフィン型アンテナ、D社さんはデジ簡用ユーロアンテナを発売してくれるなどしてくれている。

ただ、いずれもコンセプトとしては良いのだが、我々が求めるスタイルじゃなかったようで、いずれも廃盤となっている。

ももすけさんの動画に『ミエAC129局』として頻繁に登場するアタックさんも『MG-450-TPにDCR(351MHz)用があればいいのだが』とおっしゃっており、筆者も日本アンテナさんからMG-450-TPの流用でDCR用351MHz対応型がいつの日か発売されるよう願っているのが正直なところ。

https://twitter.com/mieac129/status/1606229585263095808

それまではいい子にしてアマの433MHzで遊んでますから。でも、ついうっかり144MHzでもオンエアしてしまい、ファイナルを壊してしまったりして……(笑)

【カオス】警察さん、アナログ警察無線を妨害されまくってた…『送信改造』で割り込む悪質例も

80年代までデジタル変調および暗号化されていない『アナログFM警察無線』は誰でも傍受できた挙句に、多くの妨害を受けてきたようです。

記事の要点

  • 全国の警察本部で80年代まで配備されていた警察無線はアナログFM変調方式
  • アナログ変調方式の無線は市販の無線機などで容易に誰でも傍受可能
  • 悪意を持った者による妨害も多発
  • そのため可及的速やかにアナログ警察無線はデジタル変調方式へ移行
  • ただし、80年代で“デジタル化”が完了したのは基幹系のみ。90年代末の署活系デジタル化を以って“警察無線の完全デジタル化完了”とする場合も

率直に言うと、80年代のアナログ全盛期に配備されたMPR-10警察用無線機は当初、単純な秘話装置さえ内蔵されておらず、市販のアマチュア無線機や広帯域受信機で傍受ができました。

現在のデジタル警察無線を市販の機器で傍受(復号・解読)できない理由は警察無線が独自の高度なデジタル変調方式+暗号化されているため。

事実上、この変調方式をデコードできる市販の受信機や無線機は存在しないため、傍受不可能。

デジタル警察無線を解読する受信機を『まともなメーカー』が発売しない理由とは?

当時、警察無線を傍受する者を取り締まり当局では『無線マニア』と呼称していました。

当時はアナログFMの警察無線を傍受するだけなら、誰かに内容を他言したり、知り得た情報を窃用(交通取り締まり情報の悪用など)しない限りは電波法上では合法であるため、取り締まり対象とはなりませんでした。

犯罪者、過激派などとの戦いの歴史でもある警察無線の知られざる歴史をご紹介します!

第三者が簡単に傍受できるアナログ警察無線ゆえの脆弱さ

新聞記者、フリーのジャーナリスト、犯罪者、さらに仕手筋なども警察のリアルタイムな情報を欲しがっていました。

アナログ無線ゆえの脆弱さはときに、無線マニアに傍受されるだけではすまない事態を引き起こしました!

アナログ警察無線当時に配備されたのは1978年に警察庁で制式採用された車載兼可搬型の警察無線機『MPR-10型移動用超短波無線装置』でありました。

が、MPR-10には現行配備のAPR無線機と違って液晶表示はなく、操作部にはスケルチと音量、それにチャンネル切り替えのツマミ、チャンネル番号と電源/充電表示のランプがありました!

また、パトカーの車体コンソールのホルダーに取り付けて固定するためのカギ穴が前面操作パネル右に配されていました!

車載のほか、取り外して携行運用できるように伸縮式金属ロッドアンテナとニッカド・バッテリーを搭載していました!

松下および三菱が製造しており、当時の納入価格は一台35万円。

市販されませんでしたが、同一筐体を使用したEF-2302A形移動用超短波無線電話装置として民生用に販売されました。

そして、このMPR-10型に音声反転秘話機能を搭載したのがMPR-10A。

アナログ警察無線で導入された音声反転式秘話が『10番A』と呼ばれた理由

『傍受』より『妨害』を憎んだ警察

ただ、警察当局が問題としたのは、合法的に傍受する無線マニアたちよりも、警察無線に直接割り込んで通信を妨害する警察への敵対行為、つまり犯罪を行う者たちでした。

無線通信に対する妨害とは、同じ周波数で第三者が妨害電波を発射するなどして、正規の無線局が本来の通信を行えなくする行為。

面白半分のイタズラだったとしても、重要通信である警察無線の通信を妨害などすれば、ただちに電波法違反。

しかし、アナログ警察無線であったころ、実際に電波妨害は頻発。

市販のアマチュア無線機に送信改造さえ行えば、あまりに簡単にできたのです!

なお、アマチュア無線機に対する改造指南を行っていた雑誌というのは言うまでもなくラジオライフさん。

これについて一部マスコミから事実無根のことを言われたため、編集部が激怒したという史実も。

警察無線の記事でラジオライフ編集部が激怒した理由とは

『送信改造』で警察無線に割り込んだ一部マニアや過激派

レピーター中継方式である警察無線に対する電波妨害にはパトカーから中継局に向けて送信されるアップリンクへの妨害電波発射と、中継局からパトカーへ送信されるダウンリンクへの妨害電波発射がありました。

どちらも悪質な電波妨害ですが、より深刻なのは広域をカバーするアップリンク回線を狙った妨害です!

山の上の中継局に向けて妨害電波を発射すると、妨害電波を広範囲に中継してしまうのですから!

傍受をしていたマニアの中にも、一部には傍受だけでは満足できなかった者もいました。彼らは自分のアマチュア無線機に『送信改造』を施すことで溜飲を下げたのです!

「送信改造」とは本来145MHz帯域の送受信のみ可能なVHFのアマチュア無線機の回路に簡単な改造を施し、同じVHFを使う警察無線の149MHz-150MHz帯域(当時)の周波数でも送信可能とする行為です。

元々、アマチュア無線のVHF周波数は警察無線の周波数と近似で、このような送信改造も簡単にできたのです。当然、アマチュア局に本来許可されない周波数で電波を発射すると電波法違反で摘発されます!

さらに送信改造を行ったマニアが次に行ったのは実際の送信、つまり警察無線に対するいたずらなどの妨害

はじめは『無変調』と呼ばれる単に音声を載せずに電波(搬送波)だけを連続送信して妨害する行為だったものが、次に木魚を叩き、南無阿弥陀仏を唱えて世界平和の祈願、いやらしい言葉の連続発声練習、警察官に対する日々の鬱憤を喚き散らすなど、次第にエスカレート!

なかでも”ニセ指令”をパトカーの警察官に出す遊びは洒落にならない悪質行為です!

ニセ指令に騙されたパトカーの警察官はすぐに了解を送り、サイレンを吹鳴させ、起きてもいない事件現場へ駆けつけたのですから!

映画『ダイハード4.0』では敵側の女が警察無線のディスパッチャーに成りすまして偽の指令を出し、主人公のマクレーン刑事を陥れようとする描写があるが、まさにメイ・リン、じゃなかったマイ・リンのようなことを彼らもやり始めたのです!

ラジオライフ誌上で紹介されたあるエピソードでは、地震が発生し各地で混乱極めたときも、このような妨害やニセ指令が頻発したため、キレた指令台勤務員が『お前らは遊びでもこっちは仕事でやってんだ!』と一喝すると、その後はシーン……となったと記載されています。

またニセ指令のほか、1985年10月16日の読売新聞京葉版の報道に拠れば、電波ジャックをしていた3人組が警察に検挙され、そのうちの一人は県警の照会センターを呼び出して、自動車ナンバーを照会するなどのイタズラを繰り返していたとのこと。

騙されて呼び出された照会センターの職員が個人情報を伝えたかどうかは不明なるも、これらも悪質極まりない行為です!

このような準単独型の愉快犯の一方、各地で連携して計画的に警察無線を妨害していたのが警察当局の呼ぶ極左暴力集団、マスコミが呼ぶところのいわゆる過激派です。

昭和60年度版の警察白書では、そのような交信妨害は17,000回にも達したのです!

昭和59年には自民党本部が過激派の火炎放射器搭載車によって公然と放火襲撃されましたが、事件当時、自民党議員のハマコーはすぐさま駆けつけて陣頭指揮および消火活動に参加した一方、同じく同党議員で当時の法務大臣・住栄作はあろうことか『焼肉屋の謎の火事みたいなことしやがって!』みたいな”マッチポンプ発言”を燃え盛る自民党本部前で発したことでハマコーが激怒して住を殴りつけた珍事が発生!

さらに、警視庁の無線通信へ”40分間にわたるジャミング”も発生したため、警察当局の捜査活動も騒然としました!

これら警察無線に対する重大な妨害に対処するためとして、警察では当時の旧・郵政省電波監理局(現在の総合通信局)とは別に警察独自の不法無線探索電子装置を用いて妨害電波の発信源を探知し、徹底的に妨害犯を不法無線局として摘発していったのです!

不法無線局の捜査には航空隊も投入され、面白半分で警察無線を妨害していた者の頭の上には電波探索装置を積んだ警察ヘリが飛んできました!

日本の警察通信史上、重大な転換期を迎えるきっかけを作った『グリコ森永事件』

このように第三者が自由に傍受、果ては悪意の妨害まで可能であったアナログ警察無線ですが、それゆえに警察活動が根底から崩壊しかねない大事件が発生してしまいました。

昭和59年から翌年にかけて兵庫県、大阪府で発生した一連の社長誘拐および企業脅迫事件、いわゆる『グリコ森永事件』です。本事件は日本の警察通信史上でも重大な転換期を迎えるきっかけを作ってしまうことになりました。

犯人はグリコ森永社長(当時)を誘拐し、身代金を要求したものの、社長が自力脱出したことから失敗。すると今度はグリコ以外のメーカーが標的になり、犯人らはスーパーなどに並ぶ菓子類に劇物を混入させ、脅迫状を送り付ける『企業脅迫』で金を要求。

その一方、新聞社や警察には捜査当局への重大な挑発とも受け取れる度重なる挑戦状を送っていたのです。捜査当局は”ローラー作戦”など、徹底的な捜査を敢行するも、犯人は未検挙。毒入り菓子には犯人が”どくいり”との紙を貼っていたこともあり、『毒菓子』での犠牲者は出ませんでしたが、滋賀県内で犯人の一味を警ら中の地域警察官が取り逃がした失態の責任を取り、同県警本部長が自ら命を絶ったのです。

これを受け、犯人は『香典代わり』として脅迫の終結を宣言、事件は沈静化。その後も捜査当局は捜査を継続しましたが、事件は未解決のまま時効を迎えています。犯人にはカネ目的以外の怨恨があったとする見方や株価操作説もあります。

他県警と交信できない水晶式警察無線機の致命的な欠点が露呈

実はこのグリコ森永事件とアナログ警察無線は切っても切れない関係です!

「かい人21面相」を名乗る者とその仲間らによってアナログ警察無線が傍受され、緊急配備などの捜査情報が傍受された挙句、送信改造されたアマチュア無線機によって警察無線の交信に割り込まれて捜査をかく乱されたのです!

ただし、これら無線の妨害は便乗した愉快犯の可能性もあります。

また、犯人らはアマチュア無線の7MHz帯域内のアマチュア局に許可されていない周波数で連絡を取り合っており、アマチュア無線家が偶然それを傍受、録音し警察へ届け出。

また、当時の無線機の周波数はあらかじめ実装された水晶によって決められ、通常は自本部の周波数の水晶しか実装されず、隣接県警同士の連携が非常に困難でした。

そのため、ほとんどの連絡手段が一線配備の警察官にとっては同報性に劣る有線連絡、すなわち電話連絡のみでした。

当時、警察で使用されていた無線機は、ごく標準的な水晶制御の狭帯域FMトランシーバであり、各警察本部ごとに数チャネル分の水晶を実装していただけであったから、隣接する警察本部との通信は不可能であった。グリコ森永事件の”かい人21面相”のごとく、高速道路を使って瞬時に隣接都府県に移動する犯罪捜査にはまったく役立たず、現在使用されているディジタル式無線が導入された背景になっている。

引用元 http://hse.dyndns.org/hiroto/RFY_LAB/pch/pch.htm

A県内で事件を起こして隣接のB県に高速を使用して逃げ込めば、当時の警察は他の県警と連携が取れなかったので、犯人はあっさりと逃げおおせることもまかり通る時代です。

APR基幹系システムでは、必要に応じて47都道府県警察本部およびパトカーなどの移動体すべてが警察本部によるリンク操作で交信できるように整備されています!

必要性はともかく、北海道警察のパトカーと警視庁のパトカーがひょいと交信することも可能です!

なお、隣接する警察本部同士が連携をとる場合はパトカー向けの基幹系無線のうち『広域共通系』を使ってます!

警察無線の系統 その1『車載通信系(基幹系)』

ただ前述したように、同事件以前から過激派などによる相次ぐ警察無線への割り込みなど妨害行為は頻繁に行われており、1982年の段階で警察では無線のデジタル化を進めており、決して『グリコ森永事件』が警察無線のデジタル化のきっかけそのものではありませんが、デジタル化を予定よりも推し進めたことは事実です!

こうして警察庁では、すでに警視庁など一部で試験導入されていたデジタル無線機を急きょ全国の警察本部へ配備し、80年代後半には全国の警察本部でデジタル化を完了。

ただ、外勤の地域警察官が使う署活系無線は90年代に入っても一部アナログで運用され、デジタル機と混在しつつも生き残っていました。

警察無線の系統 その2『署活系』

警察無線がそれほど特別な装置なしで誰でも傍受できたという当時の事実は、物語の作り手側にとっても都合がいいようです。

自身に迫る捜査の手から逃れようと、まだアナログだった警察無線を傍受、その通信の内容を窃用し、隣県へと逃亡を図ろうとする描写のあった娯楽作品は当時たくさんあったと思われます!

それはともかく、当時はアマチュア無線機の可聴周波数範囲を広げる改造を行う、またはすでに改造されたアマチュア機や受信機を専門店で購入すれば、素人でも特別な知識なしで、まさにラジオ番組を聞く感覚で警察無線を簡単に傍受できたのです。

ゆえにこれらの機材を車に積み込んで、主に交通取締り情報の収集を行っていたマニアは多かったようです!

さらに警察官到着前に事件事故現場に駆け付けて『きみはいつもお巡りさんより先に現場に来るんだね(ニコッ』と言われてしまう“規制線の向こう側”に行きたい痛いマニアがいたのも警察無線や消防無線がアナログだった時代の話です!

当然、警察無線がまだアナログだった時代ではマニアのみならず、誰よりもナマの情報がほしい新聞記者なども傍受して重要なニュースソースにしていた。

しかし、市販の受信機を使って誰でも傍受できたアナログ警察無線がデジタル化された現在では聴取が不可能。

事件記者と言えども警察無線を傍受できる機器は所持できません!(ときとして外国メディアから批判される日本の記者クラブ制度や、食事を奢るなど便宜を図っている警察官経由ですぐに情報が手に入るので困りはしないのです!)

消防無線の指令波も2016年でデジタル化が完了しており、今となってはこれらの無線を傍受することはほぼ不可能。

以降、今日まで警察はアマチュア無線家を目の敵にしているほか、それまで御目こぼししていた当時の電監(現在の総合通信局)もアマチュア無線の資格と免許を持たずに受信目的で使う者を排除するため、無資格者に対しては受信のみで無線機を使っていても、送信できる状態で使っていれば不法無線局の開局として厳しく摘発することになります!

しかし、このようにとっくにアマチュア無線機で警察無線を傍受できるようなイージーな時代ではありません!デジタル化の波到来。

以下の記事にて、ついに登場した初代および現行配備のデジタル警察無線機を詳しくご紹介します!

デジタル警察無線MPR、APR、IPR、その変遷の歴史

アナログ警察無線のまとめ

2018年からはセキリティを強化したAPRの後継、IPR型車載無線機も各地で先行配備が行われているほか、地域警察官向けの新・署活系無線PSW、民間回線利用のPSDで構成される『地域警察デジタル無線システム』もすでに全国の警察本部で配備済みです!

もはや、外部の人間が警察無線を傍受など一切できません!

https://policemaniacs.com/keisatsumusenki_jyushinki/

現代では警察官や警察車両はGPSで衛星から監視され、迅速な配置が可能となっており、犯行現場や犯人の画像データ、文字情報も互いに共有ができることがもはや当たり前。

単なる『無線』ではない、インターネットとの融合や活用が今後も警察部内で進むものと見られています!

自衛隊さん、無線などからシギント (Signals Intelligence:SIGINT)してしまう

世界各国では政府機関や軍事組織の中に情報機関(Intelligence services)が設置され、自国の国益を守るために防諜や諜報といった映画さながらのスパイ活動を繰り広げています。

インテリジェンス (Intelligence)と一言で言っても、各政府機関ではとらえ方や手法は様々。

この項目では各国の諜報機関が行う一般的な情報収集の種別と軍事組織における防諜とを併せて取り上げています。

日本政府が設置している情報機関

日本には内閣情報調査室、公安調査庁、警視庁公安部ならびに各道府県警察本部の警備部公安課、外事課、そして、防衛省自衛隊情報本部といった情報機関があります。

このうち、内閣情報調査室(通称・内調)は官邸直属の機関として内閣情報官の指揮の元、内閣の重要政策に関する情報を収集・分析して官邸に報告し、官邸の政策決定に関する事務並びに特定秘密の保護に関する事務を担っています。

職員は警察や自衛隊など他省庁からの出向者で構成さており、外国のスパイから日本の公務員と機密情報を保護する任務を帯びた『カウンター・インテリジェンス・センター』も設けられています。

また、内調では外部のシンクタンク(財団法人や社団法人)や報道機関(NHK、共同通信社)、オシント機関(ラヂオプレス)などに活動費を支給して調査活動の一部を委託する例もあります。

さらに外務省の外交官も海外で多くの情報収集活動を行っています。外交官のほか、都道府県警察の警察官が外務省に派遣され、日本の在外公館に勤務して現地の情報収集を行うケースも見られます。

これら国家およびその政府のインテリジェンス機能を果たす機関の総称をインテリジェンス・コミュニティ (Intelligence Community)と呼びます。

インテリジェンスとインフォメーション

一般的に公的な情報機関が収集および選別、分析などをしているインテリジェンスとインフォメーションとは具体的に以下のようなものです。

インテリジェンス

収集されたインフォメーションを加工、統合、分析、評価及び解釈して生産されるプロダクト。

分析されたインテリジェンスは国家が安全保障政策を企画立案・執行するために必要なデータとなります。

広義におけるインテリジェンスとは、生産されるプロセス、工作活動、防諜活動、そして情報機関そのものまで含めて呼称する場合もあります。

インフォメーション

インテリジェンスのもととなる、ソースそのものです。報告、画像、録音された会話等のソースで、加工、統合、分析、評価及び解釈のプロセスを経ていないものを指します。

諜報や防諜活動を支える各種手法

上記のような情報を入手するため、各国の情報機関は以下のような活動を行っています。

ヒュミント (Human Intelligence : HUMINT)

人的な情報源(ソース)から情報を入手する手法です。これは合法であるとは限りません。

実際に日本で確認された事例では上海総領事館員が中国当局者から謀られた上で脅迫を受けた事件、海上自衛隊対馬防備隊内部情報持ち出し事件があります。

2013年には自衛隊情報本部で外国文献の翻訳を担当する60歳代の再任用女性事務官が中国人留学生のスーパー店員に引っかかり、部内資料を渡そうとしていた疑惑があると週刊誌2誌が報じています。

二人の出会いは雨降りのスーパーの店先。留学生が自衛隊女性事務官に雨傘を差し出すなどロマンチックな出会い。

女性事務官は相手の正体を知ってか知らでか、その後2回飲食。気づいたときには手篭め状態で、防衛省の内部資料を部外へ持ち出そうと画策。

結局は未遂に終わり、女性事務官は注意処分を受け依願退職。

週刊文春の報道では情報本部の調査担当官が女性事務官のパソコンを調べたところ「彼に中国やアメリカの最高の分析を届けたい」という文書が残されており、中国人留学生と親しく交流していた事実が発覚。

シギント (Signals Intelligence:SIGINT)

通信などの信号を傍受解読および分析する諜報活動の総称です。

シギントにはレーダー波の傍受解析を行うエリント(ELINT:Electronic intelligence)のほか、海中に設置されたセンサーおよびソナー等を用いて相手国の潜水艦などが発する音響を収集するアシント(ACINT:Acoustic intelligence)などがあります。

そして主に無線や電話などによる会話・信号(Signals)の傍受による諜報活動を「コミント」(COMINT:Communication intelligence)と呼びます。

主に短波帯の無線通信が使われています。

HF無線の世界はアングラだった・・・やべえ通信まとめ(傍受の際は当該工作機関から十分に適切な社会的距離を保つ必要あり)

シグナルとはすなわち有線電話・無線通信の信号であり、それらを傍受して解読することが任務。

暗号を解読せずとも、防衛省が運用している全国六箇所の通信所(シギント施設)による三角測量方式により発信源を特定し、過去のデータと付き合わせれば、相手側の意図をほぼ特定できるようです。

ときには発信源や内容を偽装されることもあります。

鳥取県にある自衛隊美保通信所は巨大な円形状のアンテナ、いわゆる象の檻を設置しており、工作船事件当時、北朝鮮当局と工作船との短波無線による交信を傍受しています。

北朝鮮当局が国外の工作員へ指令を出す場合、新人工作員へはA3放送による音声読み上げによる指令、ベテランに対してはモールス(CW)が多いという。

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なお、警察庁でも情報通信局の通信所が、主にロシア・中国・北朝鮮関連の無線通信を傍受、解読、発信源を特定するなどのシギント活動に普段従事しています。

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一方で、日本に頻繁にやってくるロシアの情報収集機も、日本列島付近で自衛隊機を挑発しながら飛行することで、自衛隊や米軍等の無線交信を収集するシギント活動を行っています。

イミント (Imagery Intelligence:IMINT)

イミントは軍事衛星や偵察機、ドローンなどで撮影された写真画像(イメージ)のソースから情報を得る活動です。

またそれらを分析するインテリジェンスも含まれます。「イマジント(IMAGINT)」と呼ぶことも。

自衛隊は偵察機や無人機を使ってイミントを行うほか、内閣衛星情報センターでは情報収集衛星でイミントを行っています。

アメリカでは政府機関のほか、北朝鮮によるミサイル打ち上げ準備や核実験を民間商用衛星で常時監視しているシンクタンク・38ノース(38 North)が行っていることで有名です。

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オシント (Open Source Intelligence:OSINT)

一般的に公開されているテレビのニュース、雑誌、インターネットといったメディア等のオープンソースから情報を入手する手法です。

公開資料からのソース入手であれば、あくまで合法な手法です。

内閣情報調査室から調査委託を受け、中国や北朝鮮国内のラジオ放送やテレビ放送を聴取し、翻訳および分析のうえで政府に情報を提供している一般財団法人ラヂオプレスのモニタリング業務がこれにあたります。

ラヂオプレスの新卒向け採用情報によれば『ラヂオプレスは、海外ニュースを扱う日本で唯一のオシント機関(モニタリング・サービス)として、70年以上にわたり諸外国の公開情報をモニターしています』とのことです。

ラヂオプレスはもともと、外務省ラヂオ室という一部門であり、その後に同省所管の外郭団体を経て、現在は内閣府の所管となっています。

実はこちらも受信機での収集活動を行っています。

新宿区内にある事務所ビルの屋上に展張させたワイヤーアンテナやログペリアンテナ、そして日本無線のNRD-535受信機などでモニターと呼ばれる職員が北朝鮮の国営放送などを日々傍受しているようです。

無論、北朝鮮にも国営の海外向けラジオ放送局・平壌放送の中に同様のオシント部門があり、アメリカや日本のラジオ、テレビ放送をも視聴して分析しています。

セキュリティ・クリアランス(Security Clearance)

機密情報を扱う公的機関職員に対して、その適格性を検証する作業です。

すなわち、その者が組織にとって信用するに値するか見極めるための身元調査です。

日本では平成21年(2009)から各行政機関に秘密取扱者適格性確認制度が導入されており、各官庁職員である本人をはじめ、その親族も調査対象となっています。

親戚筋に警察や自衛隊の『人に言えない部署』に勤める者がいれば、ある日突然、公安警察に監視されたり、国に自らの調査票提出を求められることもあります。

調査の結果、親族に日本政府を暴力で破壊することを標榜する団体や破防法適用団体等の構成員等がいるなどした場合、不適格と判定され、さらなるキャリアアップや重要任務に就けません。

日本の主な情報収集活動はシギントとエリントの二つ

このように、それぞれの機関ではさまざまな手法を駆使して情報収集活動を行なっています。

自衛隊の諜報・防諜機関

敵対する諜報機関や諜報活動、破壊活動またはテロに従事する個人・グループによりもたらされる安全に対する脅威を発見し、それに対抗するインテリジェンス活動を防諜(Counter Intelligence)と呼びます。

我が国の自衛隊にも、オペレーションに関する情報を収集することを目的とした情報部隊と、部内情報の漏洩を防止するための防諜部隊の二つがあります。

防衛省情報本部(Defense Intelligence Headquarters)

非戦闘員の事務官と戦闘職の自衛官の混成組織で、2000人以上もの人員を抱える防衛省情報本部は日本最大の情報機関です。

画像・地理部、電波部など6つの部門がイミント、シギントならびにほかの省庁からもたらされる内外のインフォメーションを収集および分析し、情報に付加価値を与えていく作業を日々実施しています。

また通称『ゾウの檻』で知られる巨大な円形状のアンテナや、巨大なレドーム型のアンテナを配備した全国六箇所の自衛隊通信所も情報本部電波部の直轄で、北朝鮮や中国、ロシアの電波情報を傍受解析しています。

陸上自衛隊「情報科」職種と中央/方面情報隊

陸上自衛隊には「情報科」という新職種が創設されていますが、市ヶ谷駐屯地には約600名の隊員で構成される「中央情報隊」が編成。

主に、陸自の作戦遂行に必要な情報の収集と分析を日々行っています。

過去、陸上自衛隊の情報セクションは「混成職種部隊」として編成されており、さまざまな職種の自衛官や事務官、技官が混在していました。

3自衛隊の共同の部隊「自衛隊情報保全隊」

また、2003年に3自衛隊ごとに編成された「情報保全隊」は、2009年に3自衛隊の共同の部隊「自衛隊情報保全隊」として再編成され、こちらは主に防諜が任務です。

すなわち、自衛隊の部内情報が外部流出することを防ぐための部隊です。

陸海空混成の部隊で、人員約1,000名規模。諸外国の防諜機関と同様、一般的なインテリジェンスのセクション、それに自衛官とその家族に裏切者や内通者がいないか、その身上調査(差別的なので適格性調査と呼びます)を行い、思想信条などを調査するセクションで構成されています。

とくに、情報保全隊は隊員が結婚する場合、結婚相手本人やその家族の身上調査を部隊長要請で実施しています。

https://jieitaisaiyou.com/%e8%87%aa%e8%a1%9b%e5%ae%98%e3%81%ae%e7%b5%90%e5%a9%9a%e3%81%ab%e5%88%b6%e9%99%90%e3%81%af%e3%81%82%e3%82%8b%ef%bc%9f/

警備警察(いわゆる公安警察)は自衛隊保全隊へ情報の提供を行うなど協力関係にあります。

自衛隊の諜報・防諜機関のまとめ

自衛隊の諜報や防諜活動が表に出ることはないため、普段具体的にどのような活動をしているのか憶測の域を出ません。

参考文献様

https://thinktank.php.co.jp/wp-content/uploads/2016/07/seisaku01_teigen33_00.pdf
https://dailynk.jp/archives/60171
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53618?page=2

デジタル警察無線を解読する受信機を『まともなメーカー』が発売しない理由とは?

2003年、デジタル警察無線『APR』の配備が全国で開始され、警察無線のセキュリティ技術の壁が高くなった。

さらに翌年には『暗号化された通信の解読を禁止するため』として、電波法の改正を行い、新たに『法の壁』をも建てられた。

つまり暗号通信たる現行のデジタル警察無線の内容を解読(復元)することは違法とされたのである。

ただし、それには前提となる条件がある。以下に電波法を引用する。

電波法第109条の2

第百九条の二  暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2  無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3  前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないようにするための措置が行われた無線通信をいう。
4  第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。
5  第一項、第二項及び前項の罪は、刑法第四条の二 の例に従う。

出典 https://dsk.or.jp/dskwiki/index.php?%E9%9B%BB%E6%B3%A2%E6%B3%95%E7%AC%AC109%E6%9D%A1%E3%81%AE2

以上の電波法第109条の2によれば、警察無線にかぎらず、暗号化された通信を傍受した者や媒介する者が、通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を何らかの方法で復号(デコード)すること自体および未遂は違法であると明記されている。

しかし、電波法の文面を額面どおりに受け取れば『通信の秘密を漏らしたり窃用する目的でなければ解読しても問題ないのでは?』とも解釈できる。

とはいえ『もっぱら個人的な無線技術の興味に基づいて解読しただけで他言するつもりはありません』なんて主張しても、それを違法か判断するのは当然取り締まり当局や裁判所。

少なくとも、限りなくクロに近いグレーな行為。取り締まり当局はグレーもクロにできる立場にあることに違いはない。

いずれにせよ、我が国では警察無線を聞きたくても、PCや解析プログラムなどを使って復元を試みようとした時点で不法行為となる可能性は高い。

安易に行わないよう十分な注意が必要だ。もちろん、技術的にも簡単ではない。

なお、解読行為の違法性については大手無線機メーカーのアルインコ社も以下のように注意を喚起している。

引用文献 https://www.alinco.co.jp/faq/contents_type=322#F20171115001

今のアナログのような感覚で受信できるレシーバーはありません。警察や消防のような無線は、製造に必要な部品の入手、秘話コードや運用形態が高いセキュリティレベルで守られており、仮に受信機だけを手に入れたとしても、通信を聞くことはできません。また、デジタル秘話化された無線通信をデコードすることは電波法に違反し罰則がありますから、そのような装置をまともなメーカーが一般向けとして製造販売することもあり得ません。

引用文献 アルインコ株式会社公式サイトhttps://www.alinco.co.jp/faq/contents_type=322#F20171115001

当然『まともなメーカー』たるアルインコなどの大手の国内無線機器メーカーは、一般消費者向けに警察無線や消防無線(指令波)を解読できるような受信機を今後も一切販売しないということだ。

誤解のないように追記するが、アルインコは消防機関向けに消防デジタル受令機を製造販売している。

しかし、当然その販売先は消防機関のみに限っており、一般人(個人の消防団員含む)には一切販売しない。一般からの問い合わせにすら応じないことを明記している。

アルインコだけが特別に厳しいわけではなく、これは総務省消防庁が製造販売メーカーに対して行っている厳しい流通管理の指導の一環なのだ。

ところが2016年、あろうことか何者かがアルインコ製の携帯式デジタル消防受令機DJ-XF7をヤフオクに出品した事例がある。おそらく消防機関に納入される前の段階で納入業者が横流ししたものだと思われるが、警察用無線機や受令機では考えられないことだ。

そもそも現行の消防デジタル無線も原理はデジタル警察無線とほぼ同じ仕様ではないだろうか。

すなわち、無線機や受信機を不正な方法で手に入れたとしても、毎回コードが合わなければ複合できないし、盗難がわかれば個別の無線機や受信機を狙い撃ちして自己破壊コードを送出されてしまうのだから、盗難品や横流し品でそのまま受信できるほどセキュリティは甘くないのだ。

おまけにおそらくは警察同様、消防無線機や受令機の筐体もまた、不正な方法で開けようとするとプログラムが破壊される”ビックリ箱”仕様だろう。

なおAOR社についても、年々減少する受信マニアより、全国の消防機関との共存を選んだ。

すなわち同社もすでに総務省消防庁との契りを交わし、その流通管理の指導を受け入れて消防受信機販売メーカーの一員となった代わりに、デジタル消防無線受信機を一般ユーザー向けに販売することは未来永劫ないのだ。

80年代のラジオライフの広告で受信マニアの心に煽り文句で深く訴求したメーカーも現在ではこの変わりよう。

余談だが、日本のメーカーである「ユニデン」は日本で受信機を販売していないが、米国向けに高性能のデジタル受信機を輸出しており、米国の報道関係者の間では警察無線の受信に多数使用されている。

アメリカ警察特集コラム第10回 『警察無線とナイトクローラー』

まとめ

デジタル警察無線を解読する受信機を『まともなメーカー』が発売しない理由がおわかりいただけただろうか。

どうしても聞きたい場合は警察24時を視聴するか『地下鉄サリン事件』の際の警視庁の通信指令センターと外勤の交信が、警視庁自らによってマスコミに公開されているので、それを聴取すると実際の警察無線の雰囲気がつかめるだろう。

2002年に摘発された『警察無線録音テープ販売事件』で警察さんが激怒した理由

デジタル変調方式の現行警察無線に関して言えば、もはや技術的に傍受は不可能。

じゃあ、いつの話のネタよって?そりゃもちろん、まだ警察無線にアナログが残っていた時代の話。

デジタル警察無線MPR、APR、IPR、その変遷の歴史

とはいえ、無線で聴いた内容をぺちゃくちゃ喋っちゃいけない電波法の原則は皆さんご存知のとおり。これは警察無線に限ったことではなく、一般の業務無線にも当てはまる。

したがって、たとえ実際の交信を聞いたとしても、雑誌などに掲載できない。

当サイトでも過去、ラジオライフ1982年11月号の企画『電波法はキミのもの!!-警察無線の傍受は処罰されない-』を参考文献として、瀬戸英雄弁護士の見解を紹介した。

同弁護士の見解では、例え実際の警察無線であってもドラマに使うことに問題はないとしてるが、具体的にどこの誰がどのような状況で発信した無線を使っているのかがわからないような取り扱いがされていること、という前提条件を示している。

警察無線の交信を録音して売ると電波法違反(秘密漏洩)

傍受した内容を漏らしてはいけないのが当然なのだから、その無線交信自体を録音して売っていいはずはない。だが、売る人間もいる。

1986年2月号のラジオライフ誌には警察無線の交信録音テープが一本10万円で売買が行われている例があると紹介されている。

2002年には警視庁の交信テープを個人販売していた男が摘発されている。

警察無線の交信内容テープを販売した男が逮捕 秘密を漏らしちゃダメ

警視庁は23日、警察無線を傍受してカセットテープやMD、CD-Rなどに収録し、インターネット上で販売していたとして、東京都大田区に在住する30歳代の男を電波法違反(秘密漏洩)の疑いで逮捕したことを明らかにした。

警視庁は23日、警察無線を傍受してカセットテープやMD、CD-Rなどに収録し、インターネット上で販売していたとして、東京都大田区に在住する30歳代の男を電波法違反(秘密漏洩)の疑いで逮捕したことを明らかにした。

警察の調べによると、この男はいわゆる無線マニアで、警察用として使われている周波数帯をキャッチできる受信機を使い、傍受した交信内容を収録したテープなどを1本2000円から5000円程度で販売していた疑いが持たれている。

中略

こうした業務用無線の交信内容を傍受すること自体に規制は無いのだが、それを第三者に伝える行為は禁止されている。今回の検挙理由も「秘密を漏洩したこと」となっている。

出典 https://response.jp/article/2002/05/24/17124.html

警察無線の音源を売っていた男はアナログ警察無線時代に傍受した基幹系・高速系・署活系等の警察無線の交信録音を売るという宣伝を自分のサイトに出していたほか、同種の音源との交換も受け付けていた。

ウェブアーカイブされた男のサイト上にある「録音テープ・CDリスト」には80年代から90年代にかけての警視庁の基幹系や高速系の交信が多い。

さらにはクリントン米大統領来日時の警備に関するきわどい交信も。

同大統領の来日は96年であるため、すでに基幹系はデジタル化されていたが、機動隊の使用していた部隊活動系はアナログだったため、傍受出来たのだろう。この部隊活動系も含め、警察無線はすでにデジタルになっており、傍受は不可能。

男は「デジタル化により二度と聞けない貴重な警察無線です」などの煽り文句で、これらの無線交信を音楽CDやMP3ファイル形式にして、2000円で販売していたようである。

この事件は2002年の事案だが、比較的近年の2019年でも警察無線の交信をネット上に漏洩させた人物が電波法違反(無線通信の秘密漏えい)の疑いで書類送検されている。

しかし、過去の事件と決定的に違うのは傍受、録音した大元の人物が現職警察官、すなわち内部流出だった点である。

これはもはや当然と言えば当然である。冒頭で申し上げたとおり、警察無線は市販の受信機で部外者が内容を解読できない極めて高レベルのデジタル変調方式になっている。

すなわち、流出したとすれば、大元は警察関係者かそれに近い人間となる可能性が高い。

2019年の事件に関しては「ラジオライフ」誌編集部員の関口岳彦氏が以下のように産経新聞のインタビューに答えている。

無線に詳しい「ラジオライフ」誌編集部員の関口岳彦さんは「電波法を十分に理解せず、安易な考えで販売や公開を行っているケースが散見される。ネットでの出品や動画投稿の普及が悪い形で背中を押している」と指摘する。

出典 産経新聞 相次ぐ無線音声のネット公開 電波法への意識低くhttps://www.sankei.com/affairs/news/190823/afr1908230026-n1.html

すでに日本では警察無線の傍受など、遠い遠い過去の話であり、一抹の寂しさも覚える。

https://policemaniacs.com/keisatsumusenki_jyushinki/

 

警察無線用通話コードや略語の一例

『至急、至急。松山北です、どうぞ!』、『なお救急はすでに手配済み!マルモクの確保に努めよ、どうぞ!』女性警察官の明瞭な声が響く。

この動画は愛媛新聞社が報じている愛媛県警による通信指令技術を競う競技会の様子。”マルモク”とは目撃者を意味する警察用語。無線交信は簡潔明瞭さが求められるため、略語や通話コードなどを適切に用いてテンプレ化することで、聞き間違いなどを防いでいる。

至急、至急はいわゆる緊急連絡である至急報を表す。司令室側も移動局側のどちらも、通話の前に『至急、至急』と前置きする。

「至急、至急」でおなじみの警察無線の「至急報」はどの普通通話よりも優先される

ほかにも「PM」はポリスマンの略で警察官/捜査員。PSはポリス・ステーションつまり、警察署。PCはパトカー。また、聞き間違いが起きやすい言葉は意図的に変えられている。たとえば「4月(しがつ)」なら「よんがつ」という具合だ。

映画『ナイトクローラー』では警察や消防の出動情報を傍受するため、車にスキャナーを積み、今夜起きる事件事故に備え、毎晩車内で待機、街を流すストリンガーという仕事に就く主人公が描かれる。

彼はいざ急報を傍受すると、警察無線の通話コードを瞬時に解読し、どの現場へ取材に向かえば一番稼ぎが良いかガス代、視聴者の興味とテレビ局の好みを頭の中で天秤にかけ、一瞬の判断で現場を決め駆けつける。そして撮影完了と同時にテレビ局に持ち込んで売るのだ。

アメリカ警察特集コラム第10回 『警察無線とナイトクローラー』

彼がまず最初に覚えたのが警察無線の通話コードである。

我が国の警察密着番組を見ていても、最前線の捜査員と通信指令室との緊張感あふれる無線交信を伺い知ることができる。

音声が甲高く変調される特有のデジタル警察無線の交信ではさまざまな通話コードや略語が飛び交い、緊迫した現場(げんじょう)の雰囲気が否が応でも伝わってくる。

ではなぜ、警察官が警察無線での交信時に独特の通話コードを積極的に使うのだろう。

今回はこれら警察無線で使用される略語や通話コードを解説していこう。

警察官が無線交信時に通話コードや略語を積極的に使う理由

警察官が無線交信でこのような通話コードを積極的に使うことには、主に以下の二つの目的がある。

簡潔めいりょうな無線通信のため

本来、無線通信とは簡潔明瞭でなければならない。簡潔な交信を行えば、一回の通話時間も短くできる。

なぜなら国際的に取り決められた国際電気通信条約附属無線通信規則の無線局運用規則第10条、無線通信の原則 (Principle of Radio Communication)において定められているからだ。

これは何も警察無線に限った話ではなく、簡潔明瞭であることはすべての無線通信の原則というわけだ。長々しい言い回しより、適切に定められた略語を用いれば、簡潔かつ明瞭なテンプレ交信ができるというわけだ。

第三者から交信内容を秘匿するため

そしてもうひとつの理由は交信内容の秘匿である。電波の拡散性を考慮し、常に交信内容の秘匿に努めなければならないのだ。

すなわち、警察官の使う略語や通話コードは同時に隠語となって暗号化され、部外者に対しては適切に交信内容の秘匿が図られるというわけだ。

もっとも、お伝えしているとおり、わが国のデジタル警察無線は第三者が傍受できないため、通常は警察側が自ら報道などに公開しない限り、その交信内容が明らかになることはない。

これら「警察用語」の使用については、実際に各都道府県警察の無線運用規則により、その積極的な使用が定められているというわけだ。

警察無線で暗号を使える法的根拠

電波法第58条では「実験等無線局及びアマチュア無線局の行う通信には、暗語を使用してはならない」と規定されている。暗語を使用してはいけない理由はアマチュア局の通信の相手方が「不特定のアマチュア局であること」や「アマチュア業務に秘匿すべきものがない」ことなどが理由とされている。

しかし、実験等無線局及びアマチュア無線局の行う通信以外が暗語を使ってはいけないと明確には定められておらず、実験等無線局及びアマチュア無線局以外では警察、消防、自衛隊、海上保安庁、また民間では警備会社、タクシー会社など多くの業種で暗語、すなわち通話コードが使用されている。

暗語とは通信の当事者、すなわち同じ組織内に所属する相手方のみしか理解できない用語。まさに警察官が警察無線で使用する通話コードがそれに当たる。

警察無線でとくに有名なものが数字やアルファベットの通話コード

警察無線の通話コードは警視庁のようなメジャーな警察本部が使うものが有名になりがちだが、警視庁の通話コードが全国標準なのかといえば、そうではない。都道府県が違えば通話コード/警察用語も違う。

都道府県警察によって、通話コードは数字であらわすもの、数字とアルファベットの組み合わせ、日本語、こじつけ、言い換えなどさまざまな手段を使って、元々の言葉を秘匿している。意味がわかると、思わず唸ってしまうものもあった。

手元に資料として『ラジオライフ1988年11月号』があるが、同誌に掲載されている各都道府県警察の通話コード表を参考に、用語ごとに各県警の違いを研究してみよう。もっとも、以下の通話コードは30年以上前のアナログ時代のもので、現在とは一部異なる可能性もあることにご留意願う。

照会関係

警視庁では『123』のコード番号で照会センターに取り次ぎされるが、埼玉県警では単に『照会センター』と呼ぶし、静岡県警、愛知県警では『0123』となっている。

ただ、ラジオライフ2006年2月号の61ページによれば、照会時に返ってくる各コードについては全国共通としている。「01」が殺人、「02」が強盗、「03」が強姦、「04」が窃盗、「05」が公務執行妨害、「06」が暴行、「07」が銃刀法違反、「09」が凶器準備集合罪、「10」が放火。なお、該当無き場合は「00」となる。

照会の結果、職質対象者に何らかの犯歴該当があれば、センターからこれらの通話コードで返されるわけだ。

反社関係

警視庁では暴力団をマルB、単にBと呼ぶが、北海道警や香川県警、大阪府警はマル暴。一方、佐賀県警では20、鹿児島県警では90、兵庫県警では520、奈良県警では801、京都府警では840などと数字コードで表す。なおチンピラはマルチ。

暴走族関係

全国的に『マル走』が多いようだ。一方、京都府警では『マルS』『マルサ』のほか、4輪の場合はマル特、二輪の場合はヨコイチ。岡山県警は611。佐賀県警は暴走族および同取締りを500と呼ぶ。

朝鮮人

警視庁では朝鮮人を『マル鮮』と呼ぶが、岐阜県警では『400』、大阪府警では『920』または『国マル』、兵庫県警では『680』となる。なお、”マルセン”の読み自体は北海道警察では有線連絡(電話)を意味する『マル線』と同じ。

有線連絡

緊急事態には警察官が無線ではなく電話(有線)連絡することもあり、有線連絡を表す通話コードは『マル有』が多い。ほかに兵庫県警では『221』、道警では『マル線』。この『マル有』には逸話がある。制服警察官が署活系無線で『マルユウ願います』と言った(あるいは本署から指示された)のを偶然聞いた近くを歩いていた女性が、郵便貯金の利子に対する非課税制度「郵貯マル優制度」と勘違いし、警察官が勤務中に携帯式無線で貯蓄を頼むってなんやねん……と、大阪の新聞社に投書したそうである。しかし言うまでもなく、それは有線連絡を表す通話コード『マル有』のこと。投書を受けたデスクはこれが有線連絡を意味する警察用語であることを紙面で読者に説明すると共に、当時流行のマルサ(の女)やマル金、マルビ(貧乏)を挙げ、『近頃はマルばかり。警察の世界にも”伝染”したのかな』と結んでいる。出典は昭和62年6月2日の毎日新聞大阪版『デスクです』より。

パトカー関係

基本的にパトカーはPCと呼ぶが、鹿児島県警では03と呼ぶ。ただ、警視庁では以前から単に『カー』と呼ぶ場合もあり、先ごろ公開された地下鉄サリン事件当時の同庁の無線交信でも警察車両を『カー』と呼んでいた事実が検証できる。

ただ、1986年2月号のラジオライフ誌上にて“まれにカーというだけでパトカーを意味することがあります”と記載されているため、30年以上前から『カー』が使われているのは間違いない。

覆面パトカーの場合、大阪府警ではゼロパトと呼ぶが、マル覆と呼ぶ県警もある。パトカーの緊急走行を表す通話コードも各地方で違い、道警はRED、大阪府警は500、広島県警は200など。

ホームレス、野宿者

大阪府警ではホームレスの人を「ヨゴレ」と呼ぶ。これも大阪ならではのご当地警察用語だろう。読売テレビでも紹介されている。

警察関係用語で、「ホームレス」や「浮浪者」のことを「ヨゴレ」と呼びますが、それと関連はあるのでしょうか?

出典 https://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/back/2501-2600/2576.html

なお、こちらも大阪府警的というか、独特の通話コードを紹介している。

大阪府警が警察無線で使う通話コード『頭の330』の意味すべきものとは?

変質者・露出関係

これは『ラジオライフ1988年11月号』には載っていないが、警視庁では『センターポール』と呼んでいたのは有名。例えば『20代くらいの男がセンターポールを露出させながら駅前の路上を……』など。これぞ事実を覆い隠すと云う意味ではまさに警察無線を代表する通話コードではないか。ただ、女性警察官は使わなかったと云う。

食事

警察官の昼食、とくに弁当や出前を『マル食』と呼んでいた。これが使われたのは基幹系よりもゆるい署活系だったという。昼飯のメニューなどパトロールに出る前に決めておけばいいのに、という単純な問題でもなく、無線の通話試験や訓練も兼ねているのではないだろうか。ハコヅメ(交番勤務)にとって、上司のマル食の手配の上手さが勤務評定に響くという。なお、岐阜県警では肉まんを『290(ニクマル)』と呼んでいたという。

まとめ

略語や通話コードは全国で統一されておらず、ところ変われば、がらりと変わる。その都道府県警でしか使っていない、ご当地用語もあるわけ。

また、一見同じ通話コードでも県警によっては全く別の意味になることがあり、注意を要する。

例えば岐阜県警では512を爆破予告事案としているが、山梨県警では512をひき逃げ事案としている。また一般的にマルBは暴力団だが、岐阜県警では秘話機能(もっとも、現在の警察無線はすべて暗号化されているので、この用語は廃止されている可能性もある)となっている。あるいは警視庁では照会を123と呼ぶが、秋田県警などでは124だし、単に照会センターと呼ぶ警察本部もある。

さらに、無線でこのような通話コードを使用するのは警察だけでなく、消防も同じである。ただこちらも消防組織が違えば通話コードも異なるようだ。ラジオライフ2006年11月号によれば、消防の通話コードは少数ながら全国共通コードもあったが、現在は組織ごとに違うコードを使用していると紹介している。

出典 ラジオライフ2006年11月号 177ページより

さらにラジオライフ2004年9月号によれば、北海道の札幌市消防局の通話コードでは死亡をマルヨン、爆破予告をマルバク、生活保護をマルセイ、伝染病をハチマル、放火をヒトマル、犯罪をゴーマル、警察をイチマルマルなどなど……。一方、東京消防庁ではがらりと変わり、警察が554、組織暴力は858、死者は954、放火は951などだ。

なお、棒振りを除く警備会社でも警察と同様の通話コードを使用する場合がある。機械警備大手では元警察官の天下り幹部や警備員が多く、都合が良いのだろう。

現在では第三者がデジタル警察無線の内容を復号して傍受することができないので、通話コードや略語を使う必要性は薄れてはいるものの、警ら中の地域警察官が職務質問を行う際、署活系無線による身元照会などでは無線機から罪名がズラズラ流れてきたとたんに、目の前の対象者にダッシュで逃げられる恐れもある。

そのため、照会担当者も『(前科前歴などが)複数ヒットしたが、送ってよろしいか?』と、今まさに対象者の目の前にいるであろう警察官に対して、通話コードで回答するなどの配慮が必要なのだ。

ただし、自動車警ら隊などはパトカー車載のPAT端末によるデータ照会を行うため、音声での照会は行わない場合もある。

というわけで、通話コードを警察官が使用する理由は簡潔明瞭な交信のため、そして第三者に対して意味を悟られにくくする暗号化のため、というわけ。

もっとも、本当に重要な警察用語は一般に知られては意味を成さなくなるので、公になることはないんじゃない?

警察無線の記事でラジオライフ編集部が激怒した理由とは

『ラジオライフ』はかつてのグリコ森永事件の報道合戦のさなか、一部マスコミにより”無線機を改造して警察無線を妨害する方法を指南している雑誌”と書き立てられ、それについて「事実と異なる」として激怒、反論したという事実経緯をまとめる。

お伝えしているように、警察無線はアナログからデジタルへと変遷をたどってきた。

そして、その歴史は傍受する無線マニア、そして妨害する過激派との戦いの歴史と言っても過言ではない。

当時、この妨害行為にはアマチュア無線機の送信改造という手法が広く用いられた。

これは、アマチュア無線用として許可された帯域以外で電波を送信させる不正な改造である。

アマチュア無線が使うVHF帯の周波数には警察やその他の官庁が使う”官波”の帯域があるため、このような改造は比較的容易だった。

警察装備や警察無線の通信系統などを詳しく紹介した専門誌「ラジオライフ」でも、無線機の改造方法はたくさん掲載されていたのは事実である。

当時のラジオライフが『無線機を改造して警察無線を妨害する方法を指南している雑誌』だったのは事実か?

しかし、誤解してはならない。

同誌が過去、別冊『改造マニュアル』などにおいて取り上げた記事は『送信改造』ではなく『受信改造』である。

同誌編集部によればラジオライフの編集方針は『妨害を絶対許さない』というスタンス。

事実、同誌やその別冊が「警察無線を妨害するための送信改造法」を掲載したり、推奨したことはない。

ところが、そのスタンスとは裏腹に世間の受け止め方は違ったようだ。

1984年、おりしもグリコ森永事件が発生したことに絡み、一部のマスコミによってラジオライフ誌が『無線機を改造して警察無線を妨害する方法を指南している雑誌』と露骨に書き立てられたのだ。

それに対して同誌編集部が反応した記事が以下である。

ラジオライフ編集部、怒りの反論

これら一部マスコミによる偏見的な報道に対し、それまで『的外れな批判』には沈黙を守ってきた同誌編集部もさすがに激怒。

そして、はじめて明確な抗議の声を挙げたのが同誌1984年12月号『THE・妨害 警察無線編』という特集記事である。

そもそもラジオライフは電波と無線通信、アマチュア無線機や広帯域受信機の性能などを探究してきた純粋な技術系の雑誌。

美人女性警察官/女性自衛官(公ギャル)、それに覆面パトカー(モドキ含む)の投稿写真を毎号載せていたことを除けば、『CQ ham radio』などアマチュア無線愛好家向け雑誌と特段代わらず、電子工作技術に興味を持つ層から幅広い支持を得た、れっきとした技術系専門誌である。

事実、ラジオライフ編集部の掲載したアマチュア無線機の改造指南は電波法に反しない『受信改造』のみであり、誰にも迷惑がかからない合法的ワッチの手法のみ。

ときには法律面からのアドバイスとして、弁護士へのインタビューで警察無線傍受における電波法の解釈をわかりやすく読者に解説した。読者は電波法を守る限り、警察無線を初めとする無線通信を自由に傍受していいと教え諭してきてもいる。

だからこそ、同誌編集部は一部マスコミによる偏見的な報道が余計に腹立たしかったであろうことは察するにあまりある。

『改造マニュアルは受信の本だ』
『送信の”そ”の字も載っていません』
『無知な記者はペンを握るな』

と、力強い行書体で各章の題を綴り、怒りを顕にしている。

受信改造と送信改造を取り巻く当時の様相

とはいえ、この『受信改造』と『送信改造』の問題は当時複雑な様相を見せていたのもまた事実。直接的な悪用の危険性がある送信改造をラジオライフが露骨にタブー扱いして避けていた一方で、じゃあそのタブーをウチの売りにしよう……と、ライバル誌が考えないはずはなかったのである。

その経緯と顛末について、詳しくはこちらのサイト様を参照していただきたい。

なんにせよ、頑なに守ってきたポリシーを一部マスコミに誤解され、面白おかしく書きたてられた当時のラジオライフ編集部の怒りは、相当なものだったに違いない。

まとめ

専門誌「ラジオライフ」に降りかかったマスコミによる”不当な弾圧”騒動。いかがだったであろうか。

グリコ森永事件の報道合戦のさなか、無理解な一部マスコミにより色眼鏡で見られたラジオライフは『無線機を改造して警察無線を妨害する方法を指南している雑誌』と書き立てられ、それについて「事実と異なる」として激怒、反論したのである。

筆者としても同誌のスタンスと反論の主旨には共感している。取材対象である警察への深い探究心と愛、それだけで長年刊行されてきたラジオライフだと願いたい。

今でこそ、パトカーにカメラを向けると「ツイッターに上げないでくださいねー(怒)」とPに叱られるのが一般的だが、当事は「おい!ラジオライフに送るんじゃねーぞ!(激怒)」という声が返ってきたという。ブフォ(笑)

ラジオライフもその読者も警察は公共の敵と見なしていたのだ(ただし、現職警察官個人の愛読者も多数いたようである!?)。

このようなマニア雑誌を当事のマスコミも同じく、白い目で見ていたのだろう。

一つの物事を深く探求するマニアが「オタ」として市民権を得た(!?)現在とはいえ、その対象が『警察』である限り、今もおそらくは代わり映えしないのかもしれない。

『第二級陸上特殊無線技士』を警察さんが取得する理由とは?

業務無線局の運用には無線従事者の国家資格が必要。それらが陸上特殊無線技士や陸上無線技術士といった資格。

全部で19あるプロ資格は以下の記事で解説中。

プロの無線従事者の資格とは?アマチュア業務とプロの業務はどう違う?

陸上特殊無線技士は第一級から第三級、それにレーダー級があり、通信系企業、そして昨今ではドローンビジネス業界にとって必要不可欠の国家資格となっている。

マニアたるもの、4アマ、3アマなどで満足せず、最低でも業務無線の従事者免許としてポピュラーな二陸特を取得してみたいもの。

とはいえ、この二陸特、数ある無線従事者の国家資格の中でも、取得の難易度は最低ライン。

非業務目的で航空機を操縦する際の無線設備の操作に必要な『航空特殊無線技士』では、電気通信術という受話と送話の実技試験があり、試験官への礼儀の欠けまでが採点対象となるが、二陸特ではCBT(Computer Based Testing)方式による多肢選択問題のみで小学生レベルの筆者も合格できる内容。

すでに3アマ取得者なら、難易度はさほぼ変わらないと言えそうだ。

当然、そんな超ナンパ資格の二陸特では数ある通信系企業の求人でも引く手数多とはならない。

就職や転職の武器となりうるのは特殊無線技士の中でも別格とも言われる『一陸特』または、さらに上位の『陸上無線技術士(一陸技or二陸技)』が最低ラインともされ、基地局保守管理会社(手取り11万円)の入社試験ではペーパー資格者除けのため、ガッツリ嫌がらせのような数学問題も出してくるとのことで、これには苦笑い。

ただ、1989年からは主任無線従事者制度が施行されており、無線設備の監督をする者として主任無線従事者を基地局に1名配置すれば、ほかの無線機を操作する者は無資格で運用できるように電波法は改正されている。

したがって、現在では必ずしも無線を使うにあたって国家資格は必要とされないが、警察官に関して言えば、基本的に二陸特を取得しなければならない事情があるのだ。

それはなぜ?

警察官は警察学校入校中に第二級陸上特殊無線技士の資格を取得する

一級を除くアマチュア無線技士同様、特殊無線技士の国家資格取得にも『養成課程講習会』と『国家試験(国試)』の二種のコースがある。

養成課程講習会では数時間の講習と修了試験の合格で取得でき、国家試験に比べて難易度は低い。

警視庁の『警視庁警察官採用時教養実施要綱』によれば、警察学校の初任科生が取得を目指すのは第二級陸上特殊無線技士となっており、警察官は警察学校の初任科入校中、授業の中で養成課程講習および課程修了試験を受け、二陸特を取得する流れが一般的。

柔道、剣道又は合気道及び逮捕術の段位又は級位、けん銃操法初級、救急法初級、情報処理能力検定初級並びに第二級陸上特殊無線技士の資格の取得を目標とする。

出典 警視庁警察官採用時教養実施要綱の全部改正について 通達甲(警.教.教 1)第 6 号 平成 24 年3月30日

なぜ警察官は三陸特ではなく、二陸特でなければならないのか

このように、二陸特を取得しない限りは警察官としての業務に就くことはできないわけだが、なぜ二陸特でなければならないのか。

これには明確な答えがある。

試験勉強をした人には説明不要だが、その理由は警察官が業務で扱う「速度測定装置」つまり、マイクロ波を使用した交通取り締まり用レーダーにある。

下位資格である三陸特ではレーダーの技術操作が行えないためだ。

アナログ警察無線だった30年以上前では警察官の多くが『特殊無線技士(無線電話乙)』を取得していたが、この資格では交通取り締まり用のレーダーが操作できなかった。

そのため、レーダーを操作するには『特殊無線技士レーダー』という区分の資格が必要だったが、当時この資格をもつ警察官は全体の10パーセントにも満たなかったのである。

そして平成元年(1989年)、新たに制定されたのが『陸上特殊無線技士』。従前の資格で操作が可能だったレーダーは第二級陸上特殊無線技士から操作できるようになった。

警察官が第二級陸上特殊無線技士の資格を必要とする理由は単に無線機の操作だけでなく、速度取り締まりでレーダー式速度測定装置を扱うためというわけである。

資格取得後は警察学校で通信訓練も行われ、訓練と業務連絡を兼ねて警察本部とも定期的に交信する。

別項で解説の通り、警察の無線交信では通話コードを適切に使用し、情報の秘匿に努めなければならない。

https://policemaniacs.com/code/

無線の運用中は無線従事者免許証を必ず携帯する

なお、アマチュア局を含め、無線従事者がその業務中に無線機の操作を行う場合は無線従事者免許証を必ず携帯しなければならない。

当然、取り締まり中の警察官も例外ではなく、レーダー測定装置を扱う以上は必ず二陸特の従事者免許証を携帯する。

ただ、従事者免許証を持たぬままレーダーによる速度取締りを行なった結果、証拠の効力が認められずにその取り締り自体が無効になるか否かは個別の裁判での判断によるだろう。

余談だが、野外で移動運用中のアマチュア無線家に職務質問する警察官は『本職も無線従事者免許証を携帯云々』と頼みもしないのに二陸特の従事者免許証を見せてくることもあるそうだ。

まとめ

このように、警察官にとって二陸特はとくにレーダーの操作を行うために必要な国家資格であり、警察実務の要とも言える国家資格。

なお、警察官が二陸特資格者であるのに対して、取得難易度がはるかに高い第一級陸上無線技術士(一陸技)を持っているのが、警察部内の情報通信を担うネットワーク構築に従事する警察庁情報通信局の技官たち。

技官は総合職試験(技術系)採用のほか、一般職試験(技術系)プロフェッショナル候補情報通信職員という区分で、無線の国家資格の中でも上位である一陸技の取得者を採用している。

警察庁情報通信局と技官の任務とは?

【悲報】『トランシーバーで仲間と連絡取る女子大生』というトキメキ設定で広帯域受信機を映す痛恨のミス

記事内の引用について 画像の出典 ヤフー&ANNさんより

報道機関による嘘やデマ、あるいは印象操作とはこうやって作られるのだなぁと思ったのは2023年5月に開催されたG7各国から要人が集まった『G7広島サミット』その報道である。

今回のサミットにて、テレビ朝日が2人の女子大学生に取材を行っていたのだが、それによれば、彼女らは”警察車両を撮影しにサミットへやってきた”という。

そして、動画では彼女らの一人が、ハンディー無線機のようなものを持つ姿を映す。

特小かデジ簡なのだろうかと思ってよく見ると、なんとICOMの『IC-R6』じゃないですか。無線機ではなく、超人気の広帯域受信機。

だが、動画内のアナウンサーの説明によれば……。

手にはカメラのほか、同じ趣味を持つ仲間たちと連絡を取り合うためのトランシーバーも。警護される要人たちの行動を、独自の情報網を駆使して把握しているそうです。

出典 女子大学生のお目当ては「警察車両」厳戒態勢…ゼレンスキー大統領「車列」に大満足 5/21(日) 23:35配信

とある。言うまでもなく、無線機ではないIC-R6では仲間と“連絡を取り合う”ことはできない。

コメット×山本無線共同開発のエアバンド受信専用ミドルサイズアンテナ『CMY-AIR1』が装着された広帯域受信機のICOM IC-R6。ということはお目当てはエアバンド(航空無線)? 画像の出典 https://news.yahoo.co.jp/articles/30a65643d0494e75fa6a6e967acb26d97776b601

アナウンサーの説明をどのように解釈してよいのか、視野の狭い筆者には読み取れなかったが、ともかくトランシーバーで同じ趣味の仲間と連絡をとって、独自の情報網を駆使して警護される要人の行動状況を把握しているという設定をマスコミに無理やり与えられた彼女たち。

普通、女子大生が仲間と連絡を取るならLINEじゃね?

それはともかく、大きなイベントは受信機が一台あるだけで楽しいもの。BTS、つまり舞台裏まで見られるのだから。

とはいえ、自衛隊や在日米軍の主催するイベントなどでは受信機の持ち込みが禁止される場合もあり、事前確認が必要になることも。

広帯域受信機での受信、注意が必要な時と場合とは?大変なことになる前に!

ではサミット開催期間中、彼女たちが傍受対象としていた通信は何か?

IC-R6は言うまでもなくアナログ波受信機。現在では減りつつあるアナログ無線の特定小電力無線、その他業務無線、航空無線の一種である警察ヘリのカンパニーラジオなど限られたものしか受信できないが、エアバンド愛好家の求める受信機としてのポテンシャルは高く、発売から10年以上を経ても圧倒的な支持率を誇るのも事実。

非・受信改造済みIC-R6を買うと後悔する理由とは?

米国のバイデン大統領を乗せたエアフォース・ワン飛来の情報などが収集できる場合も。

ただし、警察のヘリが警察業務の内容をカンパニーラジオで交信する事はほとんどなく、警備の核心に触れる事は無いから、ヘリのカンパニーで警察情報は集まらない。また、ヘリテレ連絡波もデジタル化されている。

デジタル警察無線については高度なデジタル変調+暗号化されているので、目的にもよるが、暗号破りはご法度。

https://policemaniacs.com/keisatsumusenki_jyushinki/

ただ、このような大規模なイベントでは“聞けない警察無線”よりも、多数集まっている報道機関のデジタル報道連絡波(マスコミ無線)こそが『役に立つ』、もとい、『面白い』。

デジタル報道連絡波なら、アルインコDJ-X100デジタル対応受信機で簡単に受信が可能。

デジタル・報道連絡波(放送連絡波)の受信方法

もちろん、秘話コードの解析。当然、特ダネを狙う彼らは同業他社やフリーの“ナイトクローラー”に自分達の情報を教えたくないから、搬送波に秘話コードをかけ、つまりスクランブル化して部外者に交信を秘匿してしまう。

とは言え、DJ-X100デジタルでは秘話コードの自動解析に対応しており、簡単に受信が可能。DJ-X100なら情報収集でワンチャンあったかも!?

DJ-X100受信改造済みモデル【防水保証無し】 広帯域受信機 (DJX100受信改造済みモデル)

そんなにすごいの?DJ-X100。ユー!裏コマンドで隠された機能を自己責任の名の下にフル解放しちゃいなよ!ナウいナイトクローラーの基本装備はDJ-X100で決まりだぜ!

とはいえ、日本では電波法という法律があり、上述の各種無線から知りえた情報を自身の行動に“役に立たせる”と『窃用』となり、処罰の対象となることも。

DJ-X100(受信改造済み)では電源投入後に『誓約』画面が表示される意味とは

結局のところ、今回のサミット会場で緊急車両フリークの女子大生が持つアナログ受信機が会場での情報収集において、その成果に寄与したか否かは不明。

しかも、肝心の「ゼレンスキー大統領が来日した」という重大情報は受信機からではなく(彼女たちを)取材中のANNスタッフから直接口頭で教えられて初めて知った様子。

これには筆者も切ない気持ちに……。

ともかく、彼女らがゼレンスキー大統領を乗せた青灯付きの特別防弾使用『BMW』を含む警護車列の撮影に成功できたことを祈りたい。

【朗報】七人のおたく(1992年)で描かれる無線傍受おたく女子中学生。脚本家曰く「アマチュア無線は冒険アイテム」

ミリタリーオタクの主人公・星(演・南原清隆)にスカウトされた格闘技おたくの近藤(演・内村光良)、Macintoshを愛するIT会社の社長・田川(演・江口洋介)、その恋人のりさ(演・山口智子)、アイドルおたくの国城(演・武田真治)、そして無線傍受おたくの女子中学生・水上令子(演・浅野麻衣子)ら。

それぞれの分野に秀でた彼らおたく(スペシャリスト)たちに課せられる任務とは。

さらにはおたくを封印しつつも正義の心を忘れない特撮ガガガ(!?)な丹波(益岡徹)など、いずれ劣らぬ濃いやつらが、それぞれの知識を武器に所狭しと暴れまわる!

92年公開のアクションコメディ映画・七人のおたく

画像の出典 映画 七人のおたく (C)フジテレビ

当サイトが推すのは、やはり無線傍受オタクの水上令子の活躍。

そんな令子の”消防無線傍受”にドン引きする、もう一人のヒロイン「りさ」を演じる山口智子。

山口智子といえば、アニメ映画「崖の上のポニョ」で演じたのも「リサ」で、同作では颯爽とアマチュア無線の運用を行なっていたのも、今となっては面白い偶然です。

『崖の上のポニョ』でリサのアマチュア無線運用と崖の上の自宅が災害時に果たす役割とは

※以降、物語のネタバレにご注意ください

「七人のおたく」…物語の導入部

常に迷彩服の主人公、星亨は世間一般で言うミリタリーオタク。アパートの自室には軍事専門書、エアガン、ガス缶、軍装品が転がる中、本棚にはミリタリー本に混じって「友だちの作り方」という本が。

そう、人からは嫌悪されそうな趣味を持つ星は、決して悪い人間ではないにもかかわらず、同好の士以外は友達ゼロ。

一方、不良漁師集団のボス・高松は他の漁場を荒らす密漁行為で財を成した静岡某島の網元。

どうやら島に警察機能は働いておらず、海上保安庁がかろうじて島の周辺で密漁船取締りを行っていますが、毎度空振り。

そんな高松は外国人女性・ティナとの間に子・喜一をもうけますが、ティナは高松のDVに嫌気が差して島を去り、子供と共に東京のアパートで静かに暮らす日々。

しかし、それも束の間。ある日、ティナの元へ乗り込んできた高松はティナに札束を叩きつけ、喜一を奪い去ります。

たまたまティナと同じアパートに住んでいた星に待ち望んでいた瞬間がやってきます。

『俺ぐらいになるとただのサバイバルゲームでは満足できないんだ』と、正義心ではなく、自身の満足感のために子供を奪還すべく、まずは各方面の分野に精通したそれぞれのオタク系男女たちのスカウトを開始。

かくして、それぞれのオタクが自身の知識と技術を使って”任務”を達成すべく、静岡の旅館に集結します。

「無線傍受おたく」の水上令子の一連の見どころ

本作では主人公の星から、おたくたちが各種の方法と様々な場所でスカウトされていく過程が見もの。

「無線傍受おたく」の女子中学生・水上令子(演・浅野麻衣子) 画像の出典 映画 七人のおたく (C)フジテレビ

どのオタクたちもキャラが立っており、星によるそれぞれのスカウト方法も面白いのですが、そのスカウト方法はぜひ本編を視聴していただくとして、当サイトとして注目したいのはやはり「無線傍受おたく」の女子中学生・水上令子(演・浅野麻衣子)です。

彼女のスカウトから訓練、実戦までの活躍をご紹介。

「無線傍受オタク」をスカウトせよ!

水上令子は都内の学校に通う中学生。男の子や流行には興味なし。

昼休みは学校の屋上で同級生がダンスなどに興じる中、一人静かにアマチュア無線機で今日も空を飛び交う様々な電波を傍受しつつ、テレホンカード削りに没頭中。

彼女の興味の対象は消防無線やコードレスホンなどまで幅広いようです。

彼女はそれら電波の傍受中、ただ住所を読み上げる男の不気味な声と時報だけが繰り返される奇怪な微弱電波をキャッチ。

『渋谷区松涛3の2の5……渋谷区松涛3の2の5……』

コードレスフォン?自衛隊のGCI?どうやら違うようです。ポシェットにハンディ機を入れ、放課後一人で松涛へ向かう彼女。

松涛と言えば政界の要人も邸宅を構える閑静な住宅街。

当該の住所を尋ねた制服姿の少女は草木に覆われ、朽ちた洋館のような廃墟の前に立ちます。

恐る恐る、ほの暗い建物内に足を踏み入れ階段を上る令子。微弱な電波は次第に大きくなり、ついには電波ではなく肉声となります。

すると突然、迷彩服の男が通路の奥から飛び出してきます。

悲鳴を上げて逃げる令子ですが、迷彩男に微弱な電波の探査能力を称賛され、戸惑いながらも悪くない気分です。

脚本は一色伸幸さん

本サイトで以前取り上げた1985年放映のテレビアニメ「ミームいろいろ夢の旅」の中で、アマチュア無線を扱った一編がありましたが、驚くことに当該の回の脚本と「七人のおたく」の原作・脚本は同じ一色伸幸氏。

「ミーム」で描かれたフォックスハントの一場面。7年後、「七人のおたく」でも”無線オタク少女”に同じ活躍をさせるのは脚本家の一色伸幸氏。「ミームいろいろ夢の旅」より(C)日本アニメーション

1984年放映のテレビアニメで登場したアマチュア無線の驚きの描写とは?

 

その一色伸幸氏、やはりアマチュア無線には思い入れがおありのようで、アマチュア無線を冒険アイテムと定義。

ともかく、『キミ(の能力)が欲しい』という星の怪しい言葉に令子はドン引き。

令子は顔をしかめつつ、なりゆきで星のスカウトを受け入れ、メンバーに。

りさ(山口智子)『(消防無線なんか聞いて)楽しい?』→令子「○○○」

令子を含め、星は様々な能力に長けた「おたく」たちを集め、いざ、熱海へ。

彼らはある旅館をベースキャンプに作戦実行前の打ち合わせを行うのですが、そのわずかばかりの時間ですら、当然それぞれの趣味に没頭。

格闘技オタクの近藤は肉体鍛錬に汗を流し、隣の部屋ではアイドルオタクの国城(武田真治)がアイドルもの同人誌の編集作業に没頭している最中、静岡ローカルのTVCMに”推し”のアイドルグループが出ていることを見逃さず、間髪を入れずに録画ボタン。

『まさかCoCoが静岡でコンビニ、パブ(宣伝)ってるとは思わなかったな……おっまだ瀬能あづさがいるもんな。まったく……ローカルは宝箱だ』

本作では彼、国城こそ最も”ステレオタイプ的なおたく”を表現。

武田真治の怪演は鳥肌が立つほどですが、それを唖然として見ていたのが、PCオタクの彼氏・田川(江口洋介)にバカンス気分でついてきた同じ会社のOLのりさ。

りさは国城にドルオタ同人誌を980円で売りつけられた直後、星のエアガンの射撃練習に巻き込まれ、目の前をBB弾がかすめます。

ウンザリとした顔で「私だけはオタクじゃない。この場で私だけが唯一、ふ・つ・う!」と言いたげな彼女。

公式設定で、りさは「レジャーおたく」と銘打っていますが、映画の広告でのテロップでは「ふ・つ・う」になっております。

確かに、このメンバーの中では彼女は至ってノーマルで、唯一の常識人かも。

田川に早く東京に帰ろうよと縋るりさですが、彼も彼でIT会社社長。レッキとした”パソコンオタク”。星から指示され、Macintoshによる偽造音源製作に没頭中。

そして、令子は……。もちろん、彼女も自分の趣味である無線の傍受に没頭中。

なお、田川の偽音源のソース元は令子が受信したコードレスフォンの音声。

ともかく、礼子は今、一人テーブルに向かい、分厚い周波数帳を開いてメモを取り、静岡県内のアクションバンド(※この映画に協力したのはラジオライフではなく、ライバル誌のアクションバンド電波のようで、スタッフロールにクレジットが入っていました)傍受に夢中。

画像の出典 映画 七人のおたく (C)フジテレビ

令子のハンディ型アマチュア無線機の広帯域受信機能により、浜松市消防局の消防無線が入感中。

救急隊が搬送する患者の容態が刻々と通話コードで浜松市消防局へと伝えられ、緊迫した状況を伺わせます。

『これ・・・?』

「消防無線…955は怪我した人」

『(救急浜松1)955、944に移行』

『きゅーよんよんって?』

りさは浜松市消防局の無線通話コード「944」の数字の意味を令子に尋ねると、令子はノートに「倒れた人」と「天使の輪っか」を描き、りさは絶句。

山口智子が演じるのはオタクとは正反対の旅行好きでジュリアナ東京が似合いそうな快活な女性。消防無線の傍受なんてまるきり理解できないはず。

なお、ジュリアナ東京で踊りまくってたりさ(山口智子)もあれから15年、「崖の上のポニョ」では介護施設に勤務するなどしっかりと落ち着き、一人息子の宗助の前で、アマチュア無線機(しかもHF機)を華麗に運用していたのはハムの皆さんが知る通りです(笑)

ともかく、りさは呆れつつ、令子に「楽しい……?」と尋ねると、少女は「とても」と、さも当たり前のことのように答えるシーンには一色伸幸さあああああん。・゜・(ノД`)・゜・。てなりました。

そして作戦決行は深夜。高松邸へ斥候の令子がアマチュア無線のハンディ機で旅館の星に状況を報告。『高松、151、151』

知っている方にはご説明不要と思いますが、151は「出動」を意味する東京消防庁の通話コード。

しかし、ミリタリーおたくの星でも、さすがに消防無線には疎かった様子(笑)。当然、アマチュア無線での暗号使用はNG。

それに加えてのメリット交換なしの目的外通信。かなりグレーな運用です。

ところで、令子はともかく、ベースで思いっきり軍用無線機のような無線機を扱う星。従事者免許はあるの?

令子の報告で星らは敵である密漁団のボス・高松の邸宅へ浸透作戦を展開します。

星はエアガンで電灯を撃ち抜き(ということは3ジュールくらいある改造品でしょうか?当時からマルイの電動ガンは1J超えないレベルでした)、近藤が門戸を見事に蹴破り突入。『まさかこのために俺を呼んだのか……?』と近藤。

しかも、門戸を破らなくても入れた衝撃の事実が発覚。星に対する近藤の不信感が露になります。

そして星は目的である幼児・喜一を”奪還”。パソコンオタクの田川は星に「これは誘拐なのか?」と真意を問います。

おたく、失意の撤収。そして輝く

しかし、時はまさに世紀末。高松やその手下ら不良漁師集団の追っ手が淀んだ夜の漁港に迫ります。絶体絶命のその瞬間、港に海上保安庁の巡視艇が滑り込み、拡声器で漁師らに呼びかけます。

『また出たんだ。密漁船が……』しかし、不良漁師たちはいつものように海保をあしらってしまいます。『本土のやつらでしょう?ご苦労様です』星は『本土まで乗せてくださーい!』と、事情を知らない海保に助けを求めますが拒否され、もはや退路無し。

じわじわとヒャハーッ集団に追い詰められ、高松に喜一を奪い返され、アジトに連行されそうに……。

しかし、りさの機転で形勢逆転。星からエアガンを奪ったりさは海上保安庁の巡視艇にBB弾を叩き込み、船の照明設備を損壊させて海保を介入させ、からくも窮地から脱出(罰金とエアガン没収で済んだ)。

りさの機転と度胸、『ふ・つ・う』どころか、ただの女性会社員とは思えません。

しかし、国城の車の中でメンバーが安堵しつつ作戦の継続可否を話し合うのも束の間、再び漁師らから今度は本気の襲撃を受けます。

角材で国城のクルマを襲撃しようとする漁師の一人は運転席に飾られたアイドルのフィギアを見つけると、なぜか戸惑って襲撃せず、結果、国城はクルマを急発進させて逃れることに成功。

しかし、メンバーは漁師たちの恫喝と暴力で、ついに戦意喪失。作戦継続が不可能に。

星と近藤のみは感傷に浸りながらも反撃、奪還の機会をうかがうため、現地に残留するも、他のメンバーは東京へいったん撤収します。

すっかり自信を失ったクセの強いオタクたちは実生活でもトラブルが待っていました。

田川は利益より趣味を優先したがために、会社は経営難。

ドルオタの国城は同人仲間に全国183人の読者の定期購読料を持ち逃げされた挙句、高橋由美子の写真集ロケにネパールまで追っかけるために使い込まれて回収不能となり、次の同人誌が出せなくなってしまったとしてアイドルの京野ことみのイベント会場で仲間と揉めています。この部分が後半の伏線となります。

なお、一色氏によると京野ことみさんについて、以下のような回想を述べています。

もしかして、無線オタク少女は京野ことみになる可能性もあったのかもしれません。時の輝き。

ともかくとして、令子はサバゲーフィールドを訪ね、星のサバゲー仲間兼上司からパワーアップしたスタンガンを貸してくれるように頼むなど、一度は散りながらも…少女は星のために奔走。

画像の出典 映画 七人のおたく (C)フジテレビ

サバゲー協力はホビージャパンの月刊アームズマガジンが担当していますが、たぶんこのゲーマーの皆さんは編集部員かな。

無関係の親子がフィールドを通り過ぎてるのにゲームを中断しなかったり、ゴーグルしてない令子をゲーム中に入場させたり(そこはそもそも専用のフィールド?)、今だと炎上する可能性も。実際、近年でも映画「世界は今日から君のもの」のサバゲーシーンで俳優がゴーグルを外してスマホで通話したため、炎上が起きています。

ともかく、令子は星がサバゲー仲間から『あいつはビビリで、チームに入ると必ず負ける。だからアイツはいつも一人チーム。負けボシ』と愚痴を聞かされます。

もちろん、スタンガンは『貸せないねえ』と一蹴。そこで、電子回路に精通する彼女は結局……。

不良漁師集団でただ一人の正義漢で隠れオタクの丹波さん登場

一方、星と近藤は反撃の機会を得るべく、再び島へとバナナボートと遠泳でネイビーシールのように隠密上陸を開始。

山中の廃屋を発見した二人は前進基地として篭りつつ、星は夜間に暗視スコープで敵情視察を行いますが、番屋で魚を焼いていたため、あっさり発見されてしまいます。

『こんなところじゃ、すぐ見つかるぞ』番屋に入ってきた男に星と近藤は身構えます。

しかし、男の顔を見た星と近藤は驚きます。

『タンバさん……!?あのホビージャパンのジオラマの』と星。近藤も『フィギアの神様だ……コミケで買いました。ウルトラマン、ゴレンジャー……』と驚愕を隠せません。

丹波達夫。特撮フィギアに造詣が深い伝説の原型師。彼は島の漁師で高松の手下ですが、実は今でこそ妻子ある彼も5年前まで元おたく。

僻地の30男が嫁を獲得するべく、オタ趣味を封印していたことが彼の口から語られます。

先日の漁港での襲撃で国城の車に飾られたフィギアに目を奪われ、襲えなかった漁師は実は彼。しかも原型製作者が丹波自身だったのです。

この番屋は丹波の隠れ作業小屋。

隠し棚には丹波の秘蔵品である特撮ものやミンキーモモなど各種フィギアが飾られています。

『ジオラマは愛だ。作るぞ……きっちり!』

丹波は二人の作戦を支援するため、ジオラマによって島の全景を作成。3人は明け方までジオラマつくりに没頭します。

丹波は(丹波達夫として)自分のできる協力はここまでだ……もう帰れと言い、高松は予想以上に凶悪で強敵だと二人に言い残し、去ります。

『第二次作戦開始だー!』

さすがにガガガの丹波さんに帰れと言われれば、帰るしかありません。星と近藤はついに撤退を決め、浜津駅にて東京行きの電車を待っていました。

しかし、彼らの想いとは裏腹に、散っていたオタクたちはそれぞれの理由から静岡に戻ってきたのです。

オタクではないため戦力外だったりさも、星が行おうとしている”人道的救出ミッション”に賛同し、手を貸します。

しかし、令子が戻ってきた理由はいまいち不明なのです。スタンガンを借りられなかった令子は、自分が自作するからと、星に再参加を懇願しますが、星自身が『おまえ……なんで !?』と不思議そう。

この、令子と星の微妙な関係の描き方は逸品です。ここは視聴者が妄想を膨らませましょう。どうも令子のほうは星にまんざらでもない様子。『キミが欲しい』が効いたんでしょうか。

星当人はオタクのくせに当初から”普通の女性会社員”であるりさにぞっこんで(電車男みたいなフィーリング)、”女としての令子”は眼中にありません。彼はおそらく、令子のことをサバイバルゲーム仲間くらいにしか思っていません。

無線傍受おたくとミリタリーおたくってやっぱり波長が合うんでしょうかねえ。二人が将来的に結婚すれば、ラジオライフのペディに参加していた可能性もあったでしょうねぇ。

そんなこんなで第二次作戦開始です。敵にハニートラップを仕掛けるため、高松らのたまり場であるスナックに化粧をして向かう令子。

しかし、彼女には役不足でした。

しょせんは女子中学生。ハニトラは痛々しく失敗に終わります。代わりにりさが参戦し、歌と踊りで高松ら荒くれどもを魅了します(先日のM16乱射事件で高松らに顔割れてるはずですが……?)。令子はりさに魅力で負けた嫉妬からハイヒールを軽トラのフロントガラスに無言で投げつけて割る演出が笑えます。

後半ではまたもアマチュア無線の出番がありますが、この無線機の使い方もかなりグレーです。令子は用意しておいた遠隔操作式発煙筒をハンディ無線機からの電波送信によって作動させます。

『誰でも空が飛べるシミュレーションソフト』が映画ラストの伏線

こうして、星は満足感達成のため、近藤は本当の正義のために、田川は自身が開発したシミュレーションソフトの実証実験のため、国城は同人誌を刷るお金のため、令子は星のため(!?)、仮面男ダン(丹波)は……なんだろう、日ごろの高松への不満か、心に眠る正義が目覚めたのか。りさはティナへの同情心かな?それとも単にレジャーを楽しんだだけ?

まとめ

日本では珍しい最後にほろりとさせるバランスの取れたアクションコメディの金字塔です。92年と言えば、まだまだバブルの余韻が残っており、日本の街並みや人々に痛々しさや寒々しさがなく、貧乏臭くないのがいいですね。これが94年以降になると、途端に世の中はブルセラとリストラで痛々しくなるわけで…。

ラストのスタッフロールではそれぞれの趣味を象徴するアイテムと共に彼らオタクのフィギュアが登場(笑)当然ながら星はエアガン、近藤は太極拳ウェア、国城は同人誌、田川はMac、令子はアマチュア無線機です。ところが、りさだけは”パスポートと海外旅行のパンフレット”。うーん、やはり彼女はオタクではなく『ふ・つ・う』のOLのようです。なんだ普通って(笑)

ところで、『七人のおたく』から13年目となる2005年、フジテレビは『電車男』を放映し、社会現象となりました。原作は「2ちゃんねる」のあるスレッドで綴られた実際のやりとりが着想で、フジテレビが一から作った原作ではないということになっていますが、もしこれが、フジの仕込みではないとしたら、うまい題材を見つけたなと思います。

ドラマ化にあたっては、七人それぞれのおたくが持つ知識を結集させて人助け(?)をする『七人のおたく』のコンセプトと、気弱なオタク青年の主人公がインターネット掲示板を介してオタクたちの手を借り、目標に進むという『電車男』のプロットと本質的に通じており、13年前に伊豆諸島で散った(散ってない)彼ら先代のオタク戦士たちの活躍を筆者にしみじみ思い起こさせたのです。

フジテレビは『七人のおたく』から13年目にしてどのようにおたくへ問い掛けるのか興味深く見ていましたが、予想以上に初回から面白く、実際に放映時間帯はドラマの舞台である「2ちゃんねる」の実況スレッドがあるサーバーが落ちる寸前だったほどです。

なお、フジテレビ出版(扶桑社)が1992年に出した映画「七人のおたく」の解説本にはこのようにオタクに対する見解が肯定的に書いてあります。

「おたく」とは、心の中に自分だけの小さなパラダイスを持っている人たちのこと。自分にとって、大切にしているものや、自分の好きなジャンルは誰にでもある。その中で時間の感覚を失うほど没頭できる何かひとつのことを持っているのが「おたく」。 そしてそのパラダイスを大切にしながらそれを最大限に楽しめる人こそがおたくなのだ。

出典 「七人のおたく」フジテレビ出版(現・扶桑社)1992年

一方、こちらは一色氏がフジテレビに企画を持ち込んだ際に言われた言葉です。

気持ち悪いからやめようよ(笑)宮崎事件が影響したとはいえ、あまり乗り気ではなかったようです。なお、「七人のおたく」は2022年に「七人のおたく THE STAGE」として舞台化もされており、根強い人気を誇っている作品です。