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モービル運用は『モービル機』を使おう!144MHzや430MHzのモービル機は短いアンテナで運用可能!

アマチュア無線では無線設備の通常保管場所を『常置場所』と呼びます。

この常置場所から運用する無線局を『固定局』と呼び、固定局の対義語が『移動局』です。

すなわち、自動車などの移動体にアマチュア無線機を積み、移動しながら運用する局のこと。

これが、モービル運用です。

常置場所である自宅からの運用はもちろん、車あるいはバイクにリグを取り付けてドライブをしながらのモービル運用もまた楽しいもの。

CQ ham radio (ハムラジオ) 2009年 08月号 [雑誌]
CQ ham radio (ハムラジオ) 2009年 08月号 [雑誌]
B002DVBG0M | CQ出版 |  2009-07-18

車に搭載するアマチュア無線機はどのような種類があるか解説いたします。

モービル運用では『モービル機』が最適

ハンディ機のページでも触れましたが、ハンディ機を車に積めば手軽にモービル運用ができます。

しかし、やはり使いにくさは否めません。

アマチュア無線機のハンディ機のオススメと使い方

 

結論から言うと、モービル運用向けには車載用アマチュア無線機であるモービル機が最適。

モービル機で主流の144MHzや430MHzといった周波数帯は比較的小型のアンテナで運用できる利点があり、自動車やバイクでの運用も難なく可能です。

ほかにも車でモービル機を使うたくさんの利点が。

まず、セパレート式の液晶表示パネルを運転席の見やすいところに設置すれば、スイッチ類、ボリュームとスケルチのダイヤルが操作が楽。

さらに、モービル機は車のエンジンノイズなどを極力拾わないように対策済み。ハンディ機を車内で使っているとザーザーという音を拾ってスキャンが止まってしまう場合も多いものですが、モービル機では飛躍的に改善されており快適です。

アマチュア無線の電波形式にはAMやFM、SSBなどがありますが、FMで運用する利点は自動車のエンジンノイズからの干渉に強いこと。

市販されているモービル機はFMモードが標準で、自動車で運用するにはやはりFMモードが最適です。

そして最後はやっぱりバッテリー切れの心配がないことと、送信出力の大きさです。

1Wから5W程度までしか出せないハンディ機に比べ、モービル機は最大で50W送信が可能ですから、魅力はその高出力。

ただし、走行中の安定した作動を期待したいなら、モービル機であっても常時、50Wなど大出力で使うより、10W程度が望ましいでしょう。”バッテリー上がり”には注意が必要です。

現在、モービル機として各社から販売されているアマチュア無線機は144MHzと430MHzのデュアル機が人気ですが、28MHz、50MHzのシングルバンド機もあります。

さらに広帯域受信や同時受信機能のついたものもあります。

もちろん、自分の免許の級に対応した無線機でなければなりません。

[aside type=”normal”]モービル機を家で使う場合

自宅などでモービル機を固定局用に使う場合は家庭用のコンセントからは電気をそのままでは取れないので『安定化電源』という装置を別に用意する必要があります。

[/aside]

オススメのモービル機は?(2023年版)

筆者は長らくスタンダードのFT-7900を愛用。使いやすさでベストセラーです。

実は筆者はハンドマイクにボタンがいっぱいついている機種は嫌だったのですが、使いやすさを考えるとこれ以上の選択はありませんでした。

実際、基本性能の高さと使いやすさ、さらには広帯域受信機能つきで、FT-7900は初心者から中級者まで幅広い層に人気となりました。

FT-7900 スタンダード(STANDARD) 144/430MHz帯 FMデュアルバンドモービルトランシーバー 20W
FT-7900 スタンダード(STANDARD) 144/430MHz帯 FMデュアルバンドモービルトランシーバー 20W
B002N4AV1Y | 八重洲無線株式会社 |

 

2023年現在、FT-7900の実質的な後継機であるFTM-6000Sが発売されています。

基本性能の高さは前機種を踏襲、もちろん広帯域受信は108MHz~999.995MHzと心強いもの。

さて、モービル運用で必要なものはもちろん、無線機本体に加え、モービルホイップという車用アンテナ。

また、バッテリーの配線も必要です。この電源を取る作業は素人には難しいかもしれません。

モービル・ハム入門: クルマで楽しむアマチュア無線 (アマチュア無線運用シリーズ)

モービル・ハム入門: クルマで楽しむアマチュア無線 (アマチュア無線運用シリーズ)
4789815862 | CQ出版 |  2013-08-24

セパレート式の操作パネル・タイプがおすすめ。

無線機の操作性は無線機本来の操作性に加え、その取り付け自体で大きく左右されるでしょう。現在、多くのモービル機ではセパレートタイプという「分割」タイプを採用。

つまり、操作パネル部分だけ運転席の操作しやすい部分に固定できる仕組みです。

無線機本体は助手席の座席下に設置するなどしてスマートに配置できるので利便性が高くおすすめ。

なお、ハンディ機のマイクと違ってモービル機の場合はマイクではなく、本体側のスピーカーから音が聞こえますから、本体もできるだけ運転席の近くに置くか、あるいは外付けスピーカーを一緒に購入し、スピーカーだけを運転席付近に置くといった運用をとります。

筆者は助手席の座席下に置いた本体内蔵スピーカーから受信音を聞いていますが、全く問題なく明瞭に聞こえます。

操作パネルは付属のブランケットを使わずとも、3M製の車内用の強力粘着テープがあればコンソールに穴を開けたりしなくても、強固に貼り付けて固定できます。

車内の無線機は隠すべきか?もちろん、お好みで

さて、モービル機を買ったならば、その無線機を車に取り付けますが、セパレートのパネルをどこにつけるかがちょっとした問題です。

というのも「この車は無線をやっている」ということを外から知られたくない人もいるでしょう。え?いない?いると仮定して話を進めましょう。とくに覆面パトカーではアンテナ同様に車内の無線機を隠すことに努力がされてきました。

例えば、助手席の無線機にカバーをかけたり。

http://www.primenon.com/kuro/event/20070429chian/20070429-10.jpg

最近有名な覆面パトカーのキザシなどは、無線機自体をグローブボックス内に秘匿し、ケーブルとハンドマイクだけがボックスドアの穴から出ており、以前から比べるとスマートな秘匿と言えるでしょう。

ただ、正当に免許を受けているアマ無線家の場合は、車内の無線機を特に秘匿する必要などもちろんありません。しかし、これ見よがしに見やすいところにパネルを設置することもないように思えます。

とくに盗難警報装置の無い車の場合などは、無線機搭載車であることを隠したほうが良いかもしれません。これ見よがしに、ハンドマイクをバックミラーに付けた吸盤フックから吊り下げるハムもいて、格好いいな、いつかは自分も……と思っているのですが、ちょっと筆者には度胸がありません。

モービル機のバッテリーはどこからとるの?

さて、初心者が最初に気になるのが、電源の問題ではないでしょうか。無線機はバッテリー直結で配線するのが基本なのですが、素人がやると危険ですし、失敗する可能性が高いでしょう。

ですから、あまり車のメカニズムに詳しくない場合、そう簡単に自分でバッテリーから直結するのは現実的ではありませんから、無線ショップにお願いしましょう。

気軽に別料金で引き受けてくれるでしょう。通販で購入した場合は整備工場で架装してもらうか、地元のOMさんなどの助言や支援を得るなども有用です。

実は、もっとも手軽に電源をとれる方法があります。シガーライターから直接電源を取れるシガーケーブルが発売されていますので、こちらを使用しても良いでしょう。

無線機のT型カプラとシガーケーブルのカプラをつなぎ、シガーソケットにつなぐことで、誰でも簡単かつ安全に電源が取れます。


しかし、シガーケーブルで運用すると、楽でいいことばかりではありません。受信では全く問題が無くても、送信時にはエンジンノイズの雑音が混じったり、電圧が低いと無線機が安定的に作動せず、無線機に負担がかかります。

また、高出力の50w機では使用できませんので、使えるのは20w機までという制約があります。というより、車のバッテリーで50wの無線機を運用するというのは現実的ではないのかなと思います。

多くのリグでは必要に応じて無線機の出力を切り替えることが可能ですので、小出力で使用すれば大丈夫です。その場合もバッテリー上がりなどにご注意ください。

ただ、この方法はとくに年季の入ったOMさんからは幼稚な手法と見られているのが実際です。

無線機の次はアンテナも必要ですが、以下の別ページにてモービル用各種アンテナについて解説します。

モービルアンテナの種別

次のページではモービル運用と無線局免許、いわゆる職質についてのお話をします。

【悲報】神機 ICOM IC-R30が生産終了!『IC-R30の後継機はない!?』SNSなどで衝撃広がる

なんと、アイコムの人気レシーバー『IC-R30』が突然の生産終了に。これにはSNSを中心に驚きの声が広がっている。

その理由についてはウクライナ戦争による半導体の入手が困難になったためなのか、昨今の値上がりが影響しているのか詳しくは不明。

手軽なハンディ型にもかかわらず、下限は0.1~とSSB含むHFから、上は3304.999MHzまで実に幅広く各種電波形式にも対応していた人気機種かつフラッグシップ機が、たった4年で製造終了(しかもIC-R6より先に)とは予想外との声も多く、アイコムの採算性を危ぶむ人も。

さらに悲劇的なのは『IC-R30の後継機はない』とのことだ。

当然、筆者もIC-R30を愛機として2年使用しているが、約8万円のハンディ受信機で、HFの各種電波形式に対応し、洋上管制のUSB、アマチュアバンドの7MHzのLSBなどが気軽に受信できるのは便利。

短波(HF:High Frequency)と電離層を利用すれば外国との交信も可能!

 

HFの航空無線『洋上管制』の受信方法を解説

 

それに加えて、デジタル対応でデジ簡も受信できるアドバンテージの高さはIC-R30だけが持つものであり、非の打ちようがない優秀な受信機である。

とはいえ、当時のAORに比べると対応するデジタル波の少なさが、玉に瑕だったのだが。

だが、アナログ・デジタル両対応受信機の中で最も廉価とはいえ、約2万円のIC-R6などと比べれば4倍の価格。購入を躊躇していた人も多いはず。

広帯域受信機やアマチュア無線機に限らず、同社としては個人ユーザーを重視するより、警察や企業などと業務機を大口で取引したい思惑があるのかは不明だ。

IC-R30の最終入手チャンスは?

2022年の12月から2023年1月にかけて、再入荷があるようだ。

いずれにせよ、これが最終チャンス。気になる方は予約をしておくと良いかもしれない。

知床遊覧船事故に見るアマチュア無線の不正な業務利用について

2022年4月23日、北海道知床半島沖にて26人乗りの遊覧船(観光船)「KAZUⅠ」が沈没する事故が発生しました。

当該船舶の沈没という事態の根本的原因については目下、海上保安庁が捜査中ですが、現在までの報道によると悪天候で敢えて出航した船長の判断ミス、社外コンサルタントによる会社の利益優先の経営姿勢、船舶の損傷が起因となった可能性などが取り沙汰されています。

そして、今回の事故では『アマチュア無線の不正利用』が大きな注目を集めています。この記事では当該事故におけるアマチュア無線の不正利用問題に関して取り上げます。

沈没した当該船舶「KAZUⅠ」ならびに同業他社はアマチュア無線を日常的に会社との業務連絡用として不正利用する行為が発覚しており、北海道総合通信局が実態解明に向けて調査を開始。

画像の出典 STVニュース

なお、「KAZUⅠ」の運行会社側(基地局側)のアンテナ(当初、業務用かアマチュア無線用か判別できなかったが現在はアマチュア無線用との見方が優勢)は本年1月ごろから折れて落下した状態であり、”KAZUⅠは自社とアマチュア無線であっても連絡が取れない状態”でした。

このため、規定の時間を過ぎても帰港しないことを心配した同業他社の従業員が『自社のアマチュア無線設備』を使って「KAZUⅠ」に呼びかけたところ、同船船長から『現在浸水している』との連絡を受けています。このため、他社従業員はすぐさま海上保安庁へ118番通報。

旅客機その他航空機がカンパニーラジオで会社と業務連絡を行うのと同様に、民間の遊覧船なども本社との業務連絡が必要。今回、事故を起こした当該観光船事業者『有限会社 知床遊覧船』への業務無線割り当ては468MHz帯の簡易無線(※デジタル簡易無線(登録局)とは異なる)。本来であれば、この簡易無線にて業務連絡を行わなければなりませんが、北海道総合通信局の調べでは当該事業者は安全管理規程に連絡方法として業務用無線設備の設置が必要であるにもかかわらず、それらが確認できない上にその代替とする目的か、本来は電波法で業務連絡に使用できないアマチュア無線を不正に利用していたことが判明しています。

『滝を通過したとか、ポイント通過の連絡で(アマチュア無線が)使われていた。違反の疑いがあることは確認できた』

出典 STV【アマチュア無線】業務用との違いは?機材費や安定性も 知床遊覧船が日常業務に使用の疑い

事故発生から約2週間後の5月12日、北海道総合通信局では当該事業者ならびに道東地域の複数の同業者に対して緊急に立ち入り調査を行なっており、沈没した遊覧船の事業者については『免許が確認できなかった。実態はわからなかった』としています。

同局の担当者によると、聞き取りには社員が「船が事務所に業務連絡する際、アマチュア無線を使っていた」と証言。同社の船はツアー中、「今、滝を通過」など、あらかじめ決めた地点を通る際、事務所への連絡手段としてアマチュア無線を使っていたという。

 同社が国に届けた安全管理規程には、船長と運航管理者らとの連絡手段は衛星電話、携帯電話、業務用無線の3種を挙げていた。しかし、社員は少なくとも昨年8月の入社時以降、「船からの連絡には主にアマチュア無線を使っていたようだ」と話したという。

 同局の担当者は調査後、「少なくともアマチュア無線を業務で使っていたことは確認できた」と話した。

一方、今回の調査にあたり、同局は、同社の住所で個人が使用許可を取ったアマチュア無線機の記録を持参。利用実態を調べようとしたが、事務所にあった無線機は、記録にないものだった。カズスリーにあった2台の無線機のうち1台が記録と同じモデルということが確認できたのみ。誰が使用許可を得ているのか不明な無線機について、社員は「元社員のものではないか」と説明したが、無線の免許に関する資料も見当たらず、実態は分からなかったという。

出典 読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/national/20220513-OYT1T50071/2/

また、別の1社で無許可でのアマチュア無線の設置(開局)の実態が確認されていますが、その1社とは事故当日に当該遊覧船「KAZUⅠ」からアマチュア無線による救助要請に気づき、善意で118番へ通報した同業他社。同社事務所のアマチュア無線機は局免の有効期限が過ぎて失効しており、無免許状態であったとのことです。

局免失効状態でアマチュア無線機を設置し摘発!→女性検事『電波出したろ?』→被疑者『出してない!』→『くっ…一度くらい電源は入れたことあるよね?』→『…かも』→略式裁判で有罪確定

北海道総合通信局の山田無線通信部長によれば、その他の事業者については「船長同士の雑談や日常会話で無線を使っていた。運用の問題はなかった」と、5月12日に放送されたSTVの「どさんこワイド179」において述べています。

余談ですが、皮肉か冗談か不明なるも『アマチュア業務以外の通信は違法なのだからアマチュア無線での日常会話や雑談は違法だ』と主張する勢もいる中で『アマチュア無線での日常会話や雑談』は運用上の問題がないことを図らずも監督官庁が認めた形になっています。

この記事を書いている5月下旬の時点で北海道総合通信局では目下調査中で、なぜ当該事業者が『認可された業務用簡易無線』での連絡ではなく、アマチュア無線を使用していたか詳しくは不明ですが、高額な簡易無線機や衛星電話の購入費用、携帯電話の通話不能エリアであることなどが指摘されています。

まず、業務無線とアマチュア無線の『飛びの良さ』で比較した場合、アマチュア無線の移動局では最大50wまで許可される一方、468MHz帯の簡易無線では最大5wまで。確実に連絡が取れるならば、法を犯してまでも、どちらを選ぶでしょうか。

しかしながら、道東地域でアマチュア無線の不正利用が行われていた事実に対して、この地域の正規のアマチュア局が、ただ黙って不正利用を見過ごしていたということではないことも事実です。

同じく道内放送局のHBCの報道によれば、日本アマチュア無線連盟(JARL) 釧路根室支部の監査指導委員(放送当時の肩書)鈴木一樹氏が以下のように述べています。

「総合通信局の方は動いてくれなかったという事実を無視できないのかなと思います。おそらく甘いというよりも(アマチュア無線を)『遊びの無線』だからという感じだったのかな(行政の姿勢も)変わってほしいなというところはあります」

出典 HBC「腹立たしい!」憤る無線家 アマチュア無線 不正使用で通信手段すべて不備 運航会社の杜撰な安全管理の実態 背景に通信コスト節約の可能性も 北海道知床 2022年5月17日放送 もうひとホリ

HBCの報道によれば、鈴木氏はこれまでたびたび、アマチュア無線による不正な利用を監視・指導する立場から総通に80条報告を行なっていましたが、同氏によれば『北海道総合通信局は動いてくれなかった』とのことです。

一方、道内では2020年にも北海道新聞がアマチュア無線の不正利用の実態について問題提起を行なっていますが、その中で北海道総合通信局は「限られた人員で指導・警告を行っており、決して放置しているわけではない」と説明しています。とはいえ、正規のアマチュア無線局からは厳正な取締を求める声が上がっていた事実があったようです。

当サイトでも以前から解説している通り、アマチュア無線による営利目的の業務連絡は電波法で認められていない違法行為です。

また、非常事態における緊急通報の手段としても、すでに船舶では『国際VHF』が安全航行を目的として広く普及している中で、アマチュア無線を優先かつ唯一の連絡手段とするのは明らかに不適切と言わざるを得ません。

なお、アマチュア無線における『非常通信』であっても、従事者免許と無線局免許が必要となっている。

アマチュア無線で行う非常通信とは?

船舶による緊急事態の通報には、多くの船舶に聴取義務があり、警備救難当局も24時間傍受している上述の国際VHFの呼び出しチャンネル(16ch)が最適で適正に使用されるべきと考えます。

船舶無線は『国際VHF』と『漁業無線』が主流の受信対象

国際VHF無線機、免許、検査等の費用が嵩むからといって、人命を疎かにしてアマチュア無線を使うことはあってはなりません。

【デジ簡】包括申請で登録した局が手元に一台も無線機を残さないまま廃止届を出してしまうと、包括登録そのものが失効します

もし、デジ簡機を売却したい場合、必ず登録申請を行った先の総合通信局に廃止届を出してから売却しましょう。

アルインコ社はデジタル簡易無線(登録局)の登録方法の説明において、以下のように説明しています。

無線機を使わなくなったり他人に譲渡したりしたときは必ず廃止届を出してください。届け出をしないと電波利用料が請求されます。

引用元 アルインコ株式会社公式サイトhttps://www.alinco.co.jp/division/electron/dl/1_Touroku_nagare.pdf

ご存じのとおり、デジ簡の登録申請では製造番号を明記して提出します。

従って、廃止届を出さないまま売却し、それを購入した人が開局申請を出したとすれば、総合通信局で重複の届け出となり、登録してもらええません。

中古デジ簡機を第三者が登録申請→東海総合通信局「へ?すでにこの無線機は登録済みやが…」→元登録者へ連絡→消防団から盗まれた無線機と発覚

無登録のままではデジ簡を適法に使用できません。

[aside type=”normal”] 自分がオークションなどでデジ簡機を売却する場合はもちろんのこと、逆に自分が中古のデジ簡機を購入する場合も、廃止届の提出がされていると明記されているかよく確認を。 [/aside]

もし、廃止届が出されていない中古無線機を購入してしまった場合、購入者側で総合通信局へ廃止届を出すことはできません。

その場合は、元の持ち主である相手側に依頼して廃止届を提出してもらうか、連絡が取れない場合は最大で5年間の登録期間の満了が過ぎるのを待つしかありません。

廃止届を出していると明記していない中古機は絶対に購入しないようにしたいところです。

中古のデジタル簡易無線機にはこのように思わぬ落とし穴が待つ場合がありますから、個人間売買では信頼できる出品者から購入し、購入前に廃止届けの提出の有無を確認するなど、注意をしたいところ。

デジ簡の廃止届の注意点

なお、廃止届を出す際の注意点として、包括申請で届を出した局が手元に一台も無線機を残さないまま廃止届を出すと、包括登録そのものが失効するため、注意が必要です。

届出を行った無線機の一部又は全部を廃止した場合、廃止後速やかにご提出ください。
(届出した無線機を全て廃止すると、包括登録自体も失効しますのでご注意ください)

引用元 http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/dempa/degital-cr.html

総務省では上記のように説明しています。つまり、登録が有効な状態を維持するためには、手元に無線機が最低でも一台は必要。

『完全にデジ簡をやめる』場合以外は、不要となった無線機は新たな無線機を購入後に廃止届を出したうえで売却してください。

アマチュア無線の場合は何台持っていても1局扱いですが、デジ簡の場合は無線機ごとに申請が必要となります。

包括申請の場合は手元に一台も無線機がなくなると包括登録そのものが失効してしまうのでご注意を。

2018年、無線局免許証票(シール)廃止へ!今後はモービル運用では局免を車に積むようになるの?徹底検証!

『無線局免許状』と『無線局免許証票』

これまで自宅でアマチュア無線機を使用する場合、困難でない限りは無線局免許状(局免)を無線機の常置場所の見やすい場所に掲げることが、電波法施行規則第38条第2項で定められていました。

免許状は、主たる送信装置のある場所の見やすい場所に掲げておかなくてはならない。ただし、掲示を困難とするものについては、その掲示を要しない

それまでの電波法施行規則第38条第2項

しかし、平成30年3月からは、電波法施行規則等の一部改正により『掲げる義務』が廃止されました。総務省ではその理由を以下のように説明しています。

免許状は、これまで、主たる送信装置のある場所に掲示することを義務としていましたが、無線局に備え付けておくことでも支障がないことから、免許状を掲示する義務を、平成30年3月1日をもって廃止します。

なお、船舶局、無線航行移動局及び船舶地球局の免許状については、従来どおり、掲示することを義務としています。また、アマチュア局の免許状についても従来どおり、無線設備の常置場所への備え付けとしています。

典拠元 総務省総合通信局 http://www.tele.soumu.go.jp/j/haishi_kanwa/

つまり、局免は掲げる義務がなくなった代わりに、備え付ける義務へ変更になったのです。

おっと、『従事者免許証』については無線の運用中は必ず携行してくださいね。

アマチュア無線技士の従事者免許証を取得する方法

車に無線局免許状は積むの?

一方、車で「移動する局」として、アマチュア無線を楽しむモービルハムの場合の局免の扱いはどうでしょう。

局免を車に積むのでしょうか?

その答えは『NO』です。

移動する局であっても無線局免許状自体は「無線機の常置場所に備える」という規定になっており、車を無線機の常置場所にはできませんから、必然的に自宅が無線機の常置場所=免許状を備える場所です。

つまり、無線機は普段車に積んであっても、局免自体は無線機のある場所に絶対に備え付けなければなりません。

でも、それではモービル運用をする場合、正当に無線局免許を受けているかわかりませんよね。

そのため、無線局の免許状を備え付けることが難しい陸上移動局などが「免許を有していること」を明らかにするために『無線局免許証票』が総合通信局より発給されるのです。

無線局免許証票とは、総務省令電波法施行規則に規定する移動する無線局に無線局免許状とともに発給されたものであり、過去何度かの形状変更を経てきた変遷の歴史があります。

免許証票は「簡易無線局の証」として1960年に制度化されたものの67年に一度は廃止されました。そして1970年(昭和45年)に『無線局免許証票』として再制度化され、このときは名刺サイズの大きさ。

で、車両のダッシュボードに掲示する等の措置を必要としていました。

そして1991年にシールタイプとなりました。

アイコムさんの公式サイト内で連載されているコラムでも、このモービルでの従免ならびに局免、そして証票について言及されていますので、ご紹介します。

移動する局が携帯しなければならないのは何か、友人に聞いてみました。

「無線局免許状と従事者免許状じゃないかな。」
「正しくないですね。」
「正解は従事者免許証と無線局免許証票の2点セットです。」
「免許状はいらないの?」
「免許状は常置場所に掲げておくのが決まりです。」
「免許状と従事者免許証があれば良いと思っていました。」
「それは誤りです。」

典拠元 アイコム株式会社公式サイト https://www.icom.co.jp/beacon/talk/002041.html

そう、車に局免を積まない代わりに、この無線局免許証票(シール)を必ず備えることが決まっているのです。

しかし、無線局免許証票は2018年3月で廃止されました。

なお、総合通信局の公式サイトによれば「”備え付けることは義務”ですが、必ずしも”貼る義務”はありません。しかし、”貼るのがベスト”です」という説明が明記されています。

ですから無線機への貼り付けが望ましいでしょう。

なお、筆者は何度もモービル運用中に職務質問を受け(新任警察官の実戦実習の相手役に都合よくされている感じがしますが)、そのたびに従事者免許を提示しているのですが、新任警察官もその辺は怖い巡査部長から厳しく指導されているようで、抜け目なく「もう一つ、免許ありますよねェ?」と言って「もうひとつの免許」である局免も求めてきます。

筆者はもちろん、備え付けが義務である無線局免許証票のシールを見せるのですが、一部の警察官は「ダンプとかだと免許状積んでますけどねェ」と言うことがあります。

警察官の中には『局免は自宅での掲示、それに代えるものとして証票がある』ことを知らない場合があります。

【逮捕!?】アマチュア無線の運用中に警察官が声をかけてきた場合の対応は?

筆者はそのたびに「移動する局の場合、無線局免許証票で証明できると法律で明記されています」と説明してきました。

証票のシールを貼り付ける場所は無線機のどこがいいの?

シールを貼り付ける場所は無線機のどこでもかまいませんが、すぐに剥がれないようにハンディ機なら電池ケースの裏フタの内側に貼り、モービル機でも剥がれにくく、万が一の取り締まりの際にすぐに見せられる場所に貼りましょう。

警察官に停止命令を受けて無線の免許を見せてくださいと言われたなら、まず従事者免許証を見せて 「局免もありますか?」と聞かれたら無線機に張り付けてある証票シールを見せましょう。

「このシールが無線機が無線局免許状を正当に得ているということを証明します」

典拠元 「はじめてみよう アマチュア無線」 丹羽一夫 CQ出版社

ハム本の解説者で知られる丹羽一夫さんも上記の様におっしゃっています。

『局免のコピー』を積むと効果的?

『局免のコピー』をクルマに積むことは、むしろハムの間でも積極的に勧められています。しかし、前述したアイコムさんの公式サイトにあるコラム内には『局免のコピー』に関しても触れられており、その中でその効力については『気休め程度の効果』と懐疑的な見方をされています。

平成30年3月1日にアマチュア局の免許証票が廃止されました

さて、上述しましたこの証票ですが、平成30年3月で廃止となりました。

これは平成30年2月1日に交付された「無線局免許手続規則の一部を改正する省令」にともなう措置で、平成30年3月1日までにアマチュア局の免許証票が廃止。

それ以降はアマチュア局の移動する局(いわゆるモービル運用の場合)の開局申請、再免許申請ならびに無線機の増設、または取替の変更申請時、証票(シール)の発行はされないことになりました。

今回の廃止の理由を総務省では以下のように説明しています。

免許証票については、無線局の免許状を備え付けることが難しい陸上移動局等が「免許を有していること」を明らかにするため、免許状の代わりに備え付けることを求めてきた経緯がありますが、総合無線局監理システムにおける無線局データベースの充実を踏まえ、免許状や事項書等の備え付け書類による無線局管理でも支障がないと判断したことから、アマチュア局においても免許証票を廃止するものです。

引用元 http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/E/Ama/saishin/amah300226.htm

なお、総務省によれば、すでに発給されている免許証票(シール)はそのまま無線機に貼付していても問題はないとのことです。

免許証票(シール)廃止によって警察の不法無線局取り締まりはどう変わる?

ところで今回の証票廃止について、不法無線局の取り締まりに支障は出ないのか、一部で指摘されています。

これまで無線機に貼られていた免許証票のシールが廃止されることで、今後の不法無線局取り締まりはどう変わるのか、実際、多くのモービルハムや移動運用愛好家は注目されているのではないでしょうか。

不法無線局を取り締まる総務省総合通信局(総通)とは?

当局者である総合通信局と警察合同による電波検問なら問題ないのでしょうが、とくに警察単体での職務質問が今後どう変わるのか、警察官の『もう一つ免許ありますよねぇ』というセリフがどう変わるのか、私たち正規のアマチュア局にとっては興味深いところですよね。

これについて総務省は証票廃止後の取締りにおいて、正規局がどのように当局に身の証を立てるのかという個人からの意見に対して以下のように説明しています。

提出された意見

「総務大臣又は総合通信局長が発給する証票の様式等を定める件等を廃止する件」
アマチュア無線では移動する局の送信装置に対して1台ずつ証票が発行されている。今までは、証票により正規局である、もしくは正規に登録されている無線機であると証明するものだったのだが、今後はどう身の証をたてるのか、違法局をどう見分けるのか。

総務省の考え方

今回の制度改正の趣旨及び概要について、引き続き、警察庁や海上保安庁等の関係機関に説明してまいります。

引用元 総務省公式サイト http://www.soumu.go.jp/main_content/000521920.pdf

総務省の考え方によれば、今回の制度改正の趣旨及び概要について、すでに警察などの取り締まり当局側に説明済みであるとしています。

つまり正規局と不法局を見分けることになんら問題は無いという立場でしょう。

この総務省の公式コメントを信じるならば、我々正規局が道端で警察単体による電波取締りに遭遇し、アマチュア無線機を見せて、証票のシールが貼られていなくても、警察官から『普通はシール貼ってあるのにおかしいですねぇ』などと言われることは無いと考えていいのではないでしょうか。

そして、総務省の説明どおり、今後は総務省の総合無線局監理システム『PARTNER(パートナー)』にて、現場の警察官が従事者免許証の番号を照会すれば、たちどころにして、その従事者が正規に局免を受けているか否か判明するということでしょう。

総合無線局監理システム「PARTNER」に警察官がどのようにアクセスするのか、詳しくは不明ですが、パトカー車載の警察無線や、腰の署活系無線で本署に従事者免許番号を伝え、本部の照会担当者や本署のリモコン担当者が総務省のPARTNERにアクセスして照会するのかもしれません。

警察無線の系統 その2『署活系』

おそらくは、今まで警察官が職務質問で行っていた一般的な運転免許証による身元照会と同じ流れかもしれませんね。

あるいはパトカーのPATシステムでも直接照会できるのかもしれません。

警察無線の基幹系(パトカーなどの移動体向けの無線)では2018年から新型のIPシステムが一部で導入されており、他省庁のデータベースへのシステム的連携が容易になっているのかもしれません。

ともかく、総合無線局監理システムにおける無線局データベースの充実によって、移動局への証票の備え付けは廃止となりましたが、今後もこれまで通り、アマチュア無線運用時はアマチュア無線の従事者免許証(従免)の携帯は必須のほか、無線機の常置場所には無線局免許状(局免)の備え付けが義務となっていますので、忘れないようにしたいところです。

アイコムが公式にIC-R6を萌えキャラ化!薄い本で『受信改造』待ったなしか?

航空無線受信機としてベストセラーのアイコムIC-R6に関して、2021年5月18日、驚愕の情報が飛び込んできた。製造販売元であるアイコム株式会社 | Icom Inc.がIC-R6を公式に擬人化(萌えキャラ化)したというのだ。どーん。

アイコムによるプレスリリースは以下の通り。

2021.05.18 擬人化キャラクター誕生のお知らせ https://www.icom.co.jp/news/6320/

上記プレスリリースに拠れば、今回同社から公式にデビューしたのはいずれも年齢不詳の女性で『Kira』、『Akane』、『Sora』の3人。

その名も無線ガールズ

3人はそれぞれ黒、青(メタリックブルー)と赤(メタリックレッド)の服を纏っている。これは『IC-R6』に現在ラインナップされている各色をモチーフとしているようだ。

2017年、突如として登場した「メタリックブルー」と「メタリックレッド」の2色のIC-R6。すでに無線通信がアナログからデジタル化へ進み、斜陽となりつつある『おもしろ無線受信』と、減り続ける我々愛好家人口。

アイコムではその巻き返しを図るため、新たな層を取り込もうとした。おりしも、それまで登山や鉄道といったオトコの子の趣味に女性が浸透しつつあるなかで話題になったのが、飛行機の撮影に萌える女子「空美ちゃん」なる新しい顧客層である。

そんな彼女たちに訴求したい営業戦略がアイコムにあったのか、全日空(ANA)を「メタリックブルー」、そして日本航空(JAL)を「メタリックレッド」でイメージしたエアバンダー向けのIC-R6が登場。

アイコムでは彼女ら無線ガールズを『エアバンダーキャラ』にしたい意図があることは、キャラのバックに旅客機を配置、また客室乗務員を思わせるスカーフを3人に着用させていることからも推測できる。

さらに彼女らの頭部にはIC-R6のダイヤル、耳にはアンテナを装着。そして、スカートはIC-R6の大型で音声明瞭なスピーカーをイメージしたデザインとなっている。もう全身を使ってIC-R6をアピールしちゃってるわけ。おっと、彼女らの着ている上着の胸に『ICOM』の文字も見逃せない。社員なの?

というわけで、今回の『無線ガールズ』デビューも、男の子だけでなく、女性エアーバンダー取り込みに向けた戦略の一環と考えても差し支えないのでは?

もちろん、IC-R6は航空無線以外にもアマチュア無線、業務無線、消防署活系、さらにはあーんなムフフな電波まで受信できちゃう超高性能受信機だ。ムフフな電波ってアンタねえ……。

余談だが、無線ガールといえば30年ほど前の映画『7人のおたく』に登場したオタクの一人、受信マニアの女子中学生・令子を思い出す。

また、二次元の世界で美少女×おもしろ無線受信趣味といえば、ラジオライフ誌上で長年連載された横山公一氏の描くアマチュア無線部の女子高生のユルい日常を描いた4コママンガ『NORI子ちゃん』が元祖なんだぞっ!と主張する人も多いはずだ。

おもしろ無線受信ガイド ver.11 (三才ムック VOL. 295)
2010年に発行されたラジオライフ別冊の『おもしろ無線受信ガイド ver.11』。液晶表示部や各操作ボタンを散りばめた無線ガールズのコスチューム・コンセプトは同誌で活躍した横山公一氏のIC-R6とVR-160をイメージしたコスチュームを着るおなじみのキャラを想起させる。

だから二次元美少女×おもしろ無線受信のコラボはこの界隈で別に目新しいわけではないが、アイコムが公式で投入してくるあたりは『時代だな・・・・・・』と思う次第だ。

なんだか、アマチュア無線を主題にしたアニメ製作の布石にも思えるが、この会社、ハンディ型IPR警察無線機も作ってるんだよなあ・・・…と思うと心情は複雑である。

おっと、アマチュア無線のアニメといえば、1984年放映の以下の作品も必見だ。

1984年放映のテレビアニメで登場したアマチュア無線の驚きの描写とは?

ともかく、アイコムでは彼女たち3人の無線ガールズを今後、等身大パネルの展示や様々なイベントに出演させる企画を行うとしており、受信マニアの間で話題になりそうだ。

ただ、ツイッターでは早々に『無線ガールズじゃなくて受信ガールズだろ・・・』というようなツッコミも見られた(まるで当サイトみたいである)。

また、ツイッターといえば彼女たち無線ガールズのアカウント(ICOMオフィシャル擬人化、無線ガールズプロジェクト公式アカウント)も同時進行しており、キャラクターの紹介や、今後のイベント情報などを届けるとしている。

ただ、現在は復旧している同アカウントだが、一時運用停止となっていた期間があり、その理由について一部では『頭の固いおじさん連中からクレームがあったのでは?(※筆者ではありません)』とか『13歳以下の設定だったのでは?(twitterは規約上13歳以上の利用者のみ)』などの憶測が見られた。

いずれにせよ、彼女たち無線ガールズが薄い本で『サークルオリジナルの受信改造』されないか、おじさんは心配である。心配なのはお前の頭だろ。

そしてもちろんお約束として、より多くの帯域の電波が受信できるように販売店で改造された『受信改造済み』のIC-R6を購入しましょう。

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鎌田洋次著『カモシカ』にみるアマチュア無線機搭載のAMラジオ受信機能による天候予測

ときに偶然の可能性もあるかもしれませんが、電波と気象や自然現象は偶然だけで片付けられない関連性があり、その予知や予測に役立てられています。

たとえばAMラジオ放送の聴取時、突然『ガリガリ』、『ザリザリ』といったノイズが聴こえたことはありませんか。

この現象は雷放電によって発生する電磁波、空電がラジオの受信に影響を与えていることを示しており、一般にAMラジオにガリガリ音が入れば、おおよそ50キロ圏内における雷の発生確率が高くなります。

「ガリガリ」音の間隔が短くなると雷は近づき、逆に長くなると雷は離れています。

これは振幅変調でノイズに弱いAMラジオの弱点を逆に利用し、天候の予測手段として活用できることを示唆しています。逆に、雑音に強くて音質が良いFMラジオでは周波数変調であるが故に真似が出来ない芸当です。

出典 連載 実践的な人体への落雷防護方法 雷の接近の予知 検知 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/28/10/28_779/_pdf

参照元の『AMラジオの雑音による雷放電の検知』という項目において、雷の接近にラジオの雑音を利用するにはNHK第1や第2放送などのAM放送を受信する必要があるとしています。

出典 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/28/10/28_779/_pdf

鎌田洋次「カモシカ」の解説

スポーツからアウトドア、フライフィッシングまで造詣が深い漫画家の鎌田洋次氏は、雷による空電がAMラジオ放送に及ぼす特性で天候悪化を予測した山岳救助隊員が、その的確な状況判断の上で救助活動を行うというエピソードを描いています。

本作『カモシカ』は2003年に出版された作品で2023年現在、月額で本が読み放題になるAmazonのサービス『Kindle Unlimited』の会員であれば、電子書籍版が追加料金なしで購読できますので入会をお勧めいたします。

さて、鎌田洋次氏といえば『Match the Hatch』『ようこそ庄太郎小屋へ』のヒロイン・渓子、『私の甲子園』のヒロイン・綿矢しほのなど、男勝りが魅力の女性を描くことで一部ツンデレマニア方面からも定評があります。

本作『カモシカ』のヒロインで、民間の山岳救助組織『連邦山岳救助隊』に入隊したばかりの新人救助隊員『棚垣芯子』もまた、芯の強い女性です。主人公で元・陸上部のバンビちゃん・芯子は東京の企業に勤める一般的なOLでしたが、山岳救助ヘリ会社で救助隊員だった父を救助中の事故で亡くし、その意思を継ぐため、山岳専門のレスキュー隊員となる異色作が本作です。

作品中での言明はありませんが、この『山岳救助ヘリ会社』とは、かつて日本国内で実際に設立された『トーホーエアーレスキュー社』が明らかなモチーフと言えます。同じく山岳救助を題材とした漫画『岳 みんなの山』に登場する『昴エアレスキュー』のパイロット・牧英紀もまた同社パイロットであった篠原秋彦氏がモチーフとされています。

『トーホーエアーレスキュー社』は東邦航空株式会社の子会社でしたが、トーホーエアーレスキュー社社長でパイロットであった篠原秋彦氏は出動回数約1700回、救助した遭難者は2000人以上にのぼるベテランでしたが、2002年に長野県大町市鹿島槍ヶ岳でヘリによる救助中に殉職を遂げ、この事故後に同社は解散し、救助事業は継承されていません。

そして、同氏が構想していたのが『会員制民間救助体制の確立』だったそうです。もし、故・篠原氏に娘がいたとして、その娘が父の意思を継ぎ、迅速な救助を行う民間山岳救助に加わって複数の県に跨る日本アルプスを舞台に命を懸けていたとしたら……?を描いているのかな、というのは私の想像です。

また当時、トーホーエアーレスキュー社所有の救助事業用ヘリ『アルウェット SA 315B ラマ』がレスキューミッション時に使用していたのが、長野県穂高町にある『カモシカスポーツ穂高店』の敷地内にあった芝生帯ヘリポートだったという当時の関係者の声は本作のタイトルに関して興味深いものを感じさせます。

なお、今回の記事を書くにあたり、鎌田洋次氏の「カモシカ」第一巻から画像の引用を行いました。

アマチュア無線のAMラジオ受信機能を利用して雷接近を予測

さて、アマチュア無線に興味のある方には興味深い描写と言えそうなシーンが第7話「知識の裏付け」です。主人公の芯子、先輩の馬越、同じく先輩でリーダーの花森ら女性隊員3人のパトロール班が山岳警備中に一本立てる場面があるのですが、無線と電波に関する描写が興味深いのです。

彼女らが休憩を兼ねてベースキャンプと定時連絡を行う場面。リーダーの花森が使うのはハンディ型のアマチュア無線機。機種は判然としませんが、439MHzのFMモードが確認できます。レピーター局を介しての交信でしょうか。

アマチュア無線のレピーターの仕組みと使い方

リーダーの花森は作中で笑顔を見せることはほぼなく、いつも険しそうな表情を見せるベテラン女性隊員。新人の芯子にも厳しい先輩です。

花森は休憩中の交信で、雑音が入ったことを気にかけます。

ただ、冒頭で述べた通り、雷のノイズはFMではなくAMに影響を及ぼしますし、この部分の描写だけ見れば間違いかもしれません。しかし、直後にAMラジオ放送にノイズが入っていることを花森の口からじかに解説する場面が描かれていますので、正しくもあります。

「AMラジオに入る雑音の間隔が短くなっている。雷が近づいている証拠よ」と、無線機を見せながら花森が言います。

すなわち、このハンディ機にはAMラジオ放送受信機能が搭載されていると考えるのが自然でしょう。そして、このことが今回、彼女に的確な行動を決定付けさせます。

休憩からパトロールを再開直後、芯子は足に怪我をした男性登山者を発見。怪我の具合から単独では下山が困難と判断した花森は男性にヘリ救助要請の承諾を取り付けようとします。

しかし、男性登山者は山岳保険に未加入であることから、ヘリを呼ぶのなら(無料の)県警ヘリを呼んで欲しいと希望します。県警ヘリは別の現場へ向かっており、有料だが民間のヘリならすぐに来るとのベースキャンプからの回答。

しかし、民間ヘリに100万円もの費用は出せないと渋る男性登山者。芯子は自分が付き添って徒歩で下山させると提案しますが、花森はそれを叱責し却下。

警察ヘリは無料だが、ほかの現場に向かっておりすぐには来られない。民間ヘリは今すぐ来られるが、登山保険に未加入のため、費用が100万円かかる。しかし、迷っていると天候悪化でどちらのヘリも呼べなくなる。

掛け捨ての数千円の登山保険加入を入山時に怠った無保険登山者は、花森に突きつけられたこの究極の選択をただちに決断しなければなりません。

もちろん稜線でグズグズしていては彼を保護する救助隊員の彼女たちにも天候悪化で命の危険が迫ります。果たして登山客はどちらを選ぶのか。

まさにこのAMラジオ放送に及ぼす空電ノイズの間隔が短くなっていく様子から花森は急速な天候悪化を察知したがために、悠長な徒歩下山を提案した向こう見ずな芯子を叱責したわけです。

結果的に花森のベテランゆえの経験と知識の裏付けが登山者の命を救うことになります。

この後、すぐに激しい雷雨が3人の女性隊員たちを襲い、彼女らはハイマツの中でビバーク。芯子はツエルトを被って雷をやりすごしながら、花森の判断こそが正しく、誤った提案をした自分を恥じます。しかし、一件落着もつかの間。翌日には登山学習中の児童らに危機が迫り、彼女ら山岳救助隊員らが駆けつけます。山では次から次にトラブルが起き、彼女らの気は休まりません。

AMラジオ受信による天候予測のまとめ

以上のように、本作では山岳におけるアマチュア無線による連絡だけでなく、アマチュア無線機(に搭載されたAMラジオ受信機能)による天候予測(雷の接近予測)という非常に興味深いシーンが描かれています。

もし、無線機にAMラジオ受信機能がついているなら、利用すると天候悪化の簡易予測に便利でしょう。もちろんAMラジオ本来の情報収集能力(天気予報とニュース)も活用したいところです。

保護シートくらい剥がせよ。貧乏くさいぞ。いや、貧乏ですし。

筆者が使用しているスタンダードのハンディ型アマチュア無線機VX-3なら独立したAM/FMラジオ放送受信機能が搭載されており、ラジオ放送を聴きながらアマチュアバンドやエアバンドをはじめ、各種ユーティリティ無線の待ち受け聴取が可能で人気です。

重くても頑丈な筐体を有し、山屋からの絶大な支持を得ているベストセラー機FT-60でさえ、AM/FMラジオ機能はついていません。

と言うわけで、アマチュア無線が登場する漫画の一編をご紹介させていただきました。

なお、アマチュア無線が主題のマンガから、劇中にちらっと出てくる作品まで、筆者が現時点で知っているものをいくつか過去の記事でも挙げていますので、興味があればご一読ください。

アマチュア無線が出る漫画とアニメ解説

1984年放映のテレビアニメで登場したアマチュア無線の驚きの描写とは?

【悲報】アマチュア無線家、お悔やみ欄詐欺未遂事件をしてしまう…。発覚はアマチュア無線局のコールサイン

2019年6月の後半から北海道内では奇妙な手紙による騒動が起きていた。新聞に掲載されているお悔やみ欄から亡くなった人の住所を抽出し、その遺族へ卑劣な詐欺の手紙を送りつけている何者かが存在するのだ。いわゆる架空請求詐欺である。

発端はツイッターの投稿だ。

その手紙の内容とは簡略で要約するとこう。

お悔やみ欄を見て連絡をさせて頂きました。

私は荷物などを預かる貸しスペース業を営んでいる者ですが、そちらのご主人が私に預けた荷物があり、お悔やみ欄で亡くなったのを知って中を確認したところ、中身が違法なDVDでした。

違法であるために警察の捜査対象になると思います。

そこでこのDVD をこちらで処分をして、なかったことにするか、当方が警察へ通報し、ご主人の名誉を傷つけることになるか、選んでください。

手紙はまだ続く。これが今どんなに罪が重たいご時世であるか、どれほど警察やマスコミが騒ぎ立てるか、ということを手紙の差出人は述べる。そして、DVDを内密に処分することをお勧めすると提案をもちかける。

そして肝心な点は、貸しスペースの利用料金が14年分で168,000円であり、これを払ってスッパリ児童ポルノのことを忘れるか、警察へ通報されるかと遺族に迫る。

その上で、この貸しスペース業を営んでいる自称の者は自分の口座番号ならびに口座の名義を記載し、この手紙が届いてから三日以内に銀行へ振込しろと迫る。

お金を振り込んだ時点でDVDは処分するとし、入金されない場合は警察へ通報するとしている。

そして手紙の結びには、あろうことか『この手紙は脅迫ではありません。その点宜しくです』などと勝手なことを宣言した上で『本人が亡くなっているとはいえ利用料金を踏み倒さないで下さいね』『宜しくです』などと結んでいる。

ツイッターの投稿者によれば、このような手紙が流行っているとのことであるから、実際に亡くなった人が貸しスペースに何かを預けたり、ましてや違法な物を預けていて、それを口実に強請られたとは考えにくい。

新聞のお悔やみ欄がこのような詐欺、空き巣の被害に利用されるのは珍しくもないが、このような悪どい手紙が送りつけられる例があるとは。

しかも、手紙の文面には『お問い合わせメールアドレス』や『口座情報』など、送付した人間が簡単に特定されそうな情報をいくつか記載されているが、その中に気になるものが。

そして、驚きの結末が待っていた。

すぐさま犯人が特定された驚きの理由

どうやらこの手紙の送り主はご丁寧に振込先として銀行の振込先口座と名義人、メールアドレスまで自分で記載している。それによれば、名義人の名前は『M』となっている。

銀行口座は7月1日の時点で凍結されている。

そして、決定打となったのが、同じく文面に記載されたメールアドレスだ。メールアドレスのアットマークより先の部分の6文字の『JR8MYK』という英数字の羅列に注目したい。

アマチュア無線局のコールサイン(呼び出し符号)である。エリアナンバーは8。すなわち、北海道内のアマチュア局である。

説明している通り、コールサイン(呼び出し符号)は電波を出している無線局が何者なのかを明示するための制度。アマチュア無線のコールサインは自分で勝手に付けられるものではなく、総務省総合通信局から、一人一人それぞれに独自のコールサインが発行されるもの。そのため、他の人とかぶりはしない。

しかし、これは単に偶然、 アマチュア無線のコールサイン風になってしまった可能性もある。だからこのコールサインが実際にアマチュア無線局に付与されたものなのかどうかを調べた。すると、『JR8MYK』が北海道内に実在するコールサインであることが、総務省の『無線局免許状等情報』にて裏付けれらた。

画像の出典 総務省無線局免許状等情報

以上に引用した画像のとおり、総務省では『無線局免許状等情報』という公開データベース内にて、アマチュア無線局など、警察や消防など重要な無線局以外の無線局の情報を広く一般に公開している。

ただし、コールサインならびに無線機の常置場所である市町村名、それにその無線局(アマチュア無線家)に運用が許された周波数や電波の出力などを掲載しているに過ぎず、個人名や個人の住所などといった個人情報は一切掲載していない。

ただ、無線機の常置場所は道東の佐呂間町となっていることがわかる。

一方で、海外のアマチュア無線関係サイトである qrz . Comによれば、『JR8MYK』というコールサインが、Mという人物の氏名、そして佐呂間町という住所で登録されていることが確認できた。

上記の情報も登録すれば誰でも閲覧できる公開情報である。そもそも何のためにアマチュア無線家が氏名や住所を公開するのかと言えば、アマチュア無線には交信した証である証明書をお互いに交換しあう、いわゆるQSLカード交換という習慣があり、そのために相手の名前と住所、そして自分の名前と住所をどこかに公開しておく必要があるのだ。それがqrz . Comなどのサイトである。

また日本国内のアマチュア無線家は、JARLというアマチュア無線家の自主組織に入っている場合が多く、JARLでも無線家の名簿『JARL会員局名録』を出しており、こちらでも会員各局のコールサイン、氏名や住所などが掲載されている。

局名録も上述のQSLカード交換のための氏名と住所の確認に使用される資料だ。

ただし qrz . Comで登録するにあたっては個人情報やコールサインが分かる証明書類などの提出は不要なので、確定的とは言えない。

しかし、確率として『JR8MYK』=M氏の可能性が極めて高いとは言えそうだ。

『JR8MYK』M氏が何者かにはめられている可能性も考えられた

ツイッターでも指摘されているが、詐欺を企む人間が、わざわざ自分の口座やメルアドを使うものなのかは疑念が残る。

ましてやアマチュア無線家なら、自分のコールサインから氏名や住所が簡単に足がつくことは重々承知のはず。

したがって、M氏が何者かの悪巧みに利用させられているのではないかという疑念の声もあった。ただ、その場合、M氏のメールアドレスと銀行口座がセットで悪用されていることになるだろう。

また、金銭を騙し取る目的ではなく、単にM氏に対する嫌がらせなのではないかとツイッターで複数の人が指摘している。

追記 M氏名義の手紙は北見市内での投函か

7月3日になり、ウェブメディアなどが報じ始めたようで、それによれば、さらに詳しいことが分かってきた。

しらべぇ https://sirabee.com/2019/07/03/20162110972/

複数の人に届いているこの詐欺の手紙だが、手紙の消印は北見市内になっているという。

出典 https://sirabee.com/2019/07/03/20162110972/2/
出典 https://sirabee.com/2019/07/03/20162110972/2/

そして手紙の裏に書かれた差出人の氏名はカタカナでM氏の氏名が書かれている。

なお、北見市は佐呂間町の隣町である。

出典 グーグルマップ

追記

Twitter で以下のような指摘があった。

 

どうやら佐呂間町で投函した郵便物は、隣街の北見郵便局にて集配されるのか「北見」の消印が押捺されるそうである。

7月5日、犯人逮捕へ。被疑者はM氏本人だった

7月5日になり、羽鳥慎一モーニングショーでこの件が取り上げられた。それによれば、取材陣が佐呂間町の当該人物の自宅まで赴き、取材を行ったが、 当該人物は自宅におらず、母親とみられる女性が出てきて「口座名義人は息子です」と言ったという。またその当該人物の知人によれば「自分は全く知らない。迷惑している」と言っていたそうだ。また同番組で 取材陣が訪れた当該人物の自宅玄関にはジャールの会員証が貼ってあったという。

そして、同日夕5時ごろのどさんこワイドで『お悔やみ欄詐欺未遂で逮捕』の一報が流れ、逮捕された人物の名前を聞いて筆者は驚いた。読み上げられた被疑者の名前は『M』その人だったのだから。

報道によれば、佐呂間町の無職・M容疑者(52)は騙して金を得ることを目的として100通もの詐欺の手紙を送りつけていたそうだ。なお、容疑は詐欺未遂であることから、結局、騙された被害者は一人もいなかったのだろう。同容疑者は佐呂間町から延々、札幌市内の中央警察署まで警察車両で護送された。

まとめ

当初、筆者としてはアマチュア無線家がこのような卑劣な詐欺をやるとは思えなかったが、フタをあけてみれば、逮捕されたのはM氏本人だったというのが、なんとも情けない。

SNSとまではいかないが、アマチュア無線の情報伝達の速さは驚くべきものがある。少なくとも、ネット発達以前は津々浦々のハムこそが最先端の情報通であった。

深夜のラグチューで、誰かが面白いローカルニュースや、どこかのハムが悪いことをしたなどの話題を振れば、明日にはあっという間に全国のハムに広がっている。

しかもアマチュア無線を受信機などで聞くだけなら、免許は要らない。だから、実際に交信をせず、アマチュア無線を聞くだけの人(タヌキウオッチと呼ぶ)を含めれば、その人口は開局者数よりも実際は多いのだ。

そして、ハムにとって自分のコールサインは氏名同様、かけがえのない尊いものであるはずだ。

そもそも北海道内でのアマチュア無線家たちの交信では今夜あたりからこの話題でもちきりになるのではないだろうか。

追記

ツイッター上ではJR8MYK氏が3年前の時点で、アマチュア無線のイベント・第39回オホーツクコンテストに精力的に参加していることが指摘されている。

CW(モールス)にも長けているようで、ハムとして知識、技量共に一定以上のものを持っている方とお見受けする。付与されたコールサインの『R』から察するに、ハムとしてのキャリアは少なくとも40年近いのではないだろうか。

それが、こんな低レベルな詐欺を企む人間だったとは……。

アマチュア無線家の自主組織である『JARL』と『JARD』とは?

日本のアマチュア無線文化の発展に寄与してきたのは、アマチュア無線家が主体の二つの民間団体です。

JARL(一般社団法人日本アマチュア無線連盟)

JARLはアマチュア無線家の相互交流に寄与する無線家の自主組織です。

1926年(大正15年)に任意団体として設立され、その後、太平洋戦争の開戦により一時は活動停止となりましたが、終戦後の昭和21年に再結成され、現在までJARLは社団法人として活動しています。JARLには多くのアマチュア無線家が入会しており、実際のハムが主体となっている組織です。

アマチュア無線文化の発展に貢献してきたJARL

JARLは新たな周波数帯の割当て、利用可能な電波型式の拡大などを国(当時の郵政省)に要望し、その実現を図り、また、無線従事者資格の資格取得の容易化、無線局の開設、変更などに関する各種手続の簡素化など、アマチュア無線をより快適にできる環境づくりに貢献してきた、とのことです。

典拠元 http://www.jarl.org/Japanese/4_jarl/4-4_info/Jisseki_jarl.pdf

入会は公式ホームページ上から申し込めます。JARLの会員には准会員と正会員があります。

会員は、アマチュア無線局を開設している者による正員(個人、もしくは社団)と、開設していないが、アマチュア無線に興味を持つ個人である准員、正員と同居している家族(配偶者・親子・兄弟姉妹)であり個人アマチュア無線局を開設している家族会員、連盟の趣旨に賛同し連盟の事業を援助しようとする個人・法人・団体による賛助会員に分けられるとのことです。

JARL公式サイト http://www.jarl.or.jp/

JARLに入会するとQSLカード交換の際にカードを転送してくれるなどのメリットがありますが、アマチュア無線を開始するにあたって、アマチュア無線家が絶対にJARLへ入会しなければならないことはなく、JARLへの加入はあくまで任意です。

とくにアマチュア無線家の代表としてJARLは電波行政当局者である旧郵政省とやりあってきた歴史(?)があり、ビギナーにとって利用しやすい制度ができるきっかけになったのも、JARLの努力のおかげ。

JARD(日本アマチュア無線振興協会)

一方、日本の一般財団法人でアマチュア無線の振興を担うのがJARDです。

こちらもアマチュア無線の普及を目的とするのは先述のJARLと同じであり、もともとはJARL内の一組織でした。しかし、公益性をかんがみた当時の郵政省のご指導ご鞭撻キツイやつ一発により、アマチュア無線独自の証明機関としてJARLから独立した経緯があります。

そのため、ハム個人の自主組織たるJARLとはやや異なります。

第4級、第3級、第2級アマチュア無線技士の養成課程講習会を行うほか、無線機の技術基準適合証明をしてくれる実務的な機関です。

JARD公式サイト http://www.jard.or.jp/

講習と簡単な修了試験で4級と3級の国家資格が取れる養成課程講習会とは?

【航空無線受信テク】常時送信されているATISとは?

ATIS(Automatic Terminal Information Service)は飛行場から自動放送される空港情報です。

ほかの航空無線とは違い、相互交信する無線通信ではなく『対空送信』と呼ばれる一方的な放送に分類されます。

ただ、一般的な航空無線と同じAMモードでVHF帯のため、何ら問題なく受信可能です。

放送内容は送信元空港名、情報名、視程、雲量、風速、気温といった気象状況、使用滑走路、それにデパーチャーの周波数です。

これらの内容を英語で録音したものが、空港の運営時間中、航空機に対して自動的に繰り返し送信されています。

航空機から受信したAMDARの観測結果が、ATIS(Automatic Terminal Information Service)を介してパイロットにウインドヒアの存在を報告するウインドヒア警告メッセージを自動的に生成するために使用される方法を示す概略図。画像引用元 http://www.hko.gov.hk/prtver/html/docs/aviat/outreach/product/FIRST_AMDAR.shtml

気象情報は逐一変わるので、ATISの内容も30分ごとに新しい内容ごとにそれぞれAからZまでの記号を割り振られて更新されます。

内容はすべて英語で放送されていることから、ATISはエアバンド受信初心者にうってつけの学習教材になる場合もあります。

ただし、上空を飛行する航空機から送信される電波と違い、地上局のATISは管制塔側の電波と同様、空港から距離があると受信は難しくなります。

どうしても聞きたい場合は高い山の山頂で複数の空港のATISを受信するか、思い切って空港まで出かけてみましょう。

そこで活躍するのが、当サイトで最も強く推奨しているアイコムのIC-R6(受信改造済み)です。

IC-R6(受信改造済み)の受信感度の良さは証明されているので、遠く離れた地上局のATISも受信できる確率が高まります。

自衛隊・軍事基地のATISは?

自衛隊や在日米軍基地にも民間空港のATISと同様、放送がありますが、こちらはメトロ(METRO)と呼ばれます。

米軍は日本と方式が違いますが、提供している情報はおおむね同じです。

英語のネイティブ発音ですので初心者には聞き取りが難しいかもしれません。

台風など大きな気象の変化が予想されうる場合は受信することで風速などを入手が可能です。

一度受信にチャレンジしてみてください。